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『 大切な約束の日 』
十影夕aa0890)&桜寺りりあaa0092

 十影夕(aa0890)は一人近くの駅に向かっていた。
 それは桜寺りりあ(aa0092)と駅で待ち合わせをしていた為だった。

 以前自分の英雄の誕生日をりりあに一緒に祝ってもらい、それで夕はりりあに
「 9月誕生日って言っていたよね。よかったらご馳走するので、予定があえば」
 と、そう言いながらデザートビッフェへと誘ったのだった。
 誕生日のお返しに自分なりに色々と考えたのだが、自分にはセンスが無くそれに彼氏でもない。やはり物じゃない方がいいかなと思い、デザートビッフェを選んだのだった。
 そんな夕の誘いをりりあは嬉しそうに応じ夕はそれを見、内心ほっと安堵した。
 彼にとってりりあはちょっと気になる相手でもあった。だから夕は当日りりあに楽しんで欲しいと思っていた。

 駅にたどり着いた夕は駅の近くの時計台の方へと足を向ける。そこが彼女と待ち合わせの場所だった。
 りりあと約束をしていた時間は午後の15時。
 現在の時刻は14時55分であり、5分程早い。
(少し早めに着いてしまったな……)
 そう思いながら夕は時計台の柱に背を預けた。
 そんな時。
「夕さん、お待たせ……しました」
 突然後ろの方からりりあの声が聞こえ、夕は振り向いた。
「大丈夫だよ。俺も今来たばかりだから」
「そう。なら、良かった……です」
 りりあにそう言うと、りりあはほっとしたような表情を浮かべた。
「それじゃぁ行こうか」
「はい……」
 二人はそう言葉を交わしながらその場から歩き出した。


 駅から暫く歩いた先にある一つの高級なホテルの前にたどり着いた二人は足を止めた。
「ここ……なのですか」
 りりあは少し驚いた表情をしながらホテルを見上げ、小さく呟いた。
 それもそのはず彼女自身はこういう建物に入るのは初めてであった。
 たまに出掛ける時に通りかかったり、テレビなどで目にする機会はあっても実際に建物の中には入った事は無い。初めての事に対して多生なりとも彼女の中で緊張感が生まれる。
「ここで大丈夫みたいだよ。この中のホテルにあるって書いてあるし」
 夕はスマートフォンの画面を確認し、りりあへと言った。夕が手にしていたスマートフォンには場所の位置、ホテルの店内の画像が表示されていた。
「夕さんが、そう言われるのならば……大丈夫ですね」
 柔らかな笑みをりりあは浮かべ、そして二人はホテルの自動ドアを潜った。
 ホテル内の広いロビーを夕達は歩き、左の角へと曲がる。すると一つのカフェみたいな場所にたどり着き、店のドアの側には小さな看板で『デザートビッフェ』と書かれていた。
 二人は店内へと入るとそこは広い空間になっており、ホテルの豪華さとは違っていて誰でも気軽に入れるカフェのような造りをしていた。その為ホテルに泊まっている客達よりも一般客の方が若干多く感じられた。
 そして白い長テーブルの上にはホールケーキ、ミニケーキ、アイスクリーム、シャーベット、サンドイッチなどが所狭しとして並べられており、また紅茶などの種類も豊富だ。さすが人気のお店だ。ここまで沢山の種類があるのならば十分に楽しめるだろう。
 夕の隣にいるりりあは目を輝かせながら目の前に広がるスイーツにわくわくドキドキとしていた。
「わ……すごいスイーツなの」
 思わずそう呟く。
 以前彼女は病弱で自宅療養をし、食事制限があったのだが今は食事制限がなくなりスイーツにハマっていた。その為目の前にあるスイーツ達に思わず心が踊りそうになる。
「じゃぁ、選ぼうか?」
「はい……」
 すでに二人分の支払いを済ませた夕はりりあにそう促した。それに対して彼女も応じる。

 りりあ達はスイーツの近くに置いてあった皿を手に取り、スイーツを選んでいた。
 色とりどりのスイーツが並び、それを選ぶのにりりあは迷っていた。
 目の前のスイーツはとても可愛らしいものもあれば、美味しそうなものまでもあった。さらに9月は秋と言う事もあり秋の限定デザートの種類も追加され、さらに迷う要素をりりあに与えていた。
(はやく、決めないと……)
 そう思い、りりあは選ぶのに手間取いながら夕の様子をチラリと伺う。それに対して夕は、
「食べきれなかったら俺が食べるから、好きなだけ取って」
 と言う。それはいつも自分の英雄が残すと自分が食べるので、ついその感覚でりりあに言ってしまったのだった。
 友達同士では変かもしれない……。
 すぐに夕は気づき、口を開きかけたがその前にりりあが先に口を開いた。
「ありがとう……ございます」
 りりあは柔らかく微笑んだ。それは夕の伝えようとした意味が彼女にはすでに伝わっているそんな笑みだった。
「じつは、出掛ける前に……『くれぐれも取りすぎるな』と言われてしまって……それで迷って、しまっていたの、です」
「そっか。りりあは何が食べたい?」
「クレープと、ワッフルなの、です」
「それならカウンターの方で焼いてもらえるらしいからカウンターの方に行こう」
 二人はそう言いながらカウンターの方へと向かう。そんな中、夕はふっと周囲へと視線をやる。
 周囲には家族連れ、カップルなどが多く、自分達も同じように恋人同士に見られているのでは……? と思わずそう思考が巡ってしまう。夕はりりあを意識しながら少しドキマギとしてしまう。
 突然。
 服の裾を軽く引っ張られ夕は足を止め、視線を横に向けた。するとそこには小さな男の子がいた。男の子は今にも泣きそうな顔をして夕へと言った。
「おかあさん……どこ?」
 夕はしゃがみ、男の子の目線に合わせて声をかけた。
「お母さんとはぐれたの?」
 小さく頷く男の子に夕は頭を優しく撫でながら言葉を続けた。
「大丈夫、お母さん一緒に探してあげるから」
 夕にそう言われ男の子は服の袖で涙を拭った。男の子の涙が止まったのを確認し、夕はその場を立ち上がった。そして男の子の母親を探すべく周囲に視線を向けようとした。
 その時、向かい側から慌てて母親らしき女性が夕達の方へと駆け寄って来たのだった。
「お母さん!」
「拓也どこに行っていたの? 探していたんだから!」
 男の子は嬉しそうに母親に抱きつき、そして母親は夕達へと頭を下げ、礼を述べた。
「本当に有り難うございました」
 母親はそう告げると男の子と共にその場を後にした。そんな親子を見送りながら夕の隣にいたりりあは静かな声音で、そしてどこか優しい笑みを浮かべながら夕へと言った。
「夕さんは、優しいです……ね」


 カウンターの方へと行くとクレープなどを焼いているコック服を着た女性のスタッフがいた。
 広い鉄板の上にクレープの生地が焼かれており、甘い香りが漂ってきていた。そんな中りりあは緊張し、中々声をかけられずにいたが勇気を出してスタッフへと声をかけた。
「クレープをお願い、します」
「わかりました。トッピングは何にされますか?」
「いちごでお願い、します」
「いちごですね」と、スタッフはそう言いながら微笑んだ。りりあはワッフルも一緒に頼もうとしたが再び緊張してしまい言いよどんでいると、隣にいた夕がスタッフに付け足すように言った。
「すみません。一緒にワッフルもお願いします」
「ワッフルもですね。かしこまりました」
 スタッフはそう答え、クレープ、ワッフルを同時に焼いていく。
 出来上がるまでに暫く時間が掛かると言われたので、その間二人はそれぞれ好きな紅茶を選び、それを持ちながら席の方へと運んだ。
 程なくしてクレープが焼き上がったとスタッフから知らせを受けると、りりあには席で待っていてもらい、夕はクレープを受け取りに行った。
 カウンターのテーブルの上にクレープ、ワッフルが一緒に乗った皿を二つ乗せながらスタッフは柔らかい笑みと共に「お待たせ致しました」と告げた。「有り難うございます」と、夕はそう答えながら手にしていたトレーに皿を乗せようとすると「あ、待って!」とスタッフから制された。
 そしてスタッフはワッフルの隣に乗っていたクリームの上に可愛らしい花を添えた。
「可愛いでしょう。これ食べられる花なのですよ。今女の子に人気なのです。なのできっとお連れの方に喜ばれますよ」
 そう言いながらスタッフはふふっと可愛らしく笑った。
 確かにこれならばりりあも喜んでくれるかもしれない。そう思い夕は再度スタッフへと礼を述べた。
 そして、席に戻ってきたりりあにクレープなどが乗った皿を差し出すと、ワッフルの飾り付けの花に気づき嬉しそうに目を輝かせていた。
「このお花、すごく可愛いです……食べるのが、もったいないです、ね」
 喜んでくれているりりあを見、夕は嬉しさを感じながら、「そうだな」と答えた。

 その後。
 デザートビッフェを楽しんだ二人は駅の方へと歩いていた。そんな中りりあは夕へと話しかけた。
「夕さん、今日は、ありがとう……ございます」
 りりあは夕へと礼を言った。
 美味しい紅茶に、スイーツに大満足の最高の誕生日だった。彼女の心に残るそんな最高の一日だった。
 その言葉を聞き、夕は答えた。
「俺も楽しかった」
 二人はそんな会話をし、歩みを進める。いつの間にか空は茜色に染まっていた。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0890 / 十影夕/ 男  年齢  17/アイアンパンク / 命中適性】
【aa0092 / 桜寺りりあ / 女 / 17/ 人間 / 生命適性 】



ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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こんにちは。せあらです
この度はご指名の方有難うございました!
今回誕生日のお話しの方を書かせて頂き本当に嬉しく、同時に書いていて本当に幸せでした。
少しでも楽しんで頂けましたら嬉しく思います。
書かせて頂き本当に有難うございました。
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2016年10月03日

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