『あけましておめでとう、今年もよろしく 』

シキ（aa0890hero001）＆葛原 武継（aa0008）＆木陰　黎夜（aa0061）＆ファウ・トイフェル（aa0739）＆ルーシャン（aa0784）＆汞（aa1098hero002）＆屍食祭祀典（aa1358hero001）＆一ノ瀬　 雪那（aa1667hero002）

第一章　大集合

　新年、初夢はもう見ただろうか。一年の計は元旦にあり。
　一富士二鷹三茄。
　日本の正月は穏やかなようで非常にあわただしい。
　そんな新年最初の日を重んじる国日本。
　今回はそんな日本の文化に慣れようと奮闘する、英雄や能力者の物語。
「わたしだ」
　そこは住宅地の真ん中に作られた公園。
　最近の世論に煽られて遊具などほとんど撤去されてしまったが、ジャングルジムと砂場の跡地のようなものは残っている。
　そんな遊園地の真ん中で奴はいた。
　白い髪をなびかせて、彼とも彼女ともつかないその人は、ジャングルジムの天辺に座って皆を見下ろしている。
　そう、この方こそ『新春リンカーだらけの餅つき大会。きな粉もあるよ』の開催者『シキ（aa0890hero001） 』である。
「シキだよ。しんねんおめでとう。ことしもチビたちの、すこやかなせいちょうをねがっているよ」
「わー、Prosti Neujahr！」
「明けまして、おめでとう……。今年も、よろしく、な……」
　そう『ファウ・トイフェル（aa0739） 』はドイツの言葉で新年の喜びを表現し、『木陰　黎夜（aa0061） 』は普通に挨拶した。
　その場にいる人間が変わるがわる頭を下げ合っている光景を眺めてシキは満足そうに微笑んだ。
「今日はよろしくお願いします」
『葛原 武継（aa0008） 』は、あたりを見渡すと全員に頭を下げる。
　誰もが自分より年下に思えた。これは自分がしっかりせねばと改めて気合を入れる。　
「きょうはちかくでやっている”もちつきたいかい”とやらに、ぜんいんでさんかしたいのだよ」
　そうシキが改めてこの回の趣旨を説明すると可憐な少女が元気いっぱいに手を挙げた。
「シキちゃん、お誘いありがとうなの！」
　そう一緒になってジャングルジムに上る『ルーシャン（aa0784） 』は初日の出より眩しい笑顔をシキへと向ける。
「おもちが沢山食べられるなんて、素敵ね」
　そう告げるとルーシャンは黎夜の手を取ってジャングルジムに上がらせる。
「お雑煮にしよう」
「おもち！　それは毎年多数の犠牲者が出ているという……」
　黎夜がそう告げると、ファウが得意げにそう告げた。
「いや、それはどうかな…………」
　それは違うと『一ノ瀬　 雪那（aa1667hero002） 』が引きつった笑みで口を開くがその言葉をファウは遮って、この世界に不慣れな英雄たちにどんどん偽情報を吹き込んでいった。
「救世兵器、ソウジキでないと救出できないって聞いた」
「ほう、どうやってたすけるのかな」
　シキが尋ねる。
「ホースをこう、口にこう」
　何かを突き刺すようなジェスチャーをするシキ。
「つまりは餅に関する記述が埋まるんすね！」　
　そんな謎の動きを見て『屍食祭祀典（aa1358hero001） 』はそうふむふむと頷いた。
　彼女も餅、餅つきが何かわからないようで興味津々にファウへと知識をねだる。
「でも、もちは日本人のソウルフードだって聞いたから、いいものでもあるかもね」
「もう、実物を見せた方が早そうだね」
　少年少女たちがあまりに楽しそうにお話しするものだから、雪那は訂正する機会を逃してしまった。
　やれやれと首を振ってシキを見つめる。その視線をガブリが追った。
「だから、お年寄りがひどい目にあう前に、僕らでモチを退治する。そう言うことっすよね？　シキ君」
「うん、ちがうねぇ」
　シキは笑みをたたえたまま『屍食祭祀典』改めガブリの期待をバッサリ切り捨てる。　
　すこししょんぼりしたガブリと、まだ餅つきが何事か理解できていないファウを残して、雪那は思い出したように告げた。
「あ、そう言えばはじめましての人は初めまして。僕は一ノ瀬雪那、よろしくね。
仲良くしてくれると嬉しいなー」
　そう告げると雪那は黎夜に微笑みかける。
「いつもまりあと仲良くしてくれてありがとう」
　その言葉に黎夜は顔を赤くしてそっぽを向いた。
「それにしてもお餅つきかー……まりあがいないのは残念だけど…………」
　雪那がぽつりとつぶやく。
「楽しそうだね、美味しいお餅が食べれるように頑張っちゃお」
　雪那の言葉に黎夜は小さく頷いた。
「うん、頑張ろう」
「あ、お土産にできる？」
　雪那がシキに尋ねた。
「できるとも」
　シキはなぜか胸をはる。
「うちのおチビのためにも、せんりひんはたくさん、ひつようだ。みんながんばってくれたまえ」
　そう告げて、公園の時計を見つめると餅つき会場解放まで十分程度、歩いて行っても五分程度なので今からでも十分間に合う。
　そのはずだったが。
「では、かいじょうまできょうそうだよ、ついてきたまえ」
　シキはなぜか走っていくことを選択する。
　びゅんっと飛び出したシキの背をルーシャンと武継が追った。
「だれかいるっす」
　そう走り出した一行の前方をガブリが指さした。そこには生垣があるのだが、そこからこちらをちらちらうかがう影がいた。　
　『汞（aa1098hero002） 』がひょっこり頭を出す。
「ああ」
　シキはゆったり微笑みをうかべる。そして告げた。
「話は聞いているよ」
「あの、能力者に行って来いって言われて、もちをたらふくもってこいっていわれていまして」
　そうもじもじと話しにくそうにしている汞の手をシキが取る。
「だいかんげいだよ、さあ、もちをたくさんたべにいこう、おチビたち」
　そう汞の手をひいて駆けだす少年少女たち。
　冬至は超えたとは言っても、まだ気温も低く寒さ厳しい時期である。それなのにもかかわらず彼女彼らは細い路地を意気揚々と駆けて行った。
　子供は風の子。
　そんな諺を思い出しながら武継は一つ笑って最後尾をつとめ走っていく。
「全く、仕方ないですね」
　そうつぶやきながら

第二章　杵とはなんじゃ
　到着したころ汞は汗だくで肩を揺らしていた。
「口の中が血の味でいっぱいです」
「ふだんからうんどうをしないとそうなると、うちのおちびがいってたよ」
　汞はシキのそんなことばに力なく言葉を返す。
「頭脳労働派な物でして」
　そんな汞の後ろ姿を見て黎夜は苦笑いを浮かべた。
「うわ、ひとが沢山だね」
　そうルーシャンがつぶやいたように餅つき会場はにぎわっていた。
　大人も子供も沢山で臼と杵ずらっと並べられている。
　目が輝く一同。
「モチはどこかな、さがそう。きっとお年寄りを狙ってるはずだ！」
　ファウがときの声を上げる。そして駆けだす
「……まだ、わかってないみたい？」
　黎夜が小さくつぶやくと雪那は額を抑えた。
「なんていう……」
　そんな風に一行がわいわいやっている間に武継がエントリーを済ませたらしく手をあげて人ごみをかき分けていく。
「こっちでーす」
「ファウさんは結局、もちがなんだかわかりましたか？」
　ルーシャンはそうファウに問いかけた。
「知ってる、食べ物だ」
　その発言を受けてほっと胸をなでおろすルーシャン。
「あ、黎夜おねえちゃん」
　そう人並みに遮られて孤立しそうな黎夜へと手を差し伸べるルーシャン。
「えへへ、あっちだよ」
　そうルーシャンの導きに従って黎夜がたどり着いてみると。
　そこには立派な木の臼と。子供用の杵が数本置いてあった。
「お米はすでに蒸されているそうです」
　武継感慨深そうに杵を手に取る。やや重い、けど触れない重さじゃない
「御餅を食べたことはありますが、御餅を実際に作るのは初めてですね」　
「重たい」
　その隣でルーシャンに炊きつけられ黎夜が杵をさわっていた。両手をビーンと伸ばした状態で、えっちらおっちら杵を運ぶ。
「ああ、言ってくれたら持ってきましたのに」
　そうよろめく黎夜の隣に立って雪那はゆったりした動作で手を差し出した。黎夜は一瞬雪那を見る、瞳が合わさったことに驚いたのか視線をずらしてしまう。
　そんな黎夜の手に触れないように雪那は杵を手に取った。
「で、これをどのようにすれば？」
「あたまに叩きつける」
　ぼそりと汞がつぶやくと、またファウが興奮した声を上げた。
「やっぱりこれが凶器なんだな、オモチを倒すんだな！」
　雪那に連行されるファウ。再度常識を刻み込まれるファウである。
　苦笑いを浮かべるルーシャン。
　彼女はすでに餅つきの手順については習得済みである。係りの人が教えてくれた。そしてルーシャンも杵を手に取る。
「この棒……杵、っていうの？　これでお餅ぺったんすればいいのね」
　そして臼の隣で待機しているのはシキである。その目は輝いている。
「それがおわったら、わたしにも、やらせてくれたまえ」
　頷くとルーシャンは杵を振り上げた。
「わわわ」
　杵を頭上まで振りかぶると重心が狂うのか後ろに倒れそうになるルーシャン。
　しかし懸命に持ちこたえて、踏ん張って、その杵をもち米へと振り下ろす。
「えー、えーい」
　そしてルーシャンが一突きするごとに餅をひっくり返すシキ。
「どっこいしょー」
「え？」
　シキのなぞの掛け声に疑問符をうかべるルーシャン。
「モチをつくときは、こうさけぶのが、ならわしだとおそわったんだ」
　隣でガブリが頷いている、彼女に習ったのかもしれない。
「ごうにいれば、ごうにしたがえ。というだろう？」
　得意げなシキである。新しく何かを学ぶことはとても楽しい。
「そう…………なの？」
　だが、悲しいことに半信半疑のルーシャンである。
「ちなみに、つくがわはよっこいしょー。らしい」
「そうなの？」
「やってみるといい」
「よっこいしょー」
「どっこいしょー」
　そんな一部始終を見守っていた武継だったが、彼には二人が騙されているとはとても言えなかった。
　ちなみにその隣でフォウは目を輝かせて臼の中を眺めている。
「すごい！　あんなにつぶつぶだったものが、こんなに滑らかに」
　そう武継の服の袖をばしばし引っ張りながら臼の中味を指さしているファウ。
「わか、わかりましたからおちついて、ふくひっぱらないでください」
　ファウに振りまわされる武継である、監督役は大変だ。
「慣れてきたら……面白い！」
　ルーシャンは汗をぬぐってシキに告げた。
「モチをつくおとが、こきみよいね」
　しかしいい加減疲れてきたことを察してルーシャンの杵に雪那が手を沿えた。
「交代です」
　そう微笑んだ雪那はそこの売店で買った缶ジュースを差し出す。
「わたしも、ほしい」
　笑って雪那はもう一本ジュースを差し出した。
　そして武継を手招きして、彼を『もちをひっくり返す係り』に任命する。雪那と武継のもちつきコンビの結成である。二人はリズムよく餅をついていく。
「……汞」
　そうぽつりと黎夜はつぶやくとその声にシキが反応して首を振る。
「いつのまにかみないね」
　だが、探せば意外と簡単に見つかった、人ごみの外、ベンチに腰かけてこちらを見ている。
「汞はやらないのか？」
　シキと黎夜は汞へ歩み寄り告げると汞は首を振った。
「私肉体派ではなくて頭脳派ですし」
「てつだわないと、おしるこはあたらないよ？」
「お汁粉？」
　その隣にシキが腰をおろし、ジュースを口に含んだ。
　そしてその缶を差し出した。
「あまくて、もちもちしてておいしい」
「おいしいものがあるんですか！？　何をしているんですか行きますよ！」
　そう汞は意気揚々と臼の前まで歩いていく、苦笑いする黎夜に、にやりと笑って見せるシキ。
　汞が臼の隣に座ると。ファウが告げた。
「お前が餅をひっくり返す係りか？」
「不服ですか？」
「いや、べつに。にしても。なんだ、今まで子供用だったのか」
　汞がファウを見れば身の丈ほどある杵を担いでいる。それを軽々と振っていて汞は一瞬青ざめた。
「よし、仕上げようか」
　それでいてふらふらしているファウ。
「大丈夫なんでしょうね！」
　汞は引きつった笑みで問いかけた。
「大丈夫以外の、なんでもない！」
　そう自信満々に言われてしまうと、もう反論の余地がない。汞は諦めたように首を振って水で手を濡らす。
　まぁ、結果的に何事もなく餅は完成したが汞はしばらくファウに怯えていたそうな
　

第三章　実食
　
　最後に少年少女たちを待っていたのは、搗き立てのおもちを食べられるように加工する作業である。
　そのために少年少女たちは施設内の調理場へと移動した。
　ちなみに調理器具は一通りそろっており、もち以外の材料は全て運び込み済みだ。
　そこらへんは、保護者たちがやってくれたそうだ。
「おお、すごい」
　ファウは餅を伸ばして遊んでいるすると武継に怒られた。
「食べ物を粗末にしてはいけません」
「これはいいの？」
　ルーシャンが指さした先には大量の餅とは関係ない食材が並べられていた。
　テーブル一面を埋め尽くす、ケチャップ、ハム。レタス。マスタード。ソーセージ、ハンバーグetc。
「なんてアメリカン」
　その言葉ににやりと笑ったのはガブリである。餅と合わせられるのか不明な、斬新な添え物たち。
　それを餅で挟んで食べようというのだから、ガブリの好奇心には尊敬する。
　そう言う意味を込めてシキは拍手を送った。
　拍手を送られながらガブリは餅を適度な大きさ手にとって。べたべたといろんな食材に絡めていく。
　そして出来上がったモチバーガー？　モチサンドイッチ？　にガブリはかじりついた。
　口の周りがケチャップでべとべとに汚れる。
　武継がそれを拭いてやる。
「これを使うといいです」
　そう汞がノリを差し出した。
　みれば汞はガスコンロでひたすらにノリを炙っている。
「こういうものが合うと。能力者に教えてもらったんです」
「能力者に……」
　ガブリはまじまじと汞を見つめた。
「意外と食いしん坊なんです。今日も、もちを持って帰ってくるように言われています」
　そうノリで挟んだ餅をタッパーに入れていく汞。
「そんなに食べるんっすね？」
「食べます」
「お腹いっぱいになりそうっすね」
「お腹いっぱいでも食べることでしょう」
　そう汞はうんうんと頷いた。
　おそらく汞の能力者は今くしゃみを連発しているだろう。
　そんな小話を脇に、ガブリは餅をさっそくノリでくるんでみる、そして一口。
　この、ノリともちの相性には驚いたようでガブリは飛び上がって喜んだ。
「完璧っす！　味が完成した！　これこそ、モチサンドイッチ」
「サンドイッチだったんですね」
　武継は苦笑いを浮かべた。
「せっかく沢山あるから、お雑煮とか、もっと沢山で食べたいね」
　ルーシャンが告げると黎夜が鍋をかきまわしながらグーサインを出した。
「まかせて」
　鍋の数はふたつ、片方はあずき色で甘い香りがし。もう片方はだしのいい色がついている。
「木陰家のお雑煮は……関東風」
　そう黎夜は大家さんにもらった丸餅も網にかけていく。
　そのぷくっと膨れる様を、ファウとガブリは楽しそうに見守っていた。
「きな粉で食べたいな……あとぜんざい！　つきたてのお餅って初めて、美味しいね」
　そう楽しそうに告げる雪那、その甘味ワードに興味津々の汞である。
「色々な味があって目移りするけれど、全部は食べきれないし……」
　そう武継は砂糖醤油で食べながら出来上がっていくもち料理達を眺めた。
　そうこうしている間に黎夜のお雑煮とお汁粉が出来上がったらしい。
　甘いのとしょっぱいの。両方の味をいっぺんに味わう贅沢を子供たちはまだ知らない。
　今は餅つきですいたお腹を満たすことが最優先。
　全員が席に着くとシキが告げた。
「うむ、ではいただこうか」
　いただきます、そう唱和する少年少女たち。
「皆でついたお餅のお雑煮美味しいね」
　満面の笑みを浮かべるルーシャン。
　それにうなづく汞。
「甘味とは素晴らしいものです。異論は認めません」
　それに隙あらばイチゴジャムやタバスコをいれようとするガブリ。
「なんでそんなにチャレンジャーなんですか」
　ガブリを止めようとする武継、だがその攻防戦の結果。武継のお雑煮とお汁粉が犠牲になってしまった。
　赤茶けた色合いのお汁粉と、白い味噌に赤い何かが浮いたお雑煮。
「これ……」
　苦笑いを浮かべる武継を雪那がにやにやと見守っている。
「さぁ、さぁ」
　そう口に入れることを促してくるガブリ。
「自分で食べれば……」
　そう悪態をつきながらも武継はそれを口に運ぶ。すると。
「う……」
「う？」
　首をひねるガブリ。その瞳を真っ向から見据えて武継は告げる。
「うまい」
　結果、雑煮にタバスコ。お汁粉にはイチゴジャムが合うことが分かった。
「次は、これだ！」
　ガブリはアイスクリームを差し出す。
「ぜんざい、つくりますか？」
　武継がレシピを探し始めた。たしか普通の御餅を使って創るぜんざいもあったはずだ。
　あれは基本的に甘い餡をかけるのでアイスクリームも合うはずだと思考を巡らせる。
「お雑煮も、地域で色んな種類があるのね。私はおすましで作るお雑煮があっさりして好きかも」
　そうルーシャンが告げると。黎夜が端をくわえたまましょんぼりしてしまった。
「ああ、違うよ、ほらこの白い関西風のお雑煮もとっても美味しいよ。うん初めて食べたから好きになっちゃった」
「本当？」
　黎夜が上目づかいで問いかける。
「うん。黎夜おねえちゃんのお雑煮好き」
「りょうりがじょうずだね」
　そうしきもお雑煮を一口いただいて告げた。
　黎夜はその言葉にうつむきつつも微笑む。
「……あ、御善哉も欲しいなあ……って」
　そうきな粉の皿を引き寄せながら告げるルーシャン。
　対面でこれでもかときな粉餅を食らうファウと汞の姿を見て耐え切れなくなったのだ。　
　ちなみにきな粉餅のカロリーは高い。50グラムで150ｋカロリー。
　だいたい一時間のお散歩で消費できるカロリーである。
　それがこの短時間でルーシャンの胃袋に三つ入った。
　これで三時間のお散歩は確定である。
「食べ過ぎで太っちゃう、かな」
　そうおろおろと視線をあたりに向けるとシキは告げる。
「だいじょうぶさ、ふとっても、ルーシャンはルーシャンだ」
「フォローになってないですね」
　武継が冷や汗を流す。だがそんな発言もルーシャンにとって気にならないようで、また御餅を口に運び始めた。
「今日くらい、いいよね？」
　その言葉に頷いて子供たちはどんどん御餅を平らげていく。
　笑い声が食卓に響くのはとてもいいことだ。
　きっと良いことをしたと褒めてくれるだろう。
　そうシキは自分の能力者に今日の出来事を報告することを思えば。すこし砕けた笑顔になってしまうのである。

エピローグ
　そしてそれから三十分程度で、大量の餅料理は姿を消した。
　代わりにその辺に転がる子供たち。食べ過ぎてお腹が痛いらしい。
　だがそんな彼等彼女らも誰かがぽつりと告げた言葉には動かざるを得なかった。
「お土産の分……」
　あわててテーブルの上をみる一行。
　そこには一つも餅など残っていなかった。
　お土産を約束したもの達は多い。
　あせって全員がまた餅つき会場に戻り。食後の運動に励んだ。
　




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『シキ（aa0890hero001） 』
『葛原 武継（aa0008） 』
『木陰　黎夜（aa0061） 』
『ファウ・トイフェル（aa0739） 』
『ルーシャン（aa0784） 』
『汞（aa1098hero002） 』
『屍食祭祀典（aa1358hero001） 』
『一ノ瀬　 雪那（aa1667hero002） 』


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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　いつもお世話になっております。鳴海です。
　この度パーティーノベル発注いただきありがとうございます！
　いや、八人ともなるとほとんど本編のリプレイと変わらない感覚でかけますね。
　ある意味のびのびとかけてすごく自然体で駆けました。
　今回はもちつきということで、楽しげな雰囲気を大切に書いてみました。
　遊ぶ子供たちを眺めるような気分で読んでいただければ幸いです。
　それではまた本編でお会いしましょう、鳴海でした、ありがとうございました。

八福パーティノベル

鳴海

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2017年01月31日