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『『また』が繰り返されるように 』
真壁 久朗aa0032)&セラフィナaa0032hero001)&秋津 隼人aa0034)&aa0034hero001)&小鉄aa0213)&稲穂aa0213hero001)&佐倉 樹aa0340)&シルミルテaa0340hero001)&笹山平介aa0342)&柳京香aa0342hero001)&今宮 真琴aa0573)&奈良 ハルaa0573hero001)&御代 つくしaa0657)&メグルaa0657hero001)&齶田 米衛門aa1482)&スノー ヴェイツaa1482hero001)&クレア・マクミランaa1631)&リリアン・レッドフォードaa1631hero001

●上級者コースはまだない
「こうして着てみると、浴衣は動き辛いな。下駄も慣れてる訳ではないし大丈夫だろうか」
「クロさん、この前買ったのは雪駄ですよ」
「どう、違うんだ?」
 セラフィナ(aa0032hero001)との会話でお察しの通り、真壁 久朗(aa0032)はとても疎い。
 元々、自分の服装に無頓着な部類であるので、今回もセラフィナの見立てである。
「着付けし甲斐がありました♪」
 そう笑うのは、笹山平介(aa0342)。
 無頓着な久朗に着付けなど当然出来ず、最も手馴れていた平介が着付けたのだ。
 平介が言うには、「毎年着せてあげていた」からだそうで、詳細は上手くはぐらかされたが、どうやら毎年着せてあげるような弟や妹がいたようだ。
「落ち着かない……」
 そう言いながらも拒否しなかったのは、セラフィナが見立ててくれたものだからだ。
 セラフィナが見立てた浴衣の色は、久朗の好みを反映して黒だ。一見すると無地であるが、よく見ると、夜空のような掠れ縞があり、光の加減で浮かび上がるようだ。実際、久朗は言われるまで気づかなかったが、どこか見つけられるのを待つ星のようである。
(そう思うと、帯も夜か)
 濃紺の角帯に何となく触れる。
 平介の話によると、浴衣の帯は浴衣の色に合わせるか反対の色にするかでも印象が変わるらしいが、自分にはこれが合っているからいいか、と思う。
 話をしてくれた平介自身も黒無地の浴衣に瑠璃色の角帯を締めて、白雪のような色を思わせる甚平を着たセラフィナと着付けの拘りなんかを話している。
「あと、ヨネも着付けが出来るとは思ってなかった」
「慣れって奴ッスかね!」
 久朗が齶田 米衛門(aa1482)を見る。
 米衛門も浴衣だ。濃紺に同色の亀甲柄が入る浴衣で、彼は皆が着るからということで一緒に着る形だったが、自分から率先して着なかったのに着られたし、誰かのものも着付けできたという。
「俺達も自分では着付け出来ないから助かりました」
「普段と違う装いも悪くないのじゃ」
 秋津 隼人(aa0034)と椋(aa0034hero001)は、米衛門に着付けて貰った口だ。
 隼人は掠れ縞柄の藍色の浴衣に黒の角帯と渋く、椋は麻の葉に蜻蛉が舞う柄の浴衣で色は明るめの青と外見年齢を考慮されたものである。
「着付け出来る方が多かったのは驚きでしたけどね♪」
「女性陣はどうなのでしょうね」
 平介に応じたのは、やはり自分で着付け出来たメグル(aa0657hero001)だ。
 一応こちらで着替えると言ったメグルはいつの間にか着付けが終わっていて、その最中を見た者は誰もいない。
 ……というのを、疑問に思う者はこの中にはいない。
「拙者、早くも心が躍ってきたでござる」
 黒に同色の縞が走り、色合い違う黒の角帯で締めた小鉄(aa0213)もいつの間にか自分で着付けてたし、覆面はそのままだし。
「拙者、忍びでござるからな」
 まず、この忍者で慣らされてるから、いつの間にか着替えていた程度では驚かないのだ。
 大丈夫、その位は普通だ。

●装いの攻防の末
「しっかし、この前は驚いたよな。浴衣ドレスなんつーのもあって。オレ? いや、オレは似合わねーから着なかった」
「暑さに負けていなければ一緒に行ってクレアちゃんのを買いに行ったのに、何て惜しいことを……!」
「ドクターは暑さで思考回路が少し故障しています。流してください」
 スノー ヴェイツ(aa1482hero001)とリリアン・レッドフォード(aa1631hero001)の会話に、クレア・マクミラン(aa1631)は眉ひとつ動かさず、ミネラルウォーターのペットボトルに口をつけた。
 浴衣ドレス───スコットランド人のクレアには想像つかない代物であるが、ドレスと名前がついている時点で動き難い服装であろうというのは想像がつく。そもそもあのユカタがドレスというのは興味がないだけに結びつかないのだ。
 が、リリアンは「クレアちゃんは顔が綺麗だし背だってすらっとしているし着ていいのに」と本気で悔しがっているようにすら見えるので、釘を刺さねばなるまい。
「ハルちゃんの着こなしとも違うかな」
 こちらは既に浴衣を着用済みの今宮 真琴(aa0573)。
 赤に桜が舞う浴衣で、白い帯もよく見ると桜が咲き誇っている。
 始まりや豊穣を意味する浴衣の柄だが、お胸に関しては十分豊穣しているので、そちらは仲間が豊穣するよう願ってもいいかもしれない。
 その奈良 ハル(aa0573hero001)は浴衣の着付けが出来るので、稲穂(aa0213hero001)と一緒に浴衣の着付けを手伝っているそうだ。
「じゃーん! いつきちゃん、見てー!」
「ん、似合うよ」
 着付け終わった御代 つくし(aa0657)が、佐倉 樹(aa0340)へ浴衣をくるっと回って見せている。
 白にオレンジのガーベラが咲く浴衣を青空の帯できゅっと締めているその姿は、装いの印象以上に躍動感があった。
 見ている樹はパーカースタイルで、下もパンツスタイルと身軽だ。曰く、足を踏み難いから今日は遠慮らしい。誰の足を踏む、とは言わないが。
「流石稲穂さんというか」
「あっという間だったよ」
「稲穂チャン、そコは魔法使いヨ」
 耳をぴこぴこ訳知り顔のシルミルテ(aa0340hero001)はそう言って、頷く。
 シルミルテはピンクに星を思わせるような白の雪花絞りの浴衣で赤い帯でメリハリをつけている。
 最初樹と色違いの装いを買っていたし、花火大会では着ようかどうしようか迷った口だったが、セラフィナが甚平を着るということなので、樹が着てみてはと勧めたのだ。
 サイズ的にはきちんと身の丈に合ったものだが、子供子供していない選び方に樹の半身に対する愛情が見える。
「本当に魔法使いだった!」
「逆にハルちゃんは大変そうで……」
「寧ろ説得で苦労してたような……」
 つくしが目を輝かせていると、真琴は苦笑。
 樹がハルが着付けていた相手を思い出し、そう言う。
「恥ずカしガりナノ」
 シルミルテが最後の人の様子を思い出し、微笑ましいと耳をぴこぴこ。
 最後の1人は言うまでもなく、平介の相棒の柳京香(aa0342hero001)だ。
「最後って、京香だよな」
「何か問題があったんです?」
 スノーとクレアは着替えない為最初から外で待っていたから会話の意味が解らない。
 が、リリアンは理解した。凄い理解してた。
「私もクレアちゃんを説得すれば良かったです……!」
 多分、真顔で紅茶ぶちまけると思うよ。

 そして、稲穂とハルに引っ張られる形で京香はやってきた。

「ほら、見よ。皆呆れておらんじゃろうが」
「でも、これ……!」
 攻防戦を制したハルが勝ち誇ったように言うと、京香は耳まで真っ赤で所在なさそうに俯かせる。
 それもその筈、京香はスノーが話題にしていた浴衣ドレスを着ていたからだ。
 花火大会に行く際、浴衣着たい人は浴衣でという話になり何人かと買い出しになった時、男性浴衣の売り場に自分1人がいるのもと思って女性陣に同行した際、浴衣ドレスを見ていたのが運のツキ、自前あるから買う必要なしとしていた稲穂とハルがこっそり購入し、今日この日に京香へ笑顔と共に指し示したのである。
「あら、でも、姿勢いいし、すらっとしているから良く似合うと思うわよ。裾捌きにだけ気をつけてね」
 赤に菊の花を咲かせた浴衣を着る稲穂は、その点の配慮を忘れない。
 京香は着付けの後も恥ずかしいから欠席を検討しようとしたので、稲穂も説得に回ったのだ。
「ワタシのように普段和服という訳でもないからの」
 ハルはいつもの紫の和服をいつものように着こなす平常運行。
 京香の浴衣ドレスは一般的なものよりも丈が長く、大人の浴衣ドレスにありがちな花魁カラーもなく、レースなどもかなり控えめだ。
 黒に紫の牡丹が咲き誇る柄で浴衣としてもきちんと成立するもの。
 帯の下よりドレスの裾がマーメイドラインで形作っており、浴衣以外にも薄いスカートが色を変えて重なり、品がある。
「こんなのあったのか。似合うと思うゼ!」
「大人じゃないとこれ着られないね」
「綺麗、かっこいい!」
 スノーがサムズアップ、真琴がイイ笑顔、つくしが目を輝かせる。
 稲穂とハルがほらぁという顔をした。
「退路は絶たれていると思われます」
「着替える時間もないですしね」
 火の粉回避のクレアと現実的な意見の樹が止めを刺し、京香は「わかったわ。でも写真には撮らないでね」と了承した。
「クレアちゃんも似合うと思うのに……!」
「さて、行くか」
 リリアンを流したクレアが皆を促す。
「綺麗デ可愛いのヨ?」
 シルミルテがいつもと逆の立場で京香の頭を撫で、少し元気取り戻した京香も歩き出す。

 全員揃ったら、花火大会へ出陣。

●茜色の刻は賑わいを帯びて
「近隣最大の花火大会だけあって、凄い人だな」
「海水浴場も人が多かったですしね」
 久朗が会場に近づくに連れて人が増えていると口にすれば、隼人は日中の海水浴場も混雑していたと話す。
 この花火大会に合わせて旅行がてら来る者も珍しくはないらしく、この期間の海水浴場も賑わうというのは旅館の女将の話だ。
「デジカメのバッテリー回復が間に合って良かったですよ」
「ずっと撮影側に回っていたからな。楽しめていたか?」
「ええ。寧ろ笹山さんにも手伝って貰わなければ大変でした」
 裏方に回りがちな隼人を久朗が気遣うと、隼人は平介へ話を振った。
 平介も「そうなんですよ」としみじみ頷く。
「今だって撮影に大変です♪」
「……全力だからな」
 久朗がぽそりと呟いた先、輪投げガチ勝負真っ最中の小鉄、米衛門、クレアの姿が。
「……勝負方法間違えてない? あれ」
「言うな」
 樹もぽそりと呟くと、久朗が静かに首を振った。
 だって、全員、輪を投げて、じゃなく、輪を当てて、景品倒してるんだもん。
「クレアちゃん、投げるのは苦手なんです」
 リリアンが林檎飴食べながら解説を入れる。
 ちなみに、その前はチョコバナナ食べてた。
 しゅりーさいず計測する敵が出たら、また悲鳴上げると思うから程々にした方が良かったと気づくのは旅館に戻ってから。

「綿飴って色もつくのね……」
「雲に色がついているみたいですよね」
 稲穂が綿飴もぐもぐしていると、同じく綿飴購入組のセラフィナも作る過程も不思議な綿飴を摘んでもぐもぐ。
「色付きの雲と思うと、何とも不思議なのじゃ」
「甘い雲ナのヨ」
 椋とシルミルテもひょっこり姿を見せ、綿飴をもぐもぐしていた。
「こういう場合は仕組みを考えるより、素直に凄いと楽しんだ方が美味しく感じますよね」
「そうね。知っちゃうと、そこは面白くないわ」
 リリアンはセラフィナ、京香はシルミルテとの共同購入であり、それぞれの隣で摘ませて貰っている。
「リリアンさんも結構甘い物お好きですよね」
「ええ。日本には誘惑が多いんです」
「実際屋台も沢山じゃ!」
 セラフィナへ重々しく頷くリリアンに椋は話に加わってくる。
 その目は輝いていて、疲れている余地などどこにもない。
 海水浴が終わった後、1度旅館に戻った際椋はお昼寝ガッツリ取ったので沢山はしゃいだ分を取り戻して元気なだけあり、屋台の食べ物全て美味しく見えるらしい。
「普段余り見ない屋台もあるけど……その、凄いわね」
「こーちゃん、海もそうだったけどはしゃぎ過ぎよね……」
 京香の視線の先には小鉄がいて、遊戯系の屋台見ればすぐさま皆に声をかけて勝負仕掛けているし、食べ物の屋台は何かやたら頼んでる。
 今食べているのは、お好み焼きの模様。
「お好み焼き、僕も食べたいです。ベーコンと卵がカリカリしたものがあるといいのですが」
「こーちゃんが買った屋台、ありそうだし、皆で行きましょうか」
 そうしてお好み焼きの屋台へ。
「わしは海のものが入っているものにしたのじゃ。日中見てて食べたくなっての」
「焼き立テ美味シいネ」
 椋とシルミルテの会話に微笑ましく思っていた稲穂だが、ふと気づく。
 海のもの……こーちゃんが遠泳して蛸や魚を素手で捕って来た影響が出てる。
 焼き立て……そう、作り立ては美味しいの。でも、海の家でラーメン食べた時、元々の味付けも原因だけど、あの時も───
「稲穂さん?」
 セラフィナが希望のお好み焼きを買ってホクホクしていたが、稲穂の様子に気づいた。
「どうかし……え?」
 尋ねた京香は、無言の稲穂から買ったばかりのお好み焼きを預けられた。
 じゃがバターと焼きそばとアメリカンドッグを迅速に購入し、更にイカ焼きを買おうとする小鉄の背後を稲穂が無言で取った。
「こーちゃん? ちょっとそこにお座りなさい」
「稲、穂……?」
 小鉄、食べ物抱えながら、稲穂かーちゃんの説教を受けるの巻。

●自由な時は笑い弾けて
「皆自由だよなぁ。っと、これ美味いな!」
「そちらは豚でしたよね。こちらの子羊も中々」
 スノーとクレアは、よく解らないスタンドで肉を売っているのを見つけて食べていた。
 オールスパイス、唐辛子にタイム、シナモン……肉に馴染ませるソースだけでかなり凝っているのだが、店主が言うにはジャマイカの料理だそうで。
 ジャマイカでは珍しくもないと肉を炎であぶりつつ店主は言ったが、仕事の関係で来日して魅せられてからこちらに移住しているとのことで、毎年この花火大会ではジャマイカを知って貰う為にこの屋台を出していると教えてくれた。
「色んなヤツいるよなぁ。交通が発達してればそんなこともあるか」
「お陰様で美味しいものが食べられましたね」
 そう食べているスノーとクレア、地味に食べているのがこれ以外にもフリーダムなので人のことは言えない。
「他に何か珍しいのあるといいのですが」
「折角だしな!」
 嫌いな食べ物は蠍位というハイスコアなクレアとどーんと受け入れるスノーだけあり、物怖じという単語は辞書に記されていない。
「稲穂がやっと解放してくれたでござる……」
 そこに小鉄が合流してきた。
 2人が何やら美味しそうに食べていることに気づいたのだ。
「選べないので全部でござる」
 店主を驚かせた小鉄、覆面外すのを見せず、しかも覆面が汚れた様子もなく、全部食べた。
 更に驚く店主とは対照的に動じないクレアとスノー。
 これが上級者のあり方というものである。

 さて、『結構好き』なリリアンよりもハイペースに甘味を制覇している者がいる。
 言うまでもなく、真琴その人だ。
「この花火大会は当たり……」
 眼鏡をキラッとさせる真琴、甘味屋台を見つける洞察力はバッチリだ。
「今宮さん、ホント洞察力あるッスよね。特技ッスね」
「……この前惨劇に遭ったワタシの話が必要かの」
「あぁ、あれ、凄かったらしッスね。食べてないから、オイはそうとしか言えねッスけど」
 真琴を見送る米衛門が感心すると、追おうとしたハルが振り返り、遠い目で笑う。
 惨劇とは、言うまでもなく、ほろ酔いでいい感じでいたのにトンデモナイお手製スイーツを肉と間違えて食したバーベキューのことである。
 が、米衛門は食べてないから解んない☆
「でも、外れのない屋台を見つけてくれるから、私は助かりました! 林檎飴絶品です!」
「つくし、フォローになってないような気がしますが、気のせいですか」
 林檎飴齧りながらつくしが挙手すると、同じく林檎飴を購入してきたメグルがツッコミした。
 この場合、ハルにとっての救いはメグルである。
「真壁殿が後で困ることもあるだろうからな、なるべく単独行動はそれぞれせず、ある程度固まった方がいいじゃろうから、ワタシは真琴が遠くに行き過ぎないよう目を光らせておく」
 ビール片手に真琴を追うハル。
 ちなみに今真琴が所望しているのは、インド風アイスと掲げられている屋台だ。
 名前からして興味深いが、そんなに目立つ訳ではないから、真琴のサーチ能力高い。
「お、射的あるッスね。久朗ー! 勝負するッスよ!」
 米衛門が射的の屋台を見つけ、久朗を呼びに行く。
 どうやら樹、隼人も参戦するらしく、彼らは射的の屋台に向かっていった。
「メグル、観戦しに行こうよ。面白そう」
「あの、つくし」
 ちょうど周囲に皆がいないのでいい機会だと思ったメグルがつくしへ声を掛けた。
「僕は隣に立って大丈夫ですか?」
「大丈夫って……何が?」
 つくしが尋ねてくるが、メグルはつくしの顔を上手く見ることが出来ない。
 けれど、今しかないと思って言葉を紡ぐ。
「その、僕と一緒で楽しめているか、とか、一緒に歩いていいのだろうか、とか……僕は一緒に歩けているか、とか。僕は沢山失敗して、つくしを付き合わせて、というより、巻き込んで……」
 メグルの中で1番苦いのは、つくしより主導権を得てまで臨んだ天空塔の戦いだ。
 何の落ち度もないつくしが重い傷を負った。
 落ち度があった自分は無傷なのに、だ。
 同じように抱える久朗という存在は自分と同じように余裕がなく、お互い助け合える訳ではなくとも存在を知ることで精神的な負担は多少軽減されたが、最後は自分がつくしと向き合わなくてはならない。
「私は、メグルには隣に立って欲しいよ? というよりね、隣じゃないと嫌かな」
 そこでメグルは顔を上げた。
 つくしは小指を差し出した。
「約束したよね。いろんなことをして、いろんなことを話して、いろんな所に行こうねって」
 2人でとつくしは言った。
 1人では意味がないとでも言うように。
 メグルは、つくしの小指が微かに震えていることに気づいた。
「私は、出会った時だけじゃない、あの夢の時だけじゃない、何度も何度も助けてくれたメグルを信じてるよ。だから、私も返したいよ」
 小指だけじゃない。
 押さえようとしていても、声も震えている。
「……そうでしたね」
「沢山話をしよう? 私はメグルのこと、もっとちゃんと……知りたいよ?」
 あぁ、不安だったのは……僕だけではなかったのか。
 怖くて踏み出せなかった。変わってしまうのが怖かったから。失われるのが怖かったから。
 でも───
 傍にい過ぎたからこそ、見えていなかった。
「ええ。沢山話をしましょう。色々なことをして、色々なことを聞いて、色々な所に行きましょう」
 2人で!
 肩を並べて射的の屋台へ行こう。
 その頃には、勝負の気配に気づいた忍者も合流している筈だ。

●大人気ない人々
 風はないけど、風が吹いている。
「年始……あの時のことは忘れていない」
「拙者もでござる」
 久朗と小鉄が物凄い真面目な顔して射的の屋台を見る。
「あの時の面子以外にも加えた方が面白そうッスね」
「俺もやらせていただきますよ」
「私もお願いします♪
 米衛門の声に応じるかのように隼人と平介が挙手していると、雑踏の中からクレアが姿を見せた。
「実戦のものと違うなら、自信はありませんが」
「あ、ボクも! やっぱりここはボクも参加しないとね!」
 ちょっと待てとツッコミたくなったが、クレアに続いてマンゴーラッシーを手にした真琴がやってきた。
 後ろの方から呆れたようなハルもやってくる。
「ワタシの口の中まで甘くなってしまった……」
「何か凄そうだな……。これ食うか?」
「いただこうかの」
 クレアと一緒に来たスノーが花火大会のつまみになればと購入していた焼き鳥を差し出すと、ハルは素直に受け取る。
「樹、頑張ッテ」
「勿論。最低でもくろーには勝つ」
 レイヴン集結に気づいてこちらへ来た中にいたシルミルテは、勝負に間に合ったからと樹へ声を掛けると、樹は笑みで応じる。
 直後に久朗を見てた笑みとは違うけど、通常運行だが、セラフィナと話す久朗、気づかない。
「隼人も負けておれんのじゃ」
「椋の方がやる気十分だな」
「やーっと一緒に行ける夏祭り、楽しむには必要なのじゃ!」
 今年の夏は隼人が依頼の最中に重い傷を負うこともあり、夏祭りに行く機会を2回も逃していたのだ。
 椋はやっと皆と行けると今日は完全に楽しむつもりで来ている。
 隼人は椋に「善処します」と軽く肩を竦め、射的の銃を選びに行く。
「クロさんも負けていられませんよ。僕も一生懸命応援しますので」
「対戦相手が対戦相手だけに頼もしいな」
 セラフィナがぎゅと胸の前で自身の両手を握ると、久朗は僅かに口元を綻ばせた。
 そんな光景を見ていたメグルは、隣のつくしに向き直る。
「折角ですし、僕達も参加してみましょうか。実際にやった方が楽しめそうな遊戯ですし」
「うん! 勝負しょーぶ!」
 メグルの言葉に嬉しそうにつくしが笑い、ばーんと参加表明。
 射的初心者ならばと真琴が射的のコツなんかを教えて、2人は盛り上がる姿は微笑ましい。
「ああいう風に普通に盛り上がるのはいいのじゃ」
「普通に、盛り上がる?」
 そういえば、海水浴の時もパラソルの下で同じことを言っていたような。
 パラソルのすぐ横で日光浴していたハルは、パラソルの下で皆の荷物番を兼ねてそこにいる京香と砂浜の暑さで即ぱたりとなったリリアン、そしてセラフィナとシルミルテの砂浜芸術館と化したお城や鳥のオブジェの完成以外は波打ち際を歩く程度だった樹と世間話をしていたが、真琴は隼人と平介を手伝う形でカメラ構えてただけのような───あっ、まさか。
 京香は最近何となく気づいたそれなのかと気づく。
「……普通に遊んでる様は純粋に嬉しいのじゃが、その、それは休んでいいのではと思うんじゃが……」
「甘いわ」
 稲穂がさらりと言った。
「うちのこーちゃんを見た? さっきだって真っ先に「米殿ー勝負でござる!」って仕掛けに行ったわよ。で、海水浴場でもスイカ割り、泳ぎの勝負。……ちなみに、これはいつものことよ」
「方向性違えど、同じかの……」
「特化してるのよ。ね?」
 稲穂がハルを諭していると、タイヤキ食べているリリアンが深刻そうな顔をした。
「つまり、クレアちゃんのあれも特化なんですね」
 何かとても深い溜め息だと京香は思った。
 勝負は結構かかりそう、と周囲を見ると、隣の屋台がかき氷───ちょうどいい。
 京香は、そっと場を離れた。
(案外浴衣より動き易いのよね)
 裾捌きの点なら案外浴衣より難しくないかもしれない。
 凄く派手なデザインでもないからか、道行く人々が京香に目を留めることもしないので、そこはほっとしている。
(……見たら、どう言うか気になるけれど)
 恥ずかしくて自分から言えないと思う京香は、後日の平介が『その相手』に内々にヒント出しする前に自分から言うことを勧めておく。

 そうして、京香がかき氷の屋台に並び、用意して貰っていると───

(まぁ、普通はそうよね)
 ギャラリーをどよめかせているのは、1番手の真琴だ。
 射的銃の軽さなどを確かめて自身の中で調整したのか、全弾難易度が高い景品に命中させる。
 キャッチ&リリース精神らしく、得点のみでいいとのことで、真琴は景品を辞退しているようだ。
 続いたのが、2番手平介。
 こちらも自身の中で調整を行い、1つ外したが、残りは全て命中。
「こちらだけで大丈夫です♪」
 平介は瑠璃色のクローバーが綺麗なストラップを手にした。
 それ以外はやはり辞退ということで、射的屋台のおじさんはかなり助かってるだろう。
「人手がいるでしょう? 私も手伝うわ」
 ここで稲穂が京香に気づいて、やってきた。
 京香も素直に厚意に甘え、2人で手分けし、セラフィナ、椋、シルミルテのかき氷を運んでいく。
 その間に、メグルが射的銃の軽さに驚きつつも3つ当てて、林檎飴の引換券だけ貰い、続く小鉄は2つ当てて修行が足りぬでござると言いながらも米衛門の番を正座して待つ。
「暑いでしょう。差し入れよ」
「わ、ありがとうございます!」
「かき氷じゃ!」
「早く食べてね」
「ウン!」
 京香と稲穂で3人にかき氷を配っていく。
 ふと、京香はデジカメ構えた平介が何かを熱心に待っていることに気づいた。
「何をしてるの?」
「あ、真琴さんに何か手伝えることはないかと申し出たら、私の角度からの撮影を頼まれまして」
「……あの、平介?」
 京香はハルの言葉を思い返し、 魔琴的シャッターチャンスを狙っていることに気づいて、流石にどうしようと思った。
 平介、それは、手伝わなくて良かったんじゃないかしら。
 熱心に待つ平介相手に言えないでいると、つくしの状況を見ていたメグルが何事か動いた。
 顔を向けると、シルミルテがうさみみぴこぴこで腕に触れるか触れないかのタッチの悪戯をしていて、気づいたメグルが「林檎飴1個で許します」と澄ましている。
 その間に、つくしが4個決めて、ドヤ。
「次は隼人か。全弾当てないと厳……わっ!」
 かき氷を食べ終えた椋がメグルからじりじり移動したシルミルテに驚かされ、声を上げている。
 その間に隼人が撃ち始め、隼人も3つ当てて、駄菓子セットのみ貰い、「お土産」と椋の頭の上に乗せた。
「仕方ない、手を打つかの」
 隼人は「ちゃんと真面目に勝負しましたからね」と言い、椋は裏方以外やろうとしないのではなく、自らも楽しんでくれることに笑みを零す。
 今日誘われて嬉しくて楽しくても、隼人だけが裏方だったら最高に嬉しくて楽しい、にはならないから。
「次はクレアちゃんね……」
 リリアンがスッと動くと、クレアの後ろに立っていた。
「ドクター……」
「クレアちゃん、没収」
 リリアンは射的のどさくさにまぎれることなど見抜いていた。
 クレアは物凄い渋い顔でタバコとライターを渡す。
 ……尚、懐にはタバコとマッチも忍ばせているのだが、こちらを渡しておけばいいだろう。
(が、今は拙い)
 クレアもそれが判るから諦め、タバコの精神統一なしで射的銃を構える。
 が、思ったより軽いし、タバコによる充電がないので、2つしか倒せず、景品には興味がなかったので景品は2つ共辞退した。
「次は俺か……」
 久朗がセラフィナの声援を受けて銃を構える。
 エージェントとしての武器も槍が本領であるし、日本で暮らしていれば銃と縁のある生活など送らない為、やはり勝手が判らない。
「最低でも静謐平野には負けたくない」
 それは雑踏に紛れる程の小声だった筈だ。
 が、樹は聞こえていた。
 正確には、そろそろ言うであろう刻限なのに気づいていたのだが。
 すーっと近寄った樹は久朗が引き金を引こうとしたその瞬間に、膝カックンした。
「!?」
 当然だが、銃はあらぬ方向を向き、景品が乗る台に当たった。
 久朗がこんなことをするのは1人だけだと振り返ると、樹は口だけで笑って「くろー? 聞こえなかったから、大きな声で言ってくれないかな」と足を掲げている。
 聞こえているだろ。
 久朗の頭の中にそんな単語が過ぎった。
「……勝負の最中だ」
 樹相手だけあり、久朗は銃を構える。
 が、また膝カックン。
 これが全て行われ、久朗は全て外した。
「勝負って時として非情だからなぁ」
 スノーがつくしにねだられたのもあり、飴(本日はすっきり出来るようミントのお茶味らしい)をつくしだけでなく、希望者へ配りながらそう言った。
「あっさりそう言えるのってスノーねぇ位と思うんじゃが……」
「応、切り替えって大事だゼ」
 椋が飴をころころしながらそう言うと、スノーがサムズアップ。
 でも絶対そういう意味で言われてない。
「んで、次はあいつか」
 米衛門は射的銃の重さを確かめた後、銃を構える。
 当然だが、マタギだけあり、全部命中……やっぱり景品は辞退した。
「拙者、銃は……」
 小鉄、まだ修行が足りないと何か燃えてた。
「んで、最後はっと」
 米衛門が振り返った時には樹が射的銃を構えてて、撃ち始める。
 結果は、平介と同じであった。
 振り返ると、久朗が表情殆ど動いてないけど何か面白くは思ってなさそうな(多分可愛げのないとかそっち系思ってる)空気漂わせているのが見える。
(……そうじゃなかったら、親密な宿敵にはなりえない)
 久朗に願うのは、『ずっと』『そう』であることだけだ。
「いつきちゃん、すごーい!」
 目を輝かせたつくしが飴玉ころころさせながら拍手している。
「ありがとう。景品がくろーと思ったらいけた」
「おい」
 久朗のツッコミ無視して、樹はつくしに笑みを向ける。
(ありがとう。……ごめんね)
 きっと、私はあなたを置いて逝く。
 口に出せない秘密はあなたを不安がらせるだろうけど……、いつかの時まで友達でいて。

●やがて花火会場へと
「早めに出て来て良かったですよね。屋台で沢山楽しめますから」
「それはあるかも。甘味も売り切れがないし。……あ、金魚すくい」
 隼人に応じた真琴がその屋台を見つける。
 釣られるように金魚すくいの屋台を見た隼人は、この瞬間油断していた。
「秋津くんが、アオハルだったのをボクは知っている……」
 真琴の眼鏡がきらりと光った。
 隼人は思わず一瞬後退するレベルで動揺する。
 夏祭りに出没したイマーゴ級の従魔3体に対処したあの任務……自分は金魚すくいで勝負をしていたが、彼女は別の従魔と射的勝負し、指輪とキャラメルを1回で2つの景品をゲットしていた、のは知っているが。
「やだなぁ、ボクは金魚すくいの詳細は知らないよ? 愛って偉大って話は聞いたけど」
 真琴の言葉に、隼人はその脳裏に抱擁された時の柔らかい温かさ、手を繋いだ時、そして、その指輪は嵌めて欲しいと差し出されて───
 隼人の顔が、一気に真っ赤になった。
 それが、何よりもの証拠。
「少しね、安心したんだよね」
「え」
「ボクは後ろから銃を撃つから、見る位置が皆より後ろなんだけど、秋津くんの動き見てると、ちょっと心配になることもあるというか」
 前衛とは違う目線があるから、真琴は隼人の自分の命を軽視する傾向に気づいていた。
 レイヴンには無茶をする者が多いが、隼人の場合は仲間を助ける為に使われる自分の命に拘っているように見える動きだったから。
 隼人は、「ありがとうございます」と真琴の気遣いに頭を下げる。
「あ、でも、安心して。ボクの妄想は当人に及ばない所で展開するし、やっぱり想い合う人を裂く妄想はしないから」
 何が安心なのかは、真琴以外解んない。
 掛け算的な餌食回避という意味なのかという質問は、勇気が持てた時に真琴へ聞くといい。

「場所取りもあるだろうし、そろそろ移動した方がいいんじゃないか?」
「あ、それには及びません♪」
 時刻に気づいた久朗が口にすると、平介がにっこり笑った。
「実は秋津さんと結託して、有料お座敷席をゲット済です♪」
「え、いつの間に」
「いつの間に、です♪ 秋津さんとは同期ですので、これはいい機会だと内々に話を進めた私達からのサプライズですよ」
 平介はこの大所帯がひとつに座れる場所を確保するなら屋台で楽しむ時間はほぼないことに気づいていた。
 なので、事前に同期の隼人へ協力を持ちかけ、サプライズしようと計画したのである。
 この場合、有料座敷がプレゼントなのではなく、屋台を楽しむ時間がプレゼントである。
「何と言うか……しっかりしていますね」
「ええ。折角のお祭り、場所取りで終わったら切ないですからね♪」
 メグルがそう言うと、平介がにっこり笑い、真琴と話していた隼人へサプライズ成功の旨をハンドサインで伝える。
(……だから、不安になるんです)
 メグルは彼らのやり取りを見て、思う。
 彼らは周囲が楽しむ時間を気遣ったから、そう動いた。
 海水浴から今まで撮影に回ることが多く、彼ら自身が撮られる側には回っていない。
 撮られる行為自体が好きではない場合もあるが、自分よりも仲間を優先させているのは確かだろう。
 もう少し、自分も大切にして欲しいと自分でも思う。
「大丈夫だ。……だから、俺達は一緒にいるんだろう」
 久朗がメグルにしか聞こえない声で呟く。
 機微に徹底して疎い久朗すら、平介と隼人の『共通点』に気づいている。
 メグルは彼らも頼りにしているであろう隊長へ、顔を向けないまま、何か強く主張している様子のつくしを見て呟く。
「やっと、出来ました」
「……そうか」
「ありがとうございます」
 話せた自分を少しだけ誇るように言うと、久朗は言葉こそ簡素だがそこに全てを込めてそう言った。
 多くの言葉はなく、不器用だが、実直な彼はメグルにとっても信頼ある隊長だ。
「ところで、御代は何をあんなに熱く語っているのだろうな」
「動作的にいい予感がしません」
 メグルは、こめかみの辺りを軽く押さえる。
 こんな時は、気心知れる友たる米衛門の気質、もう少し見習わなければと思う。

 で、つくしは何を言っていたかと言うと

「大人の女性になる成長に必要なものを聞きたいと思いまして」
 そう言っている相手が京香とハルなので、色々お察し状態である。
 京香は前線の維持を名目にクレアとリリアンに怪我の応急処置を学ぶ時間を今度取れないか聞いていた為、この場にはクレアもいる。
「戦場では揺れるし、邪魔です」
 クレア、容赦ねえ。
「だって……!」
「真琴の場合甘味成分が全部向かっている気もするがの、根本は違うと思うのじゃ」
 ハルは縦直線的揶揄撤廃を掲げているのだろうと推測したが、一応向けられた本人もいるし、そこは口にしない。
 樹の場合、敵に言われようがどうでもいいのに言われようが気にもしないだろうが、レイヴン内部はまた別だろうし。
「でも、身体の負担になるようなことは勧められませんし……、そうですね、ストレスがなくて、良い食生活を姿勢よく……」
 リリアン、ガチであった。
 が、つくしはふむふむとスマホのメモ帳にしっかり入力。
「そこまで解っているドクターが何故甘いものを重点的に食べるか私には解らない」
「クレアちゃん、これは心の栄養には必要なの」
「そのアイス、今日入ってから何個目か教えていただけるか、ドクター」
 リリアンを速やかに仕留めたクレアは、話中断だった京香へ向き直る。
「私なら問題ありません。怪我の応急処置を覚えていただけるなら、助かります。柳さんの場合それが必要になる場合は笹山さんが重い負傷をされている時ですから、一刻を争うこともあるでしょう。いい機会ですし、レイヴンの拠点で講習会を提案してもいいかもしれませんね」
 京香はクレアの予想以上に色よい返答にただ、ひたすら感謝した。
 クレアの指摘は正にその通りだからこそ、出来ることを増やしたかったから。
(……それに)
 京香は、目を閉じる。
 使う日が来ないのが1番いいのだけど、それでも。

「あ、くろーが呼んでる」
「そろそろ移動するって言ってるッスね」
 樹が久朗の手振りに気づくと、米衛門は口の動きで判ったらしい。
 便利だなーと思うのは、彼に対して良い感情があるからだ。
「お、移動か? ちょっと待ってるように頼んでもらっていいか?」
 焼きそばの順番待ちの間シルミルテと指相撲していたスノーが、ちょうど焼きそばの番が巡ってきたので店主へ購入を告げる。
「了解ッスよ」
 米衛門がスノーを指し示すと、久朗も判り、隣にいる平介へ何事か伝えている。
 が、平介が問題ないように笑っている所を見ると、場所の確保は済んでいるのかもしれない。
「食べ切れないものは花火の合間に食べてもいいんだから、こーちゃん食べ切るのに拘らなくていいのよ?」
「折角だから美味しいものを土産にと思うとついつい食べ比べをしてしまうでござる」
(でも、覆面は外れた瞬間見てないし、汚れてもないし)
 樹は素朴な疑問を抱くが、レイヴン七不思議なので、そういうものだと悟っている。
 聞かないとかではなく、悟り。聞かないようにしようと胸に秘めるには、樹のスペースはあまりにも、ない。
「そういえば、稲穂さん、先程メグルさんが随分驚いていたみたいですけど、どうかしたんです?」
「あら、気づいたの?」
 セラフィナが席で食べる用のベビーカステラとイチゴ味のポップコーンの甘い香りの誘惑に頑張りつつ問うと、稲穂はメグルが驚いていたことに気づいたのかと笑う。
 メグルはあまり表情が動く方ではなく、稲穂も本人が驚きましたと言わなければ気づかなかっただろう。
「こーちゃんの好きなもの聞かれてたの」
 樹曰く七不思議の忍者の謎など覆面以外にあろうと、覆面以上のものはないというのに。
 稲穂の回答は、「こーちゃんは修行と正々堂々を愛する忍者よ。名を馳せて恩返ししたいんですって」だそうで、メグルは「それは忍者としてどうなんでしょうか」という驚きを示した感想だったそうだ。
「稲穂シャンも大変ネ」
 稲穂からの膝枕の野望密かに抱くシルミルテは耳をぴこぴこして重々しく頷く。
 そこへ、スノーが焼きそばとラムネを手に戻ってきた。
「確か、屋台探してただろ。一緒に買ったゼ」
「わ、本当ですか? 僕、任務後に行ったあの夏祭りで飲んでいるのを見て、飲んでみたいなと思っていたんですよ」
 セラフィナがありがとうございますと丁寧に頭を下げると、スノーは「移動してゆっくり飲もうゼ」と笑みを向ける。
 任務後、厚意で浴衣や甚平を着せて貰って足を運んだ夏祭りはスノーも楽しんでいたのだが、東北の味探しに夢中でラムネは見落としていたのだ。
 きっと、不思議に見えていたのだろう。
 後で、ゆっくり味わって飲めよ?

 こうして、全員合流し、平介と隼人が確保していた有料お座敷席へ移動した。
 まだ、時間にも余裕があり、セラフィナとシルミルテの芸術作品を平介がしっかり撮影していて回してみたり、隼人が撮った小鉄の大活躍(?)姿、つくしからはスイカ割りの写真や動画が出て、話は大いに盛り上がる。
「小鉄さんとクレアさんがどれ位泳いだのかまでは追い切れませんでした」
「拙者は修行しているでござるからな」
「小鉄さんも泳げるので久し振りに泳いだかもしれません」
 隼人の苦笑に小鉄は笑顔でクレアは涼しい顔。
 真琴は作品(?)を世に出すつもりはないようだが、樹はその様は覚えている。
(対象が対象だしね)
 そんな心の呟きを知らない男性陣がくしゃみをし、「風邪ですか?」とセラフィナに気遣われているのだが、世の中、知らないほうがいいってことあるし。
 日中は椋と遊んだり、セラフィナとシルミルテの手伝いをしたりしていた平介が祭りでは魔琴のお手伝いしてたこととかも、やっぱり知らない方がいい。

 そんなことを思っていたら、会場内にアナウンスが響き、最初の花火が海側から打ち上げられた。

●思い思いの光の華
 海から打ちあがった花火は、夜空に大輪の光の華を描く。
 その海へは淡い光がゆらゆら揺れて沖へ向かっており、この花火大会には灯篭流しもあったとか。
 ただし、事前購入制であり、売切れてしまっていた為、自分達はその揺られていく光を眺めるのみだ。
「あそこには多くの想いが流れているんですね」
 リリアンには馴染みがなかった為、平介が説明すると、リリアンはそうした感想を漏らした。
「……そうですね。色んな想いが乗っています」
「医師の所感を口にするなら」
 リリアンがその説明の後天と地の光を見つめる平介の横顔を見て、言った。
 平介はこちらを見ない……自分の顔を見られたくない為に向けたくないだろうというのは医師としての勘で判ったが、それでも言う。
「術がなく死んでいく者を悼んでいいのは、生き抜く覚悟をした者と思っています。死んでもいいと思っている人と、死にたくないと思っている人では、同じように腕を振るってもままならないこともあります」
「最後は気力、になるのでしょうか」
 リリアンは、その先の答えは平介が知っているとばかりに笑んだ。
 思考の切り替えはクレアよりも上なのだろう、平介にそう話した直後には一際大きな花火にはしゃぐ声を上げていた。
「あの、笹山さん! 後で、一緒に写真撮りたいなって。今日ずっと撮ってばっかりだったし」
 平介は合間に話しかけてきたつくしに驚いた。
 笑っているが、何か引っ掛かったのだ。
(御代さんは、もしかしたら)
 けれど、平介は視線を感じてそちらを一瞬見る。
 樹が、見ていた。
 仲良しな様が微笑ましいと思っていたが、あぁ、それだけあり、解っているのだろう。
「では、是非。あと、皆でも1枚撮りたいですよね。タイマー仕掛けて、皆のを1枚撮りましょうか」
「やった!」
 つくしがぱぁっと顔を輝かせる。
「良かったね」
 樹が声を掛け、つくしは笑みを深めた。
 この子は、きっと気づいている。
 だから、自分でも表現できないものを抱いて、駆け足になるのだろう。
 そこで、平介は樹がまだ自分を見ていることに気づいた。
 樹は次が上がるとばかりに夜空を指し示したので平介は上を見上げる。
(ひとつの意味だけじゃないけどね)
 樹は夜空を見上げた平介へ呟く。
 この優し過ぎる人が潰れてしまわないよう、『そう』思える寄る辺を願うから。
 と、樹は視界の隅でスノーが動いたことに気づく。
「え、あ。ありがとうございます」
「いいって」
 スノーが動いたのは、隼人にハンカチを差し出した為だ。
 樹は何かあったのかと思うが、色々な意味(意味深)でしっかりし過ぎる隼人の去来する胸の中のことまでは判らないので、今はただ花火を見上げる。
「洗濯は纏めて洗うし、気にしなくていいゼ」
 ハンカチを渡したスノーはそう言って空を見上げ、再び描かれた花火に「でけーなー」と素直に感心している。
 スノーのハンカチは機能性重視のもので、女性のようなものはない。それがスノーらしさを際立て、隼人は逆に口元に笑みを浮かばせた。
「ありがとうございます。……だから、今、ちょっと昂ぶったのだと思います」
 恋人と見上げた時とは違う温かさに包まれている。
 そう思ったら、自然と視界が水で揺らめいていた。
「応」
 スノーはそれだけ言って笑う。
 たったその一言だけなのに、聞かれて詳しく話した訳ではないのに、受け入れられ、包まれている感覚は、隼人にはひどく嬉しいものだった。
 だから、今、『そう』思えている。

「たまやーでござる!」
 ござるは要るのか、というのは、最早誰も言わない。
 だって、その掛け声、小鉄だし。
「かーぎやー!」
 稲穂も華やかな花火は好きなのか、打ち上がる度に笑みが含んだ声を上げる。
「花火の作法とは面白いのじゃ」
 うんうん頷く椋。
「わしは、中々思いつかぬから、花火の作法とは難しいのじゃ」
 そういう先には───

「さッキノ花火……セラフィナの星の瞳デ!」
「キラキラしているからか……。じゃあ、今打ち上がったのはクレアさんの肝臓」
「佐倉さん?」
「ジョークです」

 先程から樹とシルミルテが花火の名称当て……ではなく、レイヴンの誰かに例えた名称をつけているのだ。
 樹が能力者、シルミルテが英雄に例えているが、シルミルテはジョークを意識したものになっているが(セラフィナは先程の例えのように綺麗なので例外とする)、樹のはジョークじゃなくてシュール(でもジョークと言い張る)だ。
 椋は無垢なので、2人のコレが作法だと勘違いしている。
「あ、あれは作法じゃないわよ? というより、私とこーちゃんの掛け声も作法じゃないの」
「稲穂の言う通りでござる。大事なのは楽しく見ることでござるよ!」
「なるほどの。ならば、わしは作法守れてるのじゃ」
 どやっとする椋。
 ちなみに、現在樹が「くろーのクローゼットの中の色(違う青が組み合わさった花火である)」だの、シルミルテが「ハルシャンの尻尾」と地味に自分がもふりたい欲駄々漏れさせていたりする。
「だって、ハルちゃん」
「別に拒まんのじゃ」
 真琴がラムネ味の金平糖を食べながら笑うと、ハルはシルミルテなら許すと素晴らしくもっふりした尻尾を揺らす。
 片手では真琴と指を絡めるようにして重ね合わせているが、もう片方の手は京香と酒を楽しんでいる。
「これだけ綺麗なんだから、綺麗って思うことが1番大事よね」
「そうじゃそうじゃ。海にしろ花火にしろ過ごし方は様々でも楽しむのが大事じゃの」
 京香へ鷹揚に笑うハル。
 が、その尻尾で真琴の背中を軽くつつく。
「ひゃあっ」
「こういうのはその瞬間を見ることが大事じゃと思うでの、本にしてはいかんのぅ」
 ハル、真琴が海だけじゃなく花火大会でも「いつもと異なる装いっていいよね。ほらそこで違う魅力に気づいて、花火の下で」と呟いてたこと忘れちゃいなかった。
 京香の相棒たる平介の助力もよく判らない間に得ちゃってたのも知ってる。
 ということで、薄い本への資料化(意味深)を阻止しつつ、ちょっと周囲を気にしちゃってる真琴へ皆で楽しむのも悪くないがという意味を込めた。まぁ、この人では諦めてるんだが。
「……花火がいつもより綺麗なのは皆がいるからだけど」
 1番はハルちゃんが隣にいるからだよ。
 京香が視線を外してくれたから耳打ちしてくれたその言葉にハルは静かに笑うのだった。

●ここにいるということ
「僕の瞳なんて、照れちゃいますね」
「セラフィナのオ目目はラムネのビー球よリ花火ヨりズーっト綺麗ヨ?」
 シルミルテの大事で大好きな友達たるセラフィナへの『好き』は惜しみない。
 クレアが花火に思うことは故郷の祭りや式典であり、少しの懐かしさ。
(日本とはやはり違うが)
 そう思ってから、日中の自身も振り返り、今この空間が昔と似てきたから、ここにいるという意味が重要だとスキットルを傾け、命の水の余韻を楽しむ。
「クロさんに開けて貰ったラムネのビー玉、取れないのは残念ですが、蓋代わりというのは驚きました」
 セラフィナがラムネ瓶の中でビー玉を転がしてみながら、感嘆の声をあげる。
 開け方が判らなかったラムネは久朗が開けてくれたのだが、このビー玉、蓋の代わりも兼ねているそうで、割る以外の方法もあることはあるらしいが、基本的には取らないものだそうで。
 セラフィナは取れない残念さよりも蓋代わりに感心し、コロコロと転がる音を楽しみつつ、ラムネを飲んでいた。
「変に割ると怪我をするから、製造メーカーでも注意してるらしいな」
「怪我と言えば」
 久朗が2人へそう言っていると、いい機会だと判断したクレアがその余韻を楽しみながら、口にした。
「先程柳さんから怪我の応急処置を教えてもらえないか提案があったのですが、寧ろレイヴン全体で行うべきと思いまして、今度時間を取っていただけないかと」
「応急処置の?」
「スキルに限りはありますし、治療されるまでの間悪化しない手立ては必要でしょう」
 久朗が問い返すと、クレアがその意図について説明する。
 特に共鳴が解除された場合、その場所によっては生命の危険に直結するのだから、共鳴解除された英雄が離脱を手伝うと同時にその処置をすることもあるだろうし、そうでなくとも覚えておいて損はないだろうと。
「筋力がそうなくとも出来るものもありますから」
「そうだな。大きな戦いの時は特に必要だろう。寧ろ俺が気づかなくてはいけなかったと思う」
「いいえ。この辺りは私の領分ですから、真壁さんはその処置が差し迫らない為の方策へ注力いただけると助かります」
「すまないな」
 久朗とクレアのやり取りは花火の間も行われており、セラフィナは会話を聞く形で思う。
(秘めた熱い風のような人ですね)
 落ち着き払っているが、熱いものを持っているから、こうした言葉を交わすのだろう。
 そういえば、久朗とクレアが真剣に話している時は席を外しているか離れて見ているかが多かった、とセラフィナが思っていると、クレアがこちらへ顔を向けた。
「昼の作品ですが……見事でした。沖で随分人が集まっているのも見ていましたよ」
「あれはビックリしました」
「いツの間ニ集まっテテ驚いタよネ」
 『京香シャンのナデナデイメージ』と花火の名称をつけたシルミルテがこくこく頷いた。
「あれだけ見事なら当然でしょう。ところで、佐倉さん」
 クレアが唐突に樹を見た。
 ちなみに、樹は今「ブティックに放り込まれたクレアさんの心境」と花火を例えていたのだが。
「私の心理は、この花火で表現出来ません」
 先程とはえらい違いに、セラフィナは目を瞬かせていたが、凄いとしか言いようがないと言いたげな久朗と目が合ったので、何だかおかしくなって小さく笑った。

 メグルはそれを見ていた。
「あの夜があったから、僕は僕でいられたのでしょうね」
「ん?」
 米衛門がその呟きを拾って、メグルへ顔を向けた。
 メグルが見ているその光景を見、米衛門は問うことはせず、また夜空を見上げた。
「自分が自分でいられるってのは大事ッスよ」
「僕もそう思います」
 自分が自分でいられない場所、自分を見てもらえない場所にいるのは。
 1人の空間よりも孤独を感じること。
 沢山の人がそこにいても、そこに場所がないなら、独りだから。
「仕方ないって思えない、思わない……譲らないモンがあるから、オイもオイでいられるッスよ」

 例えば。
 今、ここで『皆』でいること。
 独りで花火を見ていないこと。
 『ここ』にいること。
 それが───生きているということ。

「ええ」
 メグルは同意を示し、花火を見上げた。
 最後に打ち上がる花火の数々は、夜空にも海面にもその光の華を咲かせ、とても美しかった。

 やがて、花火大会も終わりを告げる。
 旅館へ帰る時間だ。

●『また』の願いはひとつ
(人も多かったが、大きな花火大会だけあって期待通りだった)
 帰り道、久朗は1番最後を歩きながら、心の中で呟く。
 そういえば、と久朗は先を歩くクレアとリリアンを見る。
 戦いでは自分だけでなく皆からも頼りになる癒し手として在るクレアだが、こうした休暇を一緒に過ごすのは初めてだ。
 いつも予定が合わなかったのだが、こうして歩いていると、もうずっと一緒にいるかのようで、馴染み過ぎている衛生兵と医者だと思う。
(皆自由だからはぐれる心配もあったが杞憂だったし、屋台も満喫出来た)
 久朗は皆が食べたものを数えてみようとし、無理だと思い直す。
 遊戯の屋台の勝負が白熱していた以上に、実は食べていたのを知っている。
(…………それと)
 久朗は考え、足を止めた。
「俺は、いつも、その言葉が足りないんだが……」
 久朗の声に気づき、皆が足を止めて振り返る。
 きちんと感謝を伝えたいと思うが、ありがとうを言ったら終わってしまうような気がして、喉を通過してくれない。
 けれど、これだけは口にしなければと思った。
「俺は……行ける所まで一緒に行きたい」
 何度も、『また』を繰り返し。
 どこまでも行きたい。
 それは独りだからではなく、皆と一緒だから思うこと。
「先に言われてしまいました」
 隼人が久朗に笑みを向けた。
「……『また』来ましょう、是非、と。沢山のありがとうを込めたいから、旅館に着いたら言おうと思ってたのに」
「これだけは言い逃したくなかったからな」
 久朗が隼人にそう言うと、隼人は「今度は先に言えるようにします」とくすりと笑った。
(隼人が、『また』を思えるよう歩みを進められたのは、皆のお陰じゃ。わしをこんな楽しいことに誘ってくれた皆のお陰じゃ)
 椋は、久朗へ笑みを向けた。
「わしも皆にありがとうと思っておるのじゃ。……次は競争じゃな?」
「勝負なら拙者も負けぬでござる!」
 当然のように小鉄が言うが、稲穂より「こーちゃん、夜だからもう少し静かにね」と窘められ、皆から笑いが零れる。
(俺は、『ここ』にいる)
 ふと、久朗は隣のセラフィナに気づく。
 自分を信じてくれる星の微笑に、久朗は小さく表情を和らげた。

 『また』を繰り返そう。
 この夏の日のように。
 ひとつとして同じではない『また』は、皆と一緒に往くそこにある。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【佐倉 樹(aa0340)/女/19/我らは鴉<レイヴン>である】
【シルミルテ(aa0340hero001)/?/9/我ラは全にしテ個】
【笹山平介(aa0342)/男/24/そして我らは個にして全である】
【柳京香(aa0342hero001)/女/23/我らは地ではなく導の鴉の名の下に集う】
【御代 つくし(aa0657)/女/16/愛おしい『時』はここにあり】
【メグル(aa0657hero001)/?/22/守るべき『時』はここにある】
【クレア・マクミラン(aa1631)/女/27/我らは我らの誇りを掲げ】
【リリアン・レッドフォード(aa1631hero001)/女/28/我ら信ずるものの為に戦わん】
【小鉄(aa0213)/男/24/駆け抜けよ、戦場】
【秋津 隼人(aa0034)/男/19/護り抜け、仲間を】
【椋(aa0034hero001)/男/11/見せつけよ、矜持】
【稲穂(aa0213hero001)/女/14/我らはそれを成すと信じるモノなり】
【今宮 真琴(aa0573)/女/15/その眼は前を見据え】
【奈良 ハル(aa0573hero001)/女/23/その心を奮い立たせ】
【スノー ヴェイツ(aa1482hero001)/女/20/愚直にひたむきに我らは往く】
【齶田 米衛門(aa1482)/男/21/我らは我らの為に在るのだ】
【セラフィナ(aa0032hero001)/?/14/愛おしい鴉が集う場所こそ鴉<レイヴン>である】
【真壁 久朗(aa0032)/男/24/我らが世界重なりし魂の故郷<イバショ>よ───】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
真名木風由です。
この度はご指名いただきましてありがとうございます。

打診段階でノベルは1本のみで海水浴と夏祭り両方扱っていただきたいと伺っておりましたが、文字数の制限的に全てを扱うと薄っぺらいダイジェストとなり、折角の夏の思い出もダイジェストとなってしまうことより、打診返答段階でどちらかを行ったことにした前提で楽しむ、後日行く予定である、ということを提案させていただいておりました。
この点より、ご承諾いただき発注を取り纏めた主発注者様である真壁久朗さんの発注文を優先する形で描写をさせていただいている為、海水浴は既に楽しんだもの、回想で扱うものとなっております。この点より一部ご希望に副えていない場合がありますが、差異による主発注者様のご意向を優先したとしてご了承いただければと思います。
また、夏の思い出であることや皆様自身が互いに抱く感情からくる交流面を盛り込んでいただきたい点より打診段階で装いや屋台等で略称の提案をさせていただいておりましたが、皆様こちらに拘りがあるようでしたので、発注文にいただいた拘りの通りに承りましたが、その分アドリブの色合いが濃いものとなっております。
個室トピックスにございます通り、ないものは全面的に『おまかせ』していただいたとして描写させていただいております。
可能な限り確認させていただき出来る限りの力を尽くしたつもりではおりますが、相違ある場合は、個室トピックスをご確認いただいた上で、主発注者様である真壁さんがひとつに取り纏めて運営までお問い合わせくださいますようお願いいたします。
主発注者である真壁さんにはお手数をお掛けし恐縮ですが、複数の発注者様からの問い合わせによる行き違い等作業上の混乱を回避したいことより、ご協力いただけますと幸いです。

堅苦しい話はここまでとして。

いつも本当にありがとうございます。
今回は全員でひとつの擬似的な称号にもなるよう考案させていただいています。
上手く表現出来ているかは自信がありませんが、それぞれを表すことが出来る紹介になるよう考慮しつつ、全てあわせたらレイヴンという小隊を示せる一文になっていたら幸いです。
皆様を見ていると、私は私の『仲間』と共に駆けたかつての日を思い出し、とても懐かしく、少し切ない気持ちになり、羨ましくなります。
それは、皆様が場所ではなく、皆と共に在ること、その時間を大切にしているからでしょう。

これからも皆様が皆様でありますように、願いと祈りと『希望』を込めて。
colorパーティノベル -
真名木風由 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年10月31日

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