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『サクラとざくろの修行旅〜サマービーチでからまれて 』
サクラ・エルフリードka2598)&時音 ざくろka1250

「……ラ?」
 夏の早朝。
 浅い夢。
「ううん……」
 サクラ・サクラ・エルフリード(ka2598)はまどろみの中、寝返りを打つ。
 サラリと流れる銀の長髪。むにゃ、と微妙にうごめく無防備な唇。
 昨晩は熱帯夜だったか、パジャマは乱れ包まる掛け布団も踊っている。白い足が揃ったままくの字に曲がり背中が丸まる。うふふ、と閉じた目尻が緩んだ。幸せな夢でも見ているのだろう。
「サクラ、サクラ……」
 そんなサクラを優しく呼び続ける声。
 先ほどから続いているのだが、ついにそっと肩に手が添えられた。
「騙されません……騙されませんよ……」
 サクラ、いやいやすると反対に寝返つ。拒否されてためらう手。
「ど、どうしよう……はっ。こういう時はできるだけ優しくって冒険団のだれかが……」
 起こそうとした人物は、よいしょとベッドに上がると四つん這いになってサクラの上にのしかかり見下ろした。黒髪がサクラの頬をなでた。
「サクラ、朝だよ……起きて」
 愛を囁くように優しく声を掛けた、その時だった!
「はっ。何事ですか!」
 サクラ、気配に気づき反射的に起き上がった!
 ――ごっち〜ん!
「痛っ!」
「あいた……あ、ざくろさん?」
 サクラにのしかかっていたのは、膝丈のTシャツパジャマ一枚の時音 ざくろ(ka1250)だった。近づき過ぎたおでことおでこがぶつかり二人ともしばし悶絶。
「あ……起きた? サクラ、宿の人が相談したいことがあるんだって」
「相談?」
 というわけで朝食がてら聞くことに。
「……そうですか。リゾートビーチでタコとすっぽんが混じったような雑魔が出て女性を襲いますか」
 サクラ、バターナイフ片手にちぎったパンを食しつつ復唱する。対面に座った宿の主、こくこく頷く。
「それで遊泳中止どころか立ち入り禁止じゃ海水浴を楽しみにしていた人たちも面白くないよね……よし、ざくろたちに任せてよ」
 カリカリに焼いたベーコンにかじりついていたざくろが力強く言う。
「ちょうど二人で修行の旅をしていましたし」
 頷くサクラ。紅茶を飲み干し立ち上がる。

 そして人のいない砂浜で。
「あはははっ」
 さくさくっと砂浜に足跡が伸びる。
 ミントグリーンのパレオがひらめきくるっと後ろ向きになって止まる白い姿。ストレートの黒髪が揺れる。
「サクラ、早くおいでよ」
 手を振る左脇の下で水色のTシャツを結び、胸元ふわん。お腹とおへそを健康的にさらすざくろがきらきらの笑顔を見せた。
「あの……」
 呼ばれたサクラ、右手で左の二の腕を握り恥じらっている。
「誰もいない砂浜というのも……」
「だからいいんだと思うよ」
 ざくろ、両手を上げてくるり。肩の位置が上がったことでTシャツが上がり、縛っているとはいえ胸を覆うラインが上がった。
 瞬間、サクラの瞳が鋭くなった。
 というか、目を疑った。思わずつかつか詰め寄る。
「ざくろさん、もしかして……」
「え? な、何?」
 思わず脇を締めて下がるざくろ。踏み込んだ海の水は快適な温度で気持ちいい。
「下は?」
「き、着てる着てる。ちゃんと青い色の」
 バシャバシャ二人でさらに下がる。
「Tシャツの……下に、ですか?」
 つまり、もしかして女性もののビキニを着ているのか、とサクラは問い正したい。
「め、めくっちゃダメなんだから!」
 確認しておくべきでしょうか、と迷うサクラにそうはさせじと水をぱしゃぱしゃ掛けるざくろ。
「そんなつもりはありません……雑魔退治なのでパレオの下に武器を隠しているのか確認したかっただけです」
「そ、そうなんだ。……あ、そうだ」
 ここでざくろ、水掛けをやめ改めてサクラを見る。
「水着、似合ってるよ」
 言われたサクラ、真っ赤になった。
 改めて自分の体を見下ろす。
 白いツーピースビキニの布面積は妙に少なく、肩も腰も紐。銀の長髪に白い肌のサクラが着ると、素っ裸と間違えられても仕方のないような状態で。最初に戸惑い、恥じらっていた理由である。
「み、見ないでください」
「でも、とってもステキだから……わっ!」
 なんというか、攻守交替。
 サクラ、自らの肢体を抱きしめるように身をくねらせ恥じ入っていたが、むしろ熱を帯びるざくろの言葉を耳にして羞恥の限界に。思わすえいえいと水を掛けた。
「よーし、それなら」
 そんなこんなで二人で水を掛け合い、根負けしたサクラが泳いで逃げて。それを泳いで追ったざくろ、パシリとサクラの足首を掴むが当然これは危険な行為。溺れかけたサクラがぜーはー呼吸を整えた後、心配そうに覗き込んでいたざくろの顔に海水を派手にパシャリ。奇襲にたまらず泳いで逃げるざくろを今度はサクラが追って……。
「んんっ、これでどうです?」
 ばしゃーん、とサクラが抱き着きざくろを捕まえた。
「ぷはっ、捕まっちゃった。修行の旅もたまにこんなのがあると楽しいね」
 自ら顔を上げたざくろは爽やかな笑顔を見せる。
 思わず赤面するサクラ。
「そう、ですね。こうやって遊ぶのもいいものですね……。私は修行だと厳しい旅にしがちですが……」
 言われて改めて胸元に手を当てる。乱れた息から結構全力だったことを改めて感じた。
 修行代わりにもなりますね、と思ったその時だった!


「はっ!」
 何かが海面から伸びてきたのを手の甲で払った。
 見ると、タコの足。
 沖を見ると、甲羅から顔を出したすっぽんのバケモノがいた。本来前肢の出る穴からはうにゅりぐにゅりと吸盤の付いたタコの足が伸びて海の中に入っている。
「わっ!」
 その時、隣から悲鳴。
「このっ。これは外させないんだからっ!」
 ざくろ、Tシャツの下から触手が侵入しようとしたところで身をひねっていた。腕を差し出しそちらに絡ませることで個人的事情による絶体絶命の危機を免れていた。
「出ましたね、ざくろさんを襲うすっぽんタコ淫魔……もとい、雑魔」
 サクラ、覚醒!
 といってもほとんど外見の変化はない。
 そのまま敵に向かって浅瀬を走る。敵の触手が迎撃に姿を現すが、身を屈めてかわし手を挙げて脇の下をかすめてすり抜け……。
「はわわっ!」
 ここで背後から悲鳴というか、よく分からない声が響いた。
 念のため一瞬振り向くと、ざくろが真っ赤になっていた。
(結構からまれてますね……恥ずかしいのでしょう。早く倒してしまわないと)
 サクラ、ざくろがいろいろピンチと判断し速戦即決の意思を硬くする。
 が、それは間違いだった。
「サクラ、胸が小さくなってる、小さくなってる!」
「? 確かに私は覚醒するとそうなりますが……えっ?!」
 何を言っているのだろう、ともう一度振り向こうとした瞬間、底を這う触手に足首をからめ取られてしまっていた。
「し、しまっ……がぷっ!」
 ぐうん、と一気に引きずられた。
 何とか息を大きく吸ったが水中戦に持ち込まれてしまった。
 とにかくまずは海面から顔を出すこと。
 それを優先した結果……。
「サクラ、胸っ!」
「胸? ……ぁ、きゃっ!? いつの間に……って、しまっ。この、離してくださいっ」
 覚醒して小さくなった胸。脇の下をかすめた触手がその隙間にひっかかりトップが無情にもひらひらと……。
「させません!」
 しかし、手で押さえた。脱衣状態は辛うじて免れる。
 ただ、少し遅かった。
 触手が絡んだ上から押さえたのである。しまった、と思ううちに水底で踏ん張った分広げてしまった股にも絡んだ。
 そして細い胸に、緩くなった脇の下にも。
 みっちりうねうねと……それはもう好き放題に絡まっていたのだ。
「ん……吸盤? ぬめるように肌を撫でるように滑って……」
 弱い部分も敏感な部分もまとめて擦り搾り上げられる感触に身悶えるサクラ。はらりと腰の蝶々結びもほどけそうになってしまっている。触手が絡んでいる分、脱衣はしそうにないが。

 その頃、ざくろも似たような目に遭っていた。
「しまった。胸を見ちゃいけないと一瞬視線を切った時に……」
 サクラの胸……を目の当たりにすることはなかったが、水着の紐の張り付いたすべすべな白い背中が目に焼き付いた瞬間、触手に本格的にからまれた。
「わわっ!」
 そのまま足首にも絡まれ沖に引きずられる。サクラは水に沈められてしまっている。自分も沈んだ。なんとか息を大きく吸った後だ。どこかを守っている様子もある。
(ここだけは……)
 ざくろ、必死にパレオを守っている。まさか下は本当に女性用の……。
「ぷわっ……か、絡んだついでにどこを……わっ!」
 自ら出され腰やら脇の下に絡まれ片目をつぶった瞬間だった。
(あれ? 目をつぶった方に何かが押し付けられ……)
 怪訝に思い目を開けると、真っ白な肌が間近にっ!
「顔に……あれ? 板? ……はわわわ、当たってる当たってる!」
「……ざ、ざくろさん……」
 途端に、ゆでだこのように真っ赤になるざくろと顔を桜色に染めて固まるサクラ。
 敵、二人合わせて新たに触手を絡めたのだ。
 正面を向き合わせて。
 サクラの小さくなった胸に位置に、ちょうど重なるざくろの顔。
 一瞬止まったような時。
 その雰囲気に敵も飲まれた!
「…ちょっ、そこは……事故! 事故だか……はっ! す、隙あり!」
 言い訳するざくろだが、勝負時は心得ている。二人の様子から何かあるかもしれないと間を置いた敵の動きを敏感に察知した。
 というか全力で目の前の小さな事象から、逃げた!
「光の刃、輝け! ……機導剣!」
 パレオの下に隠していたトランジスタラジオを手にすると、機導剣。背筋に力を込めて伸び上り、光の刃で二人を拘束する触手を斬った。
 この時。
 ざくろの動きを察知したサクラ、手で体を隠すのをやめてこの機に乗じて攻勢に。触手を殴って緊縛を緩めることに成功していた。サクラに板と称された胸はしぶく波に大切な所が隠されている。
 ざくろは、渾身の一撃で伸び上り無防備。両手を万歳する格好だ。
 大して、すっぽんタコ雑魔。
 二人をまとめたのは、一口で同時に二人の頭にかじりつき勝負を決めようとしていたから。
 大きな口を開けて迫っていたところ、二人は離れてしまった。
 代わりに、ざくろの無防備な胸があった。
 噛みつく動きはここを狙った。
「え?!」
 びりびり、と裂けるTシャツ。
 今まで、サクラの詰問ものらりくらりと交わしてきた純潔である。
「はわわっ!」
 ざくろ、身を屈めて慌てて隠そうとする。
「ざくろさん!」
 サクラも、窮地を救ってくれたざくろのピンチを助けるべく、抱き着いてでも隠す所存。
 そして。
 ――ごっち〜ん!
 まるで今朝の再現だった。
 二人の額が……すっぽんタコ雑魔の頭を左右から挟んで頭突き攻撃。
『がああっ!』
 たまらず悶える雑魔。
 苦し紛れに触手も緩む。
「はっ! 変態雑魔は滅殺です!」
 サクラ、左右のラッシュで甲羅を砕く。
「もう一度光を……機導剣!」
 ざくろももう一度、剣を振りかぶる!

 ばっ、しゃ〜ん……。
 最後の水しぶきは、しぶきだけ。その中央に雑魔の姿はない。一瞬で塵に返ったのだ。
「ざくろさんありがとうございました…ぁ…」
 さくら、水にぬれて張り付く髪と右肩を上げて胸を、そして肩を下げた左手で下の水着を押さえた姿で上目遣い。滴る水もそのままにうつむき視線を逃したのは……。
「ほんと、無事で良かった……あっ! ……みっ見ちゃ駄目だもん」
 敵に食いちぎられたTシャツが落ち、パレオも落ちた。
 真っ赤になって手で隠した姿は、鮮やかな青いパンツスタイルの水着姿。女性用である。

 食いちぎられた残骸に、鮮やかな青いトップがあったかどうかは謎である。

 後の話になるが、この雑魔退治は話題となり白いビキニと鮮やかな青いビキニが売れたそうである。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka2598/サクラ・エルフリード/女/15/聖導士
ka1250/時音 ざくろ/男/16/機導師

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。

 二人一緒の修行旅は、おはようからお休みまで……おっとと、お休みまでは書けませんでした。
 せっかくの旅なので日帰りではなく宿泊であることにして、宿泊の醍醐味も加味したということで。
 サクラさんは、覚醒前のサイズと覚醒後のサイズは秘密♪
 ざくろさんは、どこまで女性っぽい服装をしたのかは秘密♪

 この度は楽しい修行旅のご発注、ありがとうございました。
colorパーティノベル -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2016年08月22日

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