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『スイーツ男子部、まさかの第二回活動報告! 』
ガルー・A・Aaa0076hero001)&Лайкаaa0008hero001)&会津 灯影aa0273)&十影夕aa0890)&月城 万里aa1667hero001


 もう少しで、ハロウィン。
 スイーツに飾りにと、カボチャが大活躍する日だ。

 だから、こんな時に依頼のお礼としてカボチャのお土産をもらえるのは嬉しい。
 嬉しいけれど――

「ものには限度があるよね」
 十影夕(aa0890)は目の前に積まれた山のようなカボチャを前にして、途方に暮れていた。
 和食と洋食、それにスイーツを加えれば、二個くらいは軽く消費出来るだろう。
 幸いなことに英雄のチビさんはカボチャが好きなようで、煮付けが食べたいというリクエストもある。
 しかし。
「全部煮付けとか無理だし、バリエーション変えてもさすがに飽きるし……」
 多分、毎日カボチャ三昧でも食べきるまでに一週間はかかるだろう。

 というわけで、困った時の召喚術!
 いでよ、お料理マイスター!
 たすけてガルえもん!

『よっしゃ任せとけ!』

「……って喚び出したつもりだったのに、どうして俺が喚び出されてるんだろうね」
 気が付けば、夕はガルー・A・A(aa0076hero001)宅のキッチンでエプロンを装備し、包丁を手にカボチャと格闘していた。
「硬いから気を付けてな、自分の指までスパッといっちまったら洒落になんねぇぞ?」
 そんなガルーの言葉に頷きつつ、夕は慎重かつ大胆にカボチャを真っ二つに割っていく。
「ガルーさん、今日はありがと」
「なぁに、スイーツ男子部副部長の夕坊が困ってると聞いちゃ、部長たるもの黙って見過ごすわけにもいかねぇだろ」
「スイーツ男子部……え、これスイーツ作る会?」
「そうさ、料理も良いが日持ちしねぇだろ? 冷凍するったってこんだけの量だしな」
 業務用の大きな冷凍庫でもなければ、とても入りきらないだろう。
 しかし、スイーツなら常温で保存が利くものも多いし、時期的にハロウィンで配るという手もあるし。

 そんなわけで、スイーツ男子部まさかの再結成!
 しかも新入部員が増えたよ、三人も!

 まずは一人目、勇ましい腕捲りに可愛らしい猫エプロンの会津 灯影(aa0273)はガルーが召喚した。
「ひーちゃんは料理上手だからな、頼りにしてるぜ!」
「おう、呼ばれて飛び出て手伝いに来た! 料理は任せろー!」

 次に二人目、月城 万里(aa1667hero001)は偶然のエンカウントからうっかり巻き込まれたらしい。
「料理含めて家事全般が得意だからね、仕方ないから手伝ってあげるよ」
「もーそんなこと言っちゃって優しいんだからぁ」
 知ってるよ、万里くんツンデレだって。
 会うのはまだこれで三回目だけど、三回も会ったらもう友達だよね!

 そして最後の一人――

「……、…………」
 Лайка(aa0008hero001)は、ガルーさんちの玄関先で中の様子を伺っていた。
 能力者の母親から頼まれたお届け物を手に、ドアの向こうから微かに聞こえてくる賑やかな声に耳を傾ける。
 どうやら友人は若い者達と楽しくやっているらしい。
 これはまた日を改めたほうが良さそうだと踵を返したその直後。
「なんだライカじゃねぇか、どうした?」
 ドアが開いて、目当ての本人が顔を出した。
 ならばこれを渡して任務完了と、Лайкаは持っていた小さな手提げの袋を前に突き出す。
「届け物だ」
「ん? なんだ、坊主のお袋さんからか……なになに、いつもお世話になっています?」
 ガルーは可愛い花柄の袋に入っていたクッキーに目を細め、添えられていた手紙に目を通して、まるで一人芝居のようにぺこりと頭を下げた。
「いやいや、世話になってンのは俺様のほうで。ふむ、皆さんでどうぞ……そりゃもうありがたくいただきますよってことでライカ」
 がしっ。
 そのまま帰ろうとしたЛайкаの腕を掴んで引き留める。
「皆さんってことは当然、お前さんも入ってるってことだよな?」
「いや、俺は」
「届け物に来ただけだし、自分が食っちまったら皆の分がなくなる? ところが今日は、菓子なら山ほどあるんだ……もっとも、これから作るんだがな!」
 相手が無口な分は自分で補完するいつものスタイルで一方的に喋りまくり、ガルーは捕まえたЛайкаをキッチンへ引きずって行った。

「あれ、ライカさんだ」
 顔を上げた夕は、その姿を見てぺこりと頭を下げる。
「チビの友達の、英雄さんだよね」
 Лайкаの方には覚えがないが、どうやら互いの能力者を介した縁があるらしい。
「ライカさんも、甘いもの好き?」
 その問いに、Лайкаは黙って頷いた。
 無口で真面目、ついでに堅そうに見えるけれど、意外に可愛いところもあるようだ。
「ところで作る方はどうだったかねぇ」
 ガルーは相手の口から漏れる単語のひとつから意味を膨らませ、超訳していく。
「ん、そうか、出来ないこともないが、滅多にしない……いや、出来ない? なるほど、あの家のキッチンは男子禁制か。だったら今日は存分に腕をふるってけ、自分で作った菓子も悪くないぜ?」
 というわけで、気が付けばЛайкаはスイーツ男子部新入部員の三人目となっていた。

「初めまして、万里だよ。まあよろしく?」
 まずは知り合いから始めて、徐々に関係を深めていきましょうというのが、交友関係の基本的なスタイルだろう。
 しかし中には最初から飛ばして来るパターンもある。
「俺は灯影、初めましてだけど一度会ったら友達だよな!」
「……三度目でもまだ少し早いかと思ったが、上には上がいたか……」
 三度目どころか一度でクリア、灯影のコミュニケーション能力の前にはハードルなんてなかった。
「まあ何にしても、仲良くなるのは良いことだな!」
 人数も揃ったことだし、そろそろ始めようか。

 新生スイーツ男子部、堂々の再始動。
「今回のテーマは、カボチャを丸ごと味わい尽くす!」
 友であり部員でもある夕の窮地を救うため、そして季節を楽しむために。

「エプロン借りて良い? ん、ありがと」
 どこかの喫茶店のロゴが入ったエプロンを借りた万里は、調理台の上に山と積まれたカット済みのカボチャをじっと見る。
 台の下にもまだ、丸ごとのカボチャが何個か残されているけれど――
「これくらいなら、上手く保存しておけば冬至まで保ちそうだね」
 保存法?
「それくらい自分で調べてよ」
「まーたまたぁー」
 つん、ガルーがその脇腹を肘で軽く小突いた。
「そんなこと言って、本当はちゃんと調べてあるんでしょ?」
「なんでそうなるの、ガルー馬鹿なの?」
「うん、馬鹿だから教えてくれないかなー、カボチャってどうやって保存すればいいのかなー」
 わざとらしい小芝居に呆れたような溜息を吐き、万里は相手を見ずにぽつりと零す。
「風通しが良くて、暗くて涼しい場所に置いとくだけ。切ったやつはタネとワタを取ったところにキッチンペーパー詰めて、ラップして野菜室。レンジでチンしてから冷凍でもいい」
 ほーらやっぱり。
「おっと、タネとワタは捨てるなよ!」
 今度は灯影から声がかかる。
「捨てるヤツも多いけどな、実は本体よりこっちのほうが栄養あるんだ」
 せっかく葉付きで売っている大根の葉を捨ててしまう人もよくいるが、あれと同じで不要と思われていた部分が実は本命でしたというパターン。
「じゃ、まずは簡単に作れるものから先に作って、腹拵えしながらメニューとか考えようか」
 タネはそのままクッキングシートに広げてレンジでチン。
 あとは好みで塩やバター醤油、ハチミツ、カレーパウダーなどで味付けすれは、お菓子にも酒の肴にもなる。
 ワタはチンして牛乳と一緒にミキサーにかけ、レモンとハチミツを加えれば甘いジュースの出来上がり。
「わたジュースにタネのスナック、これだけでも腹一杯になりそうだけどな!」
 しかしまだまだ、この程度では前菜にもならない。

「これだけあれば色々作れそうだなー」
「南瓜ね、南瓜巾着にパンプキンパイ、パウンドケーキに練り込んだり……とかで大丈夫?」
「定番のカボチャプリンに、ムース、ゼリー、タルト……カボチャのモンブランケーキも良いな」
「クッキーとかがいいかな、日持ちしそうだし」
 万里の提案に応え、夕と灯影は思いついたものを挙げてみる。
「でもなんだっけ、練り切り? とかも喜ぶかもしんない」
「おお、和菓子も良いな!」
「あとお土産もいるよね。皆、家で待ってる誰かが居たりするわけでしょ? 持って帰ったら喜ぶだろうからね」
「そうそう、土産!」
 灯影は「よくぞ言ってくれました」とばかりに夕と万里の肩を叩いた。
「俺んとこ、出がけにすっごいゴキゲンな様子で『いってらっしゃ〜い』とか言われたんだけどさ、あれって『連れてかないなら土産持ってこい』って意味だよな」
「ああ、うん……わかる」
 こくりと頷く夕。
「会津さんとこも、和菓子が好き? じゃあ一緒に作ってもいいかな」
「おっ、いいな! 俺はちょっと斜め上に、見た目洋風の和菓子にしてみるか」
「洋風?」
「そ、ハロウィンも近いだろ? だから――」

 お喋りで盛り上がる若手部員を横目に、Лайкаは黙って手を動かしていた。
 料理は下手ではないと自覚しているが、なにしろ不慣れな上に、調理法は軍人らしく至って質素なものだ――つまり、切って焼くだけとか、煮るだけとか、その程度。
 だが手が込んでいるから美味いとも限らない、シンプルisベストとも言うではないか。
 カボチャとリンゴを薄切りにしたものをトレイに並べ、蜂蜜、シナモン、ナッツをかけてオーブンで焼く。
「へえ、美味そうだな……なんて料理だ?」
 ガルーが脇から覗き込むが、どうやらそれはロシアに伝わる伝統の料理で、リンゴと蜂蜜入り焼きカボチャと言うらしい。
「そのまんまだな……なんかカッコイイ名前付けようぜ?」
「名前?」
「これどう見てもカボチャとリンゴがダブル主役だろ? なのにリンゴと蜂蜜入り焼きカボチャとか、なんかリンゴが不憫だと思わねえか?」
 そんなこと言われても、ねえ。
「よし、カボチャとリンゴの蜂蜜シナモンナッツ焼きとか、どうだ」
「長い」
 おまけに「そのまんま度」がアップしているし、なによりカッコイイとは言い難い。
「じゃあパンプキナッポーハニーナッツで!」
「それも長いよ、ライカのカボチャとリンゴ焼きでどう?」
「いっそライカ焼きで良いんじゃないかな」

 そ れ だ !!

 オーブンから漂う香ばしい匂いに釣られて寄って来た灯影、夕、そして万里が口々に好き勝手なことを言い合った結果、料理の名称は万里が提案した「ライカ焼き」と決定しました。
「なんかライカが焼かれるみてぇだな……ほれ、たこ焼きとか卵焼きとか?」
「でも明石焼きっていうのもあるよな」
「あれは地名だけど、人の名前でもいいと思うよ」
「なに、ガルーは自分のが採用されなかったから拗ねてるの?」
「そんなんじゃねぇよ! つかお前ら三人、いつの間にか意気投合してねぇ? おじさん寂しいぞ?」
 いいですけどね、部員が互いに仲良くなれるように気を配るのも部長の務めですし!
 務めなくても勝手に仲良くなってたけど、そこはきっと部長の人徳のなせるわざということで!

 そんなこんなでメニューを決めて、お喋りが一段落したら、今度は手を動かす番だ。
「カボチャのスイーツってけっこうあるもんだな……うん、まずは簡単そうなの……カボチャのしっとりケーキってやつから始めるか」
 スマホでレシピを検索した灯影は、材料と手順をざっと見ただけでページを閉じてしまう。
「なんだ、レシピは見ないのか」
「普段から料理してるからね、出来上がりの想像が付けば大体の分量はわかるし、量るのめんどくさいし」
「それでちゃんと出来るんだから、こういうのほんっと流石だよな……」
「ガルーさんこそ、それ作り慣れたヤツでもきっちり量るの?」
「当然だ」
 ガルーはシンプルなパウンドケーキの材料を量りながら答えた。
 一から十まできっちり手順通りに、材料も計量機器さえ対応していれば1ミリグラムの単位まで正確に量りかねない几帳面さで作業を進める。
「いいんだよ、菓子類は測りすぎるくらいでいいんだ」
 おかず系の料理なら少しくらい失敗してもリカバーが効くだろうし、その失敗が味になることもある。
 しかし菓子類は材料を混ぜる順番を間違えたり、ほんの少し材料が多かったり少なかったりするだけで、取り返しの付かない大失敗が起きるものだ。
「まあ俺様にとっちゃ薬の調合と同じようなもんだな」
 薬は正確に量れば期待した通りの効果が得られる。
 それと同じで、料理も手順と分量が正確にぴったり同じなら、誰が作っても同じものが出来る――はずなのだが、何故か作り手によって味が変わるのだから、料理とはまったく不思議で奥の深いものだ。
 だから他の人とメニューが被っても気にしない、むしろ食べ比べを楽しむために全員で同じものを作ったらどうかと思うくらいで……
「いいね、それ。やってみたい」
「おっ、夕坊は乗り気だな」
「じゃあ俺も!」
「仕方ないね、乗ってあげるよ」
「……(こくり」
「よし、全員参加な」
 作る物は何が良いだろう。
「クッキーでいいと思う。大体混ぜて焼くだけだし、初めてでもそんなに失敗はしない気がするし」
「シンプルなほうが比較とかしやすそうだしな」
「アレンジはOK?」
「いや、今回はレシピ通りに作る。そうしないと比較にならねぇだろ」

 というわけで、ガルーはネットで拾った基本のレシピをプリントアウトして全員に配る。
「これは同じ材料、同じ分量、同じ手順で同じものを作った場合に現れる、作り手の個性を確かめるための検証実験だ」
「いつの間にか実験になってるし」
「よって、灯影も目分量ではなくきっちり量って作ること」
 ツッコミを入れた灯影に一瞥をくれ、ガルーは釘を刺した。
「え、それ却って難しいよ!?」
 しかし企画の趣旨に賛同したからには従わねばなるまい。
「うん、初心に返るって大切だよな!」
 猫エプロンの紐を結び直し、気合いを入れて作業開始。
「それ、かわいいね」
「このエプロンか? 俺こう見えても猫派だし! そういう十影もなかなか可愛いの着けてるな」
「これ、中学のとき授業で作ったやつ」
「ああ、家庭科のな! 俺も作ったけど、どこにやったかなー」
 そういうのって上手く出来ると使うのが勿体なくて、思い通りに出来なかったりすると黒歴史として封印されたりするから、結局使い処がなかったりするものだ。
 生地の柄も中学生の感覚で選ぶとやたら子供っぽくなったり、逆に背伸びしすぎておかしなことになったりするし。
「それ、もしかして封印解いたのか?」
「そういうわけじゃない。普段から自炊はするけどエプロンは使ってないから……やっと、使う機会できた」
 ミント色の地に犬キャラクター柄のそれは、本人にしてみれば無難なチョイスであるらしい。
「ガルーさんのそれは、割烹着?」
 淡い黄色地の胸元に、茶色いくまさんの可愛い顔が大きくプリントされている。
「なんだ、珍しいのか?」
「そういうわけじゃない、けど……それ、給食当番が着るものだと思ってた」
 エプロンにもなるんだと感心しているが、割烹着とは元々、和装で家事をする時のために作られたものだ。
「袖付いてるの、めっちゃいいな。油飛んでも熱くない」
「なに、夕はよく油飛ばすの?」
 万里の問いに、夕は素直に頷いた。
「水気が残ってるといけないって聞いたから、よく拭いてからやってるんだけど」
「んー、じゃあ油の温度かなぁ。高すぎるとよく跳ねるって言うよ? それか、量が多すぎるのかもね?」
「そうなんだ、うん、気を付けてみる……ありがと」
 この前は何だか意味のわからない悪態をついてくるから、正直あまり良い印象は持っていなかったけれど――なんだ、ちゃんと話してみたらイイヤツじゃん!

 と、その耳に誰かの鼻歌が聞こえて来た。
「え、ガルーさん?」
 見れば、ガルーが真剣な表情で量りに向かっている。
 その顔と、漏れ聞こえる鼻歌が余りにちぐはぐで……いや、笑っちゃいけない、笑っちゃ……
「ああ、ガルーさんね、この人何かに集中すると鼻歌を歌う癖があるんだ」
 本人の代わりに灯影が答えた。
「なんかめっちゃ真剣に鼻歌歌ってるみたいに見えるよなー」
 大丈夫、そのうち慣れる。
 って言うか慣れた。

 そうして賑やかにお喋りしつつ手を動かし、時折はつまみ食いなどもしながら数時間。
 オーブンで焼いていた最後の一品、小さくダイス状にカットしたカボチャがゴロゴロ入ったガルーのパウンドケーキが完成し、これで全部のメニューが出揃った。
「片付けも終わったし、これで心置きなく食べられるね」
 捲っていたシャツの袖を降ろしながら、キッチンから出て来た万里はダイニングの大きなテーブルに目を落とす。
 そこにはクロスが見えないほどにぎっしりと、スイーツの載った皿が並べられていた。
 そればかりか、調理台の上もキッチンワゴンも、電子レンジやオーブンの上も、平らな場所には全て、何かしらの皿が置かれている。
「いやー、作りも作ったって感じだな!」
 その様子を眺める灯影の顔には、やりきった後の満足感が溢れていた。
 しかし、作っただけで終わりではない。
 むしろこれからが本番。
「美味しく作ったら美味しく食べる!」
「ま、お茶にしようぜ。紅茶でいいか?」
「あ、それなら俺が!」
 ガルーさん、紅茶の葉とお湯の量まできっちり量りそうだし、量ってるうちにお湯が冷めそうだし?
「紅茶ってのは湯の温度が大事なんだぜ?」
 湧かしたてのまだ泡が出ているようなお湯を温めたポットに一気に注いで、茶葉を踊らせるのがコツなのだ。
 量はまあ、適当で!
「わかった、ひーちゃんに任せる」
 適当って言っても「いいかげん」な適当じゃないことは知ってるし。

 美味しい紅茶が入ったところでガルーが尋ねる。
「砂糖入れるやつ、手を挙げろー……よし、何枚だ?」
「ちょっと待って、砂糖は一杯とか、一個とか、だよね」
 ガルーさん、スイーツの食べ過ぎでおかしくなっちゃったのだろうかと半ば本気で心配しつつ、夕が聞き返した。
 しかし大丈夫、至って正気である。
「そう思うだろ? ところが、こういうのがあるんだぜ」
 取り出したのは、どう見てもレース編みのコースターかドイリーのようなもの。
 それを徐に、カップの中へ……ぽちゃん!
「って、何すんだよガルーさん!? やっぱおかしくなったのか!?」
 灯影が慌てて止めようとするが、ガルーは余裕の笑みでそれを制した。
「まあ見てなって……ほら、溶けてきた」
「え……?」
 実はこれ、砂糖で出来ているのだ。
「この前、新しい店が出来たって言っただろ? そこに売ってたんだ、面白いだろ」
「なんだよ先に言えよ! でも面白いな、皆にウケそうだ」
 気に入ったら、あの店で手に入るよ!(がちま

 そして始まる、男子だけのお茶会。
「まずはクッキーの食べ比べといくか」
 ガルーが作ったものを標準と仮定して、それぞれの味や食感を比べてみる。
 目の前に並んだクッキーは、どれもほんのり黄色く色付いた丸い形だが、よく見れば少し歪だったり表面がデコボコしていたり、大きさが不揃いだったり。
 万里のものに至っては、様々な形に型抜きされていた。
「型抜きしちゃいけないとは言われなかったしね?」
 その味は限りなく標準に近いが、形のせいか、より美味しく感じられる気がする。
「んー、やっぱり俺は目分量でやったほうが美味い気がするなー」
 本人の言う通り、灯影のクッキーは何となく生気に欠ける味わいがする、ような。
 それでも普通に美味しいが、本人にしてみればその「普通」というのがどうにも気に入らないらしい。
 夕のクッキーは少し小さめでほろほろと柔らかく、Лайкаのものは見た目もゴツゴツしていて食感も少し固め。
「なるほど、やっぱり違うもんだな」
 全部を少しずつ取り分けて袋に詰め、これも土産のラインナップに加えておこう。

 次に出されたのはライカ焼き。
 取り分けた上に、生クリームに粉砂糖を加えたソースをかけて召し上がれ。
「初めて食べたけど、これも美味いな! 今度うちで作ってもいいか?」
 灯影の言葉にЛайкаは黙って頷きながら、仲間達が作ったスイーツを次々と口に運んでいく。
 元から無口な性分なのは、こういう時に便利だ――会話に気を遣うことなく、存分に食べられるし。
 もっとも、この席はそういった気遣いには殆ど無縁であるようだが。
 聞こえる言葉と言えば、ほぼ「美味い!」の一語に尽きる。
 黙々と、一途に、ひたすらに、甘いものを食べ続けるスイーツ男子。

 木製のトレイにクッキングシートを敷いた上に綺麗に整列しているのは、小さなカボチャ達。
 左端は夕が作った緑色の練り切り、丸ごとのカボチャに似せて作った皮は抹茶で色を付けてある。
 真ん中に並ぶ灯影が作ったオレンジ色の練り切りは、チョコで作ったジャックオランタンのような顔が付いているハロウィン仕様だ。
 右端は万里のカボチャ巾着、スイーツかと思ったら中に鶏のそぼろが入っているという、まさかのおかずバージョンだった。

 パンプキンパイはお土産にも出来るようにと一口サイズ、焼きドーナツとシュークリームもお土産用だ。
 ふわふわのスフレには粉砂糖をたっぷりまぶして、タルトの上にはカボチャクリームをどーんと盛ってモンブランに。
 カボチャプリンはホイップクリームを絞った上にタネをちょこんと乗せて、ロールケーキはカボチャクリームたっぷり、マフィンやスコーン……蒸しパンも洋菓子の部類に入るだろうか。
 少し塩味を利かせたカボチャスティックは、お好みでチョコやクリームのディップに浸けてもいい。
 生地にもカボチャを練り込んだカボチャ餡のどら焼きや、カボチャ饅頭、カボチャ餡の白玉団子に、カボチャを練り込んだ生地のみたらし団子などなど、和菓子も充実のラインナップ。

「カボチャって、けっこう色々使えるんだ」
 大量のカボチャを目の前にして途方に暮れていた数時間前が嘘のようだと、夕は感心しきり。
 むしろ作りたいものがありすぎて、カボチャのほうが足りなくなりそうな勢いだった。
 カボチャの使い勝手の良さもすごいけれど、それを作ってしまう皆の技術とパワーもすごい。

「こういうのもまぁ、悪くねぇな」
 一通り食べ終わって、のんびり雑談に入ったところでガルーが切り出す。
「せっかく再結成したことだし、この際だからお揃いのエプロンでも作ってみねぇか?」
 ほら、ロゴとか作ってみたりして!
「いいな! なんかこう、仲間って感じだ……!」
「んー、俺エプロンより割烹着がいいな……」
「……ださ。おじさんってそういうの好きだよね」
「……」

 果たしてスイーツ男子部お揃いエプロン計画は実現するのだろうか。

 待て次回!(あるのか?


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

【aa0076hero001/ガルー・A・A/男性/外見年齢31歳/スイーツ男子部・部長】
【aa0890/十影夕/男性/外見年齢17歳/スイーツ男子部・副部長】
【aa0008hero001/Лайка/男性/外見年齢27歳/スイーツ男子部・新入部員】
【aa0273/会津 灯影/男性/外見年齢22歳/スイーツ男子部・新入部員】
【aa1667hero001/月城 万里/男性/外見年齢15歳/スイーツ男子部・新入部員】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

いつもお世話になっております、STANZAです。
ご依頼ありがとうございました。

スイーツ作って食べるだけで、果たしてジスウが埋まるのかと危惧しておりましたが……気が付けば規定を軽くオーバーしていました(てへっ☆(
楽しく書かせていただいた、この思い伝われ……!

なお、例の砂糖は「砂糖 ドイリー」で検索すると出て来ます、多分。

ということで、お楽しみいただければ幸いです。
口調や設定等、齟齬がありましたらご遠慮なくリテイクをお申し付けください。
VIG・パーティノベル -
STANZA クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2016年12月06日

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