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『とらぶる巡礼記 』
サクラ・エルフリードka2598


 チュンチュン。小鳥のさえずりが聞こえ、カーテンの隙間から朝陽が差し込む。
 そんな中、ダブルベッドの上で目を覚ましたのはサクラ・エルフリード(ka2598)。
 まだ覚醒し切らない頭で目を擦りながら上半身を起こす。
 枕元のテーブルに置いてあったピッチャーの水をコップに注ぎ、一気に飲み干す。
「……ふう」
 と、一息。意識がはっきりした。まだベッドに入ったまま、サクラは自分の隣に目をやると……
「くー……かー……すぴー」
 だらしない気持ちよさそうな顔で爆睡しているシレークス(ka0752)の姿がある。
 ――サクラとシレークスは現在、一緒に巡礼の旅の最中だった。
 昨晩はちょうどこの街に着いたところで良い時間だったため、宿屋で一泊した次第である。
「…………」
 サクラは無言で尚も爆睡中のシレークスの頬をぷにぷにと突きつつ、ベッドから身を起こして立ち上がり、ぐーっと身体を伸ばした。
 軽く運動をした後にサクラは着替えを始める。……今回はいつもの白銀の甲冑では無い。
 目的が巡礼の旅であり、長距離を移動するためだ。例え覚醒者であっても全身甲冑ではすぐに疲労してしまうだろう。
 というわけでサクラの服装は普段のシレークスと同じシスター服である(頭巾無し)。

 さて、サクラは着替えを終え、朝食の時間であるが……シレークスはまだ起きない。
「……シレークスさん、そろそろご飯を食べて出発ですよ。起きてください」
「…………むにゃむにゃ、あと五分〜」
 サクラはシレークスの身体をゆさゆさと揺するが返って来たのは定番の答え。
 そしてごろんと寝返りを打ち、お腹を出してぐーすかぴー。
「……シレークスさん、起きないとくすぐりますよ?」
「…………Zzzz]
 そう言っても反応なし。起きる気配は無い。少しピキッと来たサクラはシレークスの脇腹をこしょこしょ。
「わきゃははははは!!!!」
 とシレークスは大きな反応を見せるがくすぐるのを止めるとまたすぐに眠ってしまう。
「…………」
 サクラは無言で考える。一体どうすればシレークスは起きるのか。しかし……
(それにしても相変らず憎たらしい脂肪の塊ですね……)
 シレークスの寝息と共に上下する衣服に包まれた豊満な二つの膨らみ。サクラはそれを親の仇のように睨み付けた。
 その後に。
「………シレークスさん、起きないと『揉みますよ?』」
「…………Zzzz」
 やっぱり反応が無かったのでサクラは強硬手段に出、シレークスのソレを両手で鷲掴みにした。
 少し強く、乱暴目にもにゅもにゅしまくる。もにゅもにゅ。もにゅもにゅ。
「……ん、ふぁ……。サクラ!? 何をしてやがるです!?」
 これには流石のシレークスも目を覚ました模様。だがサクラは手を止めない。
(この! これが! 無駄に大きいこれが!! いつも私の隣で揺れて!!)
 少し……サクラの目が座っている……。
「さ、サクラ! もう起きたから止めやがるです!! ふ、ふあああああ〜〜!!」
 ――早朝、宿屋の一室に甘い声が響いた。

 ***

 ……ベッドの上にへたり込み、枕を涙で濡らしているシレークス……。
「うぅ……ひっく……」
「……まったく、あなたがなかなか起きないのが悪いんですよ」
「あうぅぅ……あんなに弄びやがって……また大きくなったらどうしやがるです……?」
 シレークスは顔を上げて抗議の視線をサクラに向ける。
「…………」
 サクラはどうやら自爆してしまったようだ……。

 そんなわけで二人は手早く朝食を済ませ、宿を出て出発!


 巡礼の道をサクラとシレークスの二人は並んで歩く――。
 が、とても『一緒に仲良く』といった感じでは無い……。
「……誰かさんが寝坊したおかげで予定が狂いました。急がないといけません」
「む、誰かさんが寝てる人様に悪戯したおかげで遅れやがりました。急がないといけないでやがります」
 などと言い合いをしながら追い越したり追い越されたりを繰り返すサクラとシレークス。
 朝の一件で二人ともやや不機嫌な様子である……。どちらが悪いというわけではないのだが……。

 そんなこんなで痴話げんかをしながら歩いている内に――朝はすっきり晴れていた空がだんだんと曇り空になって来た。
 ……そのうちに、ぽつぽつと小雨が降り始める。サクラとシレークスは足を速めた。

 と、速足で歩いていたところ、サクラが水たまりに足を取られてあわや転倒! しかけたが――
 ぽよん!
 シレークスがサクラを胸に抱き留め、転倒は免れた。サクラの顔面が柔らかく温かいものに包まれる。
「むふ……ありがとう……ございます……」
「……と、友達でやりがりますから……当然でやがります……」
 二人ともどこかぎこちなく、頬を染めて照れた様子。
 しっかりとサクラが地面に足を付け直した後に、シレークスはサクラの両肩から手を離した。
「……その無駄な脂肪の塊もクッションとしては役に立ちますね」
「せっかく助けてやったのになんという言い草でやがりますか!!」
 ――まあ、サクラの照れ隠しであろうことはシレークスも察していた。二人は再び歩み始める。

 雨脚が強まってきた。休憩小屋まではまだ少し距離がある。二人は焦りを覚えた。このままではびしょ濡れだ。
「急に天気が変わってしまいましたね……。信仰心が足りなかったでしょうか……」
「ったく、急に降りだしやがって。ついてねーですね」
 聖導士のサクラ。闘狩人ながらシスターであり、神を信仰するシレークス。
 ゆえに二人は巡礼の旅をしているのだが……神の気まぐれだろうか……。

 と、先ほどより速足になっている二人。今度はシレークスが足を滑らせて、サクラを巻き込んで転倒!
「……いたたた」
「むふぅ! ふごふご!!」
 サクラは尻餅をついてしまった。シレークスは――何故ふごふご言っているかというと――
「…………きゃー!! 何をしているんですか!?」
 シレークスは転んだ拍子にサクラのスカートの中へ顔を突っ込んでしまっていた。
「ふご! ふごふご!!」
「んっ!」
 シレークスがふごふご言うたびにサクラは甘い声を漏らす。シレークスの熱い吐息が当たってしまっているのだ……(どこへとは言わない)。
「…………いいから、早く出ていってください!!」
 サクラはすっぽーん! とシレークスを引っこ抜く。
「はあ……はあ……危うく窒息するところでやがりました……」
「……どこに顔を突っ込んでいるんですか!!」
 顔を真っ赤にして怒るサクラ。
「ごめんでやがります……! それよりも急がないと全身びしょ濡れで下手をすると風邪を引いてしまうでやがりますよ!」
「……まあ、それもそうですね」
 若干不服そうなサクラであったが頷き、再び歩を進めた……。


 巡礼者用の休憩小屋――。二人はようやくそこに辿り着いた。
 小屋の中は無人であり、サクラとシレークスはとりあえずびしょびしょになった服を乾かすため、暖炉に火をつける。
 幸い薪は湿っていなかったようだ。二人は一息つき、服を脱ぎ始める。
「あーもう、下着までぐしょ濡れでやがります! おら、サクラ、おめーもさっさと脱ぎやがれ」
「おかげで気持ち悪いです……。え、や、下着までは流石に……!?」
 などというやり取り。サクラは焦ったがシレークスも下着まで脱ぐ気は無かった様子。

 ……サクラのスレンダーで色白の肉体が露わになる。胸はぺたんこだったが均整が取れていてこれはこれで美しい。
 対してシレークスは女性らしい丸みを帯びた豊満な肢体。特に目立つのはやはり、張りがあり形が良く大きめの双丘。
 当然ながらサクラはそれを敵視した。が。
「あ、シレークスさん……脚、擦り剥いていますよ」
「おや本当でやがります。さっき転んだときでやがりますね。まあ大したことは無いでやがります」
「いけませんね、ちゃんと消毒しないと。――あぁ、ですがヒールを使うのは味気ないですし……こうしましょう」
 サクラはそう言ってシレークスの御美脚、擦り剥いた部分を水筒の水で流し、清潔なハンカチでぬぐった後に、舌でぺろぺろ。
「んんっ……何をするでやがります……」
 滑った感触にシレークスは艶っぽい声を漏らす。
「唾液でも消毒になるらしいと聞きました。ぺろぺろ」
「そんな……ひあっ!」
 サクラはいつもとは違った色っぽい表情を見せる。シレークスもぺろぺろを拒まない。
 下着姿の二人――互いの色気……フェロモンにやられたのだろうか――。


 シレークスの脚の手当が終わったあと……。
 シレークスは怪我をしたほうの片足を立てて座り、サクラはその隣に腰を下ろし、二人は肩を寄せ合った。
「雨……止まないでやがりますね……」
「そうですね……」
 やや激しい雨が小屋の屋根を打ちつける音……それだけが響く……。
 ゆっくりとした時間が流れた……。
「サクラ……朝はすまなかったでやがります……寝坊してしまって……」
「……いえ、私も起こし方が少し乱暴でした。すみません」
 二人は共に謝り、無事に仲直り。微笑み合う。

 そのうちに、小屋の中が微妙な空気に包まれる……。
「雨、弱まらないでやがりますね」
「夕方までに止まないと、ここで一夜を過ごすことになりますね」
「一夜……またサクラと……」
 サクラの一言がきっかけで……二人の顔が自然に、無意識に近づいてゆく……。
 唇と唇が触れ合う寸前の距離まで来た、そのとき。
「すいませーん! 雨宿りさせて貰っても良いですかー?」
 複数の巡礼者らしき人達が小屋に入って来た。サクラとシレークスが声のした方へ顔を向けると――目が合ってしまう。

 状況を説明しよう。小屋の中で、濡れて透け気味の下着姿の二人の美少女が良い感じな雰囲気になっていたところへ他の巡礼者達がやって来たのだ。
「あ、皆さんも降られたんですね……。丁度、火もついてますしどうぞ……て、私の身体に何か……ぁ、きゃぁ……!?」
「む。てめぇら、どうし……アッ」
 状況を理解した瞬間、当然ながらサクラとシレークスから大きな悲鳴が上がった。

END
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2016年07月25日

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