▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『Season2 第一話 Danse Macabre 』
御門 鈴音aa0175)&輝夜aa0175hero001


第一章 影は甘く、チョコレートケーキのよう

 都内某所、あたりに人気のない廃工場の区画、その中に一棟だけ出口も窓もふさがれたビルがあった
 そこには数十人の人間が集められている。彼らは毒の込められた腕輪をさせられていて、ゲームに違反したもの、負けた者は即刻殺されるという非情なシステムだった。
 それは鳥かご、その中に欲深い人間が集められ、互いに私利私欲のために知力を衝くし殺し合っていた。
 たった一つ、生き残った者の願いをかなえる。
 ただその言葉だけを信じて。
 そしてそのシステムを敷いたのはこの少女。
「ふふ、ゲームも佳境ね」
 少女は目に痛いくらいの輝き放つモニターを見つめていた。
 まるで月の銀色を溶かしたような魅惑的な髪は流れるように椅子の背もたれを隠し。現代に適合したふりふりのゴシックロリータは幼い彼女をさらに魅惑的に彩る。
 その表情はつまらなさそうでぼんやりと虚ろであったが、ポップコーンやポテトチップスと言った。お菓子を口に含んだときにだけ明るく可愛らしい表情を見せた。
「この世界の食べ物も、まぁ、なかなかね。栄養にはならないけど」
 そう少女はつぶやくとおもむろに手元のコントローラー、そのボタンをポチリと押した。
 すると、全くの無条件に人が一人死ぬ。
「たいくつ……ほら、話を早くしてあげるわ、感謝なさい」
 そう不敵に笑う少女、これはゲームという名の虐殺。全ては彼女を楽しませるため。そして良質な魂を得るため。
「強い欲望の煌きを、そして私に命の一瞬の煌きを私に見せて」 
 そうつぶやいた直後、ゲームが決着した、その場に立っていたのは三十代前後の男。
 彼は歯の根を鳴らしながら、煙を吐く拳銃を投げ捨てた。
 そんな彼は突如乱入してきた悪魔のような見た目の従魔にあっという間に拘束され。
 少女の元へ連れてこられた。
「あなたが今回のゲームの勝者ね」
 彼は勝者、最後の生き残り。もっとも欲強き者。
「そうだ、俺が勝った、俺がやったんだ、だから俺を解放してくれ」
「望みの物を与えましょう、言うがいいわ」
 尊大に少女は言った。
「金だ! あと女が欲しい」
 少女は一瞬目を瞑ったそして男に問いかける。
「人間の魂の価値は何で決まるのかしら?」
「ああん? んなもん知るかよ」
「あ、そう」
 興味なさ気に少女は言うと、背後の従魔が心臓を一突きにした。
 目を白黒させて、口だけ動かす男。
 なぜ、なぜ、なぜ。
 しきりにつぶやくもそれは声にならず。もはや男の方を向いていない少女に伝わるはずもなかった。そして完全に息絶えた男を見て少女は微笑む。
「ごちそうさま……それで、調べはすんでいるのかしら?」
 声のトーンを変え少女はつき従う悪魔たちに問いかけた。
 すると悪魔たちは頭を降り、そして少女に一つの端末を差し出した。
「ご苦労様、じゃあ。行くわよ。姉さんたちも一緒に遊んであげないとね」
 高らかな笑いが廃工場に響いた。

第二章 声は柔らかく、蜂蜜の輝き。

「怪しいゲーム?」
「そうなんです」
 時はお昼時、学校の誰も来ない中庭に仲良く座っているのは鈴音と彼女の後輩『五條 文菜(NPC)』である。
「どうやらこのゲームに勝利すると願いが何でも一つ叶えられるって噂が蔓延していて、ちょっとしたブームです」
 文菜は情報通である。最初は単純に交友関係の広さから情報が集まりやすい程度だったのだが。中学時代に鈴音の影響を受け、サブカルチャーやアンダーグラウンドな話題に興味を持ってしまい、その方面に食い込むために情報収集能力を研ぎ澄ませた結果。鈴音の通う高校内の情報屋的ポジションになってしまった。
 そんな彼女と定期的に交流する鈴音であったが、毎回彼女に確認することがある。この町の異変についてだ。
 この町、不思議なことに単独の従魔が出ることが多い。
 近くにドロップゾーンがあるわけでもなく、強力な愚神が隠れているわけでもなく。
 ただぽつんと、従魔が出現する。
 これはおかしいとかねてから鈴音は思っていたが。その事柄について探る術がなかった。
 だが、今は違う、文菜にドデカイ恩を売ることができた今、それを利用しない手はない、そう鈴音は定期的に彼女に情報提供を求めていた。
 今回もその定期報告の中の話である。
「でもこの噂とセットになって語られるのが、このゲームに勝利しても魂を奪われるという噂」
「魂……」
 その言葉に反応したのは輝夜。
 頭に葉っぱなどつけながら茂みの向こうからひょいと顔を出した。
 彼女はたまに学校に忍び込むことを覚え、その容姿の神秘的さや、出現率の低さから、見るといいことあるという、ちょっとした座敷童のような扱いを受けていた。
 そんな輝夜がここにいたのは偶然ではなく、もちろん文菜の話を聞くためである。
「どうしたの輝夜」
「いや、何か引っかかってのう。うーむ」
 小骨が喉に引っかかったような顔で悩む輝夜。
「うーんそんな反応をするってことは、少し不穏な感じですけど……言いますね」
 勿体つけてから話し出す。
「その女の子。輝夜を名乗ってるそうですよ」
「お。わらわと同じ名前かの」
 輝夜はうれしそうに瞳を輝かせたが鈴音は思う、いまどき輝夜なんて本名の人間がいるわけではない。
 偽名だろう。さらにこの界隈で鈴音と輝夜は有名だ。
 リンカーとしてはもちろんだが、おっぱい三蔵やらいろんな異名で呼ばれるようになってしまった、輝夜も一緒にいるのでその存在は熟知されているはず。
 その名前をと同じということは……
「挑発している?」
 鈴音は胸に手を当てて言った。
「私も同じ印象を受けました」
「その少女は銀糸の髪を持つ幼女だそうです」
 その時、輝夜が頭を押さえてうずくまった。
「え……、輝夜?」
「声が……」
「こえ?」
「声が聞こえるのじゃ、あやつの。あやつの」
 
(……人間と私たちは違う種……覚えておくがいい。
 私を殺しても……お前は必ず人間に裏切られその身を滅ぼす……
 その姿を地獄から見ててあげるわ!)

「あやつって、いったい誰の」
「わからん……」
 輝夜はふらつく体を鈴音に抱かれながら言った。
「じゃが、その謎を追っていけば会えるような気がするのじゃ」
 その言葉に鈴音は頷いて。放課後さっそく調査に乗り出した。

第三章 姿は夜の闇を纏い、流れる髪は飴細工

 鈴音たちは聞き込みを開始する。
「ディーラーと呼ばれる人物が現れて、参加者名簿に名前を書くと正式に参加決定らしいです」
 そう文菜と共に周辺を回っていたのだが。
 意外のもあっさりと、それらしき人物を見つけることができた。
 というよりも、相手も想定して待ち構えていたのだろう。
 鈴音たちが姿を見せるなり、ディーラーは人間の姿から悪魔の姿に戻った。
「え! 罠!?」
 とっさに鈴音はまずいと判断、文菜を下がらせる。
 ここは住宅地のT字路。逃げ道はなく道幅も狭い、必然鈴音の得意とする大剣は使い辛い。その上。
「せ、せんぱい、腰が抜けて」
 文菜はお尻を地面につけたまま四肢をバタバタさせている。
「鈴音、素奴を気にしている暇なぞないぞ!」
「だったら、どうすれば」
「力で押し切る」
 その瞬間共鳴。月の光を受けたような金色の髪、鈴音フォームで大剣を構える。
 そしてそのまま突貫。コンクリートの塀をぶち抜いて文菜から遠ざけた。
「これなら」
 しかし、鈴音は羽音を聞き顔を上げる、空には灰色の肌と大きな翼をもつ悪魔のような従魔が空を舞っていた。
「待っておったぞ、姉ぎみ」
――なに? 
 輝夜が声を低くして問いかける。
「お前らを姉ぎみの元へ引き連れていく。こい」
――簡単に言ってくれるものじゃ。鈴音!
「はい」
 鈴音は振りかぶって大剣をブーメランのように投げる。
 それは回転しながら悪魔へと飛来し、そして。
「この程度」
 悪魔は攻撃を避けた。
 だがそれは予想の範囲内。
「そこ!」
 鈴音が投げたのは何本もある大剣の中のストックの一本。本命は今手に握られている真紅のそれ。
 そして鈴音は生垣や木の枝を足場にして高く飛んだ。
―― 完全に殺してはいかんぞ。
「わかってる!!」
 鬼帝の剣による多段攻撃
「ぐおおおおお!」
 悪魔の翼は切り裂かれ、地面に叩き落とされると、彼は全身から霊力を漏らしながら動かなくなった。
――お主何者じゃ
 輝夜が言う、鈴音は悪魔の首元に剣を突きつけた。
「やはり私では力が及びませんでしたか<朱麗鬼>よ」
――なぜわらわの古き名を知っておる。
「逆に私の姿を見ても何も思い出しませんか?」

「そこまでよ」

 そう可憐な声が夜に響いた。
 拍手の音が響き、嘘のように明るい月明かり。
 いつの間にか夜になっていた。
 それこそ、その少女が夜を連れてきたように。
――鈴音、あそこじゃ
 鈴音は輝夜の指示の元電柱の上を見あげた。そこには銀糸の髪を持つ少女が佇んでいた。
――そんな、そんな、お主は、死んだはずじゃ。
「主である「『クランプス』の使いでまいりました。あなたへ復讐するために」
 悪魔はそう言葉を発して、主を見あげた。

――朔夜!

 輝夜が茫然とつぶやいた、そして鈴音は思い出す、輝夜の出てきた夢の話。 
 あの、輝夜姫の伝説でできた女性が、確か『朔夜(NPC)』という名前ではなかったか。
――お主。なぜ生きておる!!

 少女は笑うと歌うように言った。
「やはりこの程度ではだめね、役者が不足していたわ。次はもっと良い形で会いましょう、次のゲームでね♪」
 そう告げると少女は闇に覆われていく。
「その時にあげる、お姉さまの悲鳴、楽しみにしているわ!!」
 そして少女は高らかな笑いと共に闇に消え去った。
 二人は共鳴を解く。彼女がいなくなったと同時に悪魔も消え去ったからだ。
「どうしたんですか、先輩」
 その時文菜がやっと追いついてきた。
「あれは夢で見た…輝夜みたい縮んでるけど…一体何が起きてるの…?」
 しかし二人は気まずい沈黙の中、月を見上げて佇んでいるだけだった。輝夜は俯いて何も返すことができなかった…。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

『御門 鈴音(aa0175) 』
『輝夜(aa0175hero001) 』
『五條 文菜(NPC)』
『朔夜(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

 いつも、いつもご利用いただきありがとうございます。
 鳴海です。
 最近暑いですね。お元気ですか?
 日本より暑いところにお出かけされてそうなので、何気に心配な鳴海でした。
 そして今回は念願のシーズン2ということで、妹様の登場ですね。
 これはとても私好みなキャラクターな気がします。
 今からどんな動きを見せていただけるのかわくわくしております。
 極悪ヒール役。とても素晴らしいです。
 ただ、仲間になった後に弱体化するのもお約束なので、シーズン2ではべらぼうに強く演出しても問題ないのかな、など悪だくみをしている鳴海です。
 これからも、鈴音さんの物語、ぜひともご一緒させていただければと思います。
 それでは今回はこのあたりで、ありがとうございました。鳴海でした。
WTツインノベル この商品を注文する
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年08月02日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.