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『仁義なき戦い ―鬼の陣― 』
アスハ・A・Rja8432)&櫟 諏訪ja1215)&矢野 胡桃ja2617)&石田 神楽ja4485)&加倉 一臣ja5823)&月居 愁也ja6837)&夜来野 遥久ja6843)&小野友真ja6901)&マキナja7016)&雨宮 祈羅ja7600)&カーディス=キャットフィールドja7927)&エルナ ヴァーレja8327)&矢野 古代jb1679)&メリーjb3287)&点喰 瑠璃jb3512)&華桜りりかjb6883)&ゼロ=シュバイツァーjb7501



 強きものは喰い 弱きものは喰われる


 猛きものは奪い 儚きものは奪われる


 既に問うべき是非もない



 久遠ヶ原に語り継がれし、酸鼻を極めた混沌《カオス》の狂祭







 それが――


  じ   ゃ   く   に   く   き   ょ   う   し   ょ   く
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●いとも容易く行われるえげつない行為

「ルビおかしい定期!」
 カナカナカナとひぐらしの鳴く初夏の頃、食い気味に突っ込む声ひとつ。
 月摘 紫蝶(jz0043)は、アスハ・A・R(ja8432)と小野友真(ja6901)の提出した外出申請を見てそっと慄いた。
 しちょー知ってる。これアカンやつ。
「む。そう、か? じゃあ『鬼ごっこ《ころしてもうばいとる》』でもいいが」
「俺あっすんのそういうとこ嫌いやないけど、こっちガン見しながら言うんはアカンやつやな‥‥?」
「気にするな、僕とユーマ(の狩られる度)は大差ない」
 自分から企画しておいて諦めの境地とかレベル高い。隣の友真は「そんなことないし‥‥!」などと抵抗の余地を見せているが。
 ともあれ。

 申請された行き先は『沖縄リゾートゾーン』、通称Orz。
 ‥‥決してふざけている訳ではない。(※1年ぶり3回目)

 異色の遊園地で行われたそれは、既に3年の時が経ってなお記憶に新しい。
 血で血を洗う(※比喩表現)凄惨な奪い合い。
 蹂躙と陵辱(※誇張表現)による醜い争い。
 撃退士たちがOrzに残した生々しい爪痕は甚だしく――。

「いやそれがな、ほら、去年もOrzにお世話になっただろう。その時に釘を刺されてな。『撃退士による鬼ごっこ』はもうやめるように、とさ」
 久遠ヶ原生徒による『絶望力の変わらないただ一つの鬼ごっこ』はOrzの伝説、そして禁忌となったのだった。
 引率は何やってたんですか、と紫蝶ら教師陣もすこぶる怒られたもので。
「――私はもう始末書は書きたくない!!!!(楽しみにしているところすまないが諦めてくれないか)」
「先生、逆逆!」
「いいや違うぞ小野! むしろ私の本音をよく聞くといい!!」
「()の意味とは!」
「というわけで、鬼ごっこしにOrzへ外出というのは許可できn「では、『鬼ごっこ』でなければいいのだ、な?」えっ」
 友真と紫蝶のやり取りを黙って聞いていたアスハは、ニィと口角を上げてペンを走らせた。
 鬼ごっこに二重線を引いて記すは――『かりもの競争』。
「これなら平和、だろう? ああ、『もの』は自分たちで用意する、ぞ」
 借り物競走であれば、確かに‥‥施設内の物品を指定さえしなければ迷惑はかからない。多分。めいびー。
 紫蝶は一瞬考えを巡らせたのち、ちらりとアスハの顔を見る。
 爽やかスマイルでにっこり。
「‥‥まぁいいだろう。常識人の夜来野もいるようだし、怪我しない程度に息抜きしてくるといい」
 ぽん。と申請書に受領印を捺したと同時――ふっ、と鼻にかかった笑いとともに爽やかスマイルは獲物を値踏みする顔へと変貌した。

「引率にアナタの名前もあるけど、な(ちらっ」
「は?」
「あぁ、『かりもの競争』は『狩りもの競争』、だ。もっと言うなら『狩られるもの競争』、だな。修正しておこう(さらさら」
「へっ?」
「せんせー‥‥、ちなみにやけど、その遥久さんが一番やばいやつやから‥‥(ほほえみ」
「な――」
「さて、早速向かおう、か(がしっ」


 なんだってえええええええええええええええええええ‥‥えええええ‥‥‥えええ‥‥ぇぇ‥‥‥(エコー)




●紅く漣立つ簡樸な浜辺

「――斯くして、紫蝶先生も参加す《犠牲にな》る事になったのであった、と」
「ルビおかしい訴訟!!!」
 ところ変わって、沖縄県は沿岸部。数年前にぶったてられたOrz。
 今回のOrzのモチーフは御伽話。そしてこのエリアは鬼ヶ島である。さもありなんといった漫画的フォルムの鬼剣山を中心に、草臥れた木造家屋や天然洞窟、むき出しの岩肌の影には温泉が湧いてたり茶屋があったり(お察しください)‥‥ともあれ、周囲を水に囲まれた、逃げ場のない孤島であった。

 人の輪郭がやや曖昧になりつつある暮れ泥みの頃、現地に集合した生徒は17人。紫蝶を入れて18人。
 ただし、各々が自由なポイントから行動開始であるため、紫蝶を連行してきたアスハを除き、姿を見せているものはいない。
「時間内にこの『狩られるものリスト』のモノをひたすら狩る。2つロストしたら脱落、だな」
 聞きながら、紫蝶は『狩られるものリスト』に視線をすべらせる。

 鍵 ←うん
 写真 ←わかる
 米10kg ←まぁ(戦略的に)わかる
 褌 ←まぁ(倫理的に)わか‥‥いや、わからんな?(真顔)
 猫(なまもの) ←ん?
 アホ毛模型 ←んんん???

 夕陽が、かすれるように木々の果てに沈んでゆき、
「島内の灯りが点いた3分後に開始、だ。‥‥どうした?」
 やがて鬼火を模したほのかな光が、鬼ヶ島の随所に灯った。
「いやなに。これまで私達教師は色々無茶な企画をやったもんだが‥‥お前達生徒も大概とんでもないなと、噛みしめてたのさ」
 ざぁ、とぬるい風が黒と青の髪をさらったその先、
「――ふ。なんだ、今更気づいたの、か」
 かすかに細まる琥珀。

「大人の対応は要らないな?」
「望むところ、だ」

 にや、と目を合わせ。 3、2、1――



 第1回 『狩られるもの競争《ひと狩りいこうぜ》』、開まk「正しいけど正しくない!!!」








●劔が如き巌並ぶ荒瘠地

(そろそろか)
 腕時計から視線を外し、マキナ(ja7016)はそそり立つ岩場の上から眼下を眺めた。
 彼の最たる敵は、自身の妹メリー(jb3287)である。捕まったが最後、兄としての愛と命を天秤にかけねばならない。
(前回までと違って、スタートが別なのは楽だな。今回は狩る者として生き残ってやる――!)
 そう。生き残るだけならぶっちゃけ隠れ続ければいい。が。

「もう始まってるですよね‥‥お兄ちゃんどこなのです‥‥?」
 岩間に弱々しく響く、愛らしい声。紛うこと無くメリーそのものである。
 なぜだ。この割と広い鬼ヶ島エリアの中で、開始地点が、しかもメリーとかぶるなんてこと‥‥。
(ない。ありえない‥‥!)
 どっ、どっ、どっ、どっ、と鼓動が打つ音が耳につく。
 マキナは息を殺し、身をかがめた。岩場は多数乱立しているし、地上から姿が見えるような場所には居ない。
 だというのに、メリーはほとんど真っ直ぐに自分が乗っている岩場のもとへと歩み寄り、ぴたりと足を止める。
 はぁ。
 大きなため息を一つ。そして
「ひとりぼっちは寂しいのですぅ‥‥お兄ちゃぁん‥‥」
 ぼろっと零れ落ちる大粒の涙。
 マキナの位置からは涙は見えなかったが、生存戦略をかなぐり捨てて駆け寄りたい衝動が湧き上がるほどに痛切な声だった。
 が、次の瞬間。

 ずどおおおんんんんっっ

「な‥‥なん「だから――」

 ずどおおおおおんんんんっっっっ

 小さな白い手にしっかと握られたオリハルコン製パイプが、岩場に突き刺さっている。
 がらがらと崩れ落ちる石塊ごしに、メリーは暗い瞳で岩場の上をじいっとみつめた。



「お兄ちゃん‥‥はやく、おりて、きて?」<○><○>



 ずどおおおおおおおおおおんんんんっっっっっっっ

 やめて! 岩場のHPとマキナのSAN値はもう0よ!
 ぞわっと背筋を駆け上がる悪寒に身を震わせ、マキナは持てる思考回路の全てで、逃走経路を計算するのだった。


 ◇


「なんや今の音」
「あの破壊力(精神)はメリーちゃんかな‥‥?」
 背後から響き渡る轟音。
 思わず振り返るゼロ=シュバイツァー(jb7501)、もはや悟りの微笑みを浮かべる加倉 一臣(ja5823)、そして矢野 古代(jb1679)は頬を伝う汗を拭った。
 ‥‥腕に巻いた褌で。
「わー古代さんばっちぃー」
「ばかな、綺麗だぞ! 男の身だしなみというやつだ」
 本人は(娘をprprしたい欲望に)汚れてるけどな!

 などと3ばk‥‥3山羊(犠牲的な意味で)トリオが今後の作戦を立てていると、雨宮 祈羅(ja7600)が瞬間移動で3人の中央に現れた。
 超至近距離で一臣の顔を覗き込み、ごく自然に一臣の茶色の髪を一房つまみあげると、
「ねぇねぇ。一臣ちゃんの髪はリストに書いてないけど、大事なものじゃあないのかな? 犠牲にしていいやつ?」
 ――意味深に微笑む。
「ッ――、俺の髪でダシは取れないから! 炙っても風味が増したりしないからね‥‥!」
 かずおみは こんらんしている!
 『狩られるもの』が両方食べ物の一臣。つまり美味しいは大事。ジャスティス。‥‥あれ、そういうキャラでしたっけ?
「言うとる場合か! ずらかるで!」
 いうが早いか、ゼロの朽嵐で巻き上がった砂塵が視界を塗りつぶし、ゼロと古代、そして煙幕に紛れ変化の術で古代に姿を変えた一臣は脱兎のごとく散っていった。


●滾々と澎湃す湯の瀑布

 矢野 胡桃(ja2617)は、白濁した滝を見上げた。
 生粋の『狩られ人』たる父・古代は、なんやかんやでアラフォーな年齢。
 うっかり温泉に釣られてやってきたりはしないだろうか、と淡い期待もあったものだが。
「うぅん、流石にそこまでうっかりじゃなかったみたい、ね」
 まぁ父は後回し。そのうち多分会えるだろう、と狸のぬいぐるみの手を取りながら、リストを眺める。
 全員狩ってしまっても構わんのだろう? 任せろ。(※はるおにーさんを除く)
 ――と、そこに。

「誰かは知らぬが飛んで火に入るインセクト! 飛んで湯に入る温泉エッグは始めちょろちょろ中ぱっぱァ!」

 謎の呪文とともに飛来――いや、流れ落ちてくるものあり。
 脳筋系魔女☆エルナ ヴァーレ(ja8327)、飛行魔術なんてなかった!!! 阿修羅だからネ!
 丸太の輪切りを振りかぶり、重力と滝が背を押す勢いそのままに襲いかかr「‥‥‥‥エルナ、さん?」
「!!!!!」
 \どぼーん/

 .

 .

 .

「‥‥あれ? 浮かんでこない」
 はて。今のは多分エルナだったと思うのだが――というよりぷかぁと滝壺に浮きあがった眼帯が彼女の存在を物語っているわけだが。
 湯の波に乗って流れ着いた眼帯を拾いあげ、持ち主の動きを待つ。

 30秒。

 1分。

 浮かんでこない。

「自爆プレイ‥‥? ん?」
 かくり、と首をかしげながら滝壺を眺める胡桃の耳に、どこからともなく届く『ぴょひ〜〜』と口笛のような音。
 一瞬目の前の獲物と笛の音を秤にかけるが、浮かぶのを待つ時間や、待ちきれず滝壺に攻め込んで罠だった時のダメージを考え、胡桃は撤退を選んだ。



\ざばーっ/

 滝の裏側で必死に息継ぎしていたエルナ、ようやく岸へ。
 きょろきょろと辺りを見回してから、安心したようにその場にへたり込んだ。
「はー、やっば! マジやっば! カモかとおもったらキリングマシーン・コモモちゃんじゃないの!」
 こうして胡桃の二つ名は増えてゆくのであった。

 陛下
 コモモンガーZ
 キリングマシーン・コモモ ←New!


●月光を隠す陰翳の天鵞絨

 滝壺にほど近い、小さくも緑深い森の中に葉擦れの音が響き渡った。
 ひゅん、と飛来する物体を、月居 愁也(ja6837)はプロスボレーシールドをかざし打ち払う。
 頭に被った男性用ぱんつ(新品)(※重要)が慣性に従って大きくなびいた。
「先生、引きこもりの窓際族なのに体力あるじゃん」
「ふっ、ネトゲガチ勢ってのは数日の徹夜も厭わない体力が必要なんだよ月居!」
「マイナス方向にポジティブ!」
 緑火眼で精度を上げた礫が霰となって降り注ぐ。
 頭(ぱんつ)の防御に愁也の意識を集中させ、その間に懐に入り込もうという魂胆だ。
 最早何故ぱんつを被っているか、など些細なことだった。だったのか?
「ふ、甘いぜ先生。遥久はぱんつ1枚だったとしても俺を守ってくれる‥‥!!」
「こんな時どんな顔をしていいかわからない!!」
 自分のぱんつじゃなかったのかよとか、夜来野つよいとか、こんな変態守るのだろうかとか色々脳裏をよぎるのは致し方無い事。
 アンリミテッドツッコミワークス。体はツッコミでできている。
 思わず動きが止まった紫蝶、突貫する愁也。
 右手に持ったラバーカップを紫蝶の身に突き立て――ようとするも、忘我から復帰した紫蝶の回避射撃(手刀)により払いのけられる。
(それなら‥‥盾をしまって左手!)
 狙うは、胸ポケットに入った煙草の箱。
 右腕を払われた勢いそのままに、体をひとひねり、振り向きざまで左手を伸ばす。

 かさり

 紙の感触。取った。このまま引き抜けばいい。はずだった。
(あれ、抜けな‥‥‥‥ん?)
 疑問に思って目をやると、確かに煙草に手はかかっているのだが――(※乳圧で潰れてる)(※鷲掴みしてる)(※とれない)

(・H・)(えっこれ違う意味でアウトのやつ)

「隙あり!!」
 一方、平坦な胸ポケットに入っていた『遥久ブロマイド』はすんなりと抜き取られ。
「ふっふふ、ぬかったな青少年。『ここ』はそう簡単に取れまい(色んな意味で)」
 どやぁとしたり顔のアラサー教師。アウルのおかげで体だけは二十歳前後なのが唯一の救いだ!
「あっ‥‥!! 俺の遥久あああああ!! だ、だがっ‥‥ここに第二第三の遥久が!!!」
「な――!? 汚いな、さすがトイレの阿修羅様きたない! ――はっ、そのラバーカップももしや」
「そういう称号じゃないですからぁ!? あとこれはちゃんと新品なんでそこんとこよろしく!!」
 新品と聞いてほっと一息。
 さっき手刀で払ったからね。ちょっとざわっとするよね。
「うーん、新品でもちょっと持ち歩きたくない、かな。だから‥‥紫蝶先生の、もらいます、ね」
 ナチュラルに会話に混ざりつつ、瞬間移動で紫蝶の眼前に現れて眼鏡をかっさらう影。
 闖入者――滝壺から移動してきた胡桃である。
「‥‥っ!」
 反射的に胡桃を突き飛ばす紫蝶。首にかけた指輪に一瞬指がかかったが、鎖が切れるまえに指からするりと離れていった。
 狙われなかった愁也はと言えば、すでにトイレに流(訂正線)この場から逃げ失せている。
(移動スキル持ちを相手にするのは下策、か)
 突き飛ばしたわずかな隙間に玉繭を張り、更にインベージョンで足音も残さず木々の闇に消えていった。


 消えていく後姿を目で追いつつ眼鏡をしまうと
(寄り道もいいけど、古代父さんみつけなきゃ。しゅやおにーさんは――残り1つだし、はるおにーさんに譲ってあげる、の)
 鬼ヶ島のどこかにいるであろう狩人の頂点を思いながら、胡桃もまた次の獲物を探して姿を消したのだった。







●鬼顔に紛う黒く屹立す鬼岩

 そのもの、唯一無二の狩人にして、恐怖と絶望を体現せしもの。
 幾度の戦いを経て無敗、カーストの頂点に君臨する王にして絶対者。

「まったく手癖の悪い。なんなら友真殿に躾の仕方でも仕込んでおこうか?」

 暗闇にあってなお朱く胎動する鬼顔の大嶽に、ふぅっと吐き出した紫煙の影が浮かぶ。
 遁甲の術で潜行していた一臣だったが、無慈悲な生命探知であっという間に制圧されたのだ。

「はッ‥‥その躾の成果が愁也なら、おまえの躾も大したことねぇな? 遥久」

 無言。だが鎖に捕われた腹が締めあげられ、一臣は苦悶の息を吐く。
 拘束され地に伏した一臣。睨み上げるように夜来野 遥久(ja6843)の顔を伺うが、その表情は読めない。

「愁也の写真はともかく、『こちら』を奪おうなど言語道断――というか『これ』を狙う事がどういうことか、加倉は知っていたはずだな?」
「‥‥ぐ、ぁ‥」

 鉄と鉄が執拗に擦れる音。次いで、急激に体が浮遊するような感覚。上半身だけを無理矢理引き起こされ、頭を掴まれた。
 零距離の遥久と視線が絡む。見開かれたその瞳は、深淵。


「いっぺん、死んでみるか?」








●桃香揺蕩う雅樸な茶屋

「ほわぁ‥‥なんかいい匂いがするんですの‥‥」
 島の頂上に地獄青年が出現したころ、山の5合目ほどにある小さなお茶屋。
 ふんわり漂う甘い香りに、誘われる猫‥‥の中の人、1人。

 彼、カーディス=キャットフィールド(ja7927)は平和な人物である。
 今日ものんびりと、当たり前の休日を謳歌するはずだったのである。
 しかし‥‥ッ! 『俺は、猫の定期検診に行ったと思ったら、いつの間にか沖縄にいた!!!』
 何を言っているか本当にわからん。しかしこれが鬼ごっこの業なのだ(最早辻褄をあわせる気がないライターの顔)

「この匂いは‥‥(すんすん)お抹茶と桃でしょう「あ、カーディスさんこんばんわ(にこにこ」くぁッッ―――‥‥!!!!」
 のんびりと、ここが戦場であるなどとまるで意識していないかのような笑顔で手を振る石田 神楽(ja4485)。
 しかしカーディスは知っている。この方、割と危険物。
「あああわわわわわわ‥‥石田さんどうしてこんな所にいいいいいいらっしゃるんですかああああ」
「アスハさんが面白そうな事を企画していましたので(にこにこ」
 記録に間違いがなければ、石田は『Orzでの鬼ごっこ』には初参加である。――えっまじで!?
 うん。ぶっちゃけ超常連な気がしてたけど。なんでかな!? さも当然に狩る側ポジにいる腹黒感かな! きっとそうだ!
 がくがくぶるぶるのカーディス。頭と肩に乗っけた猫たちも合わせて上下に微振動している。
「というわけで、その猫さんをいただけませんか?(にこにこ」
「だだだだめです! ウチの可愛いコはあげられませんよおお!! って、あれ‥‥カメラですの??」
 先ほどまで神楽が座っていた長椅子には、ぽつんとデジカメが置かれている。
 軽率に近寄るカーディス。手を伸ばした瞬間、

 >ぱしゃっ<

「ふぉゎっ!?」
 カメラのストロボが視界を塗りつぶした。
 猫は目を閉じてたのでご安心ください!!!
「な、なんです「いただけませんか?(にこにこ」
 鬼道忍軍も驚きの速度で背後に回った神楽、笑顔の肩ポン。
「にゃぁああああああっ!!!!」
 もはやホラー。夏の風物詩です。

 と、そこにカーディスの悲鳴を聞きつけた少女が突撃してきた模様。なお低空飛行+身長差のため鳩尾にクリーンヒットである。
「ねこさあああああああああああああああああんっっっっ!!!!!!!」
「ぉげふっ」
「おや、瑠璃さん?」
 その少女、神楽には見覚えがあった。
 点喰 瑠璃(jb3512)は、数年前から師弟の間柄――にいつの間にかなっていた――なのだ。
「(もふもふもふもふ)みゅぅぅ〜‥‥あっ! こんばんわ、かぐらせんせー!」
「はい、こんばんわ(にこにこ」
「せっかくせんせーといっしょなのに、じゅうがつかえなくてざんねんなのー(ふもふもふも」
「さっきのタックルは十分狙撃なみの勢いでしたよ(にこにこ」
「前と後ろで私を挟んで和やかに話さないでくださいましー!」
 これぞ俎上の猫(猫とは言っていない)。
 白と黒の猫たち(本物)も尻尾を膨らませて臨戦態勢なのだが、いかんせん本気で引っ掻いたとしても撃退士には傷ひとつつかない。撃退士つよい!
「このコたちが可哀想なので、乱暴はやめていただきたいんですが‥‥」
「るりたちらんぼうしてないよぉ。ねこさんなでなで(強制)してるの!」
「(精神的圧迫を除き)何もしてないですよねぇ(にこにこ」
 まずい、根本的に意思疎通に難がある!
 ゲーム上での自分の生存と愛猫たちの身の安全。うん、比べるべくもないな。
「‥‥わかりましたの。ではもふもふが好きそうなので、瑠璃さんには白猫の『朝』をお貸ししますの」
「ほんとーですか!?」
 わーいわーいと喜ぶ瑠璃。『朝』は体重10kg以上だが、嫌がる素振りもなくもふもふと抱きついている。
 神楽はというと、無邪気に喜ぶ瑠璃を笑顔で眺めつつ――
「では私は黒猫をいただくということで?」
「慈悲もなし!?」
 その時忍者の背筋に戦慄走る――!!
「冗談ですよ。カーディスさんからはもう目的のものをゲットしましたので、満足です(にこにこ)」
 瑠璃は「ねこさんとたんけんだー!」と意気揚々とどこかへ飛び去り、神楽も軽く会釈をして去っていった。

「目的のもの‥‥? わたくしなにか奪られたんでしょうか‥‥」
 ぽかーんのカーディス。
 彼は知らない――神楽の目的の一つは『カーディスをにゃーと言わせたい』だったことを――。


●岩漿落ち滾つ崔嵬の洞窟

 紅玉髄をとろとろに溶かして流したような、鈍い煌めきを放つ溶岩が伝い落ちる。
 そこは、洞窟。いや、岩の裂け目と言ってもいいかもしれない。
「驚いた、な。こんなところに来る物好きがいた、のか」
「ハ、同じ言葉を返してやるよ」
 アスハが投げかけた言葉は、真実その通りだと思ったのだろう。
 溶岩はもちろんダミーであるが、その熱は本物さながら。洞窟内は蒸し暑く、およそ好んでこの場にいたい人間は、そう多くない。
 そこにやってきたのは、マキナだった。
 ‥‥開始直後に妹から逃げてきたマキナだった(強調)

(そろそろ動こうとは思っていたが、まさか先に見つかるとは、な。‥‥さて)
 後手で何かを触るマキナの挙動を観察しながら、アスハは次の対応を逡巡する。

 マキナとは長い付き合いだ。
 彼に飛び道具は――0ではないが、ほぼ無いと言っていい。
 つまり、距離があるうちは直接攻撃はされないだろう。

 マキナとは長い付き合いだ。(鬼ごっこ的な意味で)
 彼の生存率は――0だ。
 つまり、彼と共にいるということは、巻き添え死を意味する――!!!!(迫真)

(位置的には奥にいるこちらが不利。瞬間移動で裏に抜けて‥‥まずは離脱を優先する、か?)
 視認できる位置であれば、対象を抜けてジャンプできる。
 瞬間移動を持つダアトにとって、袋小路と退路を失うことはイコールではない。
 背後に跳んで、そのまま逆にマキナの逃げ道を断つことも――。と、その時。

「アスハ」
 不意に声がかけられる。
 マキナの意図を測りかねたアスハは視線で返事するにとどめた。
「‥‥?」
「俺は今回生き残る事を再優先に考えてるんだ」
「ほう」
 過去に生き残った試しがない。死亡率100%、どこぞのホラーゲームのような肩書を持つマキナ。
 生存は何よりの悲願だろう。

「故に」
「故に?」

 マキナの口端がニヤ、とあがる。
 ポケットで触れていたそれ‥‥スマホを握りしめると、アスハにびしぃと指を突きつけた。


「俺は――お前を売って逃g「おにーーちゃぁーーーーん♪」 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!???!?!?」


 反射的に縮地で逃げようとするマキナを、異界の呼び手で拘束するアスハ! えげつない!!
 とかやってる間にメリーが小走りで洞窟に入ってきて、マキナにぎゅうっと抱きつく。
 その光景はまるで長らく会うことができなかった恋人さながらである。

「お兄ちゃん‥‥っっ!(ぎゅううう) お待たせしちゃったですか? ‥‥ううん、待ってないはずなの。だってお兄ちゃんの様子はメリーずっと見てたのです。さっきお兄ちゃんがおしりのポケットに入れてるスマホで誰かに電話をかけたのも、ぜ・ん・ぶ‥‥。どうしてメリーに電話かけてくれなかったのです? 最初はどうして逃げたのです? 嫌われちゃったのかと思って、メリーとっても寂しかったのです‥‥。でも、少し我慢したほうがお兄ちゃんが構ってくれるようになるかなって思って、メリーは我慢しながら、ずっとずぅっとお兄ちゃんを追いかけてたのですよ‥‥?」

 どんどん声のトーン落ちてく怖い!
 メリーがみせたスマホの画面には、GPS追跡アプリの画面――勿論、表示されているのは大好きな大好きな兄・マキナのスマホの位置である。
 ヒュゥ、こいつぁ重篤な病を患ってやがるぜ。

「い、いいかメリー。俺はメリーだと気づかなかっただけであってメリーが嫌いになったわけでは」
「メリー、今も逃げようとしていたぞ。ひどい兄、だな」
 真実という名の言葉の暴力!
「アスハぁぁぁあああ!!(びたんびたん」
「はわっ! アスハさん、お兄ちゃんを捕まえてくれてありがとうございますなの!」
 一度マキナから離れ、ぺこりと頭を下げるメリー。アスハはこれ以上ない笑顔である。ウィンクつきだ。片目隠れてっけど!
 そしてメリーはレジャーシートを敷き、おしぼり、お皿、フォークなどの可愛らしいカラトリーをいそいそとセッティングしていく。(※ダミー溶岩が流れる洞窟です)
 その様子を見たマキナは最早悟り顔。異界の呼び手の拘束は切れているが、運命を受け入れる構えである。
「メリーね、お兄ちゃんのためにいっっっっっぱい愛をこめてお料理作ってきたのですー!! さぁ、いっぱい召し上がれ♪なのです!」
「は、ははは、ありがとな‥‥はは‥‥‥‥またこのパターンか‥‥」
 ランチバスケットから取り出したるは、名状しがたきその形状。どす黒く蠢く、異形なりし業の具現。
 一瞬視界に捕らえるだけで狂気に囚われそうなそれ。ガチガチとマキナの歯が鳴った。
 畜生、地獄めいたやつらめ! いや、そんな! 皿から伸びるその触手はなんだ! 口に!口に!!


 洞窟内に、声にならない断末魔が上がった。




 数分後。
 アスハは首にネックレスを、帽子の上からぽこっとヘルメットを被ると
「2人ともゆっくりオヤスミ、だな」
 スリープミストが充満した洞窟を後にした。



 ――マキナ・メリー(マキナが『モノ』を完食したため)、OUT。





●鬼顔に紛う黒く屹立す鬼岩

(さて、そろそろいい時間か)

 腕時計からついと視線を外し、遥久は眼下に広がる『鬼ヶ島』を眺めた。
 ゲーム開始から30分。半分を折り返し、残るゲーム時間は30分。
 一臣から一度全部奪った上でアイテムを返し放逐する――文字通り『いっぺん死んでみる?』を実行してから5分。
 アドバンテージは十分に与えた。獲物が足掻く姿を楽しむのももういいだろう。
 残る時間は『ひたすら狩る《全面戦争》』!!!



<○><○>カッ




●瓦礫散る草臥れた集落跡

「‥‥んぅ?」
 人気のない集落――いや、廃村といっていい家屋跡の真ん中に、それはもう不自然な土嚢がでーんとおいてあるのに気づいた華桜りりか(jb6883)。
 ちょっと考えて、しかして考えてもその意図はわからず、色々考えた末、
「んと‥‥おねがい、なの」
 あきらかに怪しいので、自身はちょっと離れた位置に隠れ、鳳凰に取りに行かせる。
 心得たとばかりにすいっと土嚢を咥える鳳凰。しかし重い!!30kgあるからな!
「がんばれ、なの‥‥(ぐっ」
 頑張って再び飛び立つも、その軌道はまるで安定せず。
 よたよた。ぐらぐら。
 あっ落とした。

 \どしゃっ/
「っぶぁ!?」

「‥‥う?」
 かくり。首を傾げ声のしたほうを見てみると、砂袋が人の形を象るようにひしゃげて浮いているではないか。
 うわーボディペイントで潜伏していたゼロのどたまに偶然あたっちゃったぞー、なんてうっかりだー(棒
「よ、よぉ。りんりん‥‥」
 ぐんにゃり顔を潰されながら片手をあげるゼロ。
 顔がひきつっているのは頭に土嚢が乗っているせいか、だいまおーに遭遇したせいなのか。
 ボディペイントを解除したところで彼の存在を認めると、りりかは「あ」とつぶやいた。
「んと‥‥それ、ゼロさん、の?」
「んや、俺のやない。土嚢ってことは――」
 そのとき。

 ぴょぴ〜〜 ふぴ〜〜

 と気の抜ける音が、どこかの家の影からこだまする。
 音の主は不明。しかしそれは明らかに誰かに何かを知らせる音だと推測できた。
 トラップを仕掛けた者と、そのほかに協力者が居るのか。それとも、全くの第三者か。
「‥‥ちっ。りんりん、こっちや」
 危険を感じ、ゼロは土嚢を元の位置へぶん投げる。一時休戦として家屋の影へそっと身を潜める2人。

 やがて――
「この辺で音が鳴ったと思うんだが‥‥」
 きょろきょろと物陰から様子を伺いう影が1つ追加。
 右手に握りしめた褌は、暗闇の中でなお白く浮かび、彼の存在を識らしめる。
(マジか‥‥ここで古代さんが来てまうんか‥‥)
 びっくりするほどホイホイ釣れたパターンのやつ!
 笛(?)を吹いた人間はまだこの近くにいるのだろう。そして恐らくあの土嚢の持ち主も。
(しゃーない。とりあえずは出方を伺うか‥‥)
 ゼロにとって古代は共闘すべき仲間である。できれば共に行きたい。
 そして彼は、「俺が人の物を狩れるわけないだろ!!」と自他共に認めるほどの『狩られる人』。
 ハンター達にとって、絶好のターゲットなわけである。
 古代を狙ってきた狩人を横から襲撃し、あわよくば古代を救出――よし、これでいこう。

 そんなゼロの気も知らず、古代はふらふらと土嚢へと近づいていく。
 目の前に無防備に置き去られた土嚢は初勝利への道標にも見え――。
(どうせいつもどおりなら狩られるだけだし‥‥一瞬なら俺も夢を見ても良いじゃないか!!)
 そしてゆっくりと土嚢に手を伸ばした瞬間。

「ぃ‥‥っっっっっってえええぁあああぁあぁ!!!???」

 家屋の上から古代の顔面めがけ、赤色がぶちまけられる。ペロッ――これは‥‥唐辛子液!! 目開けたら死ぬやつだ!?
 間髪入れず、錘のついたロープが古代の両足に絡み、引き倒し、逆さまに釣り上げられた。
 そのロープを持っているのは、櫟 諏訪(ja1215)。
「確保ですよー!」
 古代のトレンチコートへ手をかけた諏訪。あれ、これ脱がさないといけないやつじゃね?
「その声は櫟さん‥‥っ!! あっやめて!やめてえええええ!えっちぃぃぃぃ!」
「ひ、人聞きが悪いですよー?」
 切れ端とかじゃダメですかねー? と物騒な事を言いつつ追い剥ぎしてると、家屋の影から弾丸の如く飛び出す影――ゼロである。
 今なら奴は両手が塞がっている! 積年の恨み、晴らさでおくべきか!!
「覚悟しろ諏訪ァァァァァ!」
 華麗な爪楊枝捌きによる渾身のたこ焼きスリーバースト!!!!
 しかし諏訪の回避射撃!(※主武器:古代) 1個、2個、成功、3個め――直撃!
「ふぐっ」
 しかしゲーム開始からすでに40分、もはやぬるい!!!
 ダメージはまるでないと見せかけて、冷えてもっそもそのたこ焼きで諏訪に精神的ダメージ! あと水が欲しい!
「ゼロふぁん、たこ焼きをこんあに冷まふなんて‥‥(ごっくん)それでも関西人ですかー?」
「じゃかぁしい俺は魔界出身や!! そんなに『モノ』が欲しけりゃ――くれたるわ!」
 小さなキーホルダーの端を口で咥え、勢い良く、引く!

 ピュイィイィイィイィイィイィイィイィイィ――!!!!

 けたたましく鳴る防犯ブザーを諏訪に押し付けながら、返す手、八咫烏の爪でロープを断ち切った。
「はっはー! そのまま的になっとれや!」
 投げ出された古代をキャッチし、お姫様抱っこで全力移動で一気に場を離れるゼロ。
 左手の中指が若干モザイク必要な感じになってるのは秘密だ。よいこのみんなは真似しちゃだめだぞ!
「ゼロ‥‥! もうおじさん惚れていいかな!? おまえになら抱かれてもいい!(語弊)」
「もう抱いとるわ!(語弊) 『本物の鬼さん』来る前に逃げるで!」
「逃しませんy《ばふっ》わぷっ」
 追撃しようとした諏訪だったが、どこからとも無くぶちまけられた小麦粉により視界が真っ白に。
 まだ、誰かがいる。
 今や自分の姿は真っ白に塗りつぶされ、隠密とは真逆の様相だ。ブザーなど持っていたら狙い撃ちもいいところ。
(くっ‥‥戦略的撤退ですよー!)
 ブザーを捨ててスレイプニルを召喚すると、一路、藍色が濃くなりつつある空へと駆け上がっていった。


「んぅ‥‥? みんないなくなったのです‥‥」
 残されたのは諏訪が捨てていったブザーと、放置された土嚢。そしてこっそり隠れていたりりか。
 未だブザーは大音量で鳴り続いている。
 流石にアレを拾って行くのはまずいだろう。あと耳も痛い。
 ちょっと考えたあと、30kgの土嚢をよっこいしょと持ち上げ、
「ぅ‥‥重い、の‥‥」
 5歩目でぺしゃっとその場に潰れた。


 ◇


「ひぇー‥‥予想以上に荒れたな‥‥? 音ラムネの召喚力つよい(確信」
 胡桃や古代を引き寄せた謎の音の正体は、友真の音ラムネだった。
 友真の作戦は、潜伏している人の近くで音ラムネを吹いて『狩人』を呼び寄せる。
 そして場が混乱したところでこっそりモノを頂いていく。
 ――戦わずして勝利する。なんて素敵な響き。
 とりあえずびーびーうるさいブザーはえいやっとバスタードポップの銃床で「えいっ」と叩き割る。
 対象が完全な状態でないとカウントされないルールはない‥‥つまり壊しても問題ない‥‥!!
「完璧な理論やん‥‥? 今日の俺は天才なのでは‥‥?」
 額に貼った冷却シートのおかげで頭が冴えているのかもしれない。
 でもめっちゃ法の穴感あるけど、ヒーローとはなんだったのか。

 さて、静かになったところで、倒れているりりかの様子を伺う友真。
(いつもはうっかりだいまおーのりりかちゃんやけど今なら――様子見ヒーロー大勝利の予感や‥‥!!)
 そぉっとりりかに近づき、かつぎを回収。
「えーともう1つは‥‥‥‥チョコ‥‥? この籠に入ってるんやろk《がしぃ》ひっ!?」
「あたしからチョコを取るつもりなの、です――?」
 ずるり、倒れて乱れた髪をそのままに友真の足にすがるりりか。
 ホラーです(再)


\ひょああえああわあああああああああーーーーーーーーーーーーーー!?!!??/


「いやっこれはっ、あのっっりりっ‥‥ごごごごっっごごめんんなさあああああいいいい!!」
 どうしたヒーロー! がんばれヒーロー! だいまおーに負けそうだぞヒーロー!!

「あたしの――チョコ、を――?」
「うわああああん!!!!!!」
「友真あああああ!!!!!!」
「一臣さァん!!(乙女顔」
 殺伐とした鬼ヶ島に颯爽と現れる >>スパダリ!!<<
 ハンターカースト的には友真より下だけど!!
「くっ、友真から手を離すんだりりかちゃん! 離さないと‥‥‥‥女性に手をあげるのは本意ではないが――!」
 取り出したるは、『狩られるもの』に指定していたコーラ。
 軽く上下に三振り。タブに指をかけ、りりかへと向ける。
「あっそれはあかんんんん!!! 俺が飲「あっ(パキュッ)」
 ゆうましってるか、たんさんはぬるくなると めっちゃふきでる。

\ぶしゃー!/

「めっちゃしゅわしゅわするうう!! でもおいしい‥‥!」
「んむぅ‥‥べとべと、なの‥‥」
 友真(直撃)を掴んでいるりりかの手にもコーラが噴きかかり、思わず手が引っ込んだ。
 あと幸い『チョコは死んでも守り切る』モードから正気に戻ったようでもある。
 好機と見て、友真を引っ張って駆け出す一臣。
「よし、手が緩んだ。逃げるぞ友真!」
「俺のコーラぁ‥‥!」
「生きて帰ったら冷たいの買ってやるから!」
「ほんま!? 一臣さん愛しとる!」
「安いな!」

 賑やかな2人が立ち去り、しんと静まった廃村。
 かつぎを失ったりりかはすこし落ち着かなげに髪を触っていたが、やがて身を潜めていた鳳凰がりりかの肩にとまり、頬を寄せてくる。
 くちばしには、コーラの缶。
「えと‥‥からっぽでも、大丈夫なの、です?」
 かくり、と揃って首をかしげた。


●白烟満ちる断崖の湯場

 こつこつと響くパンプスの足音を捉え、神楽はそっと視線を湯気の先へと向けた。
「おや。お揃い、だな」
 一瞬目を合わせたのち
「‥‥あっ紫蝶先生こんばんわですよー」
「‥‥はい、どうもこんばんわ(にこにこ」
「‥‥こんばんわ、月摘先生」
 諏訪、神楽、遥久の三者は、極めて友好的に――まるでホストかのように、微笑みかけた。
 この三者、こと鬼ごっこに於いては天魔の大将も裸足で逃げ出すレベルの布陣だが、初参加の紫蝶としては――
(まぁ、常識人が集まれば平和になるのは当然、か)
 Konozamaである。おまえそれネトゲのPvPでも同じ事言えんの?(真顔)
 しかしこの平和、お互いを『狩る側』という認識であるがゆえ、ノーモア潰し合いというだけであり。
 ただし誰がどこに居るって情報交換してたから、狩る気自体は満々なんですけども。

「そういえば、先ほどは愁也が失礼をしたそうで‥‥躾が行き届かず申し訳ありません」
「え? あ、ああ。私は平気だが‥‥なるほど、それで『アレ』か」
 深々と頭を下げる遥久を横目に、紫蝶は眼鏡のない目でそれを眺めた。
 露天風呂にぷかぁと浮かぶ、すまきの愁也。頭にかぶっていたぱんつも湯に漂っている。
 諏訪はごく日常のように笑顔でそれを眺め、神楽などは手持ちのデジカメで処刑(訂正線)調教姿を撮影していた。

「愁也さん、お湯かげんはどうですかー?(にっこり」
「そういえば夜来野さん、あれ(ぱんつ)は何かの罰ゲームだったんですか?(にこにこ」
「さぁ。馬鹿の考えることは私にもよくわかりませんので(笑顔」
「遥久冷たい! 雑!! 大好き!!(ばしゃんばしゃん」
 ああ、躾ってそういう‥‥(察し)

「それにしても、お前達は随分のんびりしてるな。ここは非戦闘地域とかだったかい?」
 油断と隙しかない。軽率に煙草の箱を取り出し、火をつける紫蝶。
 その瞬間、諏訪のロープが紫蝶の手を打ち据え、神楽のデジカメが瞬いた。
 乳圧でひしゃげた煙草の箱を遥久が拾い上げ、紳士的な笑顔のままに振り返った。

「「「いえ? 誰が先生のお相手《ハント》をするか相談してましたよ(笑顔」」」
「えっ」
 狩人カースト上位のユニゾンこわい!
 普段まともな人ほど狂化する――とでも、言うのだろうか。
 割と真面目に、ガチで参加してた紫蝶であったが、久遠ヶ原式鬼ごっこの洗礼をしっかりうけたのだった。
 Orz。



 閑話休題。
 紫蝶の煙草は最初にロープで紫蝶の手を払った諏訪の取り分ということになり、諏訪は再びスレイプニルに乗ってどこかへ飛び立った。
 諏訪の姿が見えなくなったころ――神楽がおや、と何かに気づく。
「夜来野さん。『そろそろ狩りに出たほうがいいのでは?』(にこにこ」
 狩人同士の直感ともいえるものだろうか。
 爽やかな笑みを返す遥久。
「――! そうですね。『獲物も食べごろの時間でしょうし』。では、失礼します。いくぞ、愁也」
「えっ、ちょっ、遥久置いてかないでええ(びょんびょん」
 なお、愁也は縛られたままだった。

 ◇

 諏訪が旅立ち、遥久と愁也が『狩り』に出て、煙立つ温泉に神楽と紫蝶が残される。
「先生はどうするんですか?(にこにこ」
「はは、もう2つとも奪られたからな。足湯で筋肉痛予防でもしておくさ」
「なるほど(にこにこ」
 ――それを遠巻きに見る影2つ。

(よし、遥久はどこかに行ったか‥‥)
(一臣さん一臣さん、しちょー先生はもう戦力外やし、2対1ならワンチャンあるのでは(きり))
(えっ、どうだろ‥‥? 神楽くんも十分強キャラじゃないですかね友真さん)
(せやな‥‥神楽さんやしな‥‥。やっぱ他んとこかなぁ)
 こそこそひそひそ。
 カースト下層だってハンティングしたいっ!!(ラノベ感)という友真の意見により、獲物探しをしていた2人。
 よもやハンターが3人固まっているとは思わず背筋が凍る思いもしたもんだが、先んじて紫蝶が犠牲になってくれたお陰でゆっくりと検討することができた。
 のだが。


「‥‥みぃつけた‥‥」<○><○>(ギラァ


 ぞわわわわっっっ
 背後に突如沸いた殺気と低音ボイスに、思わず腰が砕ける友真と一臣。
 振り返れば奴がいる――!!!

「「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」(ごくん)」



 はい。まとめて鎖で拘束されました(知ってた)
 抵抗の余地もなく、友真の額から冷却シートをべりっと。一臣のお中元(鰹節セット)は――
「一度返したはずだが、加倉はそんなに私にお中元《ご挨拶》を渡したかったのか?」
「ぐぬぬ‥‥! 俺の‥‥オチが‥‥!」
 哀れみの目で一瞥してからゲット。

「あとは‥‥友真殿、音ラムネはどちらに?」
「‥‥‥‥った」
「はい?」
「さっき脅かされたときに――飲み込んじゃい、まし、た‥‥(めそらし」
 沈黙。
 見下される視線で、ピリピリと肌がひりつく。
 そしてたっぷり10秒ほど間をおいて、遥久はゆっくりと唇を開いた。
「‥‥愁也、ラバーカップを貸してくれ」
「え?いいけど何すんの?」
「決まっているだろう。これを友真殿の口に当てて――「ぶっふぁwwwハンター遥久マジクレイジーwwwwwつよいwww」
「ちょっギブ!遥久さんギブ!! それヒーロー的に許されへん光景っていうか出ちゃあかんやつが色々出てきちゃうやつや‥‥!?」
「心配するな、俺はどんな友真になっても気持ちは変わらないぞ(ほほえみ」
「一臣さんいまそういうのほんといらへんから!! たすけて! たすけっ‥‥あ゛ーーーーーー!!!!!!」

《滅ビノ嵐ヨ 全テヲ 朽チ 果テサセヨ――》

 ゴウッと渦巻く嵐。狂熱と冽風が交差し、砂と礫を巻き上げて遥久の目を欺く。
「く‥‥視界が」
「――あっ」
 暗視ゴーグルで砂塵対策を取っていた一臣を除き、敵が誰なのか把握できたものはいなかった。
 その1点に於いて、彼の奇襲は成功していたといえるだろう。
 目視に頼れないと察した遥久は生命探知で場所を特定したのち、まず愁也を盾に「へぶっ!?」礫を払い、返す手で鎖を放つ。
 機先を取られた以上安穏とはしていられない。
「はっ、お得意の星の鎖か? 俺の特殊抵抗じゃ捕まらんで!」
 特徴的なその喋り。なるほど、シュバイツァー殿か。
 素直にじゃらりと鎖に巻かれる感触。それは自身の能力を自負してのことだろう。
 確かに彼の人の抵抗値は賞賛すべきもの――だが。遥久はふっと微笑んで。
「残念ですが、これはちょっと頑丈なだけのただの鎖です」
 ぢゃり、と金属がこすれる音がする。物理的に縛ればどうということはない。特殊抵抗? 関係ないね。
 これが星の鎖だったら、今頃涼しい顔で拘束から抜けていただろうに――。
「では、覚悟はよろしいですか?(微笑み」


 ☆俺たちの戦いはこれからだ――!! ゼロ先生の次回作にご期待ください!


 ◇

「――お見事でした」
 ゼロ、一臣は所持品を狩り尽くされ、友真のラムネも、『遥久さんに取られたってことでええです‥‥!!』と友真がOrz《土下座》したため、ラバーカップによって友真が犯される(比喩表現)ことはなかった。
 そしてそれらの一連、一部始終をにこにこしながらみていた神楽。
 湯場では2人の気配を察知して、一臣を陥れるためにわざと芝居をしたのだった。
「やっぱり一臣さんは陥れられてるときが一番輝いてますねぇ(にこにこ」 (※褒めてる)(※すごく褒めてる)
 狩りの成果より、自分の楽しみが優先。
 カーディスの『にゃーと言わせたい』に続く神楽の目的。

 それは『遥久・諏訪とは一緒に楽しみたい』、『愁也を観察したい』、『一臣を陥れたい』、『友真の土下座が見たい』だった。
 もしかして:一番勝ち組


●月光を隠す陰翳の天鵞絨

 がさがさと草擦れの音が森のなかに響き渡る。
 どうやら祈羅がカーディスを追いかけているようだ。
「あわわわっっわわわっ!?」
 瞬間移動、からの異界の呼び手。大きくぶおんと回される腕の影がカーディスのジャケットのファーにわずか触れる。
 カーディスはすんでのところで体を反らしてそれを避け、鬼道忍軍さもあらんといった身のこなしで樹上の枝へと着地した。
「もう、すばしっこいなぁ! 古代ちゃん見習って素直に捕まっちゃえば楽になると思うんだよぉ?」
 そう、古代は既に捕まっている。
 まぁね、びっくりするほど捕まらないためのプレイングがなかったからね? 逃げるとしか書いてなかったからね?(メタ事情)
 そりゃあ適当に縛り上げられてても致し方無いよね!
「私は巻き込まれただけの無害な黒猫忍者ですからその物騒なお手手しまって!?」
「Orz《ここ》まで来といて巻き込まれと言っても、説得力がないんだ――よっ!」
 再び瞬間移動でカーディスの背後へ。「ひぎゃっ」と一声、カーディスは再び地上へ。
 一目散に走りだす――が。

「O☆SU☆WA☆RI!」
「ひぎゃんっ!?」
 木の影から突然出てきた木の輪切りに足を払われ――
「‥‥からのっ! 脳筋スタンダード魔女あたい流! バームクーヘンアタァーック!」

 >>ばちこーん☆<<

「ふぎゅっ‥‥なんなん‥ですのぉ〜〜‥‥(ばたり」
 流れるような連続攻撃。このバームクーヘン捌きは‥‥っ!
「ふふん、一丁上がりよ」
 エルナさん! 魔攻なんてお飾り系鉄拳魔法少女ぐだぐだ*エルナさんじゃないか!!!
 滝壺でキリングマシーン☆コモモから必死で逃げて以降、約1万3千文字ぶりの復活であった。正直すまんかった。
 ばたんきゅーのカーディスに跨がりマウントポジションを確保すると、ふぅっと一息。
 思えばここまで長いものだった。
 子供ならいけると思って瑠璃のねこさんバッチを奪おうとしたらもたもたしてる間にぴゃーって泣かれるし、メリーに襲いかかろうとしたら目がイッちゃっててSAN値直葬だったし、距離をとって追尾したら洞窟から悲鳴が聞こえてマジ怖いし、出てきたアスハには米10kg押し付けられて超重いし!! ‥‥あれ、バームクーヘンより米で殴ったほうが強かったのでは?(名推理)
「まったくどいつもこいつも殺気立ってて怖いったら‥‥でも、やっと狩れそうな猫ちゃんを見つけたわよ!」
 察しのいい皆様には、既にお分かり頂けているだろう。まとまった量の回想がフラグ建設だということに。
 そして、先ほどまでカーディスを追いかけていた人物がいたことに――。
「さーて、レッツあたいタイム!」
 ゆらぁっ
「いっただっきまぁーす‥‥☆」


 \アッーーーー!!!/


「撃退士って…ばかよねぇ…(ばたり」
「夜ちゃん‥‥怪我せず生き残るんですのよ‥‥(よよよ」
 馬鹿なのは撃退士なのか、それとも。
 祈羅は鼻歌まじりに木の輪切りと黒猫を回収すると、2人を放置して古代を放置してきた場所へと踵を返す。
 しかし、木々のざわめきに紛れ、遠くから変な声が聞こえるではないか。
(――む。誰かが横取りしたのかな?)
 そっと幹に身を隠し、聞き耳を立てる。


「待ってくれモモ! 胡桃ちゃん! 胡桃様!! この2つを失ったら俺は矢野 古代たる要素の7割は失ってしまうわけであってな‥‥!!」
「古代父さんには私がいるから大丈夫、だよ(笑顔」
「そうだね!(即答) いやそうではなくね!? 危ない俺一瞬騙されかけたよ流石マイエンジェル可愛い! そう、俺が褌とコートを失ったらひたすらモモを可愛いと言うだけの撃退士に――」
「よし、問題ないわね! レッツジェノサイド!」
「いやああ!! 俺が俺じゃなくなっちゃう! 矢野古代が只の代になっちゃああああああ!」
(※バラが散るイメージ映像)(※あくまでイメージです)


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥よし。ここに古代ちゃんなんていなかった。いなかったんだよ。うん。見なかったことにしよっと!」
 君子危うきに近寄らず。触らぬ陛下に祟りなし。



● ――GameOver.

「にゃんぽこりーん♪ にゃんぽこりーん♪ ねこさんねこさん、つぎはどこにおさんぽいこうかな?」
『ぉあー?』
 そこは鬼ヶ島の中で一番高いところだった。島のすべてが見渡せる鬼岩の頂。
 白猫の朝というもふもふの相棒猫を得た瑠璃は、狩られるもの競争の主旨も忘れ探索に勤しんでいた。
「ど・こ・に・し・よ・ぉ・か・な‥‥‥‥んにゅ?」
 ピコピコッ♪ と、ポケットからお馴染みメッセージアプリの通知音がする。
 こてん。と首を傾げ、スマホを取り出そうとする、と。

 ピコピコ♪ ピコピコ♪ ピコピコピコぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴこぴこっ♪

「ひゃぁっ!? ね、ねこさんなんだろうこれ」
 滝のように流れるスタンプ連打。いわゆるスタンプ爆弾。
 まるで携帯がバグったのではないか――と思うほどのそれ(※個人の感想です)
 落ち着いたころになんとか画面を開くと

 \諸君、遅刻はよくないぞ(イケボ)/
      _______
      |          |
      | ※ウザい顔の |
      |   学園長を  |
      | ご想像下さい |
      |_______|

 聞き覚えのある――そして見覚えのある、学園長の顔のスタンプが画面いっぱいに表示された。
 危なかった。純真無垢の幼女じゃなかったら殺意の波動に目覚めるところだった。
 スタンプ爆弾が落ち着いて、まもなく

『おつかれさーん♪』
『お疲れさまでしたよー?』
『オツカレサマ、だな』
『おつかれさまなのですー!』
『お疲れ様です』

 続々とメッセージが積み重なっていく。
「あ‥‥そっかぁ」
 すとん。地面に座り込み、朝のもふもふの毛を撫で梳きながら、わいわいと賑やぐタイムラインを眺めた。
 祭りの時間はあっけなく過ぎていく。
 目を開けば掻き消えてしまう、うたかたの夢のひとつ。
 瑠璃はほとんど散歩してただけだけども。
「ねこさんとも、ここでおわかれなのかな?」
 そう思うと、少ししょんぼり。
 ほんの僅かの間でも、頭の上で尻尾を振るその猫とは確かに通じ合うものがあった。

『では、浜辺に全員集合してから帰るとする、か』

「‥‥うん、かえらなきゃね。ぱぱとままも、おうちでまってるもの」

 ゆっくりと、集合場所である浜辺へ向かって歩き出す瑠璃。
 おつかれさまです、と遅れ馳せの挨拶をすべく指を滑らせていると。

『瑠璃ちゃん、朝と一緒に遊んでくれてありがとうですのよ』
『学園に戻ったら、今度は普通に遊びましょうね〜(ΦωΦ)』

 カーディスのメッセージを見て、ふわっと足が軽くなった気が、した。












● ――After Ever After.

「やっっっっっっっぱりこうなった」

 ――狩られるもの競争《暇を持て余した超人たちの戦争》の結果、1位は安定の遥久であった。
 自身のアイテム2点は保持したまま、愁也のラバーカップ、友真の冷却シートと音ラムネ、一臣の鰹節セット、そしてゼロのたこ焼き(食べかけ)と、盤石の狩人ぶりをみせつけた。
 次いで戦果をあげたのは胡桃。
 同じく自身の被害はなく、眼帯、眼鏡、トレンチコート、褌――と新たな二つ名、キリングマシーン☆コモモ。
 あっ、いらないですかそうですか。
 過程に波乱はあったものの、大凡『せやな』な順位であった。


 そして、学園に戻った紫蝶の手元には毎度お馴染み、事の顛末を綴った始末書が1部。
 主にメリーが破壊した岩場と、唐辛子液と小麦粉とコーラがぶちまけられた集落について、だが。
「ダイジョウブ、傷は浅い、ぞ」
「そろそろ学園生出禁になるんじゃないか、Orz‥‥」
 いっその事、撃退士ガチ鬼ごっこショーとかにして収益にしてしまえば。いやいや、\見せられないよ!/な場面が多すぎる。
 見ただけでSAN値チェックが発生する謎の物体《メリーの料理》もあるしな。
 特殊抵抗のできない一般人には劇毒だ。うん。

「まぁ、あれだ。次からは私は無関係で――そうだな、あの『お祭り魔女殿』にでも引率を頼むといい」
「はははそんなまさか。一度鬼ごっこ沼に足を踏み入れて、逃げられると思ったの、か?」
 繰り返す悲劇と、裏切り、友情と憎しみ――。
 狂気のスパイラルは、まだ終わらな「勘弁しろ!!!!!!!!!」




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃&┃順┃位┃表┃ ※順位タイはID順
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛

━━━━━━━━━━━━━《絶望神》━━━━━━━━━━━━━
  ja6843/夜来野 遥久/男性/27歳/アストラルヴァンガード
  ja2617/矢野 胡桃/女性/16歳/ダアト
━━━━━━━━━《 絶望王 無傷&狩り成功 》━━━━━━━━━
  ja7600/雨宮 祈羅/女性/23歳/ダアト
  jb3512/点喰 瑠璃/女性/6歳/バハムートテイマー
━━━━━━━━━《一般狩人 狩って狩られて》━━━━━━━━━
[> ja8432/アスハ・A・R/男性/25歳/ダアト
  jb6883/華桜りりか/女性/16歳/陰陽師
  ja1215/櫟 諏訪/男性/22歳/インフィルトレイター
━━━━━━━━━《 初級狩人 最終的に死ぬ 》━━━━━━━━━
  ja6901/小野友真/男性/20歳/インフィルトレイター
  ja7016/マキナ/男性/21歳/阿修羅
  ja8327/エルナ ヴァーレ/女性/23歳/阿修羅
  jz0043/月摘 紫蝶/女性/20歳/インフィルトレイター
━━━━━━━━━━《美味しく頂かれました》━━━━━━━━━━
  ja5823/加倉 一臣/男性/29歳/鬼道忍軍
  ja6837/月居 愁也/男性/24歳/阿修羅
  ja7927/カーディス=キャットフィールド/男性/20歳/鬼道忍軍
  jb1679/矢野 古代/男性/39歳/インフィルトレイター
  jb3287/メリー/女性/13歳/ディバインナイト
  jb7501/ゼロ=シュバイツァー/男性/33歳/ダアト

━━━━━━━━━━《 戦わずして大勝利 》━━━━━━━━━━
  ja4485/石田 神楽/男性/25歳/インフィルトレイター


  Special Thanks 某学園長(スタンプ出演)


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
アンリミテッドライティングワークス!!!! 書いても書いても終わりませんでした、由貴です。
このたびは納品が遅れまして大変申し訳ありません……!!

さて。狩られるもの競争――エリュシオン伝統の鬼ごっこシリーズですね。
楽しく書かせて頂きました……が、最早どこから語ればいいのかわかりません。
わかりませんので、ありのままでお楽しみください(震え声)
Orzは大変なものを生み出してしまったなぁ。あぁ恐ろしい。

狩られるものを描写してあげられなかったり、ネタを消化できなかったり、
あとは『多分期待してるのはこっちだろうなー!』と思いながら、空気を読まない部分もあったり!
どうしてこうなった感があるかもしれませんが!
そんなカオスも含めて絶望鬼ごっこだと思っていただけると幸いです(笑)
どう頑張ってもルールとの整合性とれない部分もあったからね!! 是非もないネ!

それでは、狩った人も狩られた人も、予定調和の人も予定外の人も、お楽しみいただければ幸いです。
ご発注ありがとうございました!




白銀のパーティノベル -
由貴 珪花 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年09月14日

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