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『必要は発明の母 』
ミグ・ロマイヤーka0665

ボッフン、ガタガタッ……、ボッカーン!

「ケホッ……、また気持ち良いほど壊れたのぅ。げほっごほっ」
 ミグ・ロマイヤー(ka0665)はパイロット席の至る所から煙が出てくるのを見て、咳き込みながら外へ身軽に飛び降りる。
 そして目の前でガラクタと化した元戦闘装甲機・CAMR6M2bデュミナスを見て、深いため息を吐く。
「本日は快晴、デュミナスの飛行実験を行うにはちょうど良い日だと思ったのじゃが……。当のデュミナスがダメじゃったかぁ」
 ブツブツ言いながらもミグはバラバラになったデュミナスを回収して、工房へと運ぶ。
「はあ〜……。リアルブルーのマンガ本とアニメには、デュミナスが簡単に空を飛ぶシーンがあったのじゃが、現実はやはりそう甘くないのう」
 部品を一つ一つ手に取りながら、ミグは過去に思いを馳せる。
「宇宙戦艦サルヴァトーレ・ロッソに乗って来たリアルブルーの友人から、特別に見せてもらったマンガ本とアニメに憧れて、デュミナスに飛行動作を組み入れようと思ったのじゃが、クリムゾンウェストでは実現は難しいのかもしれぬ」
 好奇心旺盛なミグは、リアルブルーから来た者達と親交を深めていた。
 その中でも特にリアルブルーの技術者達と仲良くなり、彼らからデュミナスに似た人型兵器のマンガ本を借りて読み、アニメも見せてもらったのだ。
 その結果、ミグは『人型兵器が空を飛ぶ』というフィクションの世界の設定を、クリムゾンウェストで実現させようと思い付いた。
「う〜む……。サルヴァトーレ・ロッソの格納庫からヴォイドとの戦いによってボロボロになり、すでに廃棄が決定したデュミナスを見つけて引き取り、いろいろと実験と改良を繰り返しておるのじゃが……」
 ミグがデュミナスを見つけた当時は、クリムゾンウェストに化石燃料が無かった為に動かす予定は無かった。
 しかしミグのような機導師達がデュミナスに強い興味を抱き、いろいろといじった結果、クリムゾンウェストでも使えるようになったのだ。
「化石燃料を鉱物性マテリアルへと変更し、魔導機械化することで動くようにはなったのじゃ。その後、防御性を高める為に分厚かった装甲を削って薄くし、最低限まで装備を減らして重量を三割ほど減らしたのぅ。まあ防御は鉱物性マテリアルを利用しつつ、アクティブスキルとかで何とかできるじゃろう♪」
 他者が聞けば青ざめることを、ミグは平然と語る。
「そしてミグが開発したスラスターを追加で装備させ、機体を浮かび上がらせる為の出力を魔導エンジンにて発動させることにしたのじゃ。理論は良かったはず――なんじゃが……、上手くいかなかったのぅ」
 ミグは一通り語り終えると、木の机の上に置いてある設計図を手に取った。しかしその下から数多くのメモ紙と、書き込みが多い手帳がドサドサーッと音と埃を出しながら床に落ちる。
 だがそんなことには関せず、ミグは設計図を両手で広げて見た。
「ふぅ〜む……、スラスターと魔導エンジンの位置は良かったはずじゃ。リアルブルーのマンガ本とアニメを参考にして付けたのじゃが、決して悪くはないはず……。いろいろと試行錯誤を重ね、この工房で寝泊まりを続け、寝落ちをしつつ完成したのじゃが……」
 結果は先程となる。エンジンを起動させたまでは良かったのだが、いざ飛行しようとしたところ、まずスラスターが重かったのかボトッと落ちた。その後、機体は妙な動きと音と煙を出しながら、至る所の部品が崩れ落ちていき、最後は完全な停止状態となったのだ。
 今までも飛行実験を繰り返してきたのだが、機体が地面より数十センチほど浮いたところでバランスを崩して落ちるか、あるいは追加した部品が突如外れるか、爆発するかのどれかであった。
「デュミナスに飛行動作があれば、ヴォイドとの戦いが今よりずっと楽になり、怪我をすることや命を落とすことも格段に少なくなるのじゃ。それに災害が起きた時に生身ではできぬことをデュミナスができれば、助かる者も増える――。力不足で嘆く者を少なくできるのじゃ!」
 外見年齢は13歳のミグだが、本職は軍人を多く輩出するドワーフ一族の者である。
 200歳を寿命とする長命のドワーフは、生きとし生けるモノの天敵であるヴォイドとの戦いや、災害によって苦しむ人々の姿を数多く眼にしてきた。
 ミグもまたそんな光景を見ては、自分が持てる技術を完全には活かせていないことを悔やんできたのだ。
 高品質の鉱石をすぐに加工できる技術を持つドワーフにとって、機導師は天職とも言える。
 周囲の者が「不可能だ」と思う技術も、ワーカーホリックであるドワーフならば実現させることも可能になるかもしれない。
「やはり、一から計算のし直しじゃな!」
 ミグは設計図を机の上に置くと、本棚へ手を伸ばして例のマンガ本を読みだす。
「こういう時は基礎から学び直すのが一番じゃのぅ! ミグは負けないのじゃ! 『必要は発明の母』という言葉がリアルブルーにあるように、発明は人々を救うのじゃ!」
 リアルブルーの友人から教えてもらった『必要は発明の母』、その意味は『必要に迫られると、あれこれ工夫をして発明を生む事から、必要は発明にとって母親のようなものだ』ということ。
 人々を救うことを求めた上で、発明をすることが必要となる――。
 今のミグには、その言葉が自分にピッタリだと思う。
 しかしふと真顔になり、マンガ本から視線をそらす。
「……じゃがあんまり、実験に夢中になってはおられぬ。エルフの一族も気付いておるが、クリムゾンウェストからはマテリアルが年々減ってきておるからのぅ」
 ヴォイド達は全ての世界のマテリアルを喪失させて無に帰すことを、己が存在する目的としている。
 その為、ヴォイドが存在し続ければ、マテリアルは否が応でも減っていくのだ。
 マテリアルが全て消滅すれば、命あるモノも全滅となる――。
「実験はゆるりと楽しみたいが、少々焦る必要があるようじゃ。奴らに全て奪われてたまるものか!」
 ハンターとしての顔付きになったミグだが、壊れたデュミナスを見るとニヤッと笑う。
「しかーしっ! だからこそミグが開発している魔導型デュミナス飛行試験型が必要となるのじゃ! 必ずや空を舞い、人々を救う存在になる!」
 ミグは青空のような青き瞳を輝かせながら、自分が制作したデュミナスが空を飛ぶ姿を思い浮かべた。


【終わり】


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka0665/ミグ・ロマイヤー/女性/13歳/機導師(アルケミスト)】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 このたびはご依頼をしていただき、ありがとうございました(ぺこり)。
 デュミナスにかける思いを、熱く語らせていただきました。
 楽しんでいただければ、幸いです。
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ファナティックブラッド
2017年02月13日

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