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『姫騎士は乙女へ還る 』
シルヴィア・エインズワースja4157

 鏡の前に可憐なプリンセスドレスを纏った女性が座っている。
 可愛らしいと表現するのが一番似合うそのドレスには少しだけ不釣り合いな彼女の青い瞳を見ながらシルヴィア・エインズワース(ja4157)は疑問に思う。

『この鏡に映る金髪のお姫様は誰だろう』

「どこかおかしいところでもありましたか?」

 そんなシルヴィアに白い少女が声をかけた。
 いつも通りも業務的なその声にシルヴィアは首を横に降る。

「いえ。ただ、こういう可愛らしい服は着慣れないので……違和感があるんです」

「そうでしょうか?」

 本当のことを言えば以前袖を通した時より違和感はない。
 それでも違和感が全くないわけではないのもまた事実である。

「確かにいつもの貴方なら着ないタイプの服かもしれないわね」

 黒い少女がブラシを手に口を開く。
 その向こうでは白い少女もメイクの準備をしている。
 シルヴィアの髪を梳かしながら黒い少女は続ける。

「鏡の中にいる女性は貴方の目にはどんな風に映るのかしら。本当に彼女が目の前にいたらどんな感想を持つ?」

 そう言われてシルヴィアは鏡の女性をまじまじと見る。これが自分ではない、別人だったら……

「綺麗で可愛らしい女性だなと思います。守ってあげたくなる、そんな……」

「そうね。それが今の貴方よ」

 反論は出来なかった。
 客観的な感想を言ってしまっている以上、すぐにそれを撤回するのはシルヴィアの真面目さが許さない。

「それはドレスの効果です。本人にそういう魅力はありませんよ」

 それはきっと事実。
 周囲から可愛らしいと言う評価を受けることはないし、自分にその言葉が似合わないのも十分すぎるほど知っている。
 だからそれは本音。

「人は変わるものだとよく伺いますが、そのドレスを着こなし始めていると言うことは変わってきている。と言うことではないのですか?」

 失礼します。と断ってから白い少女がファンデーションをつけた指を頬の上で踊らせる。
 優しいタッチが恋人の指を思わせ、首筋を逆なでる黒い少女の指に声が上がりそうになる。

「目を閉じちゃだめよ。ちゃんと見なくちゃ」

 鏡の中の姫が快楽に戸惑い恥じらいながらもシルヴィアを見つめている。

「可愛い」

 クスクスと黒い少女の声が鼓膜を揺らす。

「この方が美しいですね」

 白い少女の指が唇を滑れば小さな喘ぎとともにグロスだけでは出せない艶が現れる。

 胸も、腰も、頬も、瞼も、唇も、首筋も。
 少女達が優しく触れる全てから甘い悦びが湧き上がり徐々に声が殺せなくなってくる。

『これはメイクアップ。感じるなんてそんなのはいけない』

 頭でわかっていても熱い吐息が漏れてしまう。
 もう我慢の限界。
 そう思った時、今まで絶え間無くあった愛撫の手が止まる。

「ほら、出来たわよ」

 鏡の中の女性に大人の妖艶さはもうない。

「やっぱりその方が素敵よね」

 黒い少女の甘い声が耳元で聞こえる。
 この姿で愛しい花嫁に愛されるに相応しい。
 以前のマーメイドラインや騎士姿よりずっとシルヴィアに相応しい姿だと。

「想像なさって下さい。花嫁に愛されるご自分の姿を」

 白い少女の声に、今纏っているドレスを初めて纏った時のことを思い出す。
 愛しい人の甘く妖艶な囁き。
 奪われる悦び。
 あの時は戸惑いこそしたがいつもより深い快楽と喜びに包まれていた。
 焦らされた状態で想像したせいか、想像だけで達してしまいそうになる程の快楽が体を駆け巡る。

「これが……相応しい姿なのでしょうか……?」

「ええ」

 嬌声を飲み込んだ喉から滑るように溢れた言葉に少女達が頷いた。

「次のドレスアップに移りましょう」


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja4157 / シルヴィア・エインズワース / 女性 / 23 / 愛す者から愛される者へ】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。今回もご依頼ありがとうございます。

 大人っぽさを愛らしさ、可憐さで塗り替えていく流れ上、今回は官能表現を抑えめにしてあります。ご了承下さい。

 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2016年12月26日

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