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『☆二人っきりの結婚式 』
アルファスka3312)&ユーリ・ヴァレンティヌスka0239

 ハンターのみの結婚式を行うという内容の依頼中、ブライズメイドとして黒のメイド服を着て働いていたユーリ・ヴァレンティヌスと、グルーズムマンとして黒のスーツを着て働いていたアルファスの二人は、休憩中に将来を誓いあった。
 その事を知った仲間達が「ぜひ二人も着替えて!」と乗り気になった為に、二人はそれぞれ半ば強制的に更衣室へ連行される。


 ――そして約三十分後、ユーリは白と淡い緑色のコントラストが美しいカラーのウエディングドレスを身にまとい、アルファスは白のタキシード姿になり、大広間で再会をした。
「ユーリ、とても綺麗だね。……でも何故ユーリにピッタリなウエディングドレスと、僕のサイズに合った白のタキシードがあったんだろう?」
「……それが『念の為』ということもあって、参加者全員の結婚衣装が用意されていたみたいなの。当日に衣装を変更された仲間がいたしね。用意周到だわ」
 二人は肩を竦めながらも、自然に腕を組みながら中庭へ出る。
 ユーリの左手の薬指にはアルファスから先程貰ったダイヤモンドリングがあり、手にはブルースターの花束を持っていた。
 アルファスの胸元にはユーリからプロポーズと共に贈られたブルースターの花が飾られており、二人は眼が合うと照れ臭そうに微笑む。
 二人はゆっくりと歩きながら、ブルースターと色とりどりのベコニアが咲き誇る場所へとたどり着いた。白のガーデニングガボゼを見つけた二人は、中のベンチに座って休憩することにする。
 アルファスはユーリの肩に手を回して引き寄せると、ユーリは幸せそうな笑顔を浮かべながらアルファスの肩に顔をのせた。
「ユーリと出会ってから今までの間、戦っている時間が長かったけれど怖くはなかったんだよ。どんな時にも、僕の隣には必ずユーリがいてくれたからね」
「ふふっ、そうね。アルはずっと私と共にいて、戦い続けてきた戦友でもあり恋人なの。どんな時でも支え合って、私に自分の意志で生きる事を教えてくれたのよね。アルと一緒に過ごす平穏な日常は、戦う道具でしかなかった私に女性としての幸せを覚えさせてくれたの。だから私は今こうして生きていて、もう知らなかった頃の私には戻れない……。アルは私の大切な半身として、離れられないんだからね」
 アルファスはソッと手を伸ばして、ユーリの頭を優しく撫でる。
「ああ、そうだね。とりあえず結婚式は済ませたから、次は僕達が住む新居を探さなくちゃ。お互い家族連れだし、大きめの家を見つけないと。将来は僕とユーリの子供を育てる家にもなるから、慎重に選ばなきゃいけないよ。できれば子供はたくさん欲しいし、見合う大きさと広さがないと」
「私とアルの子供となると……、やっぱり将来はハンターになるのかな?」
「もし子供がハンターになりたいと願うのならば、全力でサポートするよ。……でも本音を言うと危険を伴う職業だから、あまりオススメではないんだけどね。けれど僕がユーリと出会えたのはハンターになったからだし……、親心は複雑だよ」
「まだ気が早いと思うけど……、確かにね。本気でハンターになりたいと言うのならば、手助けはしてあげたいわ」
 複雑な表情を浮かべるアルファスとは反対に、ユーリは楽しそうに笑う。

 しかしその時、初夏の風にのって仲間達の楽しそうな声が二人の耳に届く――。

 すると二人は真剣な顔付きになり、お互い体を少し離す。
「……でもその幸せな未来を迎える為には、一日でも早く戦いを終わらせないとね。生まれてくる僕達の子供が、不安におびえることなく暮らせる世界にしないと」
「ええ。『アルと結婚する』という夢が叶った今、次の願いは『全ての人々が平穏に暮らせる世界を作ること』よ。その為にハンターとして、世界にはびこる悲しみや憎しみの連鎖を断ち切らないとね」
「しかしヴォイドは強大で、しかも数が多い。……ユーリやハンター仲間達が一緒とはいえ、厳しい茨の道を歩むことになりそうだよ」
「まあ楽な道のりではないのは確かだけど、アルや仲間達が共にいるのならばきっと叶うよ。私達ならばどんな困難でも乗り越えられないことなんてないし、達成できない目標なんてないと思うの」
「それは素晴らしい名言だね。でもユーリらしいよ」
「アルや仲間達を信じているから言えるの。そうして目標を達成できたら、ゆっくりと子育てができるからね」
 自信満々な表情を浮かべるユーリを見て、アルファスは大きなため息を吐く。しかし次の瞬間には何かを決心したように、突然立ち上がるとユーリの手を取った。
「それじゃあ二人っきりの誓いの儀式をしようか」
「……ええ。喜んで!」
 二人は花畑の中にある白い石畳の道を、腕を組みながら歩いて行く。
 そして白い石畳が円状になっている所まで来ると、立ち止まった二人はお互いに向かい合う。
「ユーリ、改めてきみに誓うよ。刃であるきみを、鞘である僕が護る――。種族が違う為に二人が生きる時間も違ってしまうけれど、もし僕がきみより先にこの世を去ることになっても、ユーリの心は永遠に護り続けるよ。戦いを終えたら、家族を増やして幸せになろう。僕達が幸せな家庭を作り上げることで、誰かを愛することに臆病になってしまっている人達に勇気を与えられるかもしれないからね」
「私達が幸せになることで、明るい未来に進むことを選ぶ人達がいたら嬉しいわ」
「ああ。その為にも、僕は戦うことを恐れないよ。どんな強敵だって、立ち向かうことを約束する」
「うん。私はアルや仲間達ができるだけ傷付かないように、刃としてもっと強くなることを約束するよ。……一日でも早く、アルとの子供が欲しいしね」
 二人は至近距離で微笑み合うと、どちらかともなく顔を近付けて誓いのキスをする――。
 ユーリは顔を赤くしながらもうっすらと涙を浮かべながら、アルファスを見上げた。
「……アルと私の生きる時間が違っても、隣にいることには変わりないから。だからずっと一緒にいてね?」
「もちろんだよ」
 二人は美しい花々が咲き乱れる中で、きつく抱き締め合う。
 しかしアルファスは何かを想い付いたように、少しだけ暗くなった。
 間近でアルファスの顔を見たユーリは、不思議そうに首を傾げる。
「アル、どうかしたの?」
「……これから住む家のことなんだけどね。年頃の家族も一緒に住むとなると、やっぱり大きくて広い家の方がいいから……。だとするといっそのこと完成してる新築一戸建てを購入するより、土地を買って家を建てる方が良いんじゃないかと思ってね。でもそうなると、稼ぎの問題が出てくるわけで……」
「それなら私にも頼ってよ。一緒に暮らす家族達はいずれ独り立ちして家から出て行くかもしれないけれど、私はずっとアルと一緒に暮らすんだから」
「それはまあ……そうなんだけど。夫心としては、一人で家族が住む家を建てたいという気持ちがあるんだよ」
 世間的には『家族が住む家は、土地を購入して建てることが男として一人前になった証』と一部で言われていることもあり、アルファスは素直にユーリを頼れない。
 男のプライドというものがあり、ユーリには『頼れる夫』として見てもらいたいという本音があるのだ。
 唸りながら悩んでいるアルファスの姿を見て、ユーリは深く息を吐いて肩を竦める。
「まあアルにも思うところがあるのは分かったわ。とりあえず今日の依頼を終えたら、家に帰ってじっくりと話し合いましょうよ」
「あっああ、そうだね。そろそろ依頼に戻るとしようか」
 アルファスはそう言いながらもまだ悩みながら、無意識の内にユーリの腰に手を回してゆっくりと歩き出す。
 ユーリはこんなふうに自然にエスコートしてくれるアルファスのことを、とっくに『頼れる夫』として見ているのだが……。
 滅多に見られないアルファスの悩み顔を珍しく思ってしまったので、もうしばらくユーリは黙って見ていることにした。
 
 ――アルファスが愛する家族の為に用意する家は、どんなふうになることやら――


<終わり>

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka3312/アルファス/男性/20歳/機動師】
【ka0239/ユーリ・ヴァレンティヌス/15歳/闘狩人】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 こちらの方でもご参加していただき、ありがとうございました(ぺこり)。
 ストーリーは甘々&ラブラブな中にも、ハンターとしての現実を忘れられないシリアスシーンを塩味感覚で書かせていただきました。
 楽しんで読んでいただければ、幸いです。

白銀のパーティノベル -
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ファナティックブラッド
2016年07月11日

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