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『『とある未来の物語』 』
ルフィリア・R・フロスト(mr0108)

 「ユグドラシル学園」とは、無数の『平行世界』が交わる場所に存在する、知識を求める者たちが集まる巨大な学園だ。
 ここでは、世界樹が根を張る様々な平行世界から集まった人々が、学士として学び、賢者となるための知識を探求していた。

 これは、この学園で研究に勤しんでいた、2人の両性具有者の少し未来のお話である。

 暖かで優しい光が降り注ぐ春。
 お腹の大きな女性が2人、1件の家から出てきた。
「荷物、重くない?」
「重くないですよ。ミナこそ、無理はしないでくださいね」
「うん♪」
 ミナ・E=X・アーティエル(mr0116)と、ルフィリア・R・フロスト(mr0108)は、玄関の鍵を閉めると、互いを労わりながら歩き出す。
 共にゆったりとしたマタニティドレス姿。
 片腕にバスケットを提げて、もう片腕はどちらからともなく腕を組む。
「ふふ、あったかくて良い天気……ルー姉とのお出かけ日和、だね♪」
「ええ、そうですね。じゃあ、行きましょうか♪」
 行先は、2人で暮らす家のすぐそばにある野原。
 軽やかな足取りで、軽めのピクニック。
 持ち物は必要最低限だけ。
 2人共妊婦だから、重い荷物は持てないのだ。
「……あっ、蹴った」
「ふふっ、私は殴られました」
 ほぼ同時に、2人のお腹の子が動いた。
「息の合った兄弟だね」
「一緒に遊んでいる夢でも見ているのかしら」
 ミナとルフィリアが身ごもっている子供は、互いとの間に出来た子だ。
 事情は違えど両性具有者な2人は、お互いの子供を同時期に妊娠したのだった。
 家の中で2人で過ごす時間も幸せな時間だけれど、家にこもってばかりいるのも良くはないから。
 安定期に入ったこともあり、今日はこうして2人で、野原にピクニックに出かけることにした。

 野原の木陰にシートを敷いて、並んで腰かけて、バスケットの中からお弁当と飲み物を取り出していく。
 家はすぐ近くだから、お弁当はまだ出来たてで。
 温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままだった。
 こぽこぽと、ルフィリアがカップにお茶を注ぐ。
 ノンカフェインのほんのり甘いアイスティー。
「どうぞ」
「ありがと♪」
 ルフィリアからカップを受け取って、一緒にお茶を飲んで「はあ……」と幸せの息をつく。
「さて、ランチです♪」
 ミナはお弁当箱を開いて、フォークを持った。
「ええっと、まずは……。はい、どうぞ。あーん」
 玉子焼きをフォークでとって、ルフィリアへと差し出す。
「いただきます」
 ぱくっとルフィリアは玉子焼きを食べて、微笑みを嬉しそうな笑顔へと変えた。
「こっちもどうぞ、あーん」
 続いてミナは煮物の人参と里芋を、ルフィリアの口へと運んだ。
 ぱくっと口に入れて、ルフィリアは小さく頷きながら食べていく。
「美味しい?」
 少し心配そうな顔でミナが尋ねる。
「とっても美味しいですよ、ミナ」
 ルフィリアの優しい笑顔の返事に、ミナはほっとして微笑みを浮かべた。
「良かった……初めて作るメニューだったから、ちょっと不安だったんだ」
「中まで上品な味と、素材の旨みがしみ込んでいました。また上手になりましたね」
「へへ、ありがと、ルー姉。いっぱい食べてね。お腹の子の分も」
「ええ。ミナもどうぞ」
 今度はルフィリアがフォークでミニハンバーグをとると、ミナの口へと運んだ。
 ミナが半分口に入れると、残り半分をルフィリアは自分の口へと運んだ。
 互いに口の中に広がる味を確かめ、その美味しさと、同じ味を感じていることに喜びを感じて、嬉しそうに微笑み合った。

 食事を終えた後は、木漏れ日を浴びながら、寄り添ってのんびり時を過ごす。
 柔らかな風がとても心地良い。腕に感じる互いの感触も。
 花壇には色とりどりの花が咲いていて、可愛らしい蝶々がひらひらと舞い踊っている。
 野原の中央には追いかけあう子供達の姿があった。
 楽しそうに遊ぶ子供達の姿を見ながら、この子達も数年後にはあんな風に楽しそうに走り回るんだろうねと。
 互いのお腹に触れ合い、撫で合っていく。
「ミナ」
「ん?」
 ルフィリアが顔を上げ、赤くて綺麗な瞳で、ミナの紫色の可愛い目を見た。
「ミナは幸せですか?」
「うん……今、あたし、すっごく幸せ……♪」
 ミナは自分のお腹に置かれたルフィリアの右手に、指を絡ませて握りしめた。
「ふふふふ、私も幸せですよミナ♪」
 言って、ルフィリアは左腕をミナの肩に回して引き寄せる。
「ルー姉、好き、大好き……♪」
 ミナはルフィリアの頬に、自らの頬を寄せた。
 柔らかな頬を重ねて、互いの温もりを感じあい喜び合う。
「これから、もっともっと、幸せになりましょうね?」
「うん♪」
 顔を上げたミナの可愛らしい唇に、ルフィリアは自分の赤い唇を重ねた。
 そして互いを労わるように、お腹の子を包み込むように。
 優しく、大切に、抱きしめ合った。
「大好きですよ、ミナ」
 ミナの耳元で、囁きのような甘い声が響いた。
「嬉しい……大好き……♪」

 暖かで柔らかな木漏れ日の下で、優しく穏やかな時を過ごす。
 愛し合う2人と、大切なお腹の中の2人の子供達と一緒に。

 今在る2つの幸せそうな笑顔は。
 数年後には4つの満面の笑みとなり、この場に咲き誇るのだろう――。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 専攻学名】

【mr0108 / ルフィリア・R・フロスト / 両性 / 18 / 転魂装騎学(魂装学)】
【mr0116 / ミナ・E=X・アーティエル / 両性 / 8 / 禁書実践学(禁書学)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの川岸です。
マギラギのPCさんからのご依頼に、とても感動しております。
お届けまでお時間がかかってしまい申し訳ありません。
とても幸せそうなお2人の姿、楽しく描かせていただきました。
数年後の子供達とこの場所で賑やかに楽しく過ごす姿も思い浮かび、幸せな気持ちになりました。
ご依頼、ありがとうございました!
■イベントシチュエーションノベル■ -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
学園創世記マギラギ
2016年07月25日

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