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『お泊りデートはトキメキも格別 』
神乃宮 霧雪ka3484)&樹導 鈴蘭ka2851

「ようこそ。お越し下さいました」

 少し年老いた着物姿の女性が正座のまま深く頭を下げる。

「お世話になります」

 柔らかく微笑みお辞儀を返すのは樹導 鈴蘭(ka2851)と神乃宮 霧雪(ka3484)のカップルだ。

「只今、お部屋にご案内致します。お荷物お持ち致しますね」

 女将に案内されたのは二間続きの部屋だった

「あの、その……混浴があるって聞いたんですが……」
 
 鈴蘭が言いにくそうに女将に尋ねる。

「はい。御座いますよ。と言いましても家族風呂で御座いますので、もしお二人が入られるのでしたら、他の方は立ち入りません。ご安心下さい」

 鈴蘭を可愛らしい女性と勘違いしたのか、はたまた二人がカップルと知ってか女将がそう微笑んだ。
 混浴の温泉があると聞いて、ここにお泊まりデートする事を決めた二人だったがやはりそう聞くと早く入りたくなってしまう。

「もし宜しければもう少ししたら入られますか?それでしたら、上がられる頃お夕食がご用意出来る様に致しますよ」

「そうですか。ではお願い致しましょう?ね、レイ様」

「う、うん」

 はにかみながらも嬉しそうにする鈴蘭。
 女将は、微笑んで頭を下げると下がっていった。


  ***


 紅の世界、クリムゾンウェストにもリアルブルーで言うところの温泉に酷似したものが存在する。
 大地と水、炎の自然精霊の加護が交わる特異な場所にだけ湧く疲れを癒すお湯、ここではわかりやすく『温泉』としよう。を求めて商人が集まり温泉街や温泉宿などを作っている。
 泉質によって効能は色々だが、一様に言えるのは体を温め疲れを癒すと言う事だ。

「こちらへ。お背中お流ししますよ」

「あ、う、うん」

 真っ赤な顔で檜の椅子に座る鈴蘭。それもそうだ。
 霧雪の豊満で魅力的な身体が目の前にある。タオル一枚ではどう考えても隠し切れない柔らかそうな胸や殿部を湯気が隠してはいるが、全てが見えないからこそ色気が引き立っていつもよりドキドキしてしまう。
 いくら女の子に見えたとしても鈴蘭はれっきとした男だし、二人は恋人同士。多少何かがあるかもしれないと期待しているのかもしれない。

 浴室の温かさで赤くなったにしては熱い肌にそっと霧雪が指を滑らせる。

「痛くは御座いませんか?何かあったら仰って下さいね」

「ありがとう……誰かに洗ってもらうのは、久しぶりだな……」

 壊れ物を優しく扱う様に霧雪の指が肌を撫ぜる。そうすればそうするだけ鈴蘭の体は緊張で固くなってく。

「……少し失礼致します」

 霧雪が前に手を伸ばす。石鹸を鈴蘭の足元に落としたのだ。

「うーん……中々取れませんね」

「あ、あの……」

「あっ、ありました……どう致しました?」

 石鹸へと伸ばされた手は鈴蘭の脇腹を通っている為、彼女の胸はべったりと背中に押し当てられている。その手が石鹸を求める度、肌同士が増えあい、擦れ合う。
 少し頬を染めながらも霧雪が不思議そうに小首を傾げる姿を見て二の句が継げない。
 気がついていないならわざわざ指摘して気まずくなるのも嫌だったし、あまりウブなところばかりでは子供っぽさが際立っていつにも増して年の差が気にになってしまう。

「ううん。あ、えっと、今度はボクが洗うよ」

「では、髪をお願い出来ますか?」

 そっと彼に背を向け、髪を濡らしてもらいながら霧雪の顔は緩んでいた。

『レイ様、あんなに赤くなって固まってしまわれて……少しばかりの悪戯のつもりでしたが、反応が可愛らしくて少しやり過ぎてしまったかもしれません』

「この位でいいのかな?」

「ありがとうございます。髪を洗ういうよりもシャンプーを塗っていくような手つきの方がいいですね」

「うん。綺麗な髪……その……痛かったら言ってね?」

 髪一本一本にシャンプーを塗っているかのように髪に指を入れ梳きながら洗うその姿は、さっきまで動きが固くなるほど真っ赤になっていたとは思えない程穏やかだ。

「……えっと」 

 互いに洗い合いが終わり、いよいよ湯に浸かろうとした時、鈴蘭は言葉を失って止まった。
 そこにあったのは、お湯がコンコンと注がれ続けている大きな瓶(かめ)だった。入った時は霧雪の肢体に目が奪われて視界に入ってもいなかったが、これにどう入るのだろう。

「どうしました?」

 不思議そうにしながらも霧雪は壷に体を沈めた。湯が溢れるが気にする様子はない。

「どうぞ」

 手招きされるままに彼も足を入れる。下がすぼまっているせいで霧雪の膝の上に乗る形になった。石鹸もなく触れ合う皮膚に、恥ずかしくなって、一旦出ようとする鈴蘭を引き留めたのは優しく抱きしめる彼女の表情だった。
 緩んだ頬は、この上なく温泉の気持ちよさと恋人を抱きしめている嬉しさでいっぱいだと言うことを嫌という程物語っている。
 こんな表情をしてくれるならと霧雪の身体にそっと手を回した。


  ***


 部屋に戻ると2組の布団がひかれ、食事の準備も整っていた。
 グラスが空けばおかわりが注がれ、料理も目の前まで運ばれる。上げ膳据膳と言うのはまさにこう言うことなのだろう。味覚に舌鼓を打った後、二人はどちらからともなく明かりを消し布団の中へと移動した。
 二組ひかれた布団の内一つは、綺麗なまま。
 それもそのはず、二人は同じ布団で抱きしめ合っているのだ。
 普通だった狭いはずの空間だが愛しい人となら口実なく自然に触れ合える最高の場所に変わる。

「なんだか、いつもと違って新鮮だったな」

「ふふ……今日は楽しかったですね」

「でも、あのお風呂は…ちょっと恥ずかしかった、かな」

「ふふ……また、一緒に入って頂けますか?」

「うん……恥ずかしいけど気持ちよかった。……今日はありがとう」

「また、一緒に参りましょう」

「うん、そうだね」

 布団の中、息も絡む程の距離でそっと指を絡め、見つめ合う二人を隠すように夜は更けていく。

 

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka3484/神乃宮 霧雪/女性/20歳(外見)/湯上り美人は微笑む】

【ka2851/樹導 鈴蘭/男性/14歳(外見)/湯けむり美男子は照れ笑う】



ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 神乃宮様、樹導様はじめまして。今回はご依頼ありがとうございました。

 風呂は心の洗濯と言いますが、温泉ですとリフレッシュ以上の効果があるように思います。
 今回は温泉宿定番の檜風呂や露天風呂ではなく壷湯という一風変わったお風呂にしております。
 基本的には一人で入るものですが、お母さんと何人かのお子さんが入っても大丈夫な程大きな壷湯も存在する為、今回は壷湯にお二人で入って頂いております。
 お二人の日々の疲れが癒え、

 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2016年09月30日

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