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『 お 大 事 に 』
雨宮 歩ja3810)&櫟 諏訪ja1215)&加倉 一臣ja5823)&桜木 真里ja5827)&雨宮 祈羅ja7600)&アスハ・A・Rja8432

●揺れるカーテン

 白い壁、白い天井、白いシーツ。
 室内にかすかに響くのは空調の音。
 雨宮 歩が目線を動かすと、点滴のパックが目に入る。
 ぽたり。ぽたり。
 歩が命を繋いだことを、まだ身体の中を体液が巡っていることを示すように、少しずつ落ちて行く薬液。
 歩は小さく溜息をつく。
 実際、今の彼にできることは余り多くはない。
 死力を尽くして戦い、死なずに戻って来た。その代償に、ろくに身動きもできないまま、こうして病院のベッドの上でぼんやり点滴などを眺めているのだ。

 暑すぎず寒すぎず、快適に整えられた個室には、大きな窓がある。
 カーテンを開ければ空や植え込みが見えるのだが、今はただ静かに体を横たえていたかった。
 ベッドの近くのカーテンも、入口側は視界を遮るように閉めている。
 歩はいつしかまどろんでいたようだ。
 廊下を歩いて来る数人の気配に、意識が呼び戻される。
 気配は歩の病室の前で来て固まった。

「なんだぁ?」
 頭を振り向けると、ノックの音。
「どうぞお」
 返事をすると、遠慮がちに扉が開く気配。それから軽い足音と、優しい声。
「あ、起こしちゃった?」
 ふわりとカーテンが揺れ、雨宮 祈羅の笑顔が覗いた。
 歩は心を許した相手に見せる、少し皮肉な、けれど穏やかな笑顔を向ける。
「やあ姉さん」
 歩は最愛の妻を、親しみを込めてこう呼ぶ。
「今日は遅かった……」
 そこまで言いかけて、歩は口をつぐんだ。
 揺れるカーテン。祈羅の満面の笑み。
 その背後に並ぶ顔、顔、顔……。

「見舞いに来たぞアユム……だから、闇鍋やるか」
 アスハ・A・Rが提げていた荷物を示して、囁いた。


●訪問者たち

 歩が依頼で重体になった。
 祈羅がなかば諦めの溜息をつきながら、そう報告する。
「うちももう自分が慣れたと思ってたんだけどね……」
 無茶をして重体になって戻ってくる。
 結婚する前から歩はそうだった。
 笑顔で迎えるのが自分の仕事だとわかっているつもりでも、大事な人の悲惨な姿には胸がつぶれる思いだ。
「あーもう、でもしょうがないよね!」
 頭を抱えながらも、自分に言い聞かせる祈羅。
 そこでアスハが重々しく宣言した。
「じゃあ見舞いで闇鍋だ、な」
「……え?」
 祈羅は笑顔のまま首を傾げる。
 ――何か物凄く、前後の関連に隔たりがあるような?
 だがアスハは表情ひとつ変えないままに、淡々と続けた。
「アユムも退屈しているだろうし、な。怪我が早く回復しそうな食材で、元気になってもらおう。キラも早くアユムが帰って来た方が嬉しい、だろう」
 言うが早いか次々と電話をかけ始める。
 そうして集まったのが今回の見舞いメンバーだった。

 約束した時間に病院に集まり、菓子折を持ってナースステーションを訪れる。
「迷惑をかけるかもしれんから……な」
 戻って来たアスハがそう言って目を伏せるのに、加倉 一臣は心中で突っ込んだ。
(いや、わかってるなら、そもそもやらないほうがいいんじゃないかなって……)
 頬をひきつらせる一臣に対し、桜木 真里は穏やかな笑みを浮かべている。
「雨宮さん、お見舞いにうかがえるぐらいに回復していてよかった。祈羅さんもひと安心ですよね」
 アスハの真意を知らない真里は、素直にそう思っているようだった。
「え? ああ、うん。そうだね。安心してやm……」
 口をつぐむ一臣。
 櫟 諏訪は全てを知っていながら、真里に人の良さそうな笑顔を向けた。
「早く元気な姿を見たいですよねー?」
「うん、そうだね。食欲が戻っているといいんだけど」
 真里はプリンの箱を抱えて頷いた。
 まさかこの差し入れが、惨劇を引き起こすとも知らずに――。


●一蓮托生

 歩は頬をひきつらせながら、展開するメンバーを見渡す。
「お前ら、ここがどこだかわかっているよなぁ?」
「病室ですねー?」
 諏訪はいつも通りの笑顔のまま、サイドテーブルを設置。
「そうだ病院だぞぉ、病院。病院で闇鍋をするのかお前ら? 常識を知らないのかお前らぁ!?」
 普段、何事にもどこか斜めな風情を見せることの多い歩が、珍しく声を荒げた。
 諏訪が一瞬真面目な表情になった。
「そうですね。個室で良かったですよー。他の患者さんに御迷惑かけないですからねー?」
 直後に諏訪の顔に笑顔が戻った。
 シーツを掴む歩の手がぶるぶる震えている。
 祈羅はちょこんとベッドサイドの丸椅子に掛けたまま、歩と諏訪の顔を見比べた。
(重体の人に闇鍋……そういえば諏訪ちゃんの嫁さんも重体で闇鍋食べに行ってたような気がする!)
 祈羅はそっと歩の手に自分の手を重ね、顔を覗きこんだ。
「歩ちゃん」
「……?」
「安心して。ちゃんとうちが食べさせてあげるから!」
「それおかしいだろぉ!?」

 一臣はその光景を微笑ましそうに眺めつつ、運んできたカセットコンロを置く。
「病室で闇鍋、アリなんです? アリなんですね、愛さえあれば!」
 すでに一般常識など崩壊している。購買部が用意した携帯闇鍋セットの業の深さに想いを馳せつつ、一臣は引き続き鍋もセット。
 ペットボトルで持ち込んだ水を注ぎ入れ、カチンと火を点ける。
 じわじわと泡が浮かび上がり、次第にその勢いが増していく。鍋の中で湯がたぎる様子は、地獄の釜を思わせた。
 歩が鍋から目を離し、じろりと一臣を睨みつける。
「ああ、そうだよね。撃退士に常識を求めたボクが間違いだった。というかお前らボクにとどめを刺しに来たんじゃないだろうねぇ?」
 一臣は挑むような歩の視線から、そっと目を逸らす。
「俺は信じてるから。雨宮くんの生命力の強さをね!」
「おい、それが見舞いか!? 加倉お前、石橋の強度確かめるのに、叩き壊すまで叩き続けるタイプだろぉ!!」
 一臣、振り向いてサムズアップ。
「お、さすが雨宮くん。上手いこと言うね!」
「褒めてねぇ!!」

 その間、真里はぼうぜんと立ち尽くしていた。
「え? あれ?」
 アスハは見舞いに行くと言ったはずだ。だがよく考えれば、見舞いというには他の皆は大荷物だった。
 目の前では、手際よく闇鍋の準備が整いつつある。
(そもそも重体の人間に、闇鍋を食べさせて大丈夫なのか? というか、もしかして俺も食べる側に巻き込まれている……?)
 僅かに一歩、真里が足を引いた。その背後からアスハが近寄り、両肩にそっと手を置く。
「安心しろ。僕達は一蓮托生、だ」
 ――逃がさない。
 要するにそういうことらしい。
「え? あれ?」
 やはり真里はその場に立ち尽くすしかなかった。


●投げ入れ式

 ぐつぐつと鍋が音を立てている。
「お湯が沸きましたねー? では皆さんの持ち寄った食材を入れて行きましょうねー」
 諏訪が、爽やかな声で恐ろしいことを告げた。
「その前に、少し暗くしたほうがいい、な」
 アスハはベッドの周囲のカーテンレールを使って、暗幕を吊るした。
「わー、すごいね! そんなもの、うち思いつかなかったよ!」
 祈羅は何かが振りきれたのか、ぱちぱちと手を叩いて喜んでいる。
 ほぼ真っ暗な中に、鍋が煮える音と、鍋の下でちろちろ燃える青い焔。
 その炎の場所を頼りに、それぞれが具材を放り込む。
 どぶん。ぼしゃん。じょぼぼぼ。
「おい。今なに入れたんだぁ?」
 歩が思わず身体を起こす。
「滋養のつくものばかりですよー? 早く治っていただきたいですからねー!」
 諏訪はそう言って、栄養ドリンクを注ぎ入れ、鰻(※まるごと。一応ぬめりは取った)を放り込み、山芋のすりおろしをぶちまける。
 うん、確かに栄養はありそうだ。それぞれ単独ならもっと良かったかもしれないが。

 続いて一臣が鍋に近付く。
「でもさ、自分がどうしても戦いたかった相手と戦った結果の重体だろ? めいっぱい楽しんできた証だしな。羨ましいぜぇ!」
 ぼちょん、ぼちょん。何やら重みのある音に、歩が顔をしかめる。
「お前ら、わかってやってんだろうねぇ? 自分も食うってことがさぁ」
「伊達に久遠ヶ原学園で大学部7年生やってないからね? やるべきことは弁えてますよ!」
 そう、状況を最大限楽しむ。普通楽しめないことすら楽しむ。
 それがこの学園で(精神的に)生き残る方法なのだ。
 だができれば一臣は、自分が入れた中では果汁グミキャンデーぐらいが当たってくれればいいなと思った。全ての汁を染み込ませた食パンや、異様な具合に火の通った塩辛はやっぱり回避したいのが本音だ。
 ……じゃあ入れるなよ。

「しょうがないよね。闇鍋だもんね」
 祈羅が情け容赦なく持参した蒟蒻を投入。
「姉さんまで……何を入れたんだぁ?」
「歩ちゃんの愛する食材だよ!」
 とはいえ、かつて食べた闇鍋を思い返すと、さすがの祈羅も手が震える。
 震えるが、コーラを注ぐ手は止めない。
(餅がないだけ有難く思え……!)
 広がり、汁の味を吸収し、変色した驚異の食材の食感や味。
 思い出すだけでいつもの笑顔が消える。祈羅は内心で暗幕に感謝した。

 アスハは牡蠣ととんぶりを放り込んだ。
 どちらも滋養強壮に利くと言われている食材だ。
 さらに持参した袋からさらさらと何か粉末を流し込む。
「うむ。身体に優しい、闇鍋、だ」
 身体に優しいものを全部ぶちこんだからと言って、身体にいいかと言われるとそういうものでもないだろうが。
 アスハは暗闇の中で、傍で沈黙している真里を促した。
「マリの番だ、ぞ」
「え?」
 真里は迷った。今日自分が持参したのはプリンのみ。
 ここにプリンを入れて、どうなるというのか。
 悲惨な末路しか見えないではないか。
 だが、顔の見えない一同の視線が自分につきささる。
 鍋は物凄い匂いを立てて、煮え詰まりつつある。
「さあ」
 アスハの声が尚も促した。
「え、あ、はい」
 迷った末、遂に真里は震える手でプリンのカップを鍋の上でひっくり返した。
(プリン屋さん、ごめん……!)
 謝る相手はそっちだった。なにやらもう色々と混乱の極みである。

 こうして恐るべきサバトは、ひとつの区切りを迎えた。
 鍋が煮えたのだ。
「頑張るので、ガンバですよー?」
 諏訪の明るい声は救いというよりも、何処か異次元から響く囁きのようだった。


●楽しい試食会

 鍋からは異臭と呼びたいような、様々なものが混然一体となった匂いが漂う。それらを包み込むベースは甘い香りだ。
「これなんだぁ?」
 歩が鼻をひくひくさせると、アスハがお玉を持って鍋の中をかき回す。
「脱脂粉乳、だ」
「おい、闇鍋の基本は汁を邪魔しないことだろぉ!?」
「そんなルールは知らん、な」
 白い液体を掻き廻し、アスハは持参したお椀に中身を注ぎこんだ。
「では、アユムの生還を祝して」
 厳かに告げると、お椀を祈羅に手渡す。
「生きて帰ったのにここでトドメ刺されて殺されるのかぁ? 病院で?」
 祈羅はお椀の中を覗きこみ、にっこり笑う。
「とどめじゃない、愛なの。みんなの愛を受け止めてね♪」
 スプーンですくい上げたそれは、大きな吸盤もあらわなタコの足。
「さっき言った、君の愛する悪魔の愛する食材だよ。はい、あーん」
「姉さん、自分も食べるってわかってやってるのかぁ?」
 歩が僅かに身を引く。
 だがベッドの端に腰かけた祈羅からは、そう離れられない。
「もちろん食べるよ。自分の番になったら♪」
 迫るスプーン。
 顔をそむける歩。
 その顔が無理矢理、祈羅のほうへ向けられた。
「でっ!?」
「奥さんの愛を拒否するのはいけませんよー?」
 こういうときの諏訪は容赦がない。
 そのままスプーンは歩の口へ。
「〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 歩、のけぞって撃沈。
 後頭部がベッドの背に当たったが、そんな痛みはどうということもない。
 口中に広がる脱脂粉乳の香り、僅かに残るコーラと栄養ドリンクの刺激。それらを容赦なく固める山芋のねばり。
 ベッドの中で悶絶する歩は、つい癖でナースコールに手を伸ばした。
 だが当然、それはアスハに取り上げられる。
「これは最後の手段だ、な」
 今が最後じゃないのか。これ以上何があるというのだ。
 歩は口元を押さえ、心の中で叫び続けた。

「では順番ですねー?」
「わかった。うちが行くよ」
 祈羅は笑いをこらえながら、というか感情が振り切れて笑うしかなくなって、お玉を無造作に鍋に突っ込む。
 大ぶりの牡蠣がぷるんとお椀に滑り込んだ。
「うん、牡蠣のクラムチャウダーだと思えば……って、やっぱり無理ー!!! 何このぐにぐにー!!!」
 ぐにぐに。それはしょっぱいのか、甘いのか。
 一臣は胸の動悸をおぼえつつ、祈羅の次の言葉を待つ。
「葡萄の味がするぅー!!」
「ゴメン、祈羅ちゃん。グミキャンデーなんだそれ」
 でもたぶん、塩辛よりはましだと思う。
 ……その言葉を呑み込む一臣。
「お詫びに、二回目は俺が祈羅ちゃんの分、身代わりになるからね……?」
 一臣が続けてお玉を突っ込んだ。
 お椀に入れたものを口に含んだ瞬間、今度は一臣が無言のまま床に膝をつく。
 アスハは即座に低い声で言った。
「吐くなよ、カズオミ。病院に迷惑をかけるから、な」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 とんぶりまみれのプリンは、温まって得も言われぬ食感で口の中に広がった。

「次は僕が行こうか」
 アスハはお玉ですくい上げた何かを、お椀に入れる。
 どっしりと重みがある。というか、端がお椀から出ている。
「これは……」
 まるごとうなぎ。
 アスハは頭からかじりつつ、くぐもった声で言った。
「スワ、できれば切り身のほうが食べ易かったかもしれない、な」
「切り身だと、お鍋の中でボロボロに崩れるかと思ったのですよー?」
「それもそうか」
 アスハは納得した。納得して、無言のまま長い鰻を食べ続ける。
「後は何が入っていますかねー?」
 諏訪がお玉を引き上げる。どろり、と、山芋を纏ってお椀に滑り込んだのは塩辛。
 そして、蒟蒻。
「しょっぱいのは柔らかくて、固いのは噛みごたえがあって、なんだか不思議な感じですよー?」
 せいぜいマイルドな表現を心がけたが、さすがに飲み込むのには苦労しているようだ。
 そして1順目の最後は真里。
 先に行っておくべきだったという後悔が胸に迫る。
 目の前で次々と倒れて行く仲間達の姿を見届けるのは辛いことだった。
「そうだね。闇鍋ってこういうものだったね」
 改めて、自分に言い聞かせるように言葉にしてみる。
 そして覚悟を決め、お玉を突っ込んだ。
 柔らかく、なにやら重量感のあるものがお椀に滑り込む。
「……?」
 スプーンですくって口に入れる。その瞬間、口から喉から胸にまでとめどなく広がる闇鍋のエキス。
「………!!!!!!!」
 海産物のエキス、脱脂粉乳、コーラ、栄養ドリンク。その全てを抱え込み、柔らかく口の中で崩れて行く食パンは、ある意味最も危険な食材だった。
(ごめん、雨宮さん……俺、本当に何も知らなかったんです……でも、ごめん……!)
 微笑みながら無言で目を閉じる真里。
 カセットコンロの青い焔が、その白い頬をおぼろげに浮かび上がらせていた。

 コンコン。
 扉をノックする音と共に、女の声が聞こえてきた。
「雨宮さん? 何をなさって……きゃあああああ!!!」
 異臭がするとの連絡を受けて様子を見に来た看護師は暗幕を恐る恐る開き、ぐったりと横たわる数人の男女を目にする。
「いったい何をなさってるんですか!!」

 空になった鍋は白く渇き、惨劇を物語るものは全て各自の胃の腑の中だった。


●お大事に?

 歩はベッドの中で、目線を動かした。
 個室内のベッドの数は5台に増え、以前より随分と手狭になっている。
 溜息と共に、歩がしみじみと呟いた。
「お前達のほうが天魔より余程厄介だと思うよぉ」
 それぞれのベッドから、手だけが伸びてひらひらと宙を舞う。
 汁まで飲みつくした結果、おそらく牡蠣か塩辛か鰻に当たり、全員が数日の入院となったのだ。

 闇鍋メンバーの中で、まともに動けているのは祈羅だけだった。
 ちょこんと椅子に掛けて、一臣を覗きこむ。
「ごめんね、一臣ちゃん」
「ははは……祈羅ちゃんが無事ならそれでいいさ……!」
 強がる一臣は、青い顔でベッドに横たわっていた。
 二順目で祈羅の分まで喰らい尽くし、さすがの一臣も撃沈したのだった。
(まさか自分の入れた塩辛が、プリンと合体するとは予想外だったよね!!)

 諏訪は青い顔で、それでも笑顔を作っている。
「皆で入院なら、寂しくないですよー!」
 リズミカルに落ちる点滴も、皆一緒なら……いや、やっぱりあんまり楽しくはないな。
「今度から鍋をやるときは、事前に教えてくれると嬉しいかな……」
 真里はそう呟いたが、自分でもわかっているのだ。
 事前に知っていたからといって、闇鍋である以上、結果に余り違いはないことを。
 だがアスハは重々しい調子で、真里の言葉に頷く。
「そうだ、な。今回は、海産物に偏りすぎた。もう少し具材のパターンが別れたほうがいい。次回への課題としよう、か」
「なんで次回とか考えるんだぁ?」
 歩の声に棘が感じられるのも仕方のないことだろう。

 祈羅は、持ち帰るだけにまとめた鍋一式に視線を移す。
 こんなことになってしまったが、やはり皆でワイワイと囲む鍋は楽しかったと思う。
「うん、決めた」
 祈羅が突然立ち上がる。
「やっぱり闇鍋でも普通の鍋でも、みんなで食べるのが一番だと思う! 皆が退院したら、改めて鍋パーティーしよう!!」

「……」
 歩は無言で、毛布にくるまる。
 ――暫く退院しなくてもいいかもしれない。
 その本音は、明るい笑顔を浮かべる祈羅にはとても言えなかった。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ja3810 / 雨宮 歩 / 男 / 20 / 鬼道忍軍 / 大学部5年】
【ja1215 / 櫟 諏訪 / 男 / 21 / インフィルトレイター / 大学部3年】
【ja5823 / 加倉 一臣 / 男 / 29 / インフィルトレイター / 大学部7年】
【ja5827 / 桜木 真里 / 男 / 22 / ダアト / 大学部4年】
【ja7600 / 雨宮 祈羅 / 女 / 23 / ダアト / 大学部7年】
【ja8432 / アスハ・A・R / 男 / 25 / ダアト / 大学部5年】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お待たせいたしました。
重体者にとどめを刺すかと思いきや、仲良く倒れるノベルのお届けです。
皆様の年齢と学年を確認し、久遠ヶ原すごいなと改めて思いつつ。
闇鍋パーティーをお楽しみいただけましたら幸いです。
ご依頼、誠に有難うございました。
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
樹シロカ クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年06月23日

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