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『魂を通わせ愛を交わす 』
シルヴィア・エインズワースja4157)&天谷悠里ja0115

 少女たちに導かれ引き合わされたのは、去年の夏と秋に足を踏み入れた姫と彼女の騎士だけが入れる部屋の前だった。

「エインズワース夫人とでも呼んだ方がいいのかしら」

 シルヴィア・エインズワース(ja4157)の横で聞こえる黒い少女が漏れ笑いに二人が穏やかに微笑みを返す。
 宵闇のドレスから白い礼装の騎士へ着替えたシルヴィアと、真昼のプリンセスドレスから純白のプリンセスへと着替えた天谷悠里(ja0115)。
 彼女たちの魂の結びつきは恋人の域を優に超え、夫婦……それ以上かもしれないと黒の少女は感じていた。
 二人の関係をまったく知らない相手だったとしても、今の二人の間に流れる空気から、先輩後輩や友人の類ではないことをすぐに感じるのではないだろうか。互いを敬愛し信頼しているからこそ漂う落ち着きと温かさがそこには確かにあった。

 ***

 パタン。
 ごゆっくりと言い残して少女たちは扉を閉める。

「ユウリ姫……」

 シルヴィアの中には愛おしさが湧き上がる。何度呼んでもこの言葉を口にする度に生まれるこの感情に底はない。

「その、今更とは思うのですが……」

 シルヴィアは何かを考えあぐねいているようだ。

「どうかしましたの?」

 首を傾げる悠里。その姿に、シルヴィアははにかみ笑う。

「笑わないでくださいね。実は、貴女への想いを伝える言葉が見つからないのです。姫としての貴女も学園での貴女も愛おしくてたまらない。この想いを伝えたいと思うのですが、どんなに言葉を重ねても、言葉を変えても、この想いを伝えきるには足りない気がするのです」

 恥ずかしそうに苦笑する騎士に、まあ。と姫は優しく微笑みかける。

「多くの言葉は必要ありませんわ。シルヴィアの想うまま、感じるままに。きっとそれが今の気持ちにふさわしい言葉になりますわ。貴女の愛を受けたからこそ今の私はいるのですから」

「あぁ、やはり貴女は素晴らしい方です」

 自分の胸に手を当て、騎士は自分の中から最も伝えたい言葉を口にする。

「……ユウリ姫、私は貴女を世界中の誰よりも愛しています」

「ええ。私も愛しているわ」

 何度も交わされた愛の言葉。
 誰もが使うありきたりな言葉。
 それでも、二人はその言葉を聞くだけでとても満たされた気持ちになった。想いが通じている喜び、愛されている充足感。その胸に湧き上がる感情全てが何物にも代えがたい程に心地よい。

「ユウリ姫」

「シルヴィア……」

 シルヴィアの手が悠里の腰に優しく回される。
 いつか自分だけの姫になってほしいと告げたあの時の様な神聖な気持ちでシルヴィアは遊里の柔らかい唇に自分のそれを重ねた。
 悠里もまたあの夜と同じ、初めて口付けを交わした時と同じ気持ちで応じていた。
 あの冬の夜、シルヴィアからもらった愛の言葉が始まりだった。それが様々な形で注がれ、今の自分がある。そのことに悠里は心から感謝している。
 彼女から注がれる愛のよろこび、彼女を愛すよろこび。それは悠里の中で他のどんなよろこびよりも崇高で甘美なものになっている。

 次の口付けまで言葉は一言も交わされなかった。
 何百の言葉を交わすよりも、深く愛を伝えたいと互いの瞳が語る。これ以上の言葉は無粋ともいえるかもしれない。

「……」

「……」

 再び触れ合った唇。それでは足りないとばかりに深く口付ける。シルヴィアに応えるように悠里も深く唇を重ねる。

「あぁ……」

 紅潮した頬、うるんだ瞳は黒曜石の様に美しい。目の前の高貴な美姫をそうさせているのが自分だということが純粋に嬉しい。

「もっと……感じてください」

 腰に触れていた手をその下にある丘に伸ばしながらもう一度キスを交わした。
 触れた唇を割り、舌を絡め歯列をなぞる。花の蜜の様に甘い味が口にあふれる。
 肌に優しく触れるシルヴィアの手指が悠里からゆっくりと快楽を引き出していく。姫の唇から漏れる甘い声は何度も交わされる騎士からのキスで塞がれてもなお零れ、悦を高めていく。
 悦びに完全に身を委ねた悠里から余計な力が抜けていくのを感じ取ったシルヴィアが彼女をそっと抱き上げた。
 その姿はおとぎ話に出てくる王子と姫のようにも見える。童話の表紙にすればさぞ人気が出るだろう。それほどに絵画的な光景だ。
 触れるだけのキスの後、金髪の騎士が微笑みかけた。

「続きは部屋でいたしましょう」

 言葉と共に動く視線を悠里の黒い瞳が追いかけると、天蓋付きのベッドがその目の端に映った。
 チュッと音がして、悠里の返事がシルヴィアの唇に返される。意図を理解した黒髪の姫と騎士は微笑み合い、そのまま奥の間へと歩き始めた。


 ━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja4157 / シルヴィア・エインズワース / 女性 / 23歳 / 盃の愛は空かず 】

【 ja0115 / 天谷 悠里 / 女性 / 18歳 / 愛の盃は満ちて 】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 こんにちは。 お久しぶりです。
 今回もご依頼頂き本当にありがとうございます。

 今回は結ばれてから初めて、騎士と姫として愛し合うということで濃厚なシーンを控えめにさせて頂きました。作中でもありますが、続きは寝所でのお楽しみになります。 

 今回もお気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年05月24日

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