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『御家騒動 』
杏子aa4344

 グロリア社エントランス、そこに『西大寺遙華(az0026)』は呼び出された。
 なんでも至急逢いたいと言ってきている人物がいるらしい。
「なんで最近私に直接会おうとする人が増えたのかしら、私、暇ではないのだけど」
「いいじゃない、それだけ信頼と知名度が上がってきたということよ」
『ロクト(az0026hero001)』はそう遙華をなだめつつ、足早に階段を駆け下りた。
 そして受付の前で立っている男に視線が向く。
 遙華はその顔に覚えがあった。
「あなた……伏見家の」
「伏見 菊男だよ。ご無沙汰しているね。西大寺の御嬢さん。あの時はこんなに小さかったのに、今ではグロリア社の一部門を任されているらしいじゃないか。大きくなったね」
 そう柔和な笑みを向ける男。彼の名は『伏見 菊男(NPC)』
 伏見財閥の現党首。こうやって優しげな表情をうかべてはいるが、そうとうな切れ物で遙華の額に冷や汗が浮かぶ。
「あなたほどの人間であれば使いの者をよこせば済むはずなのに何か内密のお話でも?」
 遙華は考える。
 些末事で党首自らグロリア社へ赴くのはありえない。
 伏見家自体は日本有数の資産を持つ家柄。西大寺の総裁、遙華の祖父とランクとしては一緒だ。
 その祖父に頭の上がらない遙華である、この時点で格が違う。
 その遥かに格が上の男が、わざわざ出向いている、しかも護衛も付き人もなしで。
「グロリア社に用事があるわけでもないでしょう。私たちの開発部門に依頼するくらいなら、グロリア社日本支部を通り越して本社にも声をかけられる存在だし」
「また、面倒事なの?」
 そう念話で話をする二人を見て、菊男は黙ったまま笑みを湛えている。
「これは逃げるという選択肢はなさそうね。応接室を取って頂戴。一番いいやつ」
「まぁ、言わんとしていることはわかるけど、語彙力が無さすぎよ……遙華」
 その言葉を受けるとロクトは携帯電話を取り出して二人から離れて行った。
「話がきかれない場所を用意するわ」
「助かる、少しでも話に手間取るようであればどうしようかと思っていた」
「嫌味な人ね」
「君は物怖じしないのだな」
「してるわよ、表に出さないだけで」
 そう話をしつつ、遙華はロクトを見つめた。
 彼女は電話から耳を離しこちらを向いて頷くと、遙華は菊男を先導して歩き出す。
「こちらよ、ついてきて」
「おお、その前にだ」
 菊男は立ち止まり告げる。
「杏子を呼んでくれ」
 遙華はそれが一瞬誰のことか分からずに首をかしげた。
「今は姓が変わっているようだが、世良家の……」
「え? なぜ彼女を?」
「彼女はもともと、うちの家系の者だ」
 遙華は今年一番の絶叫をあげた。

   *   *

「なんだい、わざわざ連絡ができないようにしてるっていうのに、こんな風に呼び出されちゃたまったものではないんだけどね」
 連絡を入れるとたったの三十分くらいで『杏子(aa4344) 』は応接室に到着した。
 そして菊男の顔を見るなりそう言葉を吐き捨てる。
「それだけ緊急の事態なんだ察してくれ」
 そういい争う二人を並べてみてみると、遙華は不思議でたまらなくなる。
 二人は姉弟、杏子が姉だ。
 しかし歳は父親と娘ほどに離れているように見えたのだが。
「ねぇ、杏子あなたって……」
 そう素朴な疑問を杏子に投げかけようとした遙華だったが、その言葉はロクトによって遮られた。
「さっそく本題に入りましょう」
 その声に応じるように菊男は懐から写真を数枚取り出した。
 そこにうつされていたのは薙刀。
「これは、家宝の……」
 杏子はそれが何かすぐにわかったのか眉をひそめる。
「ああ。この薙刀が先日盗まれた」
 杏子は言葉を失った。
「伏見家の蔵に侵入を許した? 人間なら十回は死ねるトラップが使われているんだよ?」
「…………どんな家よ」
 遙華は言葉を失った。
「この薙刀の回収に力を貸してほしい」 
 そう菊男は頭を下げる。
「ああ、全く都合のいい時にだけ。まぁいいけどね、これが無いと困ることくらい私にもわかるさ。ただ、ひとつだけきいていいかい?」
 その言葉に菊男は視線を上げる。
「それにしてもなぜ私がこの子たちと接点があるとわかったんだい?」
「グロリア社の番組にな映っていたぞ、お前の娘たちと一緒にな」
 杏子は思わず手を叩いた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『杏子(aa4344) 』
『西大寺遙華(az0026)』
『伏見 菊男(NPC)』
『ロクト(az0026hero001)」』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております鳴海です。
 今回は事件のプロローグとして書かせていただきました。
 ここからどのように話しが広がるのか楽しみです。
 それではまたお会いできることを楽しみしております。
 鳴海でした、ありがとうございました。
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2017年03月06日

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