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『番外編 御門鈴音とゆかいな仲間たち(西遊記の場合) 』
御門 鈴音aa0175)&輝夜aa0175hero001


第一章 後輩以上友達未満?

 突然だが、『御門 鈴音 (aa0175) 』には友達がいる。
 何をそんな当たり前のことを、と思うかもしれないが。引っ込み思案で、あがり症で、しかもリンカーと学生の二重生活を続ける彼女にとって、友達とは得難い存在であるが。
 今回はその友人のせいで大変な目にあってしまうお話である。
「先輩!」
 それはとある放課後の帰り道。
「鈴音先輩」
 ききなれた声に振り返ってみればそこには中学時代からの後輩『五條文菜(NPC)』がいた。
「どうしたの? 文菜ちゃん」
 二人は同じ中学の出身であり、今は同じ高校に通いつつ彼女は映画研究部で活動を続けていた。
 彼女とは時たまあってお話したり、熱くBL談義に花を咲かせたりする間柄だが、彼女が鈴音を追いかけてくるのは珍しかった。
「お家逆方向じゃ?」
「鈴音先輩!」
 鞄を肩からおろし、鈴音に歩み寄り、その手を握って文菜は言った。
「助けてください!」
「え?」
 混乱する鈴音を半ば連行するように、文菜は喫茶店に移動する。
「一体どうしたんですか……」
 嫌な予感を感じ取りながらも鈴音は珈琲を一口飲む。
「それが! 私の部活が廃部寸前で助けてほしいんです」
「ん? でも助けられることなんて……」
「単刀直入に言います、鈴音先輩を主演で映画を撮らせてください!」
「え?」
 凍りつく鈴音である。
 話のあらましとしてはこうだった。
「まず、うちの部活って最近活動していないっていうか、ほぼ映画見ているだけの部と言いますか。そんな部に部費が出ているのはおかしいよねって、生徒会に言われてしまいまして」
 うーんと唸りながら文菜は言う。
「だから、映画を撮ろうって話になったんですが、何が何でも部費を浮かせたいみたいで。でも私あの部活好きだから。交渉して粘って粘って」
 鈴音は思い出していた。確かに文菜は昔から何をさせても粘り強いというか、しつこかったなと。
「やっと勝ち取ったのが。映画上映して来場者300人突破で」
「え、それってうちの学校生徒の大体半分じゃないですか」
「そう、むちゃくちゃだ! って言ったんですけど、聞き入れてくれなくて。だから一か月以内にうちの学生が300人見たいって言える映画を撮らないといけないんです、ちからを貸してください」
「……、えっと、それでなんで私なんですか?」
「だって、鈴音先輩すごかったから」
 そう文菜は自前のビデオカメラを取り出して鈴音に見せた。
 そこに映し出されていた映像に鈴音は目を見開くことになる。
「これって、先輩ですよね?」
 そこには、以前校庭に出現した従魔を対峙した時の映像が映し出されていた。華麗な大剣捌きで従魔を屠る鈴音。だがこの時は輝夜フォームで鈴音とは似ても似つかないはず。
「もう一度言います、これ、せんぱいですよね?」
(ばれてる!)
 鈴音は手汗を制服で拭う。
 どうやら漫画の世界では変身ヒーローやヒロインは変身すると身バレしないが、リアルは全然違うらしい。
「え、あの、私。あの……」
「こんなすごい動きができるなら、アクションスターも真っ青ですよ。ぜひ参加してください」
「演技なんてできないよ?」
「大丈夫です、大丈夫!」
「やっぱり無理です、この話はなかったことに」
「先輩!」
 そう文菜が取り出したるは、見覚えのあるノート。
 それは中学時代になくしたノート。
「それ、文菜ちゃんがもってたの?」
「いや、これ私のドツボにはまりまして……。これ学校中に流しますよ!」
 悲鳴は上げなかったが鈴音は戦慄した。
 あのノートには、鈴音の理想の男性Aが受けで、鈴音の理想の攻めが男性Bで、くんずほぐれつ、あんなことやこんなことを……
 とてもではないが、公衆の面前にさらせるものではないのだ!
「ふふふ、私と一緒になったのが運のつきです」
「わ、私は……」
「先輩、お願いです、先輩しかいないんです。先輩しか私たちを助けられないんです」
 そう必死に頭を下げる後輩、そう言えば彼女は諦めるということを知らないが、こんな強引な手に出ることもなかった。
 今回、彼女は必死なんだろう。本当に映研を存続させたいのだ。だから。
「わかりました。文菜ちゃん、顔を上げて」
「先輩……」
「私にどこまでやれるか分からないですけど。精一杯やらせてもらいます」
「やった! じゃあ先輩、あの小さい子もよろしくです」
「え?」
 鈴音は目を真ん丸にして問いかける。
「小さい子?」
「運動音痴の先輩があんなにすごいことできるのは、先輩が英雄と共鳴しているからですよね? だったら英雄もいないとダメじゃないですか」
「…………」
「よろしくお願いします」
 そう言うと後輩はとっとと荷物をまとめて伝票を持って行ってしまった

第二章 その怪獣、名前を●●●という

 そして家に帰る鈴音。両手に下ろした買い物袋にはカステラや『輝夜(aa0175hero001)』の喜びそうなものもろもろが詰まっている。
「ただいま、輝夜」
「おお、帰ったか鈴音よ。今日は大荷物じゃのう」
「うん、今日はちょっと気合を入れようかと思って」
 とりあえず鈴音は食品を冷蔵庫の中に片付け、カステラをおおめに輝夜にだし、機嫌をうかがうところから始めた。
「今日はどうだった?」
「暇じゃった」
 この返答はどうなのだろう、機嫌がいいのか悪いのか、これだけでは判断がしがたい。
「……えっと、カステラ美味しい?」
「うむ。ところで鈴音」
「なにかしら……」
「ご機嫌取りなどしてどうしたのじゃ」
 ばれてる、そう床に突っ伏してしまう鈴音。
「実は輝夜にお願いがあって……」
「ほう、珍しいのう、いったいどうしたのじゃ」
 テレビを見ながら淡々と答える輝夜。
「実は、映画の撮影に協力してほしくて……。後輩の部活が廃部寸前で……」
「ん? えいが? はいぶ? なんじゃそれは、食えるのかのう?」
「ちが……」
 とりあえず状況を理解してもらうところから始めようと思ったが、何から説明していいか分からない。
 だが幸いなことに、いいものを発見した。テレビの下にある棚。その下にはVHSの再生装置。
 鈴音は引っ越しをするときになんとなく、ビデオデッキを持ってきてしまったが。今は心の底からよかったと思った。
「ちょっとまってて」
 鈴音は箪笥を漁る、すると母が好きだったビデオが大量におさめられた段ボールが出てきた。
「これ、お母さんのコレクション」
(スミコの?)
 輝夜の興味が一気に引かれた。
「これは、何をするものなのかのう?」
「見るのよ」
「なにを?」
「映像を……」
 そう鈴音はビデオデッキにVHSを投入。やや粗い画像だが、まだ観賞には十分であり。鈴音も数年ぶりに見る映像に少し興奮する。
「これは、大きなトカゲと戦う映画ね……」
 開始十分、鈴音の思惑通りに、輝夜は映像に飲まれた。
 二時間後。
「おお! すごいのう映画! いやわらわの世界に訪れておったら、存分にこの怪獣も力を出せたものを」
 そう映画をよくわかっていない風な反応を返す輝夜へ、ここぞとばかりに畳み掛ける鈴音。
「じゃあ、映画一緒に撮ろうか」
「おお、面白そうじゃのう、ここでごろごろしているよりは百倍いい」
 そして次の日曜日、二人は映研に呼び出されて朝早くからロケ地に連れて行かれることになるのだった。

第三章 これって天職

「はい、衣装はこっちですよー。先輩」
 そう鈴音が現地で着せられたのは、黄金の袈裟だが、なぜか太ももの露出が激しく。胸元がガッツリあいている。
「わー、先輩ぷるんぷるんですねぇ」
 死んだ魚の目で、文菜は遺伝子の差を儚んでいる。
「これ、すごく恥ずかしいんですけど……」
 鈴音が顔を真っ赤にして沙悟浄や猪八戒から身を隠す。
 ちなみに沙悟浄猪八戒は映研部員で男で、知らない人である。
 そして鈴音が現在いるのは日本有数の砂丘。
 演目は西遊記。なぜ砂丘なのかというと西遊記と言えば砂丘なんだそうだ。
 そして配役は鈴音が三蔵法師。
 そして輝夜が。
「ややぁ、遠かりし者は音にきけ、近かりし者目にものみよ! 我こそ斉天大聖。孫悟空じゃ!」
「カット! 悟空は『じゃ』とか言わない!」
 孫悟空。そう輝夜が孫悟空の役である。
 あのボリュームある髪を短くまとめることができなかったので、長いままではあるが、短パンと金冠と中国風の衣装が相まって、やんちゃ坊主感が出ている。
「棒が主武装とは粋じゃのう!」
 そう映研部員の頭を小突いたところを、鈴音に起こられる輝夜。
「じゃあ気を取り直して、道中のシーン」
 文菜のアクションという声で演技を始める。
「のう、すず……お師匠様よ。この先に、天竺なぞあるのじゃろうか」
(思いっきり普段の口調じゃない)
 そう鈴音は頭を抱えるが、抱えている場合ではない。鈴音のセリフの番である。
「ああ、悟空よ。そうよ。このさきに。てんじくが」
「カット!」
 アウトドアによく使うようなチェアに座った文菜が手を叩くと鈴音に言った。
「先輩、棒読みなんとかならないです?」
 その言葉に沙悟浄と猪八戒が苦笑いを浮かべる。
「ど、どうすれば」
「感情を込めるんです」
「それができたら苦労しないんです!」
 そんな感じで撮影は続き。いよいよ砂漠でのシーンはラスト。
「では、戦闘シーンにうつります。敵はラグビー部の皆さんです」
 そう砂丘の向こうからぼろ布に身を包んだ蛮族風の男たちが数名走ってくる。
「え!」
 本気で引いている鈴音である。それもそのはず。なんだか目が血走ってるし、三蔵法師を凝視して突撃してくる。
「あの人たち怖い!」
「当然です、だって三蔵法師を食べれば不老不死になれるって言われてきてるんですから」
「それって、演技の中だけの話のはずですよね! 演技も何もしてない今の内から血走ってるんですが!」
「気のせい気のせい、もしくは役作り。ではカメラ回しますよ! はいスタート」
 その流れのまま唐突にカメラが回り始める。
「お? 奴らを倒せばよいのかのう、すず……三蔵!」
 セリフも忘れてコクリコクリとうなづく鈴音である、その引きつった笑みから相当な恐怖を抱いてることが分かった。
「しょうがない奴じゃのう」
 そう何を思ったか、輝夜が幻想蝶を振るうと、勢いよく鬼帝の剣が空へと射出されたそれが落下し、ドゥと砂丘を崩す。
 その衝撃だけでその場にいた全員が吹っ飛ばされる。
「ちょっと輝夜! 一般の人相手にAGWなんて」
 そう砂丘を転がり落ちたままの姿勢で叫ぶ鈴音。しかし目の前の砂嵐が収まってみると、砂の中に奇妙な物を見つけた。
「め?」
 そう目である、ぎょろぎょろと動くそれは、鈴音とばっちりと会うと。にっと笑うように細くなった。
「きゃあああああああ!」
 叫ぶ鈴音。スカートが捲れていることも忘れてじたばたもがくと。
 その砂に隠れた何者かも叫びをあげて、顔を出した。
「まぁああああああああ!」
 従魔である。パッと見褐色の小鬼と言った感じで。あまり強そうではないが。共鳴していない鈴音にとっては脅威である。
 その小鬼は鈴音に手を伸ばすも。
「鈴音に触れるな、バカが!」
 そう輝夜にとび蹴りをかまされ吹き飛んでいた。
「鈴音よ、パンツが丸見えじゃぞ」
「きゃあああああああ!」
 あわてて起き上がる鈴音。
「助けてください先輩!」
 そして文菜の悲鳴。見れば小鬼は文菜を拘束し人質にしていた。小賢しい奴である。
「三蔵よ! あれをやるぞ」
「あれって?」
「決まっておろう、合体じゃ!」
(西遊記にそんな描写はないけど、いいのかなぁ)
 そう疑問に思いつつ、鈴音は他に何もやりようがないので輝夜と手を合わせそして幻想蝶に命じる。

「「リンク!!」」

 本邦初公開、三蔵バージョンの鈴音である。黄金の袈裟と、普段の和服から考えられないくらいの露出の高さである。
「なんでこんな恰好なの?」
「…………さぁのう」
「輝夜、まさか」
「それより鈴音よ、小鬼が逃げるぞ!」
 はっと我に返り、鈴音は一跳躍、小鬼の前に出てその首筋に剣を当てる。
「その子を離して」
 しかし小鬼はにたりと笑って、人質を強調してくる。
「そんなの、意味ない」
 そう鈴音は大剣をてばなし、小鬼に掌底を叩き込む。
 脳天を揺さぶり、今度は心臓部分を強打。吹き飛ばし文菜から距離があいたところで引き倒して、踏みつけた。
 そして鈴音は大剣をふり。小鬼に突き刺した。
 絶命した小鬼は霊力の光となって消え去る。
 それを鈴音は黙って見ていた。その隣に共鳴を解いた輝夜が立つと、カメラが回っていることに気が付きにやりと笑って見せる。
「これにて一件落着じゃ!」
 そう如意棒を振り回してピースサインを送る輝夜。
「ちょっと輝夜、人が近くにいる時は危ないから……」
 その時である、輝夜の如意棒の先端の金具の部分が、鈴音の衣装に噛みついてしまい。強く引っ張られた。
「え?」
 そう思った時には、時すでに遅く。
 振り回す如意棒の回転力に鈴音の衣装が巻き取られて。
 胸の部分の衣装がはぎ取られた!
「あああああああああ!」
「おっと」
「カメラとめて!!」
 鈴音は胸を押さえてうずくまるも。悪びれる様子もない輝夜に怒り心頭。
「輝夜!」
「何かのう。というよりそんなに前に出しておるから悪いのじゃ、わらわのようにコンパクトにできんもんかのう」
「かあああああああぐううううやああああああ!」
 あ、まずい。そう思った時には鈴音のレンジである。輝夜は死を覚悟した。
《千手観音千撃衝》
 輝夜曰く、鈴音の手が高速すぎて千の腕に見えたという。
「鈴音よ……」
 そして輝夜の最後の言葉がこれ
「それをなぜ戦闘で出せぬ……」


第四章 上がる知名度

「わらわは猿ではない! 鬼じゃ!」
 
 そうスクリーンの向こうでガチギレした悟空は、猪八戒や沙悟浄もまとめて敵を薙ぎ払い始めた。
 その鬼神のごとき強さを前に、観客たちは息をのんで戦いを見守っている。
「先輩大成功ですね!」
 そう文菜に招かれ上映会に足を運んだ鈴音は、満員の会場に感嘆の声を漏らした。
「これならいけそうですね」
「はい、全部先輩のおかげです、ありがとうございます」
 そんなことないよ、鈴音が声をかけようとした瞬間だった。
 銀幕にトンデモないものがうつされる。
 引き裂かれる胸パーツ、そして踊る乳。
 いや、決定的なところを映されていないが。
 それでも肌色が見えてしまっている!
「えええええ!」
 その鈴音の悲鳴は、男子生徒の歓声によってかき消される。
 他にも、短いスカートで足を組み替える鈴音。胸の谷間にたまった汗を拭きとる鈴音。飛んだり跳ねたりする鈴音。パンツ丸出しの鈴音。
 たっぷり二時間、鈴音の痴態がさらされて、それが終わるころには鈴音は燃え尽きて灰になっていた。
 去り際に聞こえる「三蔵のおっぱいすごかったな!」という声が、鈴音の心にとどめを刺した。

   *     *

 そして一週間お布団から出られなくなる鈴音。
「私! もうお嫁に行けない!」
「まず、もらってくれそうな男子から探したほうが良いと思うがのう」
 そう輝夜は、映画を見る片手間に鈴音を慰めた。

 
 エピローグ

 どうやら、砂丘には従魔が他にもいたらしく、鈴音が倒した小鬼と全く同じ見た目の従魔が、命からがらとある廃墟に逃げ込んだ。
「あら、報告が遅いと思ったら」
 ゴスロリに身を包んだ少女は微笑んで言う。
「これが、報告のかわり?」
 少女が手に取ったのは銀色の円盤、DVDである。
 少女はそれを何のためらいもなく、部屋の隅にあった再生機器に突っ込んで三角ボタンを押すと。
『トラブルだらけの西遊記。ポロリもあるかも』が再生された。
 画面いっぱいに映し出される鈴音の痴態と、暴れまくる輝夜。
「なによこれ……」
 呆れ果ててものも言えぬ少女だけが残された。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『御門 鈴音 (aa0175) 』
『輝夜(aa0175hero001)』
『五條文菜(NPC)』


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております! 鳴海です。
 この度番外編ご注文いただいてありがとうございます。
 今回は鈴音さんにクローズアップして、その振り回されっぷりを主題に描いてみました。
 根がいい子過ぎて、しょっちゅうこんなトラブルに巻き込まれているのかなぁなんて。
 あとは、お色気要素若干強めな今回でしたが、OMCでは初めてのことなので、いろんな意味でドキドキしながらやらせていただきました。
 今回もご依頼ありがとうございました。
 次回はヒーローVSヒーローですね。鈴音さんが一体どんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。
 それでは今後ともよろしくお願いします、鳴海でした。
 
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2016年07月04日

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