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『秘密の戴冠式 』
シルヴィア・エインズワースja4157)&天谷悠里ja0115

 黒い少女とともに歩く天谷 悠里(ja0115)、白い少女とともに歩を進めるシルヴィア・エインズワース(ja4157)。
 二人が対面したのは忘れもしない初夜を過ごした部屋だった。

 二人を待っていたかの様にゆっくりと扉が開くと閉じ込められていた薔薇の甘く妖しい香りが溢れ出す。

 部屋へと足を踏み入れる悠里が以前より妖艶に見えてしまうのは纏った香りのせいだけではない。そう確信してか上がる体温と気持ちを感じながらシルヴィアも半歩遅れて足を踏み入れた。

 部屋の調度品はあの時のままだった。ベッド脇の砂時計は少しづつサラサラと砂をこぼし、絨毯の長い毛足が二人の靴を優しく包みこむ。

「……?」

 何も変わらない。目の前の景色は何も変わっていないはずなのだが、悠里には別の部屋の様に感じられた。
 以前この部屋に感じた『お姫様の部屋』と言う印象はなくどちらかといえば……

 ふと視線を巡らせた先に可愛らしいティアラを見つけ、あぁ、そうか。と口元に笑みが浮かぶ。
 視線の先にあるティアラで、ここに来る前に黒い少女が言っていた『生まれ変わったふたりに相応しい贈り物を置いてある』という言葉も、この部屋の印象が変わったことにも納得が出来た。
 そして、自分が何をすべきなのかも。

「シルヴィア」

 この前の春までその言葉を口にする度、頬を染めはにかんでいた少女はもういない。
 そこにいるのは高貴で気高い女王。

 それ以上の言葉はなかったが、彼女の視線で跪くように命じられているのだとシルヴィアは悟り、そっと膝をつく。
 それだけで満たされた。膝をつき仰ぎ見る紅の女王は美しく、自分の全てを捧げるに値する存在だと心からシルヴィアは思うのだ。
 そしてその愛を受けることが出来る、その事実が心を満たした。

 熱い視線を注がれながらそれを見下ろす悠里もまた満足感に包まれていた。視線だけで自ら膝を折りかしづく恋人。
 その事実は彼女にいつの間にか根付いた嗜虐心が満たされていく。

「私……シルヴィア・エインズワースはお姉様の花嫁として私の愛の全てを捧げます。そして、姫として悠里様に忠誠を……」

 先に言葉を発したのはシルヴィアだった。震える言葉が進むにつれ頬が紅潮し瞳が潤んでいく。

「そう……。その愛を受け取ってあげるわ。女王として命じるわ。貴女は私だけのものよ。今までもこれからも。シルヴィア、言葉だけじゃ足りないの。ちゃんと誓いなさい」

 差し出された手に心底愛おしそうに口付けるシルヴィア。

「シルヴィア。顔をあげなさい」

 悠里は満足そうに微笑むと側に控えていた少女からティアラを受け取り、花嫁の頭を飾る。

 この部屋はもう姫の部屋などはない。紅の女王が恋人を花嫁として姫として即位させる戴冠式を行う場所なのだ。

 年齢や学園での関係、ドレスを着ていない時の二人が思考から消えていく。

「悠里……様」

「シルヴィア……」

 はらはらと涙を流す白い姫の唇に悠里が口付ける。
 始めに軽く触れるだけのキス。
 二度目は唇を重ね、三度目にやっと深く口付ける。
 もっと、とねだる姫の願いは聞かずに彼女の腰を抱き悠里はベッド前へ移動する。
 そのまま悠然と腰掛けると立ったままの花嫁に耳を貸す様に手招き囁いた。

「誓いを立てるだけで感じてしまうのね?」

 あの時悠里にはシルヴィアの声の震えや瞳の潤みの理由が分かっていた。
 ここまで焦らされ続けたシルヴィアは自らの声、言葉だけでその喜びに打ち震え身体を火照らせてしまっていたのだ。
 それを気付かれまいと堪えていたせいで逃げ場を失った熱はティアラを授かった時、涙となって流れていた。

「……」

「もっと気持ちよくなりたいでしょう?どうすればいいか分かるわね?」

「……はい。悠里様」

 恥ずかしさに視線を外すことすら出来ないままに床へ座り込むその表情は快楽への期待でとろけ始めている。
 高まり続ける体の熱で薄桃色に染まった指で悠里に尽くし始めるシルヴィアの後方で音もなく扉が閉まった。

 どんなものも邪魔できない二度目のが始まる。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja4157 / シルヴィア・エインズワース / 女性 / 23歳 / 紅に抱かれて 】

【 ja0115 / 天谷 悠里 / 女性 / 18歳 / 白を我が手に 】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。

 お二人が心までドレスアップされてから初めての再会になります。今回の舞台となっている部屋へ初めて入られた時とはお二人の中で色々なものが変わっているかと思いますが、これから始まる二度目の初夜で以前より一層心の絆が深まることをお祈りしております。


 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年01月23日

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