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『きつねっ娘姉妹食べ歩記〜広島編 』
プレシア・ベルティーニaa4629

「お姉ちゃん、これが一日乗車券だって」
 瑠璃・ベルティーニ(aa5174)さんはそう言いながら、大きな切符二枚を掲げながら駆け寄ってきます。ブロンドのさらさらヘアーが左右に踊り、ふさふさきつね尻尾がふりんふりん。きつね耳はピンと立ち、笑顔満面です。
「これなら乗り放題だからどの駅で下りても大丈夫だよ」
 駆け寄った先には瑠璃さんと同じく長い金髪にきつね尻尾きつね耳姿のプレシア・ベルティーニ(aa4629)さんがいます。どうやら双子の姉妹さんのようですね。
「ほみ?」
 あれ?
 プレシアさん、鳩が豆鉄砲食らったような顔してますよ。
「ボクたち、お師匠さまから言い付かった買い物するだけなのー」
 瑠璃はほかに何かしたいの、と首を傾げるプレシアさんです。
「え……でもここ広島だし、きっとお姉ちゃん……」
「寄り道しないでお利口さんにしなさい、って言われたからそうするんだよー」
 もじ、と小さくなる瑠理さん。プレシアさんはちょっとぷんぷん、ってしますね。でも、「だからお利口さんにするのー」と、あまり気にもせずに電車に乗ってしまうのです。瑠理さん、慌ててその後についていきますね。
 さあ、お使いに出発です。

 車内に乗り込むと、あまり乗客は多くないようです。
 ぽふっと元気良く座席にお尻から座ったプレシアさんですが、なにやら箱包みを持ってますね。包装紙には「銘菓」の文字があります。
「ほみ……」
 じっと菓子折りを眺めるプレシアさん。同時にうきゅ〜、と腹の虫が鳴きました。
「そういえばお腹すいたの〜」
「お姉ちゃん! それはお使い先に届ける物だからだめだよぅ」
 危うく包装紙を開けそうになったところを止める瑠理さんです。
「でも……」
「あっ、お姉ちゃん。次で下りよう。何か売ってるよ?」
「ほみ?!」
 あまりの空腹に耳へにょしていたプレシアさん、背筋ぴーんとなって車窓にかじりつきます。瑠理さんの指差す車窓からは「草津名物・がんす」の文字が見えました。
「下りて早速行ってみるの〜」
 おっきなきつね尻尾をくりんとくねらせながら、ぱたぱたと草津駅で下車する二人です。
「まいどあり〜」
 で、購入。
「魚の練り物に衣をつけて油で揚げてるんだって、お姉ちゃん」
 油揚げみたいに四角になってるんだ、と瑠理さん。まずは手にして興味津々です。
「じゅわって油がしみ出ておいしいの〜」
 プレシアさんの方はすぐにかぷっ。もきゅもきゅやってにっこりなのです。

 でも、がんすは小さくて一つだけではとてもプレシアさんの食欲を満たすことはできません。むしろお腹がさらにおいしい物を求めるようになりました。
「ほみ〜」
「あ、お姉ちゃん。お好み焼きだって!」
 再び電車に乗るもへにょっとして物足りなさそうな姉を元気付けようと、またも車窓を指差す瑠理さんなのです。

 で、今度は井口駅で途中下車。
 てくてく歩いてお店ののれんをくぐります。
「一番人気? そりゃ豚玉そばに決まっとるけえ」
「ほみ〜。エビさんとかお餅の入ってるのもおいしそうなの〜」
 店主の言葉を聞きつつもメニューをほみほみめくっているプレシアさん。
「まずは普通なのを、ってことなのかなぁ」
 ぽわわん、と考える瑠理さんですが、まあそんな感じです。
 とにかく、一番人気の肉玉そばを注文。目の前の鉄板でじゅうじゅう焼いている様子に目を輝かせます。
 で、焼き上がり。
「はい、おまちどうさん」
 すいっ、と目の前に二つのお好み焼きを大ベラで寄せてもらって、ようやくありつけるようです。
「ソースのにおいがおいしそうなの〜」
「小ベラで食べるんだね、お姉ちゃん」
「あ。ちゃんとふーふーしないとやけどしちゃうんだぞっ!」
 あ。
 プレシアさん、ここできょう初めてお姉さんらしいとこを言いましたね。
「好みでそこの鰹節をかけたりマヨネーズを使ってな?」
「ほみ! 熱で鰹節が踊るようにくるっと丸まるの〜」
「マヨネーズを使うとまろやかになるね、お姉ちゃん」
 店主に言われてきゃいきゃい盛り上がります。ちなみに、食べにくかったら小ベラではなく箸で食べてもOKです。
「ほみ〜。中華そばの層とキャベツやもやしの層が重なってるの〜」
「まぜ焼きのお好み焼きとはずいぶん違うね」
 はむはむ、ほふほふとおいしくいただきました。食べた後も焼けたソースの匂いがいい感じですよね。

 さて、これでプレシアさんのお腹もいっぱいになったはず。駅に戻る時にはお腹をぽんぽんとたたいてにこぱ笑顔。瑠璃さんもほっとしています。
 ところが!
「ほみ! 広島風つけ麺っていうのがあるの〜」
 あああああ。
 プレシアさんたら、駅から見える車道の広告看板にを指差しているではありませんか。すっかり味を締めて自分から探すようになってしまいました。
「お姉ちゃん……」
「ほら瑠璃、行くよ〜」
 そして駅の反対側に。上りのホームに向かいます。
 目当てのお店は駅二つ手前ですからね。双六で言うならまさかの「二つ戻る」。もうこうなると瑠璃さんには止める事ができません。
 で、草津南駅で下りて近くにある広島風つけ麺のお店へ。
「冷たい麺で、こっちのだしに浸して食べるんだね」
 瑠璃さん、ざる蕎麦みたいにしてぱくり。
「っ! か、辛い……。お姉ちゃん、よく平気だね」
 耳へにょして横を向くと、プレシアさんはへいちゃらのようでずるずるとやってます。
「湯通しした野菜とチャーシューもたくさん乗ってるから箸休めに食べるといいんだよー」
 ほみほみ〜、と少しお裾分け。そして「5辛以上でも良かったの〜」とか。まず3辛くらいがお勧めで、大丈夫ならより辛いのに挑戦するのが良いようです。暑くて食欲の減退する時期にはよりおいしくいただけそうですよね。きりっとした辛さが魅力です。


「えー! お姉ちゃんまだ食べるのーっ!」
 もふもふ尻尾をくりん、と回して指差すプレシアさんに、瑠璃さんは思わず大きな声を出してしまいました。
「お師匠さまからもきっと土産話を聞かれると思うんだぞっ!」
 めっ、と妹に姉の威厳を見せるプレシアさん。言われれば確かに「道中、どうだった?」と聞かれるかもしれません。そしてきっと、プレシアさんは「おいしかった」としか言わずお師匠さまはもっと詳しく言うようにと諭す姿のが目に浮かびます。
「うん……」
 そこまで思い至った瑠璃さん、おとなしくついて行きます。
 下車したのは、楽々園駅。
「少し食べてるから運動もするの〜」
 今度はやや遠いようで、造幣局広島支局を通り過ぎ、さらに幹線道路を越えます。
 やがてたどり着いたのは、汁なし担々麺のお店。
「今度は少し温かくて、麺はお皿の中で混ぜるんだね」
「ほみ! 挽肉と辛味噌が中華麺に絡んでおいしいの〜」
「ご飯を頼んだらお代わり自由なんだって」
「麺を食べた後のたれにご飯を混ぜるの〜」
 山椒が利いてるので涙目になったり遠慮なくご飯をお代わりしたり。ご飯は茶碗がくるだけで後はセルフ。席を立って自分でよそうのですが、瑠璃さんはちょこんと盛る一方、プレシアさんはぺたぺたと大盛り。辛いのでご飯も進むのです。残ったたれに絡めたご飯はとてもおいしいですよ。じっくり染み渡る甘辛さがいいのです。

 そして宮島口駅に到着。
 次はフェリーで宮島に向かうのです。
「あなごめし……」
「お姉ちゃん、フェリー来たよ!」
 あなごめしの名店を前に指をくわえるプレシアさんに、急ごうと桟橋の方を指差す瑠璃さん。有名な店で順番待ちが長いので断念するしかありませんね。
「その代わりこっちで揚げもみじなの〜」
「はふはふ。おいしいね、お姉ちゃん」
 宮島に渡ってから、店先で揚げたもみじまんじゅうをいただきます。お腹いっぱいで姉の底なし胃袋にもう付き合いきれない瑠璃さんでもこの大きさなら大丈夫。竹串に刺した小さなまんじゅうを堪能します。
「焼きガキもあるの〜」
「殻付きで潮の香りがいっぱいだね」
「ほみ、ちくわ焼いてるの!」
「鉄の棒に付けてころころ回して焼くんだね〜」
 さらに焼きガキとちくわもいただきます。
「そういえば焼きたてのもみじまんじゅうも売ってたの……」
「こっちだって、お姉ちゃん」
 あらあら。
 甘い物だと瑠璃さんも積極的ですね。
 赤い繊毛を敷いた雰囲気のある縁台に座って、お土産では味わえない熱々にぱくり。カステラ生地の香ばしさが口の中に広がります。

「おお、注文の品はできとるよ。お使い、ご苦労様」
「これ、お代とお師匠さまからお礼の品なの〜」
 というわけで、お師匠さまから言われた特注の宮島お砂焼きの湯飲みなどを無事に購入。持ってきた手土産もプレシアさんに食べられることなく手渡すことができました。瑠璃さん、良かったですね。苦労が報われましたよ。
 さあ。
 あとはこの焼き物を壊すことなくお師匠さまの元に持って帰るだけです。
「桐箱の中にも詰め物をしたからよっぽどのことがないと大丈夫。でも転んだりすると割れるから気を付けて」
「ありがとうございます」
 瑠璃さん、ぺこりとお辞儀をして受け取ります。お姉ちゃんに持たせたらもしかして……とか思ったのは内緒です。
 ところが!
「そうそう。これはお礼じゃ、お師匠さんと食べてな」
「ありがとうなの〜」
 菓子包みを手渡されたではありませんか。流れ上、当然プレシアさんが受け取ります。
「お、お姉ちゃん。それはお師匠さまがもらったものだからね」
「ほみ?」
 早速くぎを刺す瑠璃さんです。

 果たして復路、どうなることやら。瑠璃さんのはらはらどきどきは止まりません。



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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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aa4629/プレシア・ベルティーニ/女/18/ワイルドブラッド/攻撃適性
aa5174/瑠璃・ベルティーニ/女/18/ワイルドブラッド/攻撃適性

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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プレシア・ベルティーニ御一行 様

 いつもお世話様になっております。

 ローカル列車で行く食べ歩き旅をお届けします。
 プレシアさんの元気の良さと、瑠璃さんのお姉さん思いな感じが出ていれば幸いです。
 なお、プレシアさんなので
1)がんす
2)広島風お好み焼き
3)広島風激辛つけ麺
4)汁無し担々麺
5)揚げもみじ
6)焼きガキ
7)チクワ
8)焼きたてのもみじまんじゅう
 の8品目を制覇です。すごいですね。普通は一度に全部は絶対無理です。特に2、3、4の連続は無理。良い子はマネしないでください。
 店名は出せませんがいずれも地元有名店ばかりのリアルガチ。下車駅も実際の通りです。がんすのみは現地の製造業者が直接販売してるかどうか確認していませんが。
 読みながら広島西方面の味を堪能していただければ。

 それでは、この度はありがとうございました♪
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2017年06月12日

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