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『貴女の為だけ 』
シルヴィア・エインズワースja4157

「ではそのまま少々お待ち下さい」

 頭を下げ少女達がその場を離れる。
 これから何が起こるのか気になるシルヴィア・エインズワース(ja4157)ではあったが、周囲を見渡すのもはしたないと思い直し、膝の上に置かれた自分の手に目を落とす。
 薬指に輝く指輪。
 大切な彼女との繋がりを示すそれ越しにドレスの細やかなレースの施されたチュールが見える。
 普段の彼女を知る者なら何事かと言うかもしれない程変身した自分はまだ少し他人の様な気がする。
 それでもこれはまぎれもない自分。
 紅い花嫁に愛されるだけの自分。

「準備が整いました」

 白い少女の声とともにことりと隣に置かれたのは香炉だった。
 嗅いだことのないはずの少しだけスパイシーな甘い香りはどこか懐かしい気がする。
 目の端に黒い少女を入れながら香炉の方へ体ごと向け首を傾げる。

「香炉……ですか?」

「はい。これが仕上げに必要な唯一の道具で御座います」

「そうなんですね。これでどう仕上……?」

 疑問の矛先を目の端に映っていた黒い少女の方へと体とともに向け直す。
 しかしそこにいたのは真っ赤なドレスに身を包んだ愛しい人。

「どう……して……?」

 この部屋には誰も入ってこなかった。
 今彼女がいる場所に黒い少女がいる事も確認していた。
 それなのに触れたくて触れられたくて仕方のないあの人が目の前にいる。

「ーーー」

 名前を呼ばれ奉仕を求められるだけで体が甘く痺れる。

「は、はい」

 悦びに震える声で返事をするのと同時に足元に跪き指で唇で奉仕する。
 相手の視線に熱がこもり始めるのを認めればそれだけで体温が上がっていくのを感じる。

「もっと感じて……お願い」

 彼女に仕えるのは自分だけ。
 自分の奉仕で目を潤ませ不規則な吐息をこぼし甘い声を上げる。
 その事実がシルヴィアの心を充足感と忠誠心で満たし、それだけでは足りないとばかりに快楽となって身体中を駆け巡る。
 ドレスで隠された部分にも口付けを懇願し悦びに瞳を潤ませながら奉仕に没頭する。

 花嫁からの愛撫は一切ない。
 彼女はただ不規則に息を乱し、時折甘い声を上げながらシルヴィアが奉仕する様を支配する者の瞳で見ているだけ。

 花嫁の快楽が上がれば上がる程甘い香りが脳を痺れさせる。

「あっ……」

 急に立つ様に言われ名残惜しいままに手を止め立ち上がれば顔に出る程名残惜しいのか。とクスクス笑われる。

 恥ずかしさに頬を染めながら頷けば淫らだと囁かれそのまま耳を犯される。

「やっ……そんなこと……」

 かぶりを振って否定するも彼女の加虐的な笑みは消えない。

「ーーー」

「本当?……」

 その淫らさも素敵だと囁かれれば無意識に唇がゆっくりと動く。

「ご褒美……愛して……下さい」

 懇願すると満足した様に赤い口元が上に引きあがり、額に、頬に、首筋にキスが落とされる。
 どれほど淫らで美しいかを、シルヴィアが自分にどれだけ相応しいかを語る声が耳朶を甘噛みし犯す音に混じって体へと染み込んでいく。

『愛を奪っていた頃よりこうやって奉仕した方がずっと気持ちいい。それにこんなに悦んで愛してくれる。私はこの人だけのもの。ずっと仕え奉仕していたい』

 それが本来の私達の愛の形だとシルヴィアは確信した。

  ***

 愛をもっとねだろうと口を開きかけた瞬間だった。

「……お客様」

 白い少女の声が聞こえパチンとシャボン玉が割れるかの様に恋人の姿がかき消える。

「よくお休みになられているところ申し訳ありませんが、そろそろお時間です」

 辺りを見渡すが部屋にいるのは白い少女とシルヴィアだけで、黒い少女の姿はない。
 乱れた様子のない鏡の中の可憐な姫が夢の出来事だったのだと語りかけてくる。

「……すみません。いつの間にか眠ってしまっていた様ですね」

 恋人を求めるあまり淫らな夢でも見たのだろうか。身体中に淫らな熱が溜まり今にも溢れてしまいそうだ。

「準備は全て整いました。参りましょう」

 最後の仕上げはどんなものだったのかわからないままだったわ。そう思いながら頷き立ち上がると鏡の中の自分と目が合う。

 そこにいるのは従順そうな美しい姫。以前纏っていた妖婉さや学園での凛々しなど微塵も感じられない。

『これが、私の本当の姿』

 シルヴィアにもう違和感はない。
 紅い姫に仕え奉仕する自分を想像するだけで甘い溜息が漏れる。

「お手を」

「ええ」

 白い少女の手を取り静かに歩いていく。恋い焦がれるあの人に会うまであと少し。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja4157 / シルヴィア・エインズワース / 女性 / 23歳 /】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 今回もご依頼ありがとうございました。

 先日納品させて頂きました物語の続きになります。今回で全てのドレスアップが完了致しました。あとは花嫁様のところまで歩を進めるだけです。
 
 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年01月13日

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