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『 小さな先生と春のお出かけ 』
北里芽衣aa1416)&Arcard Flawlessaa1024

プロローグ
「おい! あれアークなんとかじゃね?」
 路地裏の闇に光三対の眼。
「おうおう、俺達をコケにしてくださったあいつ様がよ。今は猫耳ちびすけときてる」
「今がチャンスじゃね?」
 そんな彼らが白い少女と猫耳少女を見つけてしまったのが運のつき。
 三人はひた走る。闇の中より、その胸のうっぷんを晴らさんがために。


本編 


『北里芽衣(aa1416) 』は幻想蝶を撫でる。その中の英雄は大人しく、芽衣は待ち時間を持て余すことになった。
 時刻は十三時をちょっとすぎ。噴水広場の水しぶきが太陽光を反射する様を見届けながら、再度時計を見た。
 するとだ。その視界の端に小さな影を捉えた。
 普段とは違って背が低く、しかもフードをかぶっているのでここまで近づかないとその存在に気が付けなかった。
 芽衣はあわててその少女に駆け寄る。
「遅いですよ、せんせ!」
 そう芽衣は『Arcard Flawless(aa1024) 』のフードをはがして告げると、Arcardのけものみみが彼女の意思とは関係なく揺れた。
「ちょ!」
 Arcardは慌てふためいてそのフードを再度かぶった。
 その仕草を見て頬をほころばせる芽衣。
 普段の先生とは違うリアクションと慎重さになんだか無性にうれしくなる。
「今日はどこにいきます? 先生」
「かえる……」
「あ、まってください!」
 そう拗ねたように口をとがらせて、ツーンと上を向き歩き去ろうとするArcard。その背中を追ってからかってごめんなさいと謝る芽衣である。
「ああああ! だから外に出たくなかったんだ」
 そうArcardは溜息をつく。
「せめて来月とかじゃだめだったの?」
「来月になると梅雨に入っちゃうじゃないですか」
 実はArcardがこんな姿になってしまった経緯を芽衣はよく知らない。英雄がどうのこうのという話だったのだが。それで身長が三分の二になってしまうあたり、リンカーとは不思議なものである。
「で、最初はどこにいくんだい?」
 そうArcardが腰に手を当てて問いかけると、芽衣は微笑んで超高層ビルを指さした。
 先ずはデパートでお買い物だ。
 そう芽衣はArcardの手をひいてエスカレーターに乗る。
 エージェントは暇が少ないので消耗品は備蓄も含めて多く買う必要がある。
 雑貨、消耗品、日用品、お菓子、食料、その他もろもろ。買っては全て幻想蝶に収納していく二人である。
「あ、そう言えばいきたいところがありました」
 そう手を叩いて思い出したように告げる芽衣。次に向かったのは本屋さんだった。買ったのは英雄に向けたプレゼント、絵本や色鉛筆。自由帳等々。
「最近英雄が字を書けるようになったんです!」
 そう嬉しそうに報告する芽衣の頭を撫でるArcard。
「それはよかったね」
 だが、いつもと違って、頭一つ分芽衣の方が背が高い、そのせいで背伸びを
して、しかも腕を上げなければいけないのだが、この姿は非常に無防備だ。
 その無防備を狙って芽衣が抱き着いた。
「ありがとうございます、先生!」
「な!」
 たじたじなArcard、しかも振りほどけない、小さいからだとはこんなにも不便なのか。
「あ〜、可愛いです先生。いえ、アルちゃんって呼んでもいいですか?」
「あ〜 呼び方はどうでもいいけど」
 頭をモフモフされながらも、ちゃんよびを許可するArcard。
「アルちゃん!」
 ただ実際に呼ばれてみると若干の違和感を感じた。
「あ〜ごめん、やっぱちょっと複雑」
「だめですか?」
「………………イイヨ」
 芽衣のキラキラとした視線を受けて思わず頷くArcardである。
 甘くなったものだと、思わずため息をつく。
「あとは、アクセサリーショップに」
 引き続き、楽しげにArcardの手を引く芽衣。
「はー、おませさんだね。芽衣は」
 女に目覚めたのかとArcardは思ったのだが、どうやら違うようで芽衣は首を振った。
「健吾君へのプレゼントを買いたいんです、よかったらアドバイスお願いします」
「うーん、僕は相手が喜ぶものとか、想像するのが苦手だからなぁ」
 Arcardは首をひねる。
「それも練習次第です。そうだお嫁さんにプレゼントを買ってみてあげればどうですか?」
「うーん、なるほど。物は試しだ。行ってみよう」
 そして二人はアクセサリショップを回って、芽衣は黒い鳥のモチーフのついたネックレスを購入した。白い鳥とセットになっているものだ。
「すこし休憩にしよう」
 そうArcardは提案する。
 甘い物でも食べながら次はどこにいこうという話になるが。
 日用品の買い物が済めば、次は仕事道具を見に行きたくなるのがリンカーというものである。
「グロリア社に行きましょう」
 グロリア社はこの施設のすぐ近く。エレベーターで降りてすぐさま向かった二人だったが、出入り口で止められてしまった。
「ここは子供の立ち入れる場所じゃない」
 そう横暴な警備員に止められて、慣れている芽衣はともかく、こんな対応に不慣れなArcardは眼光を鋭くとがらせた。
「ちょっと君たち……遙華からきいてないのかな? 僕達上客だけど?」
 そうエージェント登録証を差し出すと、警備員は平謝りをして通してくれた。
 そして入店したのは見慣れたグロリア社。
 様々な武装がショーウィンドウの向こうに飾ってある。 
「お〜新作だ」
 そうアArcardは気になるものを見つけたらしく背伸びをしてケースの中味を確認しようとした。
 しかし届かない。
「くそ! グロリア社め」
 辛酸をなめさせられたArcard。大きい時はこんな苦労しなかったのに。そう思うとちょっと切なくなる。
 そう、この世界とは小さい物に厳しい世の中である。
「こういうときは肩車をします」
「にゃんだって?」
 そうArcardに聞き返されてしまえばちょっと面白くなる芽衣。
 そんな芽衣は笑いをこらえて、肩車を提案した。
「英雄とグロリア社に来るときはいつも肩車をしてます」
 手の届かない高いところにある商品はいつもそうやって眺めているのだと彼女は言った。
「この場合どっちが上?」
「アルちゃんですよ、アルちゃんが見たいんでしょう?」
 その通り。
 なのでArcardは遠慮なく肩車してもらい二丁拳銃を眺める。
「肩車なんて、いつ振りだろうね……」
「どうしました? アルちゃん?」
「いや、なんでもないよ。この銃撃ってみたいな」
「試し打ちはできますか?」
 芽衣が問いかけるとグロリア社の職員は快く試射室まで案内してくれた。
 2人はわずかな時間で共鳴。
 そしてグロリア社の新作両手に動く的の前に立つArcard。
 一瞬にして纏う雰囲気が変わった。
 慣れた手つきでダミーカートリッジを弾き薬莢を装填。そしてうつ。何発も何発も。
 その全てが的に命中し、芽衣は思わず拍手を送った。
「すごいです! 先生」
「悪くない性能だ。照準器が少し甘いかも、弾道が下にそれてる気がするけど、それは弾丸の問題かな」
「今度は私の打ち方も見てください」
 そう告げ、芽衣は魔導銃片手に試射室に入った。
 Arcardは芽衣の細かな癖を発見しては修正していく。
「でもその銃、君にはあわないと思うな」
「何でですか?」
「スペックをみて選んだでしょ? その魔導銃。そうじゃなくて目的を決めてから物を選ぶこと、そうすれば自分にぴったりのものがみつかるはずだよ」
 そんな先生からの指南に夢中になっているうちに、時刻は夕暮れ時。
 ただ、外は雨が降っていて、二人は外に出るなり困り果ててしまう。
「どうしましょう、バス乗り場まで走ります?」
 そう芽衣が視線を向けるとそこには雨合羽に身を包んだArcardがいた。
「かわいい!!」
 そうはしゃぐ芽衣に、Arcardは傘を差しだした。
 そして二人はバス停まで歩く、ちょっとショートカット。そんな軽い気持ちで
路地に入ってみれば。
 そこにいたのはガラの悪い男三人だった。
「おうおう、見つけたぜ! アークなんとかちゃーん」
「ん? なんだ君たち」
 そんな男たちを軽快して芽衣を下がらせるArcard。
「覚えてねぇとは言わせねぇぜ」
「………………ああ、この前の」
 Arcardはかろうじて思い出す。確か数週間前の休日の事。
 本来であればArcardにとってこの程度の小悪党は心底どうでもいいのだが、デートの最中の邪魔立てだったので覚えていたのだ。
 あの時は取り逃がしてしまったが、そのつけが今ここで回ってくるとは。
 そうArcardは額を軽く抑える。その直後だった。
「小さくなったのが運のつき。この恨み晴らさせてもらうぜ」
 チンピラがナイフを振りかざして動いた。
「先生には指一本触れさせません」
 その男の攻撃を回避する二人。
「うーん、普段とかってが違うからにゃ〜」
 Arcardはどうしようか考える。まぁ共鳴している時点で一般人に負ける可能性は一切ないのだが。小さいと普段の戦闘スタイルでは戦えない。
 であれば普段はできない動きで楽しむことにした。
「こっちだよ」
 瞳が暗がりで光ったように見えた。
 Arcardは壁を走って飛ぶ。逆サイドの壁に足をつけると同時に敵の背後にまわり。
 足を崩してまた飛んだ。
 後ろへと体勢崩れるチンピラの胸の上に着地し。
 地面へと蹴ると。勢いよくチンピラは地面に激突する。
「あと、ふたり」
 だが二人も相手をする必要はなかった。
 直後空を割るような轟音。
 チンピラが振り上げたバールを、芽衣が魔導銃で撃ち飛ばしたのだ。
「ななななな」
「ああ、弟子よ……」
 Arcardは額を抑えてため息をつく。
「AGWは一般人相手に使わないように」
 直後悲鳴を上げて逃げ出すチンピラたち。
「ごめんなさいアルちゃん、普通の人はあまりなれてなくて……」
 結果路地裏の戦闘でずぶぬれになってしまった二人だったが。ちょうどよく女性専用の入浴施設を見つけたので二人仲良くお風呂に入った。
 服を乾燥機で乾かしている間いろんなことを話した。
 任務の事、Arcardのもといた世界の事。今後の事。
 そんな中Arcardはふと時計を見る。
 もう夜だ。ここまでくれば晩御飯も一緒に。
 そんなことを考えながらも二人は二人の時間に没頭する。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『北里芽衣(aa1416) 』
『Arcard Flawless(aa1024) 』
『小鳥遊 健吾(NPC)』
『西大寺 遙華(az0026)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度はOMCご注文いただきありがとうございます。
 鳴海です。
 いつもお二人にはお世話になっております。
 今回はお二人の休日ということで、ほのぼのとした空気を大事に書かせていただきました。
 楽しい雰囲気が伝われば幸いです。
 実はArcardさんのちっちゃくなったバージョンを一度描写してみたかったので楽しかったです。
 それではまた本編でお会いしましょう
 鳴海でした。ありがとうございました。
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2017年05月30日

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