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『防人ライダー 一話 謎の影、その名は…… 』
防人 正護aa2336)&セレティアaa1695)&古賀 菖蒲(旧姓:サキモリaa2336hero001)&一ノ瀬 春翔aa3715)&“皮肉屋” マーシィaa4049

 プロローグ
 
 この町はよい風が吹く。背を押すように温かく、悲しみを包み込むように柔らかい。
 この風を感じるのはいつぶりだろうか。
「帰ってきてよかったのか? この町に」
『防人 正護(aa2336) 』はそんな町並みを見下ろしながらそうつぶやいた。
 だれに? もちろん自分に。
「あなた、どこかで見たことがあるわ」
 そう張り詰めた声を向けるのは『西大寺遙華(az0026)』そんな彼女に『古賀 菖蒲(旧姓:サキモリ(aa2336hero001) 』が腕をからめてしがみついている。その体は震えていた。
「ジーチャン」
 そんな少女の呼びかけに視線だけで答え、正護は再び町を見下ろした。
 成長したビル。人でにぎわう商店街。赤いランプをたいて走るレスキューカー。そしてビルの真下に溜まるパトカー。
 悲鳴と怒号。阿鼻叫喚の図がそこにはあった。
 野次馬がどんどん増えている。この国の人間は危険という物を知らない。
 そこにいれば次の瞬間首が飛ぶかもしれないのに。
 彼らはこのビルを一様に見上げている。 
 その光景を見つめながら正護は、炙られるような苛立ちを感じつつもじっと時が来るのを待っていた。
 
「ジーチャン!!」

 痺れを切らしたかのように焦りの混じった声。菖蒲の声が鋭く短く響く。
 しかしその声は正護に届くことはなかった。
 その声に重なるように聞こえたのは、この世の者ならざる声。
 鉄板を鉄の棒でひっかいたような耳障りな轟音。そして揺れるビル。
 鉄骨の、コンクリートの軋む音が聞こえた。ずるりと壁を這う音。
 鎌首を持ち上げて眼下の人間たちを威嚇する、巨大なムカデが見えた。
「どうする? H.O.P.E.そしてリンカー」
 正護はそう囁いて踵を返し、そして菖蒲からベルトを受け取った。

第一章 出動Hチーム

「おいおい、せっかくの休日だってのに、何だってこんなB級映画みたいな任務請け負わないといけないんだよ……」
『一ノ瀬 春翔(aa3715) 』は後ろ頭をかきながらそれを見あげた。
 グロリアスビル。最近工事が完了したばかりのオフィスビルは、全長二百メートル程度の美しい外観の建物だ。
 その超高層ビルに巻き付いているのは、巨大なムカデ。
 従魔であることは間違いない。
 だが、こんな巨大なものが突然街中に現れるのは異常だろう。
 何かの裏がありそうだと春翔は直感的に確信するが、それを探っている暇など無い。
 取り残された人がいるらしい。
 その救助とムカデの討伐を、春翔たちは打診されていた。
「ざっと150Mくらいか?」
 そう春翔は隣の少女に声をかける『セレティア(aa1695)』は後ろに転がりそうなくらいに首を持ち上げてそれを見ている。
「うわー。気持ち悪いですねぇ」
 元から大きい瞳を見開いて、ポカーンと口をあけている。
 そんな少女が転ばないように背に手を当てた男が一人。
「報酬は増し増しだとさ」
『“皮肉屋” マーシィ(aa4049) 』が二人に声をかける。
 今回はこの三人で戦いに臨まなくてはいけない、理由は簡単。この付近に他のリンカーはおらず、別のリンカーの到着を待っている暇はないからだ。
「バルトさんが、こういう緊急事態の時は三倍くらいとっておけって」
「ふっかけるな……」
 春翔は苦笑いを浮かべた。
「事前情報も、相談する時間も何もない任務はすごく危険だからって」
「なるほどな」
「勿論、俺達もそれが当然だと思ってる、報酬はいつもの300% 経費に糸目はつけないとさ」
 マーシィがにたりと笑うと二人は頷く。
「では、ミッション開始ですね」
「手はず通りにいくか」
 そして三人は自身の英雄と共鳴を開始する。
「あ!」
 しかしその時、セレティアが引きつった苦笑いと共に声を上げる。
「どうした」
 春翔が何かまずいことがあったのかと声をかける。
「着替えるの! 忘れてました!」
 それに気が付いたときにはもう遅い。
 急成長する背丈、発達する筋肉。胸が膨らむにつれお気に入りのワンピースが上に引っ張られるがそれにも限度がある。
 腰のあたりをベルトで止めているため、このままではどこの布が裂けるか分かったものではない。
 最悪、どこかの世紀末拳闘士のように、上半身の布すべてが吹き飛ぶことさえあり得た。
 公衆の面前で、乙女が上半身裸はまずい、戦いどころの騒ぎではない。
「いけません!」
 なのでセレティアはとっさに機転をきかせた。あわててお腹のあたりの布を割いたのである。
 そのおかげでおへそは丸見えだったが、最低限体を隠すことには成功する。胸のあたりで布を結びセレティアは大剣を構えた。
 するとどうだろう、共鳴前は愛らしく開かれた目には意思の強さというか、不敵さが宿っている。
「これからはジャージ持って歩くか?」
 そう問いかけるセレティア。それを見てほっと胸をなでおろした春翔は告げる。
「うっし、いくか」
 大斧を担ぐ春翔。散弾銃を構えるマーシィ。
 すでに打ち合わせを済ませている三人は迷わず、ビル内の階段目指してかけた。
「あいつ、焼いたら食えるかな……」
「ムカデ、食いたいか?」
 セレティアの言葉に春翔は純粋な疑問を返した。
「これをのぼるたぁ、ほんとH.O.P.E.ってやつは、俺たちを筋肉ダルマに改造するつもりなんじゃないか?」
 階段を十階分ほど上ったころだろうか。マーシィは悪態をつきながら窓の向こうを見た。
 外はどうなっているのか確認しようとしたのだろう、だがあいにく外は見えなかった。なぜならガラスを覆うようにムカデの巨体がそこにあったからだ。
「ここから攻撃するか?」
「その前に人質が無事か確認したい」
 マーシィが告げる、へたに刺激して大人しくしていたムカデが暴れだせば、最悪このタワーがへし折られる可能性も考えられるためだ。
 だが、事はそう穏便に進まないようだ、突如セレティアが告げる。
「おい、前になんかあるぞ!」
 そうセレティアが指さす先にはなんと壁に付着する無数の卵。
「気色わりぃ」
 そして。
「くそ!」
 殿を務めていたマーシィ―が発砲した。二人は立ち止まり振り返る。
 するとマーシィの足元に転がるそれが目に入った。
 ムカデだ。
「こいつら、意外と速いぞ」
 おそらくあの卵から孵化したのだろうとマーシィは推測した。
 あの巨大ムカデと比べるとはるかに小さいが。自然界に生息するムカデよりははるかにでかい。
「一体何体孵った? 卵は何個ある」
 春翔が武器を構えた瞬間。まるで待ち構えていたように一斉に孵化するムカデたち。そして一斉に飛びかかってくる。
「くそ! いったんフロアに出るぞ!」
 春翔が叫び斧を突きだす、槍の要領で突き出す攻撃しか放てないのは、階段に斧を振り回すスペースがないためだ。
 よって広い空間に出るのが急務となる。
「オラァ!」
 セレティアが突貫。前に出て大剣で吹き飛ばすようにムカデの群を押し返す、ようやっと、上の階へ出られた。
「どうする?」
 春翔はそう告げながらあたりを見渡す。ざっとムカデの数は30程度、戦闘力は高いが、奇襲されると厄介だ。
「まずは、こいつらを料理してからじゃないか?」
 そう告げるとマーシィは飛んだ、壁を足場に飛び、ムカデの牙を掻い潜って天井に足をつける。
 さかさまの体制で狙いをつけると、ムカデの脳天めがけて引き金を引いた。
 飛び散る鮮血、魚拓のようにムカデのシルエットが地面に浮かび上がったのを見届け、別の個体からの攻撃を避けるため、さらに飛ぶ。
 その先にはセレティアがいた。
「狭いんだよ!」
 セレティアはそう叫ぶと、ムカデを大剣で巻き取り壁に叩きつける。
「もともとはパーティーしてたみたいだぜ」
 マーシィがセレティアの背を守りながら告げた。
「ああ、このビルの開業式か何かか?」
 セレティアのその言葉にマーシィは首を振る。
「逃げ遅れたのは、金持ちばかりなんとしてでも助け出せとお達しだ」
「通りで、金の羽振りがいいわけだ」
 セレティアはそう鼻で笑う。
「あと、グロリア社の令嬢は優先的に助け出せってよ」
「令嬢って、西大寺?」
「そうだ、西大寺 遙華。まぁ。探すのは俺達の役目になりそうだけどな」
 そうマーシィはムカデの追撃を回避する。そしてカウンターで散弾をお見舞いし距離を取る。
「めんどくせえ!」
 春翔は幻想蝶を構えると、白い光がその体を包んだ。
 紅から白へ、纏う色が変わる、そして春翔は斧を横なぎに振るうと、春翔を中心として、大斧が大量に複製された。
 そしてそれを、放つ。
 ビルを揺らす轟音と共に滅殺されるムカデたち。カオティックブレイドの圧倒的せい圧力に二人は目を見開いた。
「開業早々補修工事だな」
 そう春翔は告げるとまた赤へと変わる。
「よし、次の階に……」
 そう春翔が踵を返し階段に向かおうとした直後だ
「春翔!」
 その首筋に毒牙が迫る。

第二章 疑惑

 それはパーティー会場でのこと、遙華は壁の花を気取っていた。
 父親に連れてこられた、年上ばかりのパーティー。それが少女にとって楽しいものであるわけがない。
 そう遙華は一本のキーをもてあそびながら、会場を眺めていた。
 だがそんな遙華の視界に一人見慣れない少女が移る。ドレスアップした、白い髪の少女、しかしこの場の雰囲気から明らかに浮いている。
 おどおどしていて、誰かを探しているようで、でも周りの大人に尋ねるのも怖い
、そんな空気が読み取れた。
 助けてほしいが、助けてと声を上げることも恐ろしい。
 その気持ちが遙華にはとてもよくわかるものだから、遙華はその少女に声をかけることにした。
「貴女どうしたの?」
 びくりと震える肩。そして震える視線。何を話していいか迷うように口をパクパクさせながら、その少女が口に出したのはたった一言。
「ジーチャン」
「ジーチャン? おじいさんを探しているの? ねぇあなた、どこから来たの? どこの人?」
 遙華は関係者から保護者を探そうと思った、この場にいる人間の顔と所属は全て暗記してきたから、それだけわかればなんとかなると思ったのだ。 
 しかし。
「ジーチャン」
 少女は同じ言葉を繰り返すばかり。
「…………保護者は?」
 そう遙華は手を差し出す、心細げな彼女にはそうしてあげることがベストな気がしたのだ。
「ジー……ちゃん」
 遙華の手を取り震える少女。
 身長は高めだが中身は自分より幾分も幼い気がして、であればこのやり方ではだめだと遙華は作戦を変えた。
「わかったわ、一緒に探しましょう」
 一人一人に顔を確認させて保護者を探そう、そう思いパーティー会場のおくへと潜っていく二人。
「大丈夫、すぐ見つかるわよ」
 その直後である。ビルが揺れ、窓ガラスが割れた。
 その破片が飛び、遙華の足を切りつけた。
「いたっ」
「あ!」
 足を抑えてうずくまる遙華、そんな遙華を心配そうに見つめる少女。
「いたい?」
「大丈夫よ。それより」
 窓の外に、巨大な何かが見えた。形容するなら蛇の腹に近いだろうか。
 だが硬質なそれはどちらかというと虫のようにも見える。
「なんにせよ、従魔ね……」
 皆があわてて逃げ出す中、遙華はそれをじっと凝視する。
「いこ! あぶない! いこ!」
 そう少女が遙華の手を引くが遙華は動かなかった。
「にげよ、ねぇ」
 少女の悲痛な声、しかしそれに遙華は耳を傾けず。むしろ立ちあがりその従魔の方へ歩いていく。しかし。
 その首根っこ捕まえ、タキシードをきた男がホール内をかけた。。
「ちょっとあなた!」
 遙華は叫ぶ、しかし男の硬い声に言葉を押さえつけられた。
「自殺なら、こいつを巻き込まない形でやってくれないか」
「ジーチャン! ジーチャン!」
 そう嬉しそうにつぶやく少女。その言葉に遙華はとっさに理解した。
「この人が……」
 まず違和感を感じたのはジーチャンという呼び方。
 遙華にはその青年が、どう見ても老人には見えなかった、あだ名か何かかもしれない、そう冷静に考えながら遙華は青年の言葉に耳を傾ける。
「逃げるなら下に行かないと」
「下はだめだ、あいつらの巣になってる」
「エレベーターは?」
「ついさっき止まった、中に閉じ込められた奴らは、可愛そうだが、そのままいた方が安全かもしれん」
「どこに逃げるか当てはあるの?」
「ない」
「だったら、屋上の鍵があるわ」
「なぜ、そんなものを?」
「壁の花に疲れたら屋上に逃げようと思っていたのよ」
  その言葉に頷くと、正護と名乗る青年は二人の少女を抱え階段を駆け上がった。 
 その背をただ見つめる人影にも気づかずに。

   *   *

 子ムカデは全て倒したはずだった、卵ももうないことを確認している。
 なのにもかかわらず、春翔の首筋めがけ、牙を突き立てんと飛び上がるムカデ。
 完全なる奇襲、完璧なる油断、春翔はその攻撃に反応できない。
 春翔は致命的な一撃を覚悟し目を瞑った、しかし。
 次の瞬間、生温かい液体が顔に塗りたくられ、銃声が聞こえた。
 目元をぬぐって目を開いてみると、魔法銃を構えたマーシィが見えた。
「魔導銃を持ってきておいてよかったぜ、俺達の判断に感謝することだな」
「……ありがとよ」
 紫色の液体をぬぐってあたりを見渡す春翔。
「なんだ、何が起こってる?」
「あれを見ろ」
 セレティアがムカデ指さす。
 その先には何やら小刻みに揺れるムカデの死体があった。
 切り捨てた時には気が付かなかったが、ムカデたちは蠢き、傷口が徐々に塞がり再生しつつある、しかもそれは真っ二つになったムカデそれぞれに再生能力があるらしく。
 つまり、真っ二つにすると分裂し増えるということでもあった。
「だったら」
 春翔とセレティアは顔を見合わせる。二人の言わんとしていることを理解したマーシィは頷き、告げた。
「連中の相手はアンタ等に任せる、俺達は仕事を済ませるとしよう」
「ありがてぇ」
 そう告げると、春翔とセレティアは同時に駆けだした。そして窓を割り、屋外へ飛び出した。
 眼下には巨大ムカデの胴体、頭上には巨大なムカデの頭。
 自分と敵の位置関係を素早く把握すると二人は。その刃をムカデの甲殻に突き立てた。
 刃をムカデの表面に突き刺して落下を防ごうとしたのだ、しかしその刃ははじかれる。
「かてぇ!」
「違う、はじかれてる!」
 その甲殻は霊力によって衝撃を反射するのだ。
「けどな、こういう化け物は唯一守れない部分が一か所だけある」
 春翔は空中で斧を振り回し構える。
「関節の隙間だ!」
 そう告げた瞬間、打ち出される穂先、その刃は見事に装甲の隙間に突き刺さり、ムカデに悲鳴を上げさせた。
 だが、それだけで終わりではない。
「おおおおおおお!」
 落下する勢いに任せて、足の付け根に刃をいれていくセレティア。
 紫色の血が降り注ぐ。甲高い悲鳴が町に響いた。
 直後怒りをあらわにするムカデ、その人間などたやすくかみ切れる顎が。春翔へと伸ばされる。
 轟く銃声。牙が砕けて地面に落下した。
 見れば屋内からの援護射撃。マーシィだ。
「救助と並行して援護する」
「「おう!」」
 マーシィ―による全弾乱射、全ての弾丸を顔面に受け、ふらつくムカデの頭。それがビルにしなだれかかり。衝撃でビルの窓が吹き飛んだ。
 その隙に足を切り飛ばしていくセレティア
 鋭い悲鳴がなった。ビルに絡みつけるだけの足を失ったムカデの体が傾いでいく。
 それを見越して地面に降りていたセレティア。そして春翔。
 二人は武器を構え、その時を待っている。ライブスの光が刃に収束していく。
「おら!」
 最初に動いたのは春翔、チャージを済ませた大斧を全力でムカデの装甲に叩きつけた。その斬撃はひび割れた甲殻すら打ち抜いて、ムカデの胴体を上下真っ二つに切り割いた。
 しかしまだ従魔に息はある。子ムカデのように切断されただけでは死なないのだろう。だから。
「そっち行ったぞ!」
 セレティアは従魔の下に立ち、跳躍、そして。
 腰を回して縦回転。その重量ある刃で従魔の頭蓋をかち割って、脳漿をぶちまけ。そして断末魔の悲鳴をあげさせた。
 鋭い悲鳴、そして重たい音を立ててコンクリートになだれ落ちる従魔の亡骸。
 それを背にセレティアは一つため息をついた。
「ああ。もう着れないです」
 そうつぶやく乙女の目尻には、ほんのり輝く涙があった。
「増量された報酬で買えばいいじゃねえか」
 そう春翔がセレティアの肩を叩く。

エピローグ

 春翔とセレティアはマーシィの避難誘導が済むまでその場で待機を決め込んだ。
 二人はいつもより厚みのある封筒を受け取り珈琲を飲んでいる。
「にしてもこいつの処理はどうするんだろうな」
 春翔がぼんやりとつぶやいた。
「食べるんじゃないですか?」
 セレティアが答える。
「食べたいのか?」
「私はべつに……」
 そう目を泳がせるセレティア。
「にしても、遅いなあの皮肉屋」
 春翔は腰を上げる、迎えにでも行こうかと考え始めたのだ。
 だが、その時である。
 突如、巨大なムカデの亡骸が蒸発し始めた。
 霊力に分解され始めたのだ、ただ問題はその分解された霊力が一か所に集まっていることである。
「これ……」
 セレティアはその現象に覚えがあった。
「これってまさか」
「はい、おそらく……」
 二人は記憶していた、以前一度だけこのようなケースに遭遇したことがあるということ。
 魔人化と便宜上呼ぶことにしたその現象が目の前で起きているということはまだ、戦いは終わっていないということで。
「気をつけろ、とんでもない霊力だ」
 春翔がそう告げると。その霊力の塊が人の形を成した。次の瞬間である。
 目にも留まらない速さで何かが打ち出されたかと思うと、セレティアと春翔は吹き飛ばされ、背後の建物に激突した。
「なんだ、あれ……」
 春翔が明滅する視界の向こうに見たのは、先ほどのムカデ従魔の面影を残した人型従魔。
「くそ、体が……」
 霞む視界、動かない体。やられるのを待つだけの春翔の前を別のシルエットが横切る。
「お前……」
 その言葉に正護はピクリと一瞬足を止めるが、すぐに思い直し、従魔へと向き直る。
 そしてゆっくりと歩みを進めた。
 
「奴は予定通りに……判った、このまま観測継続だな」

 無線機へとそう声を吹き込むマーシィ。
 物語が動こうとしていた。

  
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『防人 正護(aa2336) 』
『セレティア(aa1695)』
『古賀 菖蒲(旧姓:サキモリ(aa2336hero001) 』
『一ノ瀬 春翔(aa3715) 』
『“皮肉屋” マーシィ(aa4049) 』
『西大寺遙華(az0026)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております、鳴海です。
 この度はOMCご注文ありがとうございました。
 今回で二作目ということで、前回の流れを踏襲し書かせていただきました。
 気に入っていただければ幸いです。
 また、今回は本編でできないことにも挑戦してみました、
 セレティアさんはそのままだと戦えないと思ったので、性格が入れ替わっているという想定で書かせていただきました。
 それでは、今度は本編でお会いいたしましょう、鳴海でした。ありがとうございました。
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
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リンクブレイブ
2016年11月28日

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