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『 昔、むかしのおはなし。 』
杏子aa4344

『杏子(aa4344)』は差し出されたお茶菓子に手を付けず、『伏見 菊男(NPC)』に先を促した。
「お膳立てはいいんだよ、さっさと話しな、まどろっこしいねぇ」
「話は長くなる。それなりの準備は必要さ。さてどこから話したものか」
 菊男は溜息をつくと、居住まいを正して二人に向き直る。彼は考えるように口をひらくが、一度話し始めてしまえばもう、すらすらと言葉が溢れだす。
 それは何代も前、このあたりが農村として栄えていた頃までさかのぼるらしい。

   *    *

 日本では八百万という概念が普通だった。
 あらゆるものに神は宿る。海に、山に、土地に、酒に、米に、そして古びたクワにさえ。
 そんなどこにでもいる神様だが、やっぱり力の強さというものがあるらしかった。
 そしてこの土地に住まう神は一等上等な神様らしく。
 その土地に豊かな恵みを授けていたという。
 結果田畑は実り、その土地だけは不思議と災害も柔らかだったと聞く。
 水害や虫の被害。様々な害から神様が守ってくれているのだと、土地の人たちは噂していた。
 ただ、神様というのは常に人騒がせで現金なものだ。
 見返り無しに人を助けるということはしない。
 見返りあってこその守護であり。だからこそ人を守り続けるのが神なのである。
 大変わかりやすくてよい。
 そう杏子は思った。何も要求しない無償の奉仕よりはずっと気持ちがいい。
 ただ、当時の人々はそうは思えなかった。
 捧げなくてはいけないものが重たすぎたというのもあるのだろう。
 それは少女。
 神は十年に一度、若い女を花嫁として要求してきたのだ。
 村はその風習を何度も繰り返してきた。
 十年に一度、山の奥の奥、社の前に少女を連れて行き、逃げられないように社に閉じ込めて鍵をかける。
 当然泣き叫ぶ少女もいた。恨みつらみを口にする少女も。
 その声は社まで少女を連れていく大人たちの背中に、深く深く突き刺さっただろう。
 だが、その声も一日たてば、夜が明ければぱたりと消え、聞こえなくなる。
 次の日社に大人たちがいっても鍵がかかったままに少女はいなくなっていた。
 人々はこれを。神様に嫁いだ。と噂した。
 そう、神が十年に一度要求するのは『神様の花嫁』だったのだ。
 
 この掟が破られたことはないと菊男は告げた。
 今まで一度も、一度たりとも。
 だがその言葉に杏子は反論する。
「あたしは、そんな話一切聞かなかったがね?」
 それはそうだと菊男は言った。
「その風習はある日途絶えた」
「何があって?」
「それを今から説明する」
 再び菊男は語り口調に戻った。

 そんな生贄をささげ続ける村にある日、真っ白な少女が生まれたという。
 髪も肌も真っ白で、瞳は赤い。
 今の医学ではアルビノと診断されるだろうが。その時に高度な医学など存在しない。少女は忌子として迫害された。
 そして体が弱いことも加わり、村の中ではお荷物扱いとされた。
 そんな少女が迎えた運命の十年目。
 迷わず神の嫁として選ばれた少女は、何も言わずただ淡々と大人たちに従ったらしい。
 繋がれ山を登る少女。その姿はぞっとするほど美しかったそうな。
「その少女をたいそう神は気に入ってな」
 菊男は告げる。
「しばらくすると神からお達しが来たらしい。その少女を永遠の伴侶とするという宣言が。そして次の十年から、少女を供物に捧げても、神はそれに手を出さなくなったそうな」
 
 菊男が昔話を終えると、杏子は問いかける。
「それで、その話と今回の件、何の関係があるんだい?」
 菊男はその言葉に答えるために、さらに言葉を重ねる。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『杏子(aa4344)』
『伏見 菊男(NPC)』
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海です。
 今回は昔話回ということで雰囲気が出るように書いてみましたがいかがでしょうか。
 このお話がどこに向かって進んでいくか楽しみです。
 それでは、またお会いしましょう。鳴海でした。
 ありがとうございました。
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2017年06月13日

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