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『もふっと・はろうぃん・ぱれーど 』
むすびaa0054hero002)&白詰草aa0088hero002

 街の至る所から、甘くて甘くて、気をそぞろにさせられる香りの漂う季節。
 オレンジと黒、紫といった色彩に彩られている季節。
 ――万聖節。
 日本語でそう呼ばれる、ハロウィンシーズンだ。
 
 
 そんなシーズンを、嬉しそうに、文字通り尻尾を振って喜んでいるのは、というと。
「すごいもふ、おかしのにおいでいっぱいもふー!」
「もふ! おかしもふー!」
 つい先頃召喚されたばかりの、いわゆる第二英雄ふたり。お互いの相棒が幼馴染と言うこともあって、よく一緒に行動しているのだが、今日も今日とてきゃっきゃとはしゃいでいる。
 どちらも白い髪と、白い、犬だかうさぎだか判らないようなふさふさの垂れ耳がついているのと、おしりのところにやはり真っ白い、ふさふさもっふりとしたしっぽがついているのが特徴的だ。細かい特徴は違えど、ふたりの雰囲気はよく似ていた。
 黄金色の瞳をもつのが、バトルメディックのむすび。
 漆黒の瞳をもつのが、ブレイブナイトの白詰草である。
 雰囲気が似ているのも道理で、むすびと白詰草は、どうやら同じ世界から召喚された英雄なのだそうだ。出会ってすぐに意気投合出来るのも、恐らくそれに理由があるのだろう。もっとも、本人達はそのことを認識していないが。
 いずれも見た目はまだまだ子どもだが、英雄だけあってその秘めた能力はまぎれもなく人間とは異なる、はずだ。……もっとも、本人達はそんなことお構いなしの、見た目とほぼ同等の精神をもった、幼子の印象が強いのであるが。
「相棒に教えてもらったもふ! この『はろうぃん』では、みんなでおかしをもらいにまちをたんけんするんだもふ〜!」
「はろうぃん? おかし、もらえるもふ?」
 むすびが相棒から聞いた話をざっくりというと、目をきらきらと輝かせてうれしそうにしている白詰草。どちらも甘いものには目がない。いや、もっと正確に言えば食についてとても貪欲だったりする。特にその傾向が顕著なのはむすびで、何しろ誓約の内容が『毎日相棒の作ったおむすびを食べさせて欲しい』なのだから、食い意地が張っているのは一目瞭然である。
 でも、ふたりともそう言う楽しいことに飛びつくのは、やはり似通っていて。
「しろちゃん、いっしょにはろうぃんもふ!」
「すてきもふ! おかしいーっぱい、もらうもふ!」
 二人の意見は、すぐにまとまった。
 
 それから数日後。
 早く帰ってくるんだよ、とお互いのリンカーにしっかり諭されながら、むすびと白詰草は、しっかり仮装を施して、出かけることにした。
 むすびは用意してもらった帽子を被り、おとぎ話の魔法使いのような姿になっている。一方の白詰草は、『これが可愛いんじゃないか』とすすめられた、ふわふわの和ロリ――但しゴシックカラーでの参戦だ。黒をベースにした着物風のドレスにぴょこんと垣間見える白いしっぽが、いつもよりもひきたって見える。
 英雄といっても見た目はせいぜい小学生のふたり、たくさんおかしを入れられるようにと大きなバスケットをもって歩いているさまは本当に愛らしく、むしろ衣装に着られているようなところもあるのだが、それを周囲の人々は可愛らしい、と思わず足を止めて眺めたりもしている。
 ときにはよく分からないうちに写真を撮られていたり、まあ可愛いと認識されたからこその様々な体験をしていた。
 もちろん、お菓子をもらうのも忘れない。
「とりっく・おあ・とりーと!」
「とりっく・おあ・とりーともふ!」
 そんな可愛らしい声でお菓子をねだる少年少女に、誰がお菓子を与えまいか。手元にあったバスケットは、色とりどりのお菓子であっという間に一杯になっていた。お互い、その中から特に大きなペロペロキャンディを口に含んで、口のまわりをべとべとにしながら、街を興味深そうに眺めてまわる。「でも、街のあかりがきらきらきれいもふ〜」
 白詰草が、そう言って周囲を見渡す。その瞳もきらきらと、まるで宝石のように輝いているのだけれど、本人達は当然というか、そんな認識をしていない。
 幼い体つきも相まって、性別はもともと判らないのだけれど、それでもどことなく、むすびのほうが少年っぽい格好で、白詰草のほうが少女めいた格好をしている。そんな絶妙のバランスがまた、彼らを可愛いと思わせるのだろうが。
 なお、むすびも白詰草も、自分が可愛いと判っているタイプだったりする。だから、いわゆる『いちばんかわいく見えるポーズ』なんかを熟知していたりして、写真を撮られるときも、当然そんなポーズだ。だから本当のことをいえばあざと可愛い、という表現のほうがしっくりくるのかも知れないが、むすびと白詰草の外見的には、そう言うイメージよりも、内側からにじみ出る愛らしさのほうが強い。
 つまり見た目も中身も可愛いのである。
 そんなお子様が歩いていれば、菓子の一つもあげたくなると言うのは道理というものだろう。もっとも、その正体は英雄であるから、見た目や言動にそぐわぬ強さを備えてはいるのだけれど。
 
「ねーねー、これなにもふ?」
 白詰草がひょいと指さしたそれは、奇妙な顔にくりぬかれたかぼちゃ、ジャック・オ・ランタンだ。
「おや可愛い魔法使いさんと……魔女かな? これはジャック・オ・ランタン、おばけかぼちゃともいってね、ハロウィンにはつきものの、一種の妖精のようなものかな」
 ちょうど近くを通りかかった親切な男性が、そんな風にやさしく教えてくれる。言われてみれば、かぼちゃはオレンジで、ハロウィンの飾りなどと同じ色をしている。
「かわいいもふ!」
「おいしそうもふ!」
「あと、なんか……なつかしい、もふ?」
 むすびと白詰草は、わいわいと言いあっている。それを見た老婦人が、
「こんなのを、可愛い英雄さんたちにあげましょうか」
 そう言って手渡してくれたのは、ジャック・オ・ランタンを模したプラスチックの小さなケースに、一口サイズのチョコレートがいくつか入った、可愛らしいお菓子の詰め合わせだ。
「わぁ、ありがともふ!」
「おいしそうもふ!」
 食いしん坊な二人の英雄は、嬉しそうに尻尾をふりふり。
 そんなことをやっているうちに、街もずいぶん暗くなってきて、帰宅を促す音楽が響いてくる。彼らの相棒、能力者たちも、この音楽が流れたら帰ってくるように、と念押ししていたっけ。
「しろちゃん、おうちまでかけっこもふー!」
「むすびちゃん、まけないもふ!!」
 最後はふたりで競走して。
 そして、お互いの住む家に笑顔で飛び込むのだ。
「ただいまもふ!」
「はろうぃん、たのしかったもふー!!」
 幼い英雄は、そういって笑う。契約を交わした大切な人に、今日の出来事を、とてもとても嬉しそうに、報告しながら。
 
 

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0054hero002 / むすび / ? / 10歳 / バトルメディック】
【aa0088hero002 / 白詰草 / ? / 8歳 / ブレイブナイト】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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今回はご発注下さりありがとうございました。
まさか、英雄さんたちが〇〇だとは……!
彼ららしい、可愛らしい話に仕上がっているといいのですが。
形こそ違えど、また描く機会を下さり、本当にありがとうございます。
良いハロウィンを、そして楽しい英雄としての生活を祈っております。
VIG・パーティノベル -
四月朔日さくら クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年11月29日

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