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『脱衣ファイターはパンツ売りの少女 』
焔・楓ja7214

 『パンツ売りの少女』というインパクトのある称号を持つ、健康的な小麦色の肌を露にした黒髪の少女、焔・楓(ja7214)。小学生程度に見える幼さ全開、幼児体型の彼女は部活動とアルバイトにいそしむ純真無垢な学生だ。
 変態さゆえに討伐対象となるほどの男が運営する部と店での活動を、彼女はいたって大真面目に楽しくおこなっている。

「部長〜♪ 今日も脱衣戦闘部の活動がんばろー♪」

 元気良く部室のドアを開けた楓だったが、そこにはいつもビジネススーツをきっちりと着た(すぐ脱ぐが)暑苦しげな筋肉の男は見当たらなかった。その存在感から、彼がいるならばすぐにわかるはずなのだ。

「あれ? 部長いないなぁ」

 周囲をキョロキョロと見回しながら、部室にまっすぐ入っていく。壁に張ってある部活のスケジュール表を見て気が付く。今日は部活が休みの日。部長(店長)は部活と古着屋の両方を運営しているため開店日の部活は休みとなる。

「あや、今日は部長じゃなくて店長の日だったっけ。ならお手伝いに行くのだ♪」

 どちらの活動も楽しんでいる楓はご機嫌なまま店の方へと足を向けるのだった。



「店長〜♪ おつかれさまなのだー♪」
「焔君! よく来てくれたな! 今日は店の方をたのむぞ!」
「まかせてなのだ♪」

 店長と二人で開店準備をはじめる。開店前に店長が仕入れて来た品々を、店長の決めたカテゴリ分けで仕分ける。パンツ……ブラジャー……制服……靴下……ぽいぽいと楓は分けていく。店長は分けられたそれを丁寧にたたみ、タグをつけていく。たまに写真もいっしょに。

「お洋服にお写真なのだ?」
「ああ……焔君、洋服は着用時のイメージがわいた方が購入しやすいだろう? この写真はそのイメージ写真なのだよ!」
「さすが店長♪ やり手なのだー♪」

 純粋な楓は店長の言葉を素直に信じるのであった。



 開店時間に準備も間に合い、店長の古着屋は今厳かに開店した。

「うむ……今日もこの神聖な私の店を無事開店することができて、私は幸せ者だ!」
「店長がうれしそうでなによりなのだー♪」

 店長がレジに付く。客が来ない間はレジ横のパソコンで作業をしている。過去に撮った趣味の写真の整頓、次の仕入先の目星付け、需要と配給の推移からの販売価格の見直しなど。

 散々やらかして生徒会にマークされている程の店長だが、そのせいで同士たちへ知名度は高い。さらに彼はオープニングスタッフを雇い、大々的に開店し大成功を収めたため、その筋の者たちからは有名な店となっていた。
 だから、今日の客入りも上々。楓は退屈せずに活き活きと働くことができる。

「いらっしゃいませ〜♪」
「あ、こんにちは。楓ちゃんはいつも元気でいいね!」

 楓はその元気さと人懐っこさから、この中古屋の看板娘となっていた。

「えへへ〜! ありがとうなのだ♪ 今日は何を探しに来たのだ〜?」
「中等部の制服と、下着のセットあるかな? 銀髪の子が写真になっているやつがいいんだ!」
「それはこっちにあるのだ♪ ちょうど新入荷してるのだー♪」

 楓はさっそく自分の出番とばかりに、覚えていたコーナーへと客を案内する。

「これとこれとこれが、銀髪の子の制服なのだ♪」

 楓は洋服掛けから手早くハンガーにかかった制服をチョイスする。制服のデザインは同じ中等部でも微妙に違う。季節ごとにも違うし、儀礼服といったバージョンもあるし、自由な校則のためもあって改造制服も存在する。
 客は制服と写真を見比べて、購入を決めた。

「次は下着なのだ♪」
「白いのあるかな?」
「白はえーっと……ここからここまでなのだ♪ この中で銀髪の子の写真なのは……」

 楓は手際よくピックアップする。客は喜んでそれを受けとり吟味する。このコーナーは値段も値段なので、客は皆慎重に吟味することが多い。

「開けてみてもいい?」
「お待ちくださいなのだ♪」

 透明な袋にパッケージされているが、選ぶ際に開けるのもかまわない。それを見越して袋にはジッパーが付いている。商品に傷や汚れが付かないように、楓は白手袋をして下着を取り出す。
 中古ではあるがアンティークのような風合いの重厚なテーブルに、宝石や高級品を載せるためのネイビーのクロスが掛けられている。
 そこに白い下着を丁寧に広げた。横にそっと写真を置く。その手際は王室御用達の装飾品でも扱っているようだ。クロスの上で白いパンツとブラジャーは真珠のように眩しく輝く。

「おおっ」

 客は感嘆の声をあげる。

「じっくりよく見て決めてなのだ♪ お手は触れないでなのだ♪」

 それは店長の方針だ。客は顔を近づけて下着の様子を事細かに確認する。客の要望に応えて楓は下着をひっくり返したり裏返したりする。香りも大事な要素らしく、客は念入りににおいを嗅いでいた。
 制服と下着のセットが入った、店名が金色の文字でエンボスされた厚手の紙袋を満足げに手に提げ、客は帰って行った。

「お客さんが満足してくれたようでよかったのだー♪」

 楓は達成感を感じる。そして今日も次々と商品は売れていく。古着はまたたくまに減っていく。

「在庫がたりなくなって来たな……」

 店長が思案しているのを見て、楓は白いタンクトップとショートパンツを脱ぎだし、さらに白い飾り気の無い上下の下着も脱ぐ。それを見ていた客があわてて購入の意思を示した。

「お洋服ないならあたしが提供するのだ……って、もう売れたのだ(汗)」

 いきなり脱衣しだした楓にあっけにとられ、素早く動けなかった客はたいそう悔しそうにしていたが、そのまま何事も無かったかのように接客をはじめる楓を見てすぐに別の感情に囚われる。
 あらわになった楓の日焼けしていない白い肌と小麦色の肌の境界が眩しい。

「店長♪ 客足が落ち着いたので呼び込みに行ってくるのだ♪」
「おお! 頼むぞ焔君!」
「え!?」

 すでにその状態で接客している楓に驚きつつも、異様な空間に催眠状態であった店内の客たちだったが、楓がその格好で外に出るのかと思いさすがに仰天する。同時にトキメキとドキドキに胸を躍らせた。期待の視線が刺さる中、楓は一度店の奥へと戻ると、恐竜の着ぐるみ姿で登場する。
 客たちの喉から落胆の溜息が漏れた。しかし、恐竜の口部分から顔を出した楓の姿は、とても可愛いと言えた。
 楓は謳い文句の書いた看板を持ち、外で元気に呼び込みをしている。



「店長お疲れ様なのだ♪ 着ぐるみ返すね♪ えっと何か着るもの……あ、いつもありがとうなのだー♪ それじゃあ明日も部長か店長かよろしくなのだ♪」

 閉店後、心地良い疲労感につつまれる楓に店長が本日分のバイト代と新しい服を渡す。

「焔君! 君は本当によくやってくれた……! もちろん明日もよろしく頼むぞ!」

 楓はその場で着ぐるみを脱ぐと、店長にもらった下着を身に着け、洋服を着る。店長は着ぐるみをビニールに包み、以前に撮った楓の写真とともにタグを付けている。

「それじゃあまた明日ー♪」

 手を振って楓は帰途につく。客も店長も皆喜んでくれる接客業は向いているのだろう。足取りも軽やか。

「今日も楽しかったな♪ 明日もきっと楽しいのだー♪」

――今日もアルバイト代でおいしいごはんをたくさん食べるのだ♪



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ja7214/焔・楓/女/10(中等部1年)/ルインズブレイド

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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焔・楓様

お世話になっております。再度のご依頼ありがとうございます、櫻井です。
このたびは、またも思い出の依頼から派生のエピソードをお預けくださり、たいへんありがとうございました!

その牛男爵MSの依頼のように、大真面目に異彩を放つ楓ちゃんのお話を楽しげに書けておりましたら、幸いです。

また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
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櫻井律夏 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年05月24日

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