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『暇という狂気 』
木霊・C・リュカaa0068)&雁屋 和aa0035)&ガルー・A・Aaa0076hero001)&桜寺りりあaa0092)&aa0273hero001

●憩いの場『公民館 H.O.P.E.』
 特に用事があったわけではないけれど、暇を持て余していたリュカは散歩がてらH.O.P.E.まで行くことにした。そうして住まいの古書店を出ると、こちらも暇を持て余してリュカを訪ねてきたガルーに出くわした。
「リュカ、出かけるのか? 今日、店は?」
「閑古鳥だから、ちょっとH.O.P.E.まで散歩に行こうかなって」
「なんで、わざわざあんなところまで」
「なにか依頼があるかもしれないしさ」
「依頼ならネットでも確認できるじゃねーか」
「たまに猫カフェの依頼とか、アナログにビラ配ってるし」
 そうして二人は特に用事もないのにH.O.P.E.へ向かう。

 H.O.P.E.に着くと、さっそく顔見知りに出会った。
「あら、リュカさんとガルーさんもH.O.P.E.にご用……ですか?」
 和と一緒にいたりりあが聞いた。
「俺様たちは散歩がてら寄っただけ。二人は?」
「私たちもお散歩を、しに……」
 ちょっとした公民館扱いである。
「食堂もあるし、ショップ(武器の)もあるし、図書館(資料室)もあるし、庭(訓練場)もあるし、散歩で立ち寄るにはちょうどいいもんな」
 ガルーがどんどん公民館化を推し進める。ちなみに、広大な敷地なので、緑地部分を庭と言えばそう言えなくもない。
「貴様ら、なにをしている? そんなところでたむろして」
 そう彼らに声をかけたのは楓だ。
「狐、お前こそどうしたんだよ?」
「暇しておったのでな。職員でも捕まえて暇をつぶそうかと思ってな!」
 公民館化進行。
 こうなったらもっと仲間を増やしてやろうと、彼らは知り合いがいないかエントランスホールを見渡す。
「探そうと思うとなかなかいないものね」
 そう和が言った時、「あ!」とガルーが声を上げた。
「沙羅さん!」
「女性を探し出すのはさすがの能力、ですね」
 りりあが感心する。
「サラちゃんがいたの? ヴィクター君は?」
 目が不自由なリュカにはその姿は確認できない。
「沙羅の隣にいるぞ」
 楓がリュカに教える。
 リュカは楓から沙羅とヴィクターの詳しい位置情報を聞いて、号令をかける。
「捕獲ー!」
 号令に従い、彼らはヴィクターに飛びかかった。
「……なんだ?」
 ヴィクターは反射的に避けようとしたが、沙羅がその腕を掴み、ヴィクターの動きを封じる。
「捕まえたー!」
 リュカや他の人間にしがみつかれてヴィクターは困惑した表情となる。
「リュカ……と、ガルーも……何をしてるんだ?」
「お前と同じだ。暇してるんだろ?」
 ガルーの言葉に「いや」とヴィクターは答える。
「依頼の報告書を提出しに来たところだ」
 公民館化進行失敗。
「……これからは暇だろ?」
「いや、これから他の用事を済ませなければ……」
「ないな」と楓が頷いた。
「ないよね」とリュカも微笑む。
「ないわね」「ない、ですね」と和とりりあ。
「……なんなんだ?」
「用事などないと言え……暇だと、暇で暇でしょうがないと言え!」
 ガルーがヴィクターに詰め寄る。
「いや……だから、これから用事が……」
 そんなヴィクターの口を沙羅が塞ぎ、「用事なんてないわ。暇よ」と微笑んだ。
「さすが沙羅さん! わかっていらっしゃる!!」
 空気を読んだ沙羅にガルーが抱きつこうとしたのを、沙羅はさっとかわす。
「よっし! じゃ、ヴィクターくんで遊ぼう!」
 リュカの発言に、ヴィクターは眉間に皺を寄せた。
「……で?」
「あ、違う。違う。ヴィクターくんと!」
「いや、『で』って言ったよな?」
「よ~し! 行くぞ~~~!」
 意外に細かなところにこだわるヴィクターの意思を無視して、リュカは街を目指して歩き出した。

●ナンパな遊び
「いいかい? ヴィクター君。女性には優しく、丁寧に接するんだよ」
 街中に出たリュカはヴィクターにナンパ指南をしていた。
 ナンパをするに至った経緯には紆余曲折は特にないものの、とにかくヴィクターで遊ぶと決めた彼らはきっと女慣れなどしていないヴィクターにナンパをさせてみたら面白いのではないか? という名案を思いついたわけだ。
 そうして、ヴィクターにナンパの仕方を指南するところから始まったわけだ。
 ちなみに沙羅はヴィクターの代わりに用事を済ませに行っている。
「よーし! じゃ、まずは声をかける女の子探しから……」
「それは俺様に任せろ!」
 ガルーが真剣に女の子選びをしているのを、いまだに状況が飲み込めていないヴィクターが黙って見つめていると、「すみません」とすぐ近くで声がした。
 ヴィクターが視線をやれば、そこに女子高生が二人立っていた。
「……なんだ?」
「あの、モデルさんですか?」
「いや、違うが……」
「えー!? 違うんですかー!?」
「こんなにカッコイイのに!!」
 少女たちは黄色い声をあげ、頬を染めてヴィクターと話している。
「……」
 そんな様子をガルーは憮然と見ていた。リュカは聞き耳をしっかり立てていた。
「逆ナンとは、なかなかやるの。あやつ」
 楓は扇子を扇ぐ。
「イケメン、恐るべし」
 和の言葉にリュカも頷く。
「ヴィクター君のイケメンぶりを甘く見ていたよ」
「でも、ヴィクターさんは逆ナンされたことには気づいてないみたい……ですよ」
 ヴィクターは女子高生が離れるとみんなの方へ視線を戻し、「……それで、ナンパってなんだ?」と聞いた。
「いま、されてたのがナンパだよ。正しくは、逆ナンだったけど」
 リュカの言葉にヴィクターは首をかしげる。
「……話しかけられただけだぞ?」
「逆ナンされたからって、いい気になるなよ!」
 力強くそう言ったのはガルーだ。
「ヴィクたん! 俺様が正しいナンパの仕方を教えてやるから、しかと見ておけ!」
 ガルーが気合いを入れる。
「それじゃ」と、リュカが提案する。
「百聞は一見にしかず。ヴィクター君にナンパを教えるために、俺たちもそれぞれナンパしよう!」

「あの……その髪色、よく似合っています、ね。素敵、です」
 ナンパとはどんなものなのか今ひとつ理解できていないが、とりあえず褒めて友好を示すりりあ。
「あなた、髪も綺麗だけど、そのマニキュアも綺麗な色ね……」
 和は女性がアピールポイントとして重点をおいているところを評価しつつ、さらにそれ以外にも気を使っているところを褒めることで、女性の心を満たす。
「我に声かけの努力など必要ない」
 立っているだけで人目をひく美貌と美しい立ち居振舞いで行き交う人々の視線を奪うのは楓だ。
「あ、この香り、薔薇ですね? すごくいい香りですね」
 目は見えずとも、それ以外の優れた機能を生かして女性のチャームポイントを探し、優しい笑顔でナンパに臨むリュカ。
 目星をつけた女性にガルーは颯爽と近づくと、その手を取った。
「美しいお嬢さん、今日こうしてお会いできたのもなにかの運命……」
 実に滑らかに舌の上を転がるキザなセリフであったが、用事を済ませた沙羅が戻ってきたのに気づくと、ガルーは目の前の女性そっちのけで全力で沙羅に手を振った。
「沙羅さーん!」
 当然、ガルーはナンパに失敗した。
 しくしく泣くガルーに、「あんた、バカねぇ」と沙羅は笑う。
 そんな沙羅の笑顔に瞬時に元気を取り戻して「沙羅さーーーん!」と、沙羅に抱きつこうとしたガルーを沙羅はまたしても避ける。
「結構、難しいね~。ナンパ」
 リュカが戻って来た。
 そこに和が走ってきて、ヴィクターの背に隠れる。
 ヴィクターの前を「和さまぁー!」と、数名の女性たちが走って行った。
 宝塚の男性役さながらに凛々しい側面を持つ和にファンができるのにそう長い時間はかからなかった。
「……ちょっと、本気の告白されて逃げてきてしまった……」
「貴様もなかなかやるな」と、楓が戻って来た。
「なんだ、お前も失敗したのか」
「何を言っている? 貴様と違って、我が失敗などするものか」
 ガルーの言葉に楓はふんっと鼻を鳴らす。
「じゃ、成功したのかよ?」
「我の美しさに気後れして、人間どもは近づくこともできぬらしい」
「ナンパに失敗した結果、ナルシストっぷりに拍車かけるって、どんだけポジティヴシンキングなんだよ」
 楓の前しか向かない姿勢にガルーは呆れる。
「あれ? 桜寺さんは?」と、和がヴィクターの背から顔を出す。
「リリアなら、あそこにいるぞ」
 ヴィクターが指をさした噴水のほうを見ると、りりあは一人の若い女性と一緒にペットボトルの温かい紅茶を飲んで談笑していた。
「……ナンパ、成功したみたいだな」
 りりあの姿をもっとよく見ようと和はヴィクターの陰から出てきた。その途端、「和様!」と黄色い声が聞こえた。
「っ!」
 ファンから逃げるために和はまた走り出した。

●女性(レディ)とは
「いらっしゃい……どうしたの?」
 なにやら疲れ切っている面々(特に和)に、猫カフェ タマらんどの店主であるタマ子は首をかしげる。
「人と人の出会いとは運命的なものですね」
 ガルーがタマ子の手を握ろうとしたが、タマ子はガルーの手にさっと猫たちの水入れを持たせ、「お手伝い、ありがとう」と営業スマイルを向ける。
「ブレない姿勢、さすがです!!」
 女性に冷たくされてもへこたれないガルーもブレない。
 リュカが猫たちがいる部屋に入ると、いつもの猫たちが寄ってくる。
「ごめんな。今日は相棒はいないんだ」
 そう謝ると、猫たちはがっかりしたようだったが、ヴィクターが入ってくると、部屋中の猫たちのテンションがあがる。
「……うちの相棒もだけど、この手の人間は猫に好かれるのかな……」
 りりあはヴィクターの足元に寄ってきた猫を見つめて微笑む。
「猫、可愛いですね~」
「確かに、可愛いな」と和も頷く。
「りりちゃんも可愛いぞ。和さんはお綺麗です」と安定のガルー。
「我より可愛くて綺麗なものなどないであろう?」
 安定のナルシスト。
「お前、可愛いの枠まで持っていくつもりかよ。強欲だな。お前さんのガタイで可愛いは無理があると思うぞ」
「我に、無理などない!」
「いや、ある! そして、かっこいいの枠は俺様に寄越せ!」
「何を言っておる? どう見ても、貴様は我に見劣りするではないか?」
「だから、綺麗とか美しいとかの枠はお前にやってもいいから、かっこいいだけは譲れって言ってんの!」
「貴様になど譲れぬわ。譲るとすれば、そうだの……あやつよの」
 楓は流し目でヴィクターへと視線を送る。
「ヴィクター、光栄に思え!」
 楓の言葉に猫まみれのヴィクターは首をかしげる。
「我が直々にかっこいいの称号を送ってやろう」
「……それは、なにか役に立つものなのか?」
 実用性のないものには興味がないヴィクターである。
「ばかやろう!」とガルーが怒った。
「かっこいい! は、めちゃくちゃ役に立つだろう! 実際、さっき、俺様の憧れの逆ナンされてたじゃねーか!」
「ガルーちゃん、憧れてたんだね」
 リュカは温かい眼差しで微笑む。
「女の子のほうから声かけてもらうとか、どんだけ羨ましい体質してるんだ!」
「あの子供達のことか」
「女性! 女子高生……特に三年生ともなれば、立派な女性だから!」
「学生も守備範囲なの?」
 沙羅が若干冷たい視線をガルーに向ける。
「違います! 沙羅さん! 決して、俺は決して、いかがわしい気持ちなど」
 沙羅、和、りりあの視線がますます冷たいものになる。
「……うう、リュカちゃーーーん」
 ガルーはリュカに抱きつき、リュカはそれを広い心で受け止める。
「はいはい。ガルーちゃんはいかがわしくなんかないよね。ただ、全宇宙の女性が好きなだけだよね。わかってる。わかってる」
 ガルーはリュカの肩を涙で濡らす。

「そもそも、お前は女性のなんたるかがわかっていない!」
 ヴィクターに八つ当たりするガルー。
「そうだね~」と、とりあえず心がポキっと折れちゃっているガルーの精神上、ガルーの味方となるリュカ。
「ヴィクたん! お前は女性がどういうものなのかを知る必要性がある!」
「ということで!」と、ガルーはタマ子から仮装用の衣装を借りて、清楚な女性の姿に変身……と、いきたいところだが、筋肉質のガルーが着ると、清楚なワンピースもぱっつんぱっつんむっちむっちになり、その上、べったりと塗られた赤い口紅により清楚感はゼロである。
 しかし、そんな些細なことなどガル子は気にしない。
「俺が……アタシが、女性の魅力を徹底的に教えてあげるわ!」
 ガル子のウィンクに青ざめるヴィクター。
「きゃ! ヴィクたんったら照れちゃって可愛い!」
 裏声もかなり怖い。
 スカートから見えるガル子の筋肉質な足がのしっとヴィクターに一歩近づいた時、「待ったー!」の声が入った。
「それなら、我がやろう!」と、楓。
「普通に考えて、女性の私たちがやったほうがいいだろう?」と、和。
「私は女友達として、ヴィクターさんのためにひと肌脱ぎます……!」と、りりあ。
「ヴィクターを誘惑するのはワタシに任せて!」
 リュカ改め、スカートをはいたリュカ子が登場した。
「なに言ってるの!? カレをものにできるのはアタシよ!」
 ガル子がリュカ子をキッと睨む。ガル子の本気の演技に、リュカ子は思わず吹き出した。
「我はこの姿で、あやつを魅了してみせよう」
 楓が早着替えで巫女姿となる。艶のある髪は結わず、唇に薄く紅を塗る。
「自前なんて、用意よすぎよ!」
 カオスと化す状況にヴィクターと沙羅は顔を見合わせる。
「よかったわね。モテ期よ」
「……これは、違うだろ」
「ヴィクター! ワタシとガル子、どっちにするの!?」
 リュカ子が迫ってくると、ヴィクターにまとわりついていた猫が蜘蛛の子を散らしたように去った。
 ヴィクターも逃げようとしたが、沙羅に突き飛ばされて、逆にリュカ子の胸の中に飛び込むことになる。
「やっぱり、ワタシを選んでくれたのね! リュカ子、嬉しい!」
 ぎゅうっとリュカ子は、ヴィクターを抱きしめる。ヴィクターはジタバタと暴れた。
「ヴィクターは渡さないわ!」
 和はヴィクターの腕を引っ張ると、その勢いのまま壁に押し付ける。
「ヴィクター、私のものになれ!」
「いや、ヴィクターは我のものだ」
 楓はヴィクターの腕を引き、体を寄せる。そして、ヴィクターの手に髪結いの紐を渡した。
「ヴィクター、髪を結ってくれ」
 ヴィクターと向かい合っている楓はその肩に額をあてる。
「結うのはいいが……後ろを向いてくれ」
「これだけ、近う寄れば、結えるであろう?」
 ヴィクターの背に腕を回し、楓はヴィクターの体に体を寄せる。
「……しかし、うまくは結えんぞ」
「形など構わん……貴様に結ばれたい。ただ、それだけだ……」
 楓はヴィクターの耳元で囁き、甘えるようにその肩に頭を乗せた。
「ヴィクたんはアタシだけのものよ! それ以上、変な色仕掛けをしないでちょうだい!」
 ガル子がヴィクターの胸に飛び込み、頭をぐりぐりと押し付けた。
「皆さん、ひどい……です。ヴィクターさんの気持ちも考えないで……」
 りりあが涙目になる。ヴィクターはその涙に驚く。
「大丈夫か?」
 ヴィクターは困ったようにその顔を覗き込み、涙できらめくりりあの瞳にどきりとする。
 りりあはヴィクターの服の裾をくいっと引っ張り、上目遣いで見上げた。
「ヴィクターさんは優しい、ですね……私、もっと、ヴィクターさんのこと……知りたい、です」
 途端、ヴィクターが固まる。
「困ってるな……」
 自分を機械だと思い込んでいる人間が恋に落ちる瞬間を目の当たりにすることになるのかと、ガルーは緊張した。
「またしても、桜寺さんの勝ちかしら?」
 和も息を飲んで見守る。
「どきどきわくわくうきうき」と、リュカも恋のページが開かれるのを楽しみにしている。
 しかし、ヴィクターの様子がなんだかおかしいことに楓が気づいた。
「……ヴィクターの表情は険しいぞ」
 ヴィクターは一歩後ろに下がり、りりあから離れる。
「……なにを、企んでる?」
 怪訝な眼差しを、ヴィクターはりりあに向けた。
「その微笑みは、沙羅が何かを企んでいる時に似ている」
 ヴィクターに新たな問題が見つかった……人の表情の識別できず。

●結果発表
「あ~~~面白かった~!!」
 スカート姿からズボンに戻り、リュカは伸びをした。
「今日もバカやったな~!」と、ガルーは脱いだワンピースを丁寧に畳む。
「最初、遊びでナンパとかちょっとどうかと思ったけど……なかなか楽しめたわね」
 和は子猫を捕まえると膝の上に乗せて撫でた。
「雁屋さんには本気のファンができちゃいましたから……今後は、街を歩く時には帽子とサングラス必須、ですね!」
 りりあはくびれが一切ない巨体の猫のお腹をむにむにと揉む。
「それで、結局誰が一番ヴィクたんを動揺させることができたんだ?」
 ガルーが楓に聞いた。
「む? 一番ヴィクターを魅了させた者の勝ちであろう?」
 楓は和に聞く。
「え? 一番強いのは誰かって話じゃなかった?」
 和はりりあに聞く。
「えっと……褒め上手、決定戦?」
 りりあはリュカに小首を傾げた。
「えー? 女子力の高さを競ってたんじゃないっけ?」
 いや、違うだろと、話が一周二周する。
「それで、結局、誰が一番動揺させられたんだ?」
 いろいろ言った結果、話が戻った。
 楓は疲れ切ってぐったりしているヴィクターに視線を送った。
「やはり、本人に聞くのが一番いいのではないか? まぁ、我が勝つに決まっているがな!」

 正直結果などどうでもいいと思いながら、早々に解放されたい思いからヴィクターは渋々順位を決定した。
「結果は……一位、涙と微笑みのりりあ」
 沙羅の提案により、妙な称号付きの結果発表である。
「二位、近接の楓。三位、壁ドン和……最下位は……肉球の刑により発表する」
 最下位候補のガルーとリュカが並んで立つ。
「では、最下位の発表よ!」
 沙羅が実に楽しそうに微笑む。
「猫達、準備……」
 ヴィクターの前に選りすぐりの猫たち十匹が並び、助走の構えをした。
「行け!」
 ヴィクターの号令を受けて猫達は一斉に飛び出すと、大ジャンプしてガルーに飛びかかる。
 そして、ガルーを踏み台にして、リュカの頭や肩に乗ると、その頬にぺたんっと、肉球を押し付けた。
「……ふふ。可愛い刑だね」
 そう笑ったリュカだったが、猫の肉球が濡れ、インクの匂いがしたことに嫌な予感を抱く。
「これって……」
「……女装してまで俺で遊びたかったようだからな……化粧をしてやる」
 ピンクのインクがついた肉球を次々とペタペタと押し付けられ、リュカは慌てた。
「こ、これって、水で落ちるやつだよね?」
「……さぁ、どうだったかな……」
「ああ~~~! 叱られる~~~!」
 今頃家で自分の帰りを待っているであろう無口な相棒が怒る姿がリュカにはありありと浮かんだ。
 嘆くリュカに、ガルー、楓、和、りりあの面々は同情の眼差しを送った。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0068 / 木霊・C・リュカ / 男性 / 29 / 攻撃適性】
【aa0035 / 雁屋 和 / 女性 / 19 / 攻撃適性】
【aa0076hero001 / ガルー・A・A / 男性 / 31 / バトルメディック】
【aa0092 / 桜寺りりあ / 女性 / 17 / 生命適性】
【aa0273hero001 / 楓 / ? / 23 / ソフィスビショップ】
【NPC / ヴィクター・ライト / 男性 / 23 / 攻撃適性】
【NPC / 沙羅 / 女性 / 26 / ジャックポット】
【NPC / 猫崎タマ子 / 女性 / ヒ・ミ・ツ / 猫カフェ店主】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度はご依頼いただきまして、ありがとうございます。
ヴィクターと(で)遊んでくださり、とても嬉しく思っております。
ナンパや女装、女性がヴィクターを口説く場面など、なかなか書く機会のない内容で、とても楽しく執筆させていただきました。
ヴィクターで(←)遊ぼう! のお話はこのような内容となりましたが、ご期待に添えていましたら幸いです。
今後も皆様の活躍を楽しみにしております♪
八福パーティノベル -
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2017年01月16日

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