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『落陽 』
煤原 燃衣aa2271)&宮ヶ匁 蛍丸aa2951


プロローグ
 満身創痍の体を抱え 『煤原 燃衣(aa2271) 』と『黒金 蛍丸(aa2951) 』は『黒日向 清(NPC)』と相対した。
 白と黒のアシンメトリーの髪、麻薬中毒者のように痩せた体。しかしその瞳はそこらの人間と比べ物にならない輝きを秘め、ギラギラと光っていた。
 燃衣はそれを見たことがある、というよりほとんど毎朝それを見ている。
 悪夢にうなされて目覚めた朝の。血走った自分の瞳。それに、そっくりだ。

『《ラグ・ストーカー》を追ってきな。お前らに資格があればそこまでたどり着けるはずだぜ。燃衣』

『あの日の真実知りたいだろ?』

 ビシリ。
 そんな異音でネイは我に帰る。見れば鏡が割れていた。
 添えた親指を中心に波紋が広がっている。
 そこに映る歪んだ顔の自分が本当の自分の様で、燃衣は自嘲気味に笑った。

前編 夜がくれば……

 燃衣が暁の執務室のドアを開くと、蛍丸がいち早く到着しており、燃衣を笑顔で迎えた。
「おはようございます、煤原さん珈琲でも入れましょうか?」
「……あ、はい。ではお願いします」
 燃衣は頬をかく、蛍丸の前で泣きじゃくって以来、普通に顔を合わせるとなんとなく気まずい燃衣だったが。今はそうも言ってられない。
 燃衣は珈琲を受け取ると、さっそく本題に入った。
「あれから三日、蛍丸さんがここにいるということは、掴んだんですね」
「いえ、それが彼らののことはさっぱり。けれど、報告すべきことがたまっていたのでいったん戻ってきました」
 燃衣は自分の椅子に腰を下ろす。
「……報告すべきこととは?」
「順を追って話しましょう」
 蛍丸は燃衣の前に次々と書類を並べていく
「黒日向さん率いる組織についてです。彼等はラグ・ストーカー。意味は嘲笑う者ですね」
「嘲笑うもの……」
 目を通した書類には構成員の写真が何枚かあった、彼等は一様にピエロが笑ったような入れ墨を体に刻み込んでいる。
「構成員はわかっているだけでも五名。ただ誰もがトンデモなく厄介です」
「厄介というのは?」
「強いです……」
 蛍丸は一拍おいて語り始めた。
「構成員いずれも、伝説クラスの犯罪者です、大量殺戮、愚神への加担。中にはリンカーになる前にクラスメイト三十人を殺害。その後英雄と契約して、丁寧なことに一学年全員を殺すなんて狂気に手を染めるものもいました」
「そのリーダーが清君?」
「ええ、彼をカリスマとする犯罪組織がラグ・ストーカーです」
「存在目的は不明、しかし彼らが関与したのではないかと言われる事件は多数あり、どれもが大災害レベルの被害を生んでいます」
「たとえば……」
 燃衣の脳裏に蘇る光景。炎につつまれた村。そして。嘲笑う愚神。
「……村を。丸々一つ、焼打ちにしたり?」
「それはまだわかりません……」
 蛍丸はそう静かに告げると、資料を下げた、そして代わりに取り出したのは、また別の人物写真。
「ただ、このラグ・ストーカーの調査中に、ちょっと死にかけまして」
「死にかけた!?」
 恐ろしいことをさらりと言う蛍丸である。しかし本人はけろりとしている。
 蛍丸は豪胆だ。鈍いのか肝が据わっているのかはまわりの人間には判断がつかないが、精神力が飛びぬけて強いのは明らかだろう。
「まさか、敵と接触を?」
「でしたらたぶん僕はここにいないです。僕が遭遇したのは『落陽』というチームです」
「落陽?」
「端的に言うと、復讐者たちですね」
 そう蛍丸が最後に取り出したのはポニーテールの成人女性の写真。
「優衣……ちゃん?」
「え? 似てるんですか?」
 その反応で燃衣は違うんだと覚った。
「彼女の名前は月奏 鎖繰。落陽のリーダです」
 そこに映っている女性は口を一文字に引き結んだ和風美人の女性。いかにも真面目そうだが、彼女も瞳に炎を宿している。
「全員が何らかの憎悪を胸に抱えています。例えば愚神、例えばH.O.P.E.。ただ現在彼女たちはラグ・ストーカーをターゲットに動いているみたいですね?」
「何のために」
 蛍丸は思い出す、鎖繰の地の底から響くような声。そして憎悪の染みついた言葉を。
「彼女はかつてH.O.P.E.にいたころ、チームの全員を黒日向さんに殺されたらしいです」
「それも、とてもむごい方法で……」
「そこで彼女達からの提案なんですが」
「情報交換をしたいらしいです。そして信用できるようであればアジトの強襲調査作戦を暁と合同でという話が」
 燃衣は黙って蛍丸に続きを促した。
「明日の深夜零時。港の廃倉庫五番で待つそうです」
 その蛍丸の報告を頭の中で噛みしめながら燃衣はゆっくりと告げた。
「…………乗りましょう」

   *   *

 燃衣は靴ひもを結び直して倉庫の入り口を見た。隣には蛍丸が立っており、二人は大型のアタッシュケースをその手にぶら下げている。
「行きましょう、案内します」
 蛍丸がそう告げて倉庫の扉を押し開くと、まず見つけたのはだだっ広い室内の中心に広がる血の跡、そして点々とそれが奥の階段まで伸びている。
「これはいったい……」
「……すでに落陽が強襲された?」
「誰にですか?」
「たとえば清君、率いるラグ・ストーカが……」
 燃衣たちはその螺旋状の階段を下りるとやがて大きなフロアに出た。
「いったいここは?」
 その直後である、凛とした声がフロア一杯に響いた。

「待っていたぞ、燃衣! 蛍丸」

 そう女性の声がフロアに響き、そして、燃衣たちが下りてきた階段が爆破された。
 二人は驚きの表情を浮かべる。
 これで退路は無い。
「その声。月奏さんですね?」
 蛍丸が告げる、すると、突如観客席がライトアップされ。大勢の観客の中心に鎖繰がいるのが見えた。
 円状にフロア外周をかこう観客席。つまりここはコロシアムだ。
「なぜこんなことを……」
 蛍丸が叫ぶと鎖繰は微笑んだ
「アンタらを収穫する」
「つまり、罠」
 燃衣はその光景を冷え切った心象で眺めていた、観客たちは自分たち二人を殺せと拳を突き上げている。
 それをみて燃衣は何も言わない。
 やがて闘技場に放たれたのは二つの陰。
 赤い衣を身に纏った左腕だけの少年と。青い衣を身に纏った右腕だけの少女。
 彼らは双子のようによく似た姿をしていた。
「さぁ、殺せ」
  直後ゴングが鳴った。


後編 IF

「お前らH.O.P.E.なんだってな」
「ゆるさねぇ!! 殺す!」
 そう赤と青の双子はつぶやくと、無事な方の腕で円月刀を構えた。
 その刃は霊力を帯びており、二人がリンカーだということがわかる。
「俺らの連携を見るがいい」
 走り寄る二人。まず最初のターゲットは蛍丸だった。
「……させません」 
 いつものように爆拳を装備した燃衣は赤のリンカーの前に立ちふさがる。
 だが。次の瞬間恐るべきものを目にした。
 赤のリンカーの背後を走っていた青のリンカーが立ち止まり、無数の刃を空中に生成したのだ。
「カオティックブレイド……」
 しかもそれを、目の前にいる兄妹も巻き込んで、放った。
「な!」
 直後巻き上がる爆炎。燃衣はそれに飲まれる。
「煤原さん!!」
 そして蛍丸へと肉薄する赤のリンカー。その背には先ほど青のリンカーが複製した円月刀が深々と突き刺さっていた。
「そんな……」
「みたか、これが我々の連携」
 次いで追いついてきた青のリンカーが赤を踏み台に飛ぶ。
 頭上から迫る刃を拳ではじく蛍丸。
 力の帯が淡く光を放つ。
「あなた達は確かH.O.P.E.に恨みがあるとか」
 蛍丸は波状的に襲ってくる攻撃をそらし、回避し、時には拳で叩き落としながら告げる。
「その傷も、僕の仲間たちよって負った傷なんですよね。ごめんなさい」
 蛍丸は落陽の構成員について調べつくしていた。
 彼らはかつて愚神に操られ、人質にされた少年少女たちだった。
 そしてその愚神討伐ミッションは失敗愚神の討伐には成功したが。その結果。
 双子は、家族と、友達と、片側半身を失った。
「H.O.P.E.はゴミだ!」
「僕らの家族を救えなかった」
「だから壊す!」
「僕たちごと愚神を打ちやがって! 何が希望だ!」
 そう双子はよく似た声で叫びながら蛍丸へ刃を叩きつける。
「……だからなんだというんです?」
 その双子へ、血をぬぐいながら燃衣が突貫した。
 赤の刃を拳で流し乱闘に移る。
「あんな組織あっちゃいけない」
「だから僕らが壊すんだ、この世から消してやる!」
 燃衣は双振りの斬撃を半身ひねって回避しながら、鎖繰を見あげた。
「ここにいるのは、こんな人ばかりですか?」
 鎖繰は答える。
「そうだ、そしてその憎悪こそが落陽に入隊するための条件。人を突き動かすのは、憎しみ、それ以外にありえない。私たちは必ずそれを成し遂げる、復讐を、許せないものの殲滅を……」
「煤原さん!」
 蛍丸が叫んだ。我に帰る燃衣。気がつけば拳を痛くなるほどに握りしめていた。
「大丈夫です。それより、あれを使いましょう」
 その言葉を受けて。蛍丸は双子の刃を止めて見せた。
「え?」
「なんで?」
 親指と人差し指でつまむように蛍丸は、双子の刃を強く弾き後退させる。
「その言葉を待っていましたよ、煤原さん」
 その笑みに燃衣に頷きを返す、すると床に転がっていたアタッシュケースが突如開き。そのアタッシュケースから金属パーツが飛来する。
 それは鎧であり、二人の体を覆っていく。
 燃衣が纏うは燃え盛るような赤のフレーム、鬼を模した和風のフレームは。まるで戦場に立つ甲冑の様だ。
「鬼人外装『炬鳥介』」
 蛍丸は黒を下地に、金で装飾された戦鎧、黒金家の家紋が入ったそれもまたパワードスーツの類だった。
「金剛強化外骨格《零》装着、異常ありません」
 装着完了、二人は新たなる力をその身に宿し背中合わせで立っている。
「本気出してなかったのか!」
「なめやがって!!」
 そう激昂する双子は刃を燃衣と蛍丸に叩きつけようと迫るがまたもその刃は蛍丸によって阻まれる。
「……あなた方のそれはコンビネーションと言いません」
 そして蛍丸に刃を止められた双子向けて拳を伸ばす。
「これがコンビネーションです」
 直後炸裂する燃衣の拳、衝撃波で双子は吹き飛び外壁へめり込んだ。
「すごい……」
 蛍丸が感嘆のため息を漏らす。
 激化する戦場、今後より強力な敵と会いまみえることを考えて、試作実験的に開発されたパワードスーツが。これだった。
 格段に身体能力の向上が見込め。なおかつ防御力も上がる。
「あなた達はもう下がってもいいですよ、相手になりませんから」
 そう、燃衣が告げると、双子は怒りで表情を引きつらせながら跳ね起きる。
「野郎!!」
「僕らのコンビネーションを否定したな。殺してやる!」
 次いで空中に刃を生成する双子、無数の刃で圧殺しようというのだろう。
 だがそれを燃衣は鼻で笑った。
「煤原さん!!」
 蛍丸は燃衣が何をしようとしているのか察して拳を燃衣へと突き出した。
 そしてその拳に燃衣も爆拳を叩きつける。
 それによって二人は弾かれるように攻撃範囲内から脱出することに成功した。
「な!」
「そんな!」
 唖然と動きを止める双子。その双子の背後に素早く回り込み、そして。
「貫通連拳」
「七花八裂」
 退路を塞いでの必殺の攻撃。それをもろに受けて双子は吹き飛んだ。
「あぐ」
「くそ……、こんな」
 その光景を目の当たりにして鎖繰は額に手を当てる。そして告げた。
「冗談が過ぎるぞ、小僧ども」
 鎖繰は鋭利な視線を双子に向けた。
「ここで無様に負けることが死ぬことだってのは、わかってるよな? 私たちは復讐者はね、負けたら終わりなんだ。負ければそこで何もかも無意味になるんだよ」
 そう鎖繰は告げると、客席の窓をかち割って、コロシアムに降り立った。
「H.O.P.E.も愚神も、憎いあいつも殺せない。だったら全部憎悪しないと嘘だろ? 自分の目的を妨害する奴ら全員殺さないと嘘なんだ」
 鎖繰はそう告げると小脇にさした二本の方の内、青白く輝く一本に手をかけた。
 直後地面に伏せっていた双子が起き上がり、そして二人の動きが変わった。
「かく乱と目くらまし」
 そう鎖繰が鯉口を切ると、周囲に高密度の霊力が満ちる。
「承知!」
「おうよ」
 放たれる刃、しかしそれは先ほどのような無差別攻撃ではなく。
「退路を断つように?」
 蛍丸はその刃を避けながら分析していた。まるで誘導するかのように刃がはなたれ、燃衣と合流できない。
 その次の瞬間。
 青色の刃が蛍丸の腹部を貫いた。
「な……」
 見れば鎖繰は刀を振りぬいている、刀身は高純度の霊石で、あれから斬撃をとばしたのだと。
「まずは一人、次はお前だ!」
「く……」
 刃の雨のせいで燃衣は全く近づけない、そして接近できなければ燃衣に攻撃の手段は訪れない。
 どうすれば、そう燃衣が思案を巡らせていると蛍丸が口を開いた。
「貴女については調べさせてもらいました」
 蛍丸は告げる。
「あなたは、自分の部下全員を黒日向に殺されているはずです」
 そして再び蛍丸は立ち上がる。
「黒日向さん、あなたの怒りは本物のはずです、なのになぜ」
「アンタらは! 強い力ってもんを知らないんだ」
 そう鎖繰は告げた。
 自分の体を抱え震えはじめる鎖繰。
「私は、許せない、首だけになってもあいつの喉をかき切ってやりたいくらいに。けどな。こいつらは、仲間たちの命まで天秤って言われたら、私は、私はもう」
 一度落陽は、清に奇襲を仕掛けたらしい、たった一人でいるところを十人がかりで。
 しかし。全員が返り討ちに逢った。
 その時、この話を持ちかけられたらしい。
「私は思い出してしまった。許せないと思う反面、奪われる恐怖を」
「月奏さん……」
 
「なまぬりぃんだよ」

 その時だった、燃衣は告げた、降りしきる刃などものともせず、鎖繰へと歩みを進める。
「ぬるい? あんたはあいつの恐ろしさを知らないからそう言えるんだ! 私は隊長として仲間の命を守る義務が……」
「……アンタの意思はどこに行った、それが無ければ、死んでるのと一緒だ」
「え?」
「……殺したいほど憎い相手にただこびへつらうくらいなら、死んだ方がましだろうが。だったら死ねよ……」
 その時燃衣の体が揺らいだ。見れがその体に触れた刃は、ことごとく刃が溶け堕ちている。
 驚愕に目を見開く双子。
「無様に、ここで本当にしたいことも。できずに泣いて死ね! 地獄で悔やめ」
 燃衣は思い返す。
 幸福な幼少期。暁の思い出。砕け散る少女。そしてとある病室の、少女。
 自分を兄と慕ってくれた少女。
 今でも燃衣は思い出せる。トランプが風に舞い。崩れ落ちるその姿。
 その姿が幼馴染の少女と重なって。
 何度も涙をのんだ、目覚めて泣いていたこともある。ふとした拍子にちらつく笑顔がある。
 それは全て奪われたのだ。
 誰に?
 愚神にだ。
 《リミッター解除》
 次の瞬間、『炬鳥介』が告げたその言葉、そして燃衣の体を焼いてしまうほど膨大な霊力がフィードバックされる。
(なんですかこれ、少なくともパワードスーツにこのような機能は無い)
 蛍丸は目を見開く、そして反射的に思った、回復し続けてやらなければ燃衣は塵となって消えるだろう。
 それくらいにすさまじく命を燃やす術《火綯体》
 その身を焦がすほどに立ち上る霊力の炎。
 そう、悲しみも、思い出も、痛みも、過去も。すべてを憎悪の記憶と結びつけることで、絶大なエネルギーと変えた。
 そう、全ては。
 奴を、殺すために。
「おあああああああああ!」
 燃衣は獣のような咆哮を上げる、次の瞬間。
 獄炎を纏って全身。双子の赤い方へ蹴りをいれた。
 血反吐を吐いて外壁まで吹き飛ぶ双子の片割れ。
 そして回し蹴り、地面が削れるほどの速度で放たれたそれは大砲のような威力を持っていたが、鎖繰の鉄の刃にてそらされた。
「……二刀流ですか?」
 次いで側面から迫る青い方の双子。
「鎖繰はやらせない!」
 しかし動きが遅い、止まって見える。
 燃衣は足に霊力を集中させ地面を爆破した。ノーアクションのそれに対抗できず動きを止める青い方。そしてその腹部へ蹴りを放つと、双子の青い方も吹き飛んだ。
「なんだ、お前……」
「僕はずっと思っていました。暁が無ければ僕もあなた達と同じになっていたのではないかと、目的のためには手段を択ばない。復讐者としてふさわしい人間に」
「では、私達と一緒に来る? 燃衣?」
 燃衣は少し驚いた、意表を突かれた提案だったからだ。
 しかし、それはすぐに嘘だったのだと知る。
 腹部に突き立てられる刃。貫通し背中の皮膚を破く感触がありありと伝わってきた。
「嘘よ! さぁこれで目標達成」
 しかし燃衣はまだ倒れない、その拳に獄炎を纏わせてそして、その身を貫く刃も構わず構えを取る。
 そして放たれた貫通連拳は爆炎巻き上げ鎖繰を飲み込んだ。
「あいつにはむかうのか?」
「まだわかりません、彼が何をして、何をしたいのか、よくわかっていませんから」
「そうか」
 煙が晴れた時、そこに立っていたのは燃衣だけだった。
「なぜ殺さない」
 鎖繰は問いかけた。
 燃衣は腹部に突き刺さった刃を抜いて答える。
「まだ死ねないでしょう? だって」
 燃衣にはわかっている、彼女は迷っているだけだ。
 迷って、どこに向かって走ればいいか分からない。
 この前の自分と同じだ。
 燃衣は、復讐に生きる自分を否定した。
 頭では策略とわかっていても、偽物だとわかっていても、幼馴染の姿をさらされただけで、燃衣は拳を止めてしまった。それと、一緒。
「後悔し続ける生き方がつらいのは、お互いわかっているでしょう?」
 救えない後悔を抱き続けて、生きてきた。
 だから彼女の辛さはよくわかるつもりだ。
「もしよければ、僕達と一緒に戦いませんか」
 スタジアムを光が包む、蛍丸はケアレインで双子も鎖繰も治療しながら。
 鎖繰に手を差し伸べて理る燃衣に、複雑な視線を向けた。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『煤原 燃衣(aa2271) 』
『黒金 蛍丸(aa2951) 』
『月奏 鎖繰(つきかなで さくり)(NPC)』
『黒日向 清(NPC)』


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております、鳴海です。
 今回は燃衣さんの過去を追う話の続きということで、これまでの整理やこれからのことを意識して書かせていただきました。
 今後このお話がどのように展開していくのか。私も楽しみです。
 それでは
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2016年11月02日

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