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『ワクとザルと時々酒乱 』
齶田 米衛門aa1482)&木霊・C・リュカaa0068)&ガルー・A・Aaa0076hero001)&レティシア ブランシェaa0626hero001)&メグルaa0657hero001

 某所に存在する居酒屋の個室。
 依頼の打ち上げ、との名目でその場に集まった面々は、ともかく酒だ、酒を飲むぞとメニューを手にあーでもないこーでもないと楽しそうに盛り上がっていた。

「じゃあ、ツマミは適当に頼んじまうぜ」
「はーいよろしくー!」

 早々に飲み物を決めたガルー・A・A(aa0076hero001)は、軽食メニューを開きながら残りの面々を見渡す。
 とはいえ、ここに居る面々はなんだかんだ言いつつ酒を飲みなれた呑兵衛連中、はじめに飲む酒の種類も大概決まっている。メニュー表が卓上所定の位置へ戻るのを横目で確認しつつ、ガルーは店員を呼ぶための呼び鈴に手を伸ばした。



「はーい、お酒あるところいつでも参上! お兄さんだよーっ!」

 テンション高く――いや、彼に関してはいつも通りなのだが、ともかくこの場にいる面子の誰よりも高いテンションでウインクなぞキメた木霊・C・リュカ(aa0068)は、「ふふん」とご満悦げに鼻を鳴らしてウイスキーの入った杯を掲げる。

「えー、本日はお日柄もよく、絶好の宴会日和となりました」

 何やら口上を述べ始めたが、生憎と今回の飲み会は依頼の打ち上げである。断じて宴会ではない。宴会ではないのだが、この場にいる誰もそれを指摘しないため、なし崩し的にこの場は宴会となった。
 まぁここに集まった面々は誰も彼もが少なからず呑兵衛。飲めればなんでもいい連中なので、名目などどうでもいいのだろう。

「日々の戦闘に心身共に休まらぬ方もいらっしゃるでしょうが、今日は全て忘れて無礼講――」
「はいはいはい、皆で飲めてうれしいのはわかったからそろそろ飲もうぜ」

 なにやら興が乗ったらしいリュカが言葉を続けるのを阻止し、ガルーが半ば強引に焼酎の入った杯を掲げ持った。
 それを合図に、各々が酒を手に軽く頷く。

 とりあえず生、なんてテンプレートな注文をする者はこの場には皆無である。よって、掲げられた杯は「焼酎の湯割り(麦)」「ウイスキー(ロック)」「オレンジフィズ」「日本酒(冷)」「日本酒(燗)」と幅広い。
 幅広い上に一杯目から飲むには重いものも多々ある気がするが、それはそれ、呑兵衛共のご愛嬌というやつである。

「では! 今日の良き日に! かーんぱーい!!」
「「「「かんぱーい!!」」」」

 カラン、カチンと陶器とガラスのぶつかる音、ガラスとガラスのぶつかる音がする。一息に杯の酒を半分ほど飲み干したガルーは、「ぷはぁ」と酒臭い息を吐きながら、ご満悦にお通しの湯葉を口に含んだ。湯葉のほのかな甘みと、鰹出汁の風味が舌に心地よい。
 うむ、うまい。これはこれで酒が進む。

「悪ぃな、口上途中で止めるような真似しちまって」
「うぅん。よくよく考えたら、ああいう音頭って主催者がやるべきだもの」

 いやぁ失敗失敗、なんて軽く言いながら、リュカは斜め前で日本酒(燗)を傾ける齶田 米衛門(aa1482)へ視線を向ける。

「いいんスよ! オイばそーゆーの苦手っスから、やっていただけるんならそれに越したこたぁないっス」

 くぴ、とぐい呑みを傾ける勢いは完全に酒飲みのそれだ。能力者である米衛門は今回最年少であるのだが、飲み方はなかなかどうして堂に入っている。

「おっ、いい飲みっぷりだな。ほれ、注いでやろう」
「あっ、これはこれはどうもご丁寧に……」

 手酌でかぱかぱ開ける酒もいいが、人に注いでもらう酒はまた別格だと米衛門は思う。ので、今回最年長のガルーにも臆さず盃を差し出す。手元にもう一つぐい呑みがあるので、注いでもらったら有無を言わさず返杯するつもりだ。

「はー、よくまぁ大したツマミもなしに、そんなにかっぱかっぱ飲めるもんだなぁ」

 自分は自分で見た目よりアルコール度数の高いオレンジフィズなぞ頼んでいるレティシア ブランシェ(aa0626hero001)が、乾杯して間もないのにもう杯が空きそうなガルー、リュカ、米衛門を見て感嘆の声を漏らしている。
 うまい酒は好きだが、それほど強くないことを自覚しているレティシアにしてみれば、酒豪共の飲み方は「身体に悪そう」という感想しか出てこないのだ。
 もっとも、ガルーは適度お通しに口を付けているため、「空きっ腹にアルコール」というほどではないのだが。

「おっ、レティちゃんも飲むぅ? この日本酒うめぇぞ〜?」
「ほらほら遠慮しないで。それいーっき、いーっき!」

 シラフの顔色をして早々に雰囲気酔いしたらしいリュカが、4人のやりとりを微笑ましそうに眺めていたメグル(aa0657hero001)から、余っていたおちょこを強奪してレティシアに差し出す。中身は米衛門の熱燗だ。
 メグルのひととなりにそれほど詳しくないレティシアは恐縮するのだが、付き合いの長いらしい米衛門が殊の外嬉しそうであるため、特に問題はないのだろうと当たりをつけて盃を受け取り。
 リュカに煽られるまま、一気に口に含んだ。

「……っ!! きっつぅ……!」
「あはは、本当に一気にいったねぇ」

 言うに事欠いてこの仕打ち。リュカは度数高めかつ熱めの燗を一気に煽ったレティシアにご満悦だ。ガルーは「マジでやりやがった!」と至極楽しげに笑い転げている。熱燗に不慣れらしいレティシアは、強烈な芳香と酒精にアテられて涙目である。
 だがうまい。今まで飲んだことのない種類の酒の味に、レティシアは諸悪の根源を怒るに怒れない。

 米衛門は、その隙にやってきた枝豆と刺身の小鉢を受け取り、メグルと共に配膳に勤しんでいた。

「ふふ、楽しいですねぇ」

 柔和に細められたメグルの視線は、いっそ愛おしげに騒ぐ男どもを見つめている。

「楽しんでるっスか?」
「ええ、もちろん」

 店員に酒のおかわりを頼み終えた米衛門が、にこにこと杯を傾けるメグルの隣に腰を下ろして問うた。
 答えるメグルは、いつか見た仏頂面などなかったかのように、ふわふわと楽しげに笑うのだった。



「洋酒もいいけど、日本酒とか焼酎もおいしいよねぇ」

 くるり、とカクテルグラスの中でに沈んだオリーブを回して、芳香を放つ透明な液体を見つめるリュカ。

「リュカちゃんは飲めりゃあなんでもいいんでしょー?」
「そんなことないよぉ」

 心外だなぁ、なんて言いつつとろみのある液体を口に含む。ガルーも本気で言っているわけではないので、「そりゃ失敬」なんて言いつつ軽く肩をすくめるのみだ。

「それ何だ?」
「マティーニだよ」
「へぇ」

 モヒートのミントを摘んでいたレティシアが、リュカの飲むそれが珍しいのか首を傾げて訊いている。いい感じに酔いが回っているらしく、仕草が少々幼い。
 いつになく隙の多いレティシアに、これね、と長い指でメニュー表を指し示すガルー。言いつつ自分は甘口の冷酒をちびちび飲んでいる。どちらかと言うと酒よりツマミのほうに手を伸ばす頻度が高いようだ。隣に座るリュカの前に置いてある皿にも適時つまみを追加しては、甲斐甲斐しく世話を焼いているらしい。

「ここはお酒の種類が多いんスよ」
「うん、どれも美味しくて、お兄さん大満足だよ」

 次はワインが飲みたい、とガルーにせっつきながら、リュカがニコニコと米衛門に笑いかけた。 自分ではメニューが読めないからって、少々横暴が過ぎるのではないか、と思わなくもないガルー。まぁ、こいつの酒の好みは把握してるし、別にいいんだけど、なんて思っていることはきっとリュカに筒抜けなのである。だから体よく使われているのだろう、ともわかっているが、こればっかりは性分の問題なので如何ともしがたい。

「そりゃよかったっス!」
「……なあ、飲み過ぎじゃねえか?」

 くぴくぴと芋焼酎のロックを傾けている米衛門は、酒を水かジュースと間違えているんだろうか、とレティシアは思う。
 米衛門はつまみも大量消費するが、それ以上に酒を飲む速度が早い。年下の男が自分よりハイペースで飲んでいるのは、対抗心より心配のほうが勝るのだ。

「んん? うまいっスよ?」
「……」

 きょと、と目を瞬かせる米衛門。
 どうしたものか、と渋面を作るレティシア。見かねたらしいガルーが、横からがっつりレティシアの肩を組んで耳元に口を寄せた。

「いいか、アレはワクだ。心配するだけ無駄だ。奴らは酒がうまいうちはいくら飲んでもいいと思ってやがる。付き合ってたらこっちの身がもたねぇぞ」
「……!!」

 ガルーの真顔の忠告に、レティシアはただコクコクと首を縦に振る。ガルーがチラ、と視線を向けたのは、運ばれてきたワインを片手に無邪気っぽく喜んでいるリュカだった。

 ふたりとそれなりに付き合いの長いレティシアは、リュカの酒量限界をよーく知っていた。
 米衛門がコレと並ぶと言うのなら、なるほど、よく分かる忠告である。

「お前はこれでも飲んでろ」

 そう言ってガルーがスッ……と取り出したるは、赤みの強い琥珀色の酒。いつの間に注文していたのか、カクテルグラスに注がれたそれは、とろりとした柔らかい光を反射して、黒いテーブルに鎮座ましましている。

「これは?」
「キッス・オブ・ファイアー」
「ゲッホッ」

 隣でカクテル名を聞いていたリュカが急に咳き込んだ。

「きっすおぶ……?」
「まぁ飲んでみろ」

 バーテンダーよろしくスッ……とレティシアの眼前にカクテルグラスを滑らせるガルー。
 わんこよろしくスンスンと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐレティシア。
 の間でむせながら肩を震わせるリュカ。
 を心配している正面の米衛門、の隣で静かに成り行きを見守っているメグル。

 飲みの場は混沌としていた。

「んー……? あまずっぱい」
「でしょ? 飲みやすいっしょ?」

 ガルーの表情が、心なし悪巧みしている時のような、何とも言いがたいニヤついたものになっている。が、酔いが回ってきて判断力の落ちているレティシアは気付かない。リュカの引きつり笑いがいよいよ看過できないレベルにまで達した。

 余談であるが、キッス・オブ・ファイアーはかなり度数の高い酒である。

「ん、うまいなこれ」
「他にも俺様のオススメあるけど……。いる?」

 その笑みは、獲物を見つけた猛獣のそれであった、と、後に米衛門は語った。



 結果的に言うと、レティシアはものの見事に寝落ちした。

「すぴゃー……」

 座敷の隅に転がされ、申し訳程度に上着を掛けられて、とてもとても気持ちよさそうな表情で眠るレティシア。
 酔い潰したガルーは幼い寝顔を肴にして爆笑しながら飲んでいた。彼もそろそろ酔いが回ってきたらしい。

「箸が転がっても楽しいお年頃かな?」
「そんな時代はウン十年前に過ぎましたー」

 ケラケラ笑いながら米衛門に日本酒を注ぐガルー。リュカは名前だけで選んだカクテルが思いの外おいしくてご満悦だった。

「ゴッド・ファーザー、だって。名前の割にはやわらかい味のお酒だなぁ。米ちゃんも飲んでみない?」
「おっ、いいんスか?」

 キュッ、と辛口の日本酒を喉に流し込んだ米衛門は、ふは、と全く酔いを感じさせない吐息を吐いていそいそとリュカの隣へと這ってくる。

「おわ、すごい匂いっスな」
「でしょぉ? 香りのパンチがすごいのなんの」

 どうやら「ゴッド・ファーザー」は酒の香りを殊の外重要視しているリュカのお眼鏡に叶ったらしい。アーモンドに似た甘い香りと、すっきりとした、けれど後を引く味わいが次のひとくちを誘う。ずっと口を付けているより、口の中で転がして味わいたい酒だ。

「へぇ、ゴッド・ファーザーっスかぁ。あ、メニューにゴッド・マザーってのもあるっスよ」
「なんだって。それは頼まなければ」

 ワク共の顔付きが変わった。
 どうやら気になる酒を片っ端から頼む気であるらしい。
 ガルーは巻き込まれる前に避難を決意した。具体的には眠りこけている赤髪を盾にしてメグルの方へ向かった。ガルーは若干のにやけ面で敬礼した。レティシアの尊い犠牲に乾杯!

「メグルさん、飲んでますか?」
「ええ、楽しく飲ませていただいていますよ」

 ガルーに声をかけられたメグルは、それはそれは楽しそうに笑んでいた。
 並んだ空のお調子の数はそう多くはない。もとよりメグルは英雄である、アルコールには強いだろう。そこで寝落ちしている約一名は例外とする。

 飲むペースを見るに酔いはそれほどでも無いだろうと踏んでいたメグルの頬は、淡く緩んでほのかに色付いていた。どうやら場に酔いやすいタイプらしい、とアタリをつけたガルーは、できるだけ静かな動作を心がけてメグルの正面に座った。ここで隣に座るような愚は犯さない。レディーにはとことんまで紳士、それがガルーの信条である。
 そう。ガルーにとって、メグルはレディーの枠内にいた。

「日本酒、お好きなんですね」
「ええ」

 もしレティシアが起きていたら何らかのツッコミを入れたであろう、絵に書いた好青年のほほ笑みを浮かべるガルー。ぶっちゃけ、今までが今までだったため無意味に等しい擬態ではあるのだが、幸か不幸かメグルもガルーも酔っていたため、小さな矛盾には無頓着だ。

「俺様も日本酒好きなんですよ! でもせっかくこういう場に来たんだし、普段とは違うお酒とか、飲んでみません? よかったら、メグルさんに似合いそうなお酒、見繕いますよ?」

 こう見えて酒の種類には詳しいんですよ、と笑うガルーはどこまでも好青年じみている。
 彼の名誉のために弁明するが、ガルーは断じてメグルを口説いているわけではない。ただ、彼は真性のフェミニストであった。
 ガルーが女性認定した相手にはとことん紳士になる、ただそれだけなのである。

 余談だが、レティシアは酔いつぶれていて本当に良かったと思う。

「僕に似合うお酒、ですか」

 ガルーの申し出に、メグルは束の間思案顔をし。
 たまにはいいか、とやわらかく微笑みを返した。

「お願いしても、よろしいですか? 僕、相棒が未成年なのもあって、それほどお酒に詳しくないのです」
「ええ、勿論ですとも」

 美人の笑顔に勝るものなし。ガルーはより一層笑みを深める。この笑顔のために生きていると言っても過言ではないかもしれない、とすら思う。酔いどれの戯言であるが、彼をよく知る人々に言わせれば「あながち間違いでもない」。

 はたして、ガルーがメグルに選んだ酒はといえば。

「おまたせいたしました、バイオレットフィズです」
「……ほぅ」

 店員が運んできたのは、淡い紫色のカクテルであった。
 しゅわ、しゅわとタンブラーの中で泡が弾けるさまが目に楽しい。ジンベースの爽やかな芳香と相余って、クールな印象を与える酒。
 だが、一口含めばその味わいは甘く、やさしい。

「お気に召しましたか? 俺様ってば、案外こういうお酒も嫌いじゃなかったりするんですよね」

 ガルーの問に、メグルはただ、静かに頷いた。

 彼から、自分は、こう見えているのか、と。
 一見冷たい印象に見える紫の瞳の奥に、さわやかな甘さを含んでいるのだと。それが、嫌いではないと。

「おっ、バイオレットフィズじゃないっスか。メグルさんによく似合うお酒っスなぁ」
「なんだいなんだい、お兄さんに黙って何を楽しんでるのかな?」

 似合う酒、という話題が気になったのか、米衛門とリュカもメグルの方へとにじり寄る。
 メグルのような酒、とバイオレットフィズを提示されたリュカは、以前飲んだそれの味と芳香を思い出して、自然と頬を緩めた。

「ああ、あのお酒みたいな人、かぁ。なんだかわかる気がするなぁ」

 しみじみと、皆の声が心に染みる気がした。
 甘く爽やかなカクテルのようなひと。そう評されたことが、殊の外うれしくて。

「ありがとう、ございます」

 飲み慣れないカクテルは、とても、とても、おいしかった。



 さて、酒が入れば気が大きくなる。その大小は酒の強さや各人の気性に依るのだろうけれども、多かれ少なかれ気持ちに変化は訪れるもので。

「なんですか、私の酒が飲めないと?」
「い、いやぁ……?」

 ガルーは困っていた。
 酔いのせいか若干瞳の潤んだ美人さんに、湯呑みに並々と注がれた冷酒を突きつけられ、対処に困っていた。

「め、メグルさん? ちょーっとお水でも飲んで落ち着いたほうがいいんじゃないかなーって俺様思うんですけれども……?」
「僕は酔ってません」
「左様でございますか……」

 自身の許容量的に、日本酒を湯呑み一杯は少々手に余る。かといって、ガルーに美人からのお酌を断るという選択肢は存在しない。
 なので穏便にターゲットを逸らそうと試みているのだが、なかなかどうしてうまくいかない。
 なにせ、ターゲット筆頭のレティシアは、とうの昔にガルー自身が酔い潰して既に夢の中。早まったか、と後悔してももう遅い。後になって悔いるから後悔、とは誰の言葉だったか。

「がるーはめぐるにはよえーんだな」
「だまらっしゃい赤頭」

 かろうじて意識はあるようだが、最早呂律の回らないレティシア。けらけらと陽気に笑いながら、座敷にだらしなく寝そべっている。メグルがシラフであれば注意しただろうが、こちらもこちらで現在なかなかに酔いどれているため、レティシアに注意を促す者は誰もいなかった。

「んー! さすが米ちゃん! このお酒おいしいねぇ!」
「にゃははは! 木霊さんオススメのもうめぇっスよ!!」

 ワクはワク同士、なにやらうまい酒をオススメしあって喜んでいる。
 アレに関わることは即ち死亡フラグであることを、ガルーはよぅく理解していた。

「なになに、おいしいおさけぇ?」
「…………」

 なので、レティシアが蜜に集うカブトムシよろしくふらふらとワクの集いに足を踏み入れても、心の中で合掌して見送るのみ。ガルーはこんなところで命をかける気は更々なかった。レティシアの勇姿は忘れない。レティシアは犠牲になったのだ……。

 さて、哀れな犠牲者に黙祷を捧げるより先に、ガルーにはやるべきことがある。
 酒、というより雰囲気に泥酔したメグルの介抱だ。

「……これ、僕が初めて飲んで、おいしいと思ったお酒なんです……」
「わぁい日本酒!! 俺様日本酒だーいすき!!」

 寸分の迷いもなくガルーは逝った。美人の笑顔が曇るなど言語道断、それを成した者は万死に値するが信条の男である。美人の笑顔の前には自分が酔いつぶれるなど些事だ。
 許容範囲を超えて日本酒を煽ってぱったり倒れたガルーは紳士の鏡である。南無。

「ありゃ、ガルーちゃん潰れたの? 珍しいこともあるもんだねぇ」

 早々にレティシアを潰して暇を持て余していたワクその一が、赤ら顔で机に突っ伏しているガルーの背中をツンツンと突っついている。

「すみません、飲ませすぎてしまいました。僕もどうやら思いの外酔っていたみたいです」

 人ひとり潰して理性を取り戻したらしく、少々気恥ずかしそうに肩を竦めるメグル。そのわりには表情に罪悪感はないため、メグルなりに酒宴を楽しんでいるらしい。

「大丈夫だいじょーぶ、ガルーちゃん案外しっかりしてるから、そんなに無茶はしてないはずだよ。ちょっと休ませたら復活すると思う」

 うつ伏せでは寝苦しかろうと、米衛門の手を借りてレティシアの隣にガルーを転がす。なるほど、リュカの言うとおり、酔いつぶれたガルーの寝息はしあわせそうだ。まぁ彼からしたら美人にお酌されて酔いつぶれた状態なのだ、感謝こそすれ、恨みはなかろう。

「じゃあ、ブランシェさんとガルーさんが復活するまで飲み直すっスか!!」

 そして参加者2名が酔い潰れたところで自重などしないワクその2。自分好みの日本酒を抱えて飲む気満々でスタンバっていた。

「そうだね! それがいい!!」
「では、僕もご相伴に預かりましょう」

 自分用のぐい呑みを持っていそいそと集う酒豪3人集。
 そこに流れる時間と酒の消費量は、今までよりずっとおだやかで。

 酒に酔わない者達が、それでも酒を好み、酒宴を好む理由。
 それは案外と、わかりやすく平凡なものなのかもしれない。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa1482/齶田 米衛門/男性/21歳/アイアンパンク/防御適正】
【aa0068/木霊・C・リュカ/男性/29歳/人間/攻撃適性】
【aa0076hero001/ガルー・A・A/男性/31歳/バトルメディック】
【aa0626hero001/レティシア ブランシェ/男性/27歳/ジャックポット】
【aa0657hero001/メグル/?/22歳/フィスビショップ】
SBパーティノベル -
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2017年05月16日

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