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『身も心も紅く染まって 』
天谷悠里ja0115

 ドレスアップの仕上げ。
 後戻りできない可能性を示されても天谷悠里(ja0115)の心は揺れなかった。
 それどころか、自分が今以上に変わる事に期待する彼女がそこにはいた。
 日常とのギャップ、何時ものと違う恋人と交わり、この店で目覚めた官能的で背徳的な悦び。
 少女達のドレスアップはいつだって悦びを強くする事を体も心も知ってしまっている。

 少女達が準備をしている間、鏡の中にいる紅薔薇の女王と見つめ合う。
 艶めいた笑みを浮かべるのが自分なのだと思うと甘い痺れが体を襲う。
 体でも心ではないところが快楽を求めているのだろうか、鏡を見つめこれからやってくるだろう悦びを考えるだけで悦びで肌が粟立つ。

「準備が整いました」

 目の前で膝をつく白い少女と悠里の傍に香炉を置く黒い少女。
 香炉からはさっぱりとした甘い香り。
 オレンジのお菓子の様でいい匂いだと思うが、その香りが体を熱くさせるのか、香りを吸い込めば吸い込んだだけ吐息が熱を帯びてくる。

「その香りは?」

「小道具の様なものよ。害はないから気にしないで。それより……」

 黒い少女が白い少女を指差しながら悠里の耳元で囁く。

「花嫁があなたに傅いているのよ?放っておいていいの?」

 先程目の前で頭を下げたのは白い少女のはずだった。
 しかし今少女の指の先、白い少女がいた場所にはまぎれもない愛しい姫の姿。

『あぁ……あの人が跪いている。年下の私からの愛を乞い待っている』

 悠里がそっと手を伸ばし恋人の顎を持ち上げると、小さな喘ぎが上がった。

「どうしたの?待ちきれなかったのかしら」

 聞こえるのは、悠里をねだる声。

「えぇ。もっと触れてあげる。もっと愛してあげるわ」

 立ち上がらせ腰を抱けば花嫁からのキスの雨が降る。
 悠里の肌に触れられる喜びを口にし、女性同士で行為に及ぶ背徳と悦びに瞳を濡らしながら、触れられる肌の全てに注がれる。

「……彼女の恍惚とした表情を見て。とても綺麗でしょう?貴方ももっとしたい様にしていいのよ。誰も貴方には逆らえないんだから」

 耳元で囁かれる黒い少女の甘い囁き。反対の耳元では姫が悠里の美しさを賛美し、淫らない愛を欲しがる。

 そうね。と悠里は欲望のままに花嫁の胸や腰を撫で、首筋に赤い花を散らす。
 身に纏っていたドレスをはだけさせたまま鏡に写し、いかにいやらしいか口にし、口にさせる。
 時に焦らし懇願させ妖艶に囁き甘い愛撫を与える。

 目の前で花嫁が乱れる度、甘い声が耳へ届く度、体は熱くなり淫らな悦びを求める心が加速する。
 官能の悦び、嗜虐からくる愉悦、淫らな愛の甘さが心へと染み込み、五感に伝わる全てが淫靡な世界へ悠里を誘い引き込む。
 無意識のうちに浮かんだ微笑む姿は怪しく艶めいて彼女の美しさを引き立てる。

  ***

 後方から指が鳴る音が一度だけ聞こえると目の前にいたはずの花嫁がふっと消えた。
 甘い香りも消え、一瞬前まで快感に痺れていた頭もはっきりとしている。

「夢……?」

「まあ、そんなところ。さあ、花嫁のところへ行きましょう。早く会いたいでしょう?」

「えぇ」

 部屋にいるのは悠里と黒い少女だけ。白い少女の姿はなくなっていた。
 頭こそスッキリしているが、体の熱はくすぶり布が肌に触れているだけでも焦らされている様な感覚さえする。

『先程が夢であったなら早く現実のものに……』

 悠里の口元から妖艶な笑みが消えることはなかった。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja0115 / 天谷 悠里 / 女性 / 18歳 / 妖艶な香を纏う高貴な薔薇 】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもご依頼ありがとうございます。

 先日納品させて頂きました物語の続きです。心身ともにドレスアップが完了し、あとは花嫁様のところまで行くだけとなりました。

 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年12月21日

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