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『夏合宿だ!! 』
宮ヶ匁 蛍丸aa2951)&繰耶 一aa2162)&煤原 燃衣aa2271)&風深 禅aa2310)&沖 一真aa3591)&一ノ瀬 春翔aa3715)&飛岡 豪aa4056

 プロローグ

 みどり萌える山並み。傾斜が急な参道を抜けるとそこには開けた土地があった。
 この山は裕福などっかの誰かさんが買い取り、麓の方はキャンプ地となっている、もともとはこの山頂付近もキャンプ場ではあったのだが、野生動物が多く出ることと、人間の都合で野生動物の駆除をしたくないことから開設されてすぐに封鎖になった。
 今回は何が起きてもしらん。という約束で【暁】がキャンプ場として借り入れることになったわけだ。
「いや、豪さん、すごいところ知ってますね」
『黒金 蛍丸(aa2951)』が金網とライトを周囲に設置しながら言った。
「むかしこのあたりで訓練したことがあってな。思い出したんだ」
『飛岡 豪(aa4056)』の指示である、リンカーは傷を負ったとしても痛いですむが、他のサバイバル用のアイテムを破壊されることはすなわち、このキャンプの終了を意味する。
「隊長、そんなにBBQ台設置してどうするんだ?」
『沖 一真(aa3591) 』が聖杖を磨きながら『煤原 燃衣(aa2271) 』に問いかけた
「いや……、大所帯ですからね、料理台は多い方がいいと思ったんです、何せこのキャンプ『焼く』というのがメインになりそうですから」
 そう燃衣は市販品の炭を入れられるタイプのグリルを展開していく。沖はその敷き詰められた炭に牡丹灯籠で火をつけてみる。
「にしても、本当に食料は何もない状態なんだな」
「……調味料はありますよ」
 そう燃衣はボストンバックを広げて見せる。味噌、塩、醤油は当然として、オリーブオイル、昆布、オイスターソース、コチュジャン、デスソース。わさび。いろんなものが入っている。
「味覚の飽きは地獄の始まりだからな」
 豪が無表情に言った。
「食料は現地調達です、イノシシや熊が出るという噂ですし、食べられる従魔も生息するみたいですから」
「従魔食べるって発想がもう【暁】だよな」
『一ノ瀬 春翔(aa3715) 』が斧を担いで言った。あたりに生えている樹を切り倒して薪にするらしい。乾燥していなければ煙がでるので早めに切っておくのがよいそうだ。
「そんな中、モナカを常備している俺は、できる子ですよー」
『風深 禅(aa2310) 』が嬉しそうにモナカをぱくついている。はたしてあのモナカがきれた時、いったい彼はどうなってしまうのだろうか。
「よし、あらかた整備が終わったな」
『繰耶 一(aa2162) 』は手早くテーブルや周辺の地図などを展開。あたりを見渡してみると、ただの野原だった空間が胸躍るようなわくわく空間に変貌していた。
 空間の外枠は金網と有刺鉄線で囲まれ。四隅にはなぜか松明が括り付けられている。他にもライトが点々と置かれ、テントが立ち並び、空間の中心にはグリルとたき火が設置されていた。
「ここをキャンプ地とする」
 蛍丸はそのセリフを言ってみたかったのだろう、満面の笑みでそう告げた。
「白米くらい持ってくるべきだったんじゃねぇか?」
 一真が春翔に問いかける。
「いや、隊長的には、遭難したってシチュエーションが好みらしい」
「……え? ぼくそんなこと言いましたっけ?」
 燃衣が頬をかいた。
「ここに水源がある。水源の近くには動物が集まるから後でこのあたりに射撃場を作ろう」
「ああわかった、射撃は任せて」
 豪が一と打ち合わせし始める。当然だろう。もはや今日の晩御飯すらないのだ。
「隊長、どうします? あらかた準備は終わったようですよ」
 そんな禅の言葉に燃衣は振り返る。
「……はい、スケジュールについて考えていましたが。もう模擬戦を始めてしまいましょう」
 その燃衣の言葉に全員の目がぎらついた。
「というのも、皆さんのコンディションがよい時に戦った方が得るものが大きいかなと思いまして、はい……」
「相手はどうするんだ?」
 春翔が問いかけた。
「今回はあえて決めません、山の中の一定エリア、その範囲内で出会ったすべての人が敵です」
「ルールは?」
「いらなくないです? 限りなく実戦に近く」
「ほう」
 豪は思わず考えこむ。
「それに、暁としての絆がある僕たちは、ルールなんてなくても大事にはならないと思います」
 その言葉に一は頷き、蛍丸は提案する。
「まぁ、確かに」
「もし何かあっても僕が治しますよ」
「ただし、ギブアップしたらキャンプに地に戻って仕切り直しするまで模擬戦に戻るのは無しで。今回の戦闘の目的は多種多様な戦法をお互いの手で教え合うことですから」
「まぁ、そんなことにはならねぇとおもうがな」
 春翔が地面に突きさした斧、その柄に座って言った。
「では各自準備ができ次第、山の中へどうぞ『されば立ち上がって行動せよ 如何なる運命にも勇気をもって』ここで更なるスキルアップをはかりましょう」

第一章 模擬戦開幕。

 開戦の合図はほら貝の音で。あくまで録音したものだがけたたましく鳴り響くそれは森の奥までいても燃衣の耳に届いた。
「さぁ。ここからがいよいよって感じですか」
 ちなみに時間制限は満足するまで……だ。
「さっそくですが、狙われてますね」
 燃衣は視線を感じ立ち止まる、しかし地面を調べるふりをして気が付いたことに気づかれないようにした。
(一ノ瀬さんや蛍丸さんは殴り掛かってくると思いますし、このレンジは沖さんじゃないな……。風深さんだけが何をしてくるか分かりませんが。十中八九……)
「繰耶さんですね!」
 燃衣は弾かれたように振り返る。銃弾は頬をかすめ一筋の傷を作った。
 燃衣は反射的に弾道を予測、半ば感覚で小石を投擲。
 それは樹々を揺らし、一のスナイプを狂わせた。
 次弾はあらぬ方向へ飛んでいく。そして。
「焼き尽くせ!」
 突如放たれるロケラン。
「いや、隊長ならそう来るでしょうね」
 一は考える。これはあぶり出しだ、こちらがどう出るか見ているに違いない。
 場所を代えて再度狙撃するか、自分もフリーガーを打つか。ただ、やみくもに撃っても敵を招くだけなら。
(ここはあえて接近して……)
 そうナイフを懐から取り出した。
 次の瞬間、樹が折れ傾いだ、一はそこから飛び降りる、そして勢いそのままに燃衣へ切りかかった。
 まず顔面への攻撃を横なぎに一閃。
 次いで切り上げ切り下す。その三合の打ち合いを全て燃衣は拳で受けた。
 刃こぼれするナイフ。
「攻撃力じゃ不利ね」
 当然だろう爆発する拳なんてものを振るう無茶苦茶な相手にCQCが効くわけがない、実際、蛍丸の雁字搦めの柔術も両手の爆発力で逃れた男だ。
「朱点……」
 燃衣の瞳が光を帯びた。
「だったら……」
 一はさらに幻想蝶からナイフを召喚、その数三。
「腕!!」
「そうやすやすと!」
 トリオとしてナイフを放つ。狙うは頭部、腹部、太ももの三か所。全てをガードすることは難しく、さらにガードできたとしても攻撃をキャンセルしないといけない。
 だがそれも燃衣はわかっているらしく、燃衣はガードしないという選択肢を取った。
「な!」
 鮮血が鮮やかな緑の上に広がる、そして燃衣の必殺技が一を捉えようとした瞬間。
 突如飛来したのは大斧。
 攻撃を中断された燃衣は、緩やかな動作で森へと視線を向けた。
「会いたかったぜ、隊長」
 燃衣の目が光を帯びる。その隙に一は後退した。
「攻撃力に特化した、シャドウルーカ―、一撃必殺型の一ノ瀬さんが奇襲を外した時点で不利だと思わないんですか?」
「いや、それじゃつまらないだろう」
 春翔は歩み寄り斧の柄を逆手に握る。
「一度真っ向からなぐり合ってみたかった、ヒット&アウェイはそれからでも……」
 その瞬間、春翔が動いた
「遅くねぇ」
 斧を回転しながら燃衣に叩きつけると、あまりの速度に対応しきれなかった燃衣は、衝撃を殺し切れずに森の中へとふっとんだ。
 しかし、燃衣もやられっぱなしではない.
幹を足場に着地。周囲の枝々が霧散した熱波で枯れていく。
「さすがですね」……
 そのままの勢いで樹の幹を走る、体は地面と平行のままのダッシュ。その予想外の動きを春翔は九陽神弓で迎撃する。しかしそれを受けて止まる燃衣ではない。
 あっという間に距離を詰めた燃衣は斧では迎撃できない超接近戦を挑んだ。
 腹部へ掌底、顎への突き上げ、肘鉄。そして膝関節に足を巻きつけ肩を押して地面に叩きつける。
 コンクリートであれば脳震盪を起こす攻撃だったが、土がほとんどの威力を吸収してくれた。
「貫通……」
 そう振り上げた拳は、森の中から飛来した弾丸がはじく。
 次の瞬間春翔は、燃衣のマウントから抜け、斧を手に取り柄で燃衣の腹部を強打した。
「がはっ」
 次いで放たれるフリーガー。春翔と燃衣はまとめて爆炎に焼かれる羽目に……。
 しかし逆にそれは燃衣の逃走を助けることになる、全力疾走プラス両拳での加速、あっという間に森の中に消えた。
「く、隊長とさしでやりてぇのに」
「それはこちらも同じことだ」
 春翔と一の視線がぶつかる。たっぷり五秒にらみ合ってから、二人も燃衣を追って駆け出した。三人の追いかけっこが始まる。

   *   *

「クマの足跡?」
 蛍丸はこの状況に既視感を覚えながらも森の中を歩いていた、以前狩人から教えてもらった知識を参考に、足跡を作らないように森の中を歩いていく。
 そんな中だった、奇妙な足跡を見つけたのだ。大きく鋭い爪、指は四本。
「これは、熊ではないですね、でも大きさはそれくらい……」
 そう考え事をしながら蛍丸は歩いていると、その直後である。
「うわ!」
 足が何かに絡め捕られた、そのままずるずると引きずられると樹の幹に叩きつけられて宙吊りにされた。
「あー、この風景どこかで」
「お、かかったのは蛍丸か……」
 そう意気揚々と現れたのは豪である。
「まさかこのまま、攻撃して来たりしませんよね」
「その、まさかだ」
 豪はそう言うと幻想蝶から武器を召喚、直後蛍丸も反応する。
 蛍丸は蜻蛉切を召喚。槍が飛び出す勢いそのままに縄をきると着地。
 豪に背中を見せる着地になってしまったが問題ない。足音を聞き冷静にタイミングを計れば、そう柄を背後に向けて突き立てる。
 それは正確に豪の顔面に迫るが、豪はそれを首をひねって回避。若干体性が崩れたまま飛び、低空のドロップキックを蛍丸に見舞った。
 結果、蛍丸は前のめりに吹き飛ぶことになる。
「いたたたた」
「爆炎竜装ゴーガイン参上だ」
 一応とばかりに名乗りを上げて蛍丸を見つめる豪。
 蛍丸は立ち上がり。そして豪に向けて言い放った。
「お相手、願います」
 蛍丸は装備を鬼切丸に変更、はじかれたように突貫する。
 対して豪はオロチの改造品、ドラゴンスケイルで蛍丸を迎え撃つ。
「直線的だな!」
 豪は鎖鎌の重り部分、それを蛍丸から見て左に投擲。一瞬何をしたか分からなかった蛍丸だったが、直後背中に強い衝撃を受けて理由がわかった。
 樹に巻きつけて軌道を変えたのだ。
「う!」
 その隙に豪は樹々の隙間を縫うように飛び。頭上を取って今度は刃の部分を投げる。
 それは途中で急加速し轟音を上げて地面に着弾。 
 蛍丸はそれを避け。腐葉土をかき分け着地。背を低くして。蜻蛉切に武装を代え突貫する。
「くっ」
 豪はその突貫を阻止するためにあわてて鎌を手繰り寄せ、それを蜻蛉切に絡みつけることで動きを止める。しかしあっさり蛍丸は蜻蛉切を手放した。
 蛍丸は腰に差していた鬼切丸を抜く。本命は鬼切丸での一撃だったのだ。
 まず蛍丸は、飛んだ勢いそのままに童子切の柄を豪の肺に叩きつける。
 意識が飛ぶ、視界が暗くなる。全神経が痛覚を訴え無防備な時間がコンマ秒生まれる。
 しかしそれは十分すぎる時間である。
 蛍丸は逆手に握った鬼切丸その峰うちで両手首を叩いて鎌を落させた。
 そして短剣の石突に手を当てて突き立てるような構え、霊力の本流が刃を包む。
「七花……」
「おいおいおいおい!」
「八裂!!」
 鋭利なオーラが豪の腹部を直撃、内臓をズタズタにされるような激痛を豪は味わった、呻きながら四つん這いになる。
「と言っても乾坤一擲は発動してないんですけどね」
「死ぬかと思った……ぜ!」
 次の瞬間起き上がった豪は肩にフリーガーを担いでいた、それをあたり一帯に乱射する豪。
 たちこめる土煙、前後不覚に陥る蛍丸。
 その煙の向こうから燃え盛る刃が飛来する。豪の鎖鎌である。
「く!」
 弾幕が足りなくなってきたなと思えば、フリーガーをさらに追加で乱射。
 この煙の中にいては相手の思うつぼだ。そう思い蛍丸は駆けるが、動きを予測していた豪に弾き飛ばされ、また煙幕の中央へ押し込まれた。
「こんな、悪のヒーローのようなまねはしたくなかったが……」
 豪は残念そうにつぶやいた。
「そうですね、ちょっと正々堂々ではないかもしれないですが。暁的には正解です」
「…………そうか」
 多くの言葉を飲み込んで豪は腹部に当てた手を見つめた。だくだくと流れ出る血。蛇に噛まれた時のように血が止まらない。
 血だけならまだいい。だが霊力の流出も止まらない。ブラッドオペレートの効果だろう。
「持久戦は不利、しかし」
 蛍丸は回復のスペシャリストだ、むしろ得意なのは持久戦。このまま煙の向こうからちまちま攻撃して勝てるのだろうか。
「かくなる上は」
 奥の手を、そう拳を握りしめる豪だったが、突如空から何かが飛来した。空を舞う麦わら帽子。
「年下いじめは」
 ひらひらと舞う麦わら帽子を小さな右手が取った。そして衝撃波によって煙幕がはれ、蛍丸を守るように立つ人物の姿が露わになった。
 十歳程度の見た目となった禅である。
「風深さんの方が年下っぽいです!」
「お前、どこから、というより」
 豪が叫ぶ。
「ここら辺の罠はどうしたんだ!」
「全部解除したに決まってるじゃないですかー」
「なに!」
「俺はシャドウルーカーですよ」
「…………」
(忘れてた…………)
 呆ける二人その隙を狙って禅は蛍丸の手を引いた。
「さあこっちへ」
 豪から逃げる二人。あわてて追う豪。戦いは次のステージへ 
 
 
    *   *

 燃衣は森の中に騒がしさを背に感じながら追っ手を撒くべく山道を駆けていた。
 そんな燃衣を一は追いながら狙い撃っていく、戦闘区域の端っこまで追い詰めれば隙ができると思った。
 しかしそのさらに後ろから追いかけてくるのは春翔。もう少しで追いつきそうだ。
 斧さえ装備していなければシャドウルーカーである。俊敏性がこの二人に劣るわけがない。
 そんな春翔へ一が銃撃をみまう。
「私の獲物だ」
「そうかい!」
 春翔は斧を召喚、一が取りついてる樹を切り倒した。
「な!」
 驚きの声を上げる一。そしてそんな一を無視して春翔は燃衣を追いかけようと斧をしまった。その瞬間である。
 なぜか燃衣が目の前にいた。
 燃衣には読めていた。二人は目的が一緒なので干渉しあわないだけだった。
 だが状況がこう着すれば、もしくは片側が抜け駆けしようとすればぶつかることはわかっていた。
 だからその隙を狙うつもりで二人の動向には気を配っていた。
「あんた、いつの間に」
 燃衣の掌底、吹き飛ぶ春翔。
 飛来するナイフ、それを弾き腕を薙ぐように叩きつける。
 それを潜り抜け、一は肘を取った。体の背の方に回り込み、関節を決めよう肩甲骨のあたりに手を当てる。
「ジェミニ!!」
 それが我慢ならなかった春翔が、スキルまで使い始め二人を攻撃。分身と本体はそれぞれ、一と燃衣を狙う。
 直撃、二人は大きく吹き飛んだが、実際は燃衣狙いの攻撃のため一にダメージはなかった。吹き飛んだだけである。
 なので体制を立て直し素早くライフルを春翔へ向ける。
「隊長と戦うのは俺だ!」
「いや! あたしだ。ここでまず決着をつけないといけないようだね、さっきから邪魔をして……」
「二体一ですか?」
「そう言うわけではない」
 樹の陰から一が躍り出てきた。ナイフで切りかかる。
 ナイフを掻い潜り、燃衣はバックステップしかし一は飛んだ燃衣の肘に手をかけ体を回して地面に叩きつける。
 追撃を恐れて燃衣は地面を爆破、起き上がった燃衣はのけぞった。春翔の斧が顔面に迫っていたのだ。それを回避、バク転で距離を離すも背後に一が立っていた。
「いい連携です」
「そのつもりはない!」
 燃衣は拳を爆破、予想外のもう一回転に一は反応できなかった。次いで燃衣は何をしたかというと、自分の両膝で一の両耳を抑えたのだ。
 そのまま通常であれば押し倒すか、回転して頭を地面に叩きつけるというアクロバティックを見せるのだが、それを許さない存在が目の前にいる、春翔である。
 燃衣めがけて斧が投げられる。それを燃衣は両手で逸らして弾く。
 それを予測していた春翔は弾かれた斧をキャッチ。そして。
「これが斧使いの新しい必殺技だ!」
 春翔はアックスチャージの構え
 燃衣は二択を迫られる。
 一をぶち殺すチャンスだが、それをしてしまうと攻撃力二倍の斧攻撃を回避できない。
 しかしこの絶好の機会を逃すと、一と春翔の二人を引き続き相手にしないといけない。
 だが、そんな少しの迷いが命取り、両足の太ももにナイフが突き刺さる。これで足を使うことはできなくなった
「隊長、私一応女の子なんだけど!」
 直後全力のアックスチャージを受けて吹き飛ぶ燃衣。
 樹を三本ほどなぎ倒してやっと停止。しかし持ち前のタフさが幸いして、燃衣は脱兎のごとく逃げ出した。

   *   *

 対して豪から逃走中の蛍丸はというと、森の真ん中でトンデモないものをみつけて唖然と立ち尽くしていた。
「そ、そんな……」
 その人物は樹に磔にされていた。ご丁寧に十字架っぽく横向きの樹が取り付けてある。
 まるで罪人、しかしその樹に括り付けれられている人物は、罪人でもなんでもない。
「沖さん!!」
「いったい、だれがこんなことを」
「そいつだ、そいつがモナカで……。俺を……ガク」
「沖さーーーん!!」
「まだ話すことができたんですねー。いやビショップなのにしぶとい」
 その時蛍丸は弾かれたように振り返った、しかし反応が遅かった。
 随伴していた禅が突如苦無を放つ、それは蛍丸の各関節に突き刺さり動きを止める。
「縫止ですか」
 直後蛍丸はクリアレイ。
 追撃を逃れる後方に飛び、次いで禅を見た蛍丸は目を見開くことになる。
 そこには鬼の形相で、身の丈ほどあるモナカを振り上げた、十歳くらいの少年がいたからだ。
「ええ! その武器どこから」
「グロリア社特注です!!」
 ズドン。重たい音が森を揺らす。
 最中は多重複合武装と言うジャンルに入るらしい。グロリア社令嬢が試作品だけどどうぞと気前よくくれた。
 実はこの最中、これはとんでもない武器で。例えばそのまま大きな盾のように蛍丸の槍をはじくこともできるし。縁に手をかけて蛍丸に叩きつけることもできる。
 円状のそれは二つに分離すると、腕を覆う籠手のようになり、なおかつ刃がついているため攻防一体の武器となる
 そして、蛍丸がひとたび距離を放てば、モナカを模したチャクラムを射出できる。太陽光をチャージすれば、それをビームとして放ち、蛍丸の服を焼き切ることも可能である。
「しかし、これはモナカじゃない、モナカとはこういうものじゃないんですよ……」
 苦痛にゆがむ禅の顔。
 彼は葛藤していた。モナカとはモナカとは。なんだ。
 なぜこの武装はモナカの形をして生まれてきた。モナカには決してなりえないのに。
「モナカ……」
 禅は最中の裏についているボタンを押した。
 するとぱかっと軽快な音がして、モナカ入れの蓋があいた。
 禅はそれを口に運ぶ。
「そう、モナカとは、モナカとはこうでなくてはいけないのです」
 そんな禅に上半身の衣類を焼き斬られた蛍丸が殴り掛かる。
「ちょっと行きすぎてて怖いです……」
 それを華麗な回避術でよけると、モナカチャクラムを発射、蛍丸の肩口をバッサリ切りつけた。
「俺はこんなモナカでも愛せるでしょうか……」
「うーん、ちょっと僕にはお話が難しいです」
「風深! 黒金! ここで逢ったが百年目」
 そう森の奥から声が響くと、樹々の間から豪が乱入してきた。
 ゼロ距離で禅にフリーガーを乱射。吹き飛んだのを確認後蛍丸に向き直る。
「さぁ。続きをするぞ……」
「これは僕には不利です、いったん逃げます」
 不利を覚った蛍丸は逃走を謀る。
「こら! 逃げるな」
「あなたも最中のサビにしてあげますよ」
 そう蛍丸を追おうとする豪に、禅が殴り掛かった。
「おい、もう全く意味が分からないぞ」

 
第二章 チーム戦

 森の中は打って変わって静寂に包まれていた、聞こえるのは自分の上がった息だけ。
 しかしそれも少しの間だけだった、向こうから草樹をかき分け誰かが走ってくる。
 敵かもしれない、いや敵なのだ。
 この森に味方なんているはずがないのだから。
 だがその思いも遭遇してみるまでだった。
「あ、蛍丸さん!」
「あ、煤原さん!」
 二人はであった、森の中で、敵だらけの森の中で唯一心許せる相手に出会えた。
「「今敵に追われてて」」
「「しかも二人」」
 そうハモる二人。
「ここは、みなさんを説得しましょう」
 そうこうしている間に二人は四人に囲まれる。
 一、春翔、禅、豪である。血走った瞳の四人を二人は眺めた。
「どうでしょう、ここらで戦闘相手を変えるというのは」
 その一行のもとに沖がフラフラ現れる。
「あ、自力で逃れられたんですか?」
 それを見て蛍丸が手を振った。
「うん、まぁ」
「戦いたい相手も多いみたいですし、団体戦っていうのはどうでしょう」
 燃衣が提案すると豪が手を挙げた。
「俺は隊長と戦ってみたいな。一対一で」
「では、俺はちょっと休んでいましょうかねー」
 そう禅は言った。
「私は黒金君と戦ってみたいかな、あと一ノ瀬」
 一が言う、春翔を見る目が怖い。
「望むところだ、繰耶。さっきの借りを返す」
「いや、みなさんいい感じに火がついてますね、絶やすことなく次の戦いに臨みましょう」
 そう燃衣が手を叩くと、自動的に決まったチームでそれぞれ別方向に分かれていく。
 燃衣VS豪。そして。蛍丸、春翔の赤チームVS一真と一の黒チームである。
 戦いの火ぶたはきって落とされた。
「我が身を蝕みて鍛えよ、刃呪の舞――牡丹灯篭」
 強大な呪力が解放された、コントロールを間違えると山ごと更地に変えてしまいそうなエネルギーを一真は纏う。
「黒鉄、あっちは遠距離二枚。こっちは近距離二枚の布陣言いたいことはわかるな」
「勝ちパターンにはめれば勝ち、あっちの勝ちパターンにはまれば負け。そして一度有利な状況を作られると逆転は難しい」
「そう言うことだ!」
 春翔は駆けだす、まずは沖に向かって斧を、それを沖は杖で受ける。
「陰陽師が近接戦できないって誰が決めたよ」
 春翔の斧に比べて軽いが、威力は魔法で補える。
 春翔の体に杖が当たる瞬間に破邪の力を流し込む。
「一ノ瀬さん!」
 間に入ったのは蛍丸。彼は黄金の輝き宿す武具、金剛輪を身に纏っていた。
「ダイヤモンド以上の硬さを持ちますよ」
 その籠手相手では思うように魔法攻撃も通らない。
「く」
 一真は歯噛みし、杖を地面に叩きつけた。
 極光が目を犯し、ひるんだすきに蛍丸の腹部に杖を叩きつけた。
 そのままインパクト、崩れ落ちる蛍丸。
「がら空きだ!」
 斧が迫る、しかし、その斧の刃。柄。春翔の肩、そして膝すべての個所に高速で弾丸が撃ち込まれる。
「ぐお!」
 地面に転がる赤チーム。
「浄化してやる」
 次の瞬間、一真の呪符から鉄すら溶かす灼熱がしみだしてくる。
「熱い!」
「熱い熱い!!」
「はははは! どうだ!」
 火焔の壁は龍のようにうねり二人の接近を阻む、何かしようものなら森に潜伏した一によって妨害される、これは黒チームの勝ちパターンだ。
「一ノ瀬さん!!」
「どうした!」
「あれやりましょう、ほら繰耶さんとやった」
「だったら、例の繰耶が邪魔だろ!」
 ケアレイ、リジェネ。ありったけの回復でこの場を耐えてはいるが長くは持ちそうになかった。
「だったら……」
「樹を切るか?」
「いや、それはやらせてもらえないんじゃないですか?」
 それにその手段はさんざん使用している、もはや通用するか分からない。
「沖さんが悪役みたいに笑ってます」
「よっぽど戦いたかったんだろうな」
「近づけば杖で吹き飛ばされる」
「沖さんが一人元気だっていうのがネックですよね」
「動きが違うよな……」
「あ、でも樹を切り倒すのはいいかもしれないですよ」
「なになに?」
 アックスチャージ銃弾や炎から蛍丸が守る。
 そしてあたりの樹々、そして土を引っぺがした。
「な!」
 蛍丸の槍を一真は杖で迎撃した。
 上段を弾き、柄を回して脇腹を狙う。それを防いで蛍丸は力任せに押し。距離が開いたところで回して切り付けるも、杖を横にして止める。
 するとがら空きになる腹部。手首のスナップだけで鬼切丸を投擲。
 それが一真の腹部をかすめて後方の樹に突き刺さる。
 その蛍丸の後ろから春翔が駆けより。そして大きく斧を振りかぶった。その斧の側面に蛍丸は両足を乗せ。そして飛ぶ。
 飛んでいる最中飛来した銃弾は全て蜻蛉切で弾きそして枝の中に突っ込んだ。
「お前の相手はこの俺だ!!」
 春翔は沖に斧を叩きつける。
「おら!」
 形勢逆転。反撃が始まる。

   *   *

 対して燃衣と豪の戦闘派というと。
「お互いに格闘戦でやりたいと思っている」
 豪はそう言い放ち、ファイティングポーズを取った。
「そう言えば、たしか飛岡さんはヒーローですよね」
「そうだが……」
 燃衣は不敵に微笑んだ。
「悪役を倒すっていうのがどういう物か見てみたいな」
 二人は駆けた、音を置き去りに踏み込む脚は土をはじいて足の形にえぐれた。 
 肩を回し、腰を回し、放たれたストレートは衝撃波となって周囲の草樹を揺らす。そして二人は笑みをかわす。
 お互いに命中適性ドレッドノート。単純にぶつかれば経験の差が出てしまう。
 それでも真正面からぶつかりたいと思う豪であった。
 まず拳の応酬。レの字に立ち、二人とも一歩も動かずに手を叩き落としていく。
 横なぎの手刀、手首に手を当てて落とし威力を殺す、腰を返す動きで腹部への正拳突き。それを円を描く動きではじいて首元へクロー。
 それを捌いて燃衣は笑った。
 そして足技、首を狩るようなとび蹴りを豪は両手で止める、いやそう見せかけて受け流す、足の角度をずらして下を潜り抜けるように。
 背面をさらす燃衣、しかし回転力を維持しながら後ろ回し蹴りを繋ぐ。
 それを避けるために豪が半歩後ろへ。
「そこだ」
 燃衣は両手を構えて突貫。
「くっ!」
 燃衣の拳は基本的に受けることは推奨されない、両手に灯る爆炎によってガードを突き崩されてしまう可能性があるからだ。
 だからたいていは攻撃をそらすことを選択する、その場合燃衣は動きのベクトルを操作して次の攻撃に繋ぐ、勢いが弱いと感じれば両手の炎を爆発させて軌道修正、威力増加にも使ってくる。
 なかなかに厄介な戦法だ、ただ。
「な!」
 燃衣の攻撃は拳に触れなければあまり脅威ではないと言える。
 ギリギリのところで手首を両手で挟むようにとり。
 いったん下へ引っ張る、体勢を崩されることを嫌った燃衣が足と背筋で斜め後ろに後退しようとするが、それに合わせて手を放し。豪は燃衣の喉に手を当てた。
 次いで。燃衣の生み出した背面向きの力、それに加えるように豪は後ろ向きに押し、膝に足を駆けて地面に叩きつける。
 代表的な柔術、基本に忠実な動き。
「いや、青春ですね」
 純粋な一対一の戦い、その光景を樹の上から禅は見守っていた。モナカを口に運びながら、時々歓声を上げている。そんな二人の前にである。
 突如蛍丸が躍り出てきた。
「おや、蛍丸さん、どうしたんですか?」
 蛍丸は着地の勢いを殺し切り伸び上がる、よく見るとその槍には一が干されていた。
「それが勢い余って飛んできてしまって」
「行きがけに私を槍の柄に引っ掛けて、今という感じだ」
 一がそう呻く。
「おやおや、あちらも楽しそうですね」
 その直後だ。春翔の悲鳴。
「いったい何が!」
 戦闘は中断。あわてて全員が悲鳴の方向に走った。
 すると。
「おう、やっと戻ってきたんだな」
 一真が地獄の中心に立っていた。焼け焦げて重なる大量の従魔たち。
「いや、二人で戦ってたんだけどよ。いきなり全方向からクマが出て。それに一ノ瀬はやられて」
 そう死体の山をガサゴソやると一真は春翔を発見したらしくぶらりと春翔をぶら下げて見せた。
「ああ、これ全部一真さんが?」
「まぁ、広範囲攻撃はビショップの十八番だろう」

エピローグ
 訓練もそこそこに、従魔を食べようという話になった。
「さぁ。倒した命をおいしくいただくのは戦士のたしなみですよ」
 そう一が捌いた肉を燃衣が焼いていく、蛍丸の皿の上に盛られるがそれに蛍丸は顔をしかめた。
「なんだか抵抗があります」
「早めに慣れておいた方がいいぞ」
 豪は言う。
「おそらくほとんどこいつらの肉を食べることになる」
「…………」
「ああ、蛍丸さんのためにも普通の肉を狩りに行くとしますか」
 燃衣が言うと、春翔も一真も賛成した。
「鹿をみたな」
「川辺に鳥もいたぞ」
「肉ばかりですね、モナカはないんですか?」
 そう禅は言って笑う。
 やがて夜が来た、この日はお互いの戦闘の反省会を行い次の日に備える、そんな感じで合宿は長く続いた。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『黒金 蛍丸(aa2951) 』
『繰耶 一(aa2162) 』
『煤原 燃衣(aa2271) 』
『風深 禅(aa2310) 』
『一ノ瀬 春翔(aa3715) 』
『飛岡 豪(aa4056) 』
『沖 一真(aa3591) 』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 この度はOMCご注文ありがとうございました。
 ペーティーノベルということで、どちらかというとリプレイみたいな気持ちで書かせていただきました。
 鳴海です。
 今回はシリアスもギャグもほとんど入ることがなく、ほとんどすべてが戦闘です。
 鳴海初の試みでした、楽しかったです、ありがとうございます。
 リンクブレイブは多種多様な武装があっていいですね。これをきっかけにもっと勉強していきたいなと思いました。
 ではではこのあたりで。
 暁の皆さんにはお世話になっております、これからもよろしくお願いしますね。
 鳴海でした。ありがとうございました。


 英雄は描写してないですがいるという設定です。この後めちゃくちゃにBBQした。
 これは皆さんの想像にお任せする形で。
colorパーティノベル -
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年09月06日

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