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『春を迎えるまでに 1 』
ユリアン・クレティエka1664)&ジュード・エアハートka0410)&ルナ・レンフィールドka1565)&エアルドフリスka1856)&沢城 葵ka3114

 未だ雪深い地に漸く聞こえる春の足音。
 ユリアンとチアクは無人となったアメノハナの村を訪れた。
「よいしょっ!」
 チアクが跳ね上げた雪がユリアンに降り注ぐ。
「うわっ……ぶ!!」
 頭を振って雪を落とすユリアンが大きな犬のようにみえて「わざとじゃないの」と弁明するチアクの肩が震えている。
「わかってるよ、チアクはそんなお転婆さんじゃないから、ねっ!」
 何食わぬ顔でやり返すユリアン。今度はチアクが水浴びを終えた子犬のように体をぶんぶんと振る番だ。
「ちょっとお腹空いてきちゃった」
 雪掻きの手を止めたチアクが鼻を鳴らす。食欲をそそる少し甘いスモーキーな香りが村に漂っている。
 燻製小屋にて羊の腸詰めや骨付き肉が燻煙中なのだ。
 羊はユリアンがチアクを移住先に迎えに行った際、村人たちから買い求めた。村の伝統行事である春を迎える祭りを真似事ではあるが開催しようと思って。ちなみにチアクは村の代表。
 村人は「村を救ってくれた英雄」からお金を取るなんてと譲ってくれようとしたのだが、「ハンターとしての報酬はもう貰っているから」と断ったのだ。
 ユリアンにとって村人のため――もちろんそうした想いあるが――というよりも自身のためという意識が強いが故に。
 せめてアメノハナは守りたい、自身に立てた誓い。
「もう少ししたら昼食にしようか?」
 雪原を渡る風が火照った体に心地よい。
 木々の合間から覗くのは雲一つない青空。ユリアンとチアクがこの村に来てからというもの小雪が降ったことはあったが概ね晴天で空気にも春の気配を感じられるようになってきた。
「そろそろかな……」
「皆に会うの久しぶりだわ! それに初めましての人もいるんでしょう? どんな人たちなのかな」
 楽しみ、とチアクは雪に突き立てたスコップの周囲をぐるっと回る。
 村の修繕、それに祭りを開催するにあたりユリアンは師匠であるエアルドフリスや小隊長と仰ぐ人物を通し皆に声をかけたのだ。
 「お祭りをするナラバ盛り上げナイとネー!」長い間不義理をしていたユリアンが話を持ち掛けた時、何も言わず受け止めてくれた2人には頭が上がらないと思う。
「それれにアメノハナの開花も……」
 群生地のアメノハナは蕾をつけ始めていた。ではエアルドフリスが持ってきてくれるリゼリオで育てているアメノハナはどうだろうか。
 蕾がついたという話は聞かない。
 アメノハナを他所で咲かせる、その道のりは遠く厳しいな、とユリアンは思う。

 皆が村に到着したのは二人が昼食を終えた頃。
「皆、いらっしゃい。そして来てくれてありがとう」
 ユリアンとチアクは村の入り口で皆を迎える。
「いらっしゃい、久しぶり!!」
 飛びつくチアクをユリアンの妹が抱きしめた。
「宜しくお願いします」
 皆を前にユリアンは改めて頭を下げる。
「お祭りには笑顔だヨネ」
 むにっとユリアンの頬を軽く摘んだ小隊長は早速「雪だるま作ろーヨ」と駆け出そうとしてエアルドフリスに襟首をむんずと引っ掴まれた。
「エー……。雪が目の前にあるノニ〜」
「俺たちが何をしに来たのか忘れたのかね?」
「お祭りダヨ!」
 躊躇いのない答えに額を押えるエアルドフリス。
「二人とも荷物下してからにしてよ」
 ジュードが二人の掛け合いの間に割って入る。
 初対面の仲間にチアクを紹介終えて、妹は漸く兄と向かい合った。
「兄様迎えに来るのが普通でしょ?」
 何っにも解ってない……、と深い溜息とともに頭を振る。心配をかけた自覚のある兄にできるのは「ごめんな」と頭を下げる事だけ。
「何が悪いかちゃんとわかってる?」
 突きつけられた人差し指にたじろぐユリアン。だが不意に妹が視線を外した。
「元気になったのなら、良いけど……」
 独白にも似た妹の言葉。ユリアンは静かに妹の頭に手を乗せた。
「お祭りの衣装も借りてきたよ」
 尤も女の子だけだけどね、とジュードが荷物を抱える。
「わぁあ、果物にお野菜だ!!」
 仲間の一人が持ってきてくれた新鮮な果物と野菜にチアクが目を輝かす。雪に閉ざされるこの地では冬場の野菜や果物は贅沢品である。
「まずは村の現状の確認ですね。どなたか案内お願いできますか?」
 ぐるっと周囲を見渡す一見少女のドワーフの女性の腰には工具入れ。愛らしい外見からは想像できないが腕の立つ職人なのだ。「では私が。村には何度か来てますから」緑髪を揺らしエルフの少年が手を上げた。
 パンパンと手を叩く音。
「ほらほら、皆入り口で固まってないの。積もる話は後で。ユリアン、荷物をまとめて置ける場所はないかしら?」
 沢城に追いたてられ漸く皆移動を開始する。
「荷物はこっちよ」
 先頭を歩くチアクが沢城を振り返った。
「何かしら?」
「おにーさん? おねーさん?」
 沢城の外見はお洒落ですらっとしたお兄さんだ、だが言動が女性らしい。
「どちらでもいいのよ。私をみてどう受け取るかは貴方次第」
 ウィンクにますますチアクは悩んで眉を寄せた――結局沢城は沢城だと思うことにしたらしい。
 そのチアクが後ろをしきりに気にしている。「あぁ、なるほどねぇ」沢城は最後尾を歩く二人を見て納得した。
 さらにユリアンの妹も兄や友人、そして少女の様子を気にしているようである。
 青春ってこんなだったかもねぇ、とか遠い日を思いながら「よそ見して歩くと転んじゃうわよ」とチアクと手を繋ぐ。
「あとでアメノハナに案内してくれる?」
「うん、今年はね沢山蕾があったの!」
 たーくさん、とすぐに別の話に夢中になってしまうところがまだまだ子供らしい。
 皆から少し遅れてユリアンとルナが並んで歩く。暫く無言で歩く二人。
「「あ……のっ」」
 重なる声。譲り合いを経て
「えっと……風邪とか引いていない……かな?」
 鼻の頭を掻いてユリアンが尋ねた。視線は少し先。
「はい、大丈夫です……」
 再び沈黙。
「先日はマフラーありがとうございました。ユリアンさんこそ風邪を引いたりしていません?」
「俺は大丈夫。でもちょっと筋肉痛かな?」
 少しおどけた調子で肩を竦ませるユリアンにルナが小さく笑う。
「来てくれてありがとう」
 皆に向けた言葉を今度はルナ一人に向けて。
「私もアメノハナ見るの楽しみにしてたんです」
 楽しいお祭りにしましょうね、と胸の前で手を合わせるルナにユリアンは頷く。

 長老の家のウッドデッキに広げられた折り畳み式のテーブルの上にはポットや軽食と救急箱。
 皆がまだがやがやとしている間に沢城は鮮やかな手際で「本部」を作り上げた。
「修繕個所のチェックは今やってもらっているから良いとして、祭りの準備は……祭壇に料理に衣装のお直しに……」
 ほかに何かある?、とチアクや以前祭りに参加した仲間に確認しながらリストを作る沢城にジュードが感嘆の声を上げた。
「男どもときたら学校から帰ってそのまま遊びに行っちゃう子供と一緒よねぇ」
「ほんと、駄目だよねー」
 まだ荷解きされていない荷物の山、アメノハナの植木鉢を囲む輪、交互に見やってジュードも同意する。
「雨の花と言うくらいダカラ雨が必要だったりシテ?」
 ウーン、と唸る小隊長。本気で考えているのだろうが腕を組んで大きく首を傾げている姿はどこか芝居っぽい。
「花が咲くころに雪から雨に変わるというからなあ……」
 ジュードの恋人でありユリアンの師匠でもあるエアルドフリスが顎を撫でる。村に着いたらまずチアクに祈りの言葉を確認せんといかんな、と言っていたのは誰だったっけとちょっと呆れたようにジュードは肩を竦めた。
 ジュード達はこの村に来る前移住先に立ち寄り、村人たちから祭りのことなど色々と聞いて来たのだ。その時にエアルドフリスは族長から祭りで捧げる祈りの言葉も聞いている。
 村の古い言葉がそのまま残っている祈りの言葉は独特な抑揚でまるで歌のようだ。祭事に大切なのは想いだよ、と言いつつも道中こそりと練習していたのもジュードは知っている。
 一族の巫女になるべく育ってきたエアルドフリスだからこそ知っているのだろう。祈りの言葉や祭りなど実際に耳に聞こえるもの、目に見えるものが心の拠り所となることも。その大切さも。
「でも一つの事に夢中になっている横顔もス・テ・キ?」
「うわっ……!」
 突然耳元でささやかれてジュードはびくっと肩を揺らしてからニィっと笑う。
「俺のエアさんはいつでもサイコーにカッコイイの」
「……聞くだけ野暮だったわ」
 お手上げ、とでもいいたげな沢城の表情。
 荷物の片づけを終えたルナもアメノハナの輪に加わった。
「冬の寒さと……」
 雪を手に掬う。
「春の陽の暖かさ……」
 次に空を見上げる。眩しい光に目を眇めて。
「やっぱり温度差が関係している……とか?」
 雪に閉ざされる場所ならば春の陽射しは殊更強く感じられそうだとルナは思う。
「そうねぇ。あとこの村とリゼリオって大分気候が違うわよね」
 雪を掌に乗せたままのルナの髪を持参したリボンでまとめながら沢城も会話に加わる。「ほら作業するのに髪がそのままじゃやりにくでしょ」などと他の女性陣も手招きながら。
「日照時間とか気温の変化の影響ってないかしら? 日照時間が多いと葉ばかりが育ってしまうとか……」
 リアルブルーで沢城は女性向け服飾関係の会社を経営していた。花はプレゼントやモチーフとして欠かせない。当然女性との会話の種に、仕事のためにと知識を有している。
 輪の中心にある四鉢のアメノハナ。右の二鉢がリゼリオ育ち、左の二鉢が村育ち。
 あからさまにリゼリオ育ちのほうが緑が濃く葉や茎が立派だ。
「気候だけじゃないのかも……」
 ジュードも鉢植えを覗き込む。
「土地特有のものが関係してるとか……。他の植物や生き物との共生関係ってことない? 例えば土竜が良い感じに土を掻き回して空気を取り込んでくれるとか?」
「そうか、ここの土を使うだけじゃなくってその後も……」
 真面目に検討を始めるユリアンに慌ててジュードは「ま、土竜はいるかわからないけどね」と頭の後ろで手を組んだ。
「とりあえず……」
 エアルドフリスが咥えていたパイプを手に取り紫煙を吐く。
「現状を確認しておこうか」
「アメノハナだけじゃなくって村のもね」
 ジュードが付け加え、それぞれ動き出す。
「水分と栄養の補給は忘れないこと! いいこと、寒いからといって水分摂らなくて良いってことはないのよ」
 皆を送り出した沢城は祭りのために持ってきた道具や食品の整理整頓をさっさと終わらせてしまおうと荷物の山と対峙する。

 ユリアンさん、ドワーフの女性に呼び止められる。
 女性の工具ポーチに引っ掛かっている鍵束は戸や窓を修繕するためにと村人から預かってきたもの。
 そういう点、自分は至らないとユリアンは思う。一つの事に熱中してしまうと他の事に気が回らなくなる。
「一通り村を回って、修繕個所の確認をしてきましたよ」
 ばっちりです、と胸を張る女性。
「ありがとう。助かったよ、俺だけじゃどうやっても直せないところあったし」
「ふふふー。そのための本職ですよ。あ、あとで正式に作業費等の請求書作りますね」
「うん、お願いします」
「ちゃあんとお友達価格にしておきますから、安心してくださいねっ」
 自分は今までも沢山の人の力を借りてきている。返せる当てもないというのに。だからユリアンは彼女が仕事という形で引き受けてくれたことを感謝していた。
「そ・の・か・わ・り……」
 腰に手を当てて覗き込んでくるポーズは愛嬌が一杯。
「今後とも我が工房をご贔屓に、です」
 びっと額に手を当てて敬礼。まとめた髪がちょんと跳ねた。
 皆に指示を出している女性の姿を眺めていてユリアンはある事に気付く。
 今までも何度も村人に「謝礼を」と言われてきた。そのたびに断ってきたが、それが村人の重荷になっている可能性に……。
 そして職人の女性は自分にそれを教えてくれたのではないか、ということに。
「ほんと、俺って駄目だなぁ」
 苦笑を零すユリアンに「私たちは柱の補強ですって」とルナに声をかけられた。
「兄様、重たいものをルナさんに持たせる気なの!」
 妹の鋭い言葉がユリアンを走らせる。
「手伝います」
 追いかけるルナの背を見送るユリアンの妹は微笑ましく見守っていいのか、じれったいと思っていいのか微妙な表情を浮かべていた。

「俺は薬師なのだがね……」
 溜息交じりにエアルドフリスが腰を伸ばす。「あらあら色男も寄る年波には勝てないのかしら?」沢城の野次に「年を経て渋みを増しているということかな」と返した。
 エアルドフリスとジュードは広場の竃の修繕だ。石を組み上げ、土を塗って――同じ姿勢が続く。
「大変だけどこれも皆の大切な思い出の一部だからね。竃さんも綺麗な姿で皆を迎えたいよね」
 ずっと村で使われてきた竈を愛しむように撫でるジュードを見つめるエアルドフリスの双眸は柔らかい。
「なに?」
 視線に気づいたジュードが顔をあげる。
「いやこれが若さかな、とね。それに反して俺ときたら……」
 パイプに火を着けるエアルドフリスは休憩体勢。
「エアさんはいつでも素敵だよ」
 一欠けとも疑わない満面の笑み。
「……それは、ありがとう」
 まったくジュードには敵わないなと作業に戻る。

 沢城はチアクと祭り料理の下拵え。レシピは村人から確認済。
「手際が良いわねぇ」
 羊肉にハーブと調味液を揉みこんでいくチアクの手つきは中々堂に入ったもの。
「皆のお手伝いしてたもの」
「きっと良いお嫁さんになるわよ」
「ホント?!」
 嬉しそうに身を乗り出すチアクを「ひょっとして好きな人いるのかしら?」と揶揄う。
 「内緒にしてね」と耳元で囁かれた名前は予想通り。
「……あの二人ってお付き合いしてるの?」
 ああでもない、こうでもない言いながら柱の補強に手を焼いている二人の姿が見えた。
 小さくとも女の子ねぇ、沢城が思う。
「お祭りのとき目一杯お洒落して驚かせちゃいましょう」
 どちらの味方というわけではない。恋する女の子は可愛いということだ。

 皆揃っての夕食。
 ジュードは美味しいご飯を頂きつつ時々ユリアンを盗み見る。
 時折何かを考えるように黙り込むユリアン。
 会話の輪に入らないわけではない。今も小隊長とエアルドフリスの掛け合いに笑っていた。でも――……
「ごちそうさま。美味しかった」
 小さな音を立ててユリアンは椀を置くと「アメノハナを見てくる」と立ち上がる。
 ユリアンが遠い。互いの間を隔てる膜が一枚あるような。それがもどかしいとジュードは思う。
「あの……」
 ユリアンが出て行ったあとそわそわとルナが何かを言いかけたところで沢城が甘い香りとともに厨房から現れる。
「ふっわふわのパンケーキよ。温かいうちに召し上がれ」
 甘い香りの正体はクリームとドライフルーツのソースで彩られたパンケーキ。
 タイミングを逸したルナはユリアンの妹やチアクと一緒に「美味しい!!」と頬を押えている。
「でしょ、ちょっと自信作なのよ。生地にクリームチーズを使ってね……」
 ひょっとして狙っていたのだろうかとジュードは楽しそうにパンケーキのレシピを披露する沢城へと視線を向けた。
「あら、なに? 見惚れちゃった?」
「だーかーらー俺が見惚れるのはエアさんだけだって」
 さらりと惚気るジュードの横で盛大に噎せ返るエアルドフリス。
「ちょっと煙草を吸ってくるよ」
「子供もいるんだから煙草の臭い取れるまで戻って来ちゃだめよ」
 そそくさと腰を上げたエアルドフリスに沢城が上着を押し付ける。その下に隠した紙袋をジュードは目にした。
 エアルドフリスを送り出した沢城が紙袋に気付いたジュードにこそりと耳打ち。
「女の子の前じゃ男の子は弱音吐けないでしょ」
 きっと紙袋の中はユリアンのためのパンケーキとお茶なのだろう。此処は大人たちに任せよう、とジュードは思った。

 雪を踏みしめエアルドフリスはアメノハナの植木鉢のもとへ。
 二鉢ずつあるリゼリオ産、村産は、一鉢ずつミネラルウォーター、村の水を使って育てられている
 場所は、基本に立ち返り群生地に近い厳しい環境に置いてみようとエアルドフリスの提案で風除けの建物などがない吹き曝しを選んだ。
 そこにユリアンの姿。
「風邪を引いたら元も子もないと思うが……」
「流石に今度は……」
 苦笑を浮かべるユリアンに沢城からの紙袋を渡し植木鉢の近くに片膝をつく。
「自信作だから残したら承知しないそうだぞ」
 紙袋をごそごそと開けるユリアンにエアルドフリスが沢城からの伝言を伝えた。パンケーキはサンドイッチ状になっており手で食べれるようになっている。
「師匠……」
「なんだね?」
 沈黙の後「……俺」と小さな声が降って来た。
「代わりにしてるかのな……」
 何の、とは聞かずともわかる。
「それは本人にしかわからんよ」
 突き放したかのような言葉を吐いてから「だが……」とゆるりと昇っていく紫煙の先を見つめた。
「それが代償行為だろうが、純粋に困っている村人のためだろうが……一度決めたならとことんやってみるといい」
 ユリアンの中で葛藤、悩み――様々な感情が波打ち、渦巻き出口を求めているのだろう。
 乗り越えるにしても、逃げるにしても決着は自分でしかつけられない。
 今ユリアンは村の行く末を見届けるために此処に立っている。それは彼が決めたことだ。
 ならばエアルドフリスは――「アメノハナ開花が己が使命だ」と決めていた。
 技術や知識、若者の足りないものを埋めるのが年長者たる者の役目だろう。
 「でも……」そう言ったきり黙り込んでしまったユリアンにエアルドフリスは話しかける。
「雪は布団らしい……」
 雪かきしている時にチアクから聞いた言葉。冬の間眠る村に掛けられる。「だからお寝坊さんの布団をはぎ取るのよ」と腰を入れて雪かきする姿は頼もしかったと、笑う。
「雪を被せてみるか……」
 群生地のアメノハナもまだ雪に覆われている。ならば――。
「大丈夫かな。重さとか……冷さとか」
「厳しい冬を耐えた人々へ祝福のように咲く花だ。ならば村人共にともに乗り越えるさ厳しさも」
 心配そうなユリアンを促して植木鉢に雪を掛けた。
 翌朝、ユリアンとエアルドフリスは植木鉢の様子を見に行く。
 この地で育ったアメノハナは当然問題なく、リゼリオ産も雪の重みで茎が倒れていたが折れているわけではない。
「強い花だね、アメノハナは……」
 ユリアンは目を細めた。

 朝もやの中、雪を踏む音は三つ。
 ルナ、チアクとユリアンの妹。昨日のパンケーキは美味しかった、などと他愛のない話をしながら朝の散歩。
 楽し気な声に混じって聞こえる雪の音を拾おうとルナは耳を傾ける。
 足の下、雪が砕ける音。もう一歩、もう一歩。
 リズミカルなユリアンの妹、軽く跳ねるチアク。
 どれも雪を踏む音、だけど一つとして同じ音はしない。
 時折枝から溶けかけの雪が落ちる音や、小動物の気配が伝わってくる。
 ちょろちょろと聞こえる水の流れる音は、雪解けの音だろうか。
 なんだかとても体を動かしたくなってくる。
 いい場所だとルナは思う。
 冬の終わり、春の始め。音は微かだがしっかりとこの地に根付いて。重なって調和している。
 村もそうだ。
 打ち捨てられた村で聞こえる荒んだ風の音はしない。
 村を囲う木々や雪が織りなす音が静かに流れて、人が訪れるのを待つ。此処で暮らしていた人々の奏でる音が想像できる優しい静けさ。
「ルナさん?」
 呼ぶ声にはっと我に返る。
 数歩先でチアクたちがこちらを見ていた。
「春の音が聞こえるなって……」
 ルナの言葉に二人も耳を澄ませる。
「この村のこと……好き?」
 チアクがルナの服を引っ張る。
「うん。音がどれも優しくて……」
 胸の上に手を置くルナを見つめていたチアクが真剣な顔で切り出した。。
「一つお願いがあるの」
「何かな?」
「ルナは楽器がとても得意だってユリアンが。だからお祭りの曲弾いてください」
 少女の眼差しにルナは大きく頷く。
「喜んで。でも曲をよく知らないから教えてくれる?」
「ありがとう!! うん、一杯、一杯歌うから聞いてね」
 楽器弾けないから、という少女に「楽しみにしてる」と。「それとね」チアクが続けた。
「ユリアンのこと好き?」
 一拍遅れで質問の意味を理解したルナは息を飲む。
「えっと……」
 咄嗟にユリアンの妹を探す。「滑り台になりそう」と積み上げられた雪山をぺちぺちと形を整えていた。気を利かせてくれているのかもしれない。
 ユリアンさん――浮かぶのは心の中がぽっと温かくなるような笑顔。それが最近寂しそうで、胸の奥が痛い。
 この気持ちをどう呼べばいいのかルナにはまだわからない。
「私は――」
 ルナは歌う事が怖かった。自分の歌は人を不幸にしてしまう――そんな思いに囚われていたから。
 そんなルナに再び歌うことを思い出させてくれたユリアン。「信じている」彼が心の底からルナに伝えてくれた音はいまでも心の中で響いている。
 だから今度は自分がユリアンのことを信じたい。彼がくれた約束もなにもかも――……。
「支えたい……かな。 ユリアンさんを……」
「それはずっと一緒に……ひやっ!!」
 いきなりチアクが飛び跳ねた。
「早く温まりに帰りましょう」
 そう言ってユリアンの妹は雪遊びで赤くなった手を見せた。その手でチアクの首に触れたらしい。
「仕返しっ!」
 チアクが雪を投げる。
「二人ともそろそろ朝ご飯の準備を手伝いに……ふぁっ?!」
 止めようとしていたルナも巻き込まれ、いつの間にか「ご飯だヨ〜」と呼びに来た小隊長も参加していた。
「言い訳があるなら聞こうか?」
 心配して様子を見に来たエアルドフリスが雪塗れの四人に呆れた視線を向ける。
 申し訳なさそうにする三人に対し一人だけ満足気な笑みを浮かべていたのはいうまでもない。

 それから数日後、村の修繕はあらかた終わり廃材の片づけをしている時の事。
「ユリアンさんはさ……っと」
 まとめた廃材を足で押さえるジュードは中々男らしい。
「俺――?」
 廃材を切りそろえていたユリアンが鋸を引く手を止める。
「エアさんに似てきた気する」
「師匠に?」
 力こぶを作るユリアンに「ちがう」とすかさずツッコミ。
「最近エアさんの良くないところも似てきた気がする!」
「女たらしなところ?」
 茶々を入れる沢城。嫌な予感にエアルドフリスは気配を消した。
「そこは今は置いとく」
 よかったと、内心胸を撫でおろすエアルドフリス。そんな薬師に「ほっとするくらいなら普段の行い改めればいいのに」なんて視線を沢城が向けている。
「一人で抱えて自分を痛めつけるような無茶をするところ」
 口調は強くない。だがまっすぐな眼差しは強い。
 ジュードの指摘は多分皆気付いている。でも口にしないのはユリアンに気付いて欲しいからだろう。立ち止まることを、助けを求めることを、誰かと重荷を分け合うことを。仲間が周囲にいることを。
 それはわかる。きっとユリアンみたいなタイプは言われただけでは実感できない。結構頑固なのだ。
 でも言わないと切っ掛けを掴むだけで人一倍時間かかってしまうだろう。だから敢えてジュードはちゃんと言葉にして伝えた。
 多分それは同世代の友人である自分にしかできないことだと思ったから。
「お願いできるところは誰かに頼ってしまうのも自分で自分のことをするうちだと俺は思うわけ」
 不思議そうに首を傾げるユリアンに「力を貸したいって思う仲間がいるってのはその人がそれまでにそんな関係を築いてきたってことだからね」と少し胸を張ってみせる。
 商売もそう。苦境のときにこそ今まで築いてきた信頼関係がものを言う。
「俺たちもできないことはできないって遠慮なく言うから、そこは信用してよ」
 ユリアンが変に気を使わないように念を押すことも忘れない。
「ユリアンさん」
「ユリアーン」
 「お茶にしましょう」ルナとチアク。声を掛けるタイミングを見計らっていたらしい。自分たちもいるんだけど、そう思っても声には出さない大人な三人だ。
「ありがとう、今行くよ」
 笑顔を向けるユリアンに「女の子に対してもね」とジュードは先程脇に置いた話題を再び持ってきた。
「自覚がない分、俺より質が悪いようにも思えるのだが……」
 うっかり零したエアルドフリスの声をジュードが拾わないわけがない。
「エアさん? あのね女の子に優しい事はいいと思うんだけど、思わせぶりだったり、口説いているかのような気障な台詞とかはどうかと……」
「あ……いや別に俺も本気で口説こうとか……。挨拶みたいな……」
「挨拶?」
「何をしてるの?」
 問うチアクに「犬も食わないってやつよ」沢城が教えてやる。二人を置いてお茶の時間だ。

 祭の開始は夕刻。
 祭壇の前に村の民族衣装をまとったジュードが弓を手に歩み出た。
 アメノハナの群生地に向けて一礼し弓を構える。
 木々の合間から注ぐ淡い金色に照らされる凛とした姿。
 「物語に出てくる巫女様みたい」とチアクがそっとユリアンの妹に耳打ちをした。
 矢はつがえずにキリキリと弦を引く。張り詰める澄んだ空気。
 この村での出来事、出会った人々――一つ一つ思い出しながら。
 また皆が祖霊花とともに春を迎えることができますように――心を込めて。
 放つ。

 ビィイ……ン……

 静寂に広がる音の波紋。
 余韻が消えたところで広場の中心に組まれた櫓に火が灯る。
 祭壇にエアルドフリスが立つ。
 両肩にはチアクが村人から託された刺繍を施された布。村人たちが想いを込めて一刺し一刺し入れた刺繍は、アメノハナを中心にそれぞれの家を表すものだ。
 その想いの重さを感じながらエアルドフリスは祈りを捧げる。
 長老が教えてくれた言葉が浮かぶ。
 祈りは生命の生まれる春、力強く育つ夏、実りをもたらす秋、そして休息し思索する冬――自身を巡る自然の輪に感謝でもある、と。
 チアクの祖母のように堂に入ったものではないだろう。
 それでも一語、一語に込められた想いを疎かにはせん、と発せられる祈りの言葉は力強く厳かに流れていく。
 エアルドフリスの額に浮かぶ汗。
 最後の一音、一呼吸おいて皆を見渡した。
「さあ、宴の始まりだ。賑やかに新しい季節を迎えよう――」
「春にカンパーイ!」
 空に向かって掲げられる杯。
 ルナとユリアンの妹が楽器を奏でる。かつての祭りで奏でられていた曲を。
 曲に合わせて早速踊り始める者も。
「料理もじゃんじゃん来るわよ。沢山食べてね。女子、今日ばかりはダイエットはなしよ?」
 沢城が大皿を両手に乗せてやってくる。
 村人から教わった料理の他に沢城オリジナルのサラダなども並ぶ。
「ルールー歌ってヨー」
 はしゃいだ陽気な声。既に酔っぱらっているかのような。だが彼は常にそのテンションなのだ。
 いつもならばはしゃぎすぎる彼を止めるのがエアルドフリスの役目、だが今日は祭りだ。
「よし、今夜は何曲でも唄うぞ」
「やった、俺エアさんの歌声大好き!」
 応えるように楽器が音を跳ねさせ、手拍子が始まる。
 広場の隅、竃の近くにはテーブルもセットされ即席の厨房となっていた。
「ユリアン、鍋の番は私がしておくから祭りを楽しんでらっしゃいな」
 かつて祭りで食べた料理を作ろうと鍋の前にずっと立っているユリアンに沢城が声をかける。
「あの時の味を皆に食べてもらいたくて。俺が皆にできることといったら――」
 沢城がぐいっとユリアンの額を押す。
「料理は食べてくれる人の笑顔を浮かべることがまず大事なの。寂しそうな顔じゃしょっぱくなっちゃうわよ」
 軽やかに浮かべられる笑顔。
「じゃあ私は料理を持っていくわね」
 竈から取り出した野菜と羊肉を手早く切り分け盛り付け沢城は祭り会場へと戻っていく。
「は〜い、羊と野菜の蒸焼きちょっぴり泣きべそ風よ」
「ユーリ君、泣イテいたのカナ?」
「泣いてないから!」
 離れた場所からのユリアンのツッコミに誰かの笑い声。
「ユリアンさん、何かお手伝いすることありますか?」
 ルナが顔をみせる。
「ん、あとは竃に任せておけば……。そうだ少しだけ時間貰ってもいいかな? ルナさんに見せたいものがあるんだ」
 ユリアンとルナは二人そっと広場を抜け出す。
「ユリアンとルナ?」
 気にするチアクに「お嬢さん、一曲いかがかな?」とダンスを申し込むエアルドフリス。

 ユリアンに連れられ向かった先はアメノハナの群生地だった。
 群生地の脇には鉢植えもある。「お祭りなのに離れているの可哀そう」とチアクが主張したためだ。
「遅くなってごめん」
 群生地を背にユリアンがルナを振り返る。
「これがアメノハナだよ」
 ユリアンの背後カンテラの灯に浮かぶアメノハナ。優しい春の陽射しの花。
「本当はもっと早く紹介したかったんだけど」
「そうですよ。もっと早く教えてくれないとです」
 ルナはわざと怒ったように下からユリアンを見上げる。でも嬉しかった。ユリアンが護った花を彼自身から教えて貰って。
「この花が唯一護れたものなんだ……」
 ユリアンが花に手を伸ばす。小さな橙の花が指先に触れて揺れた。「まあ、俺一人の力じゃないけどね」少し情けない笑みを浮かべるユリアンにルナは首を振る。
「ユリアンさんが助けたいって動いたから……」
 ユリアンが声を上げなければきっとこの花は守れなかったはず。
「ありがとう……」
 遠くからエアルドフリスの歌が聞こえてくる。朗々とした声が夜を焦がす焚火にとても似合う。
「ルナさん……」
「はい」
「春の足音は聞こえた?」
「ちょっとむずむずとしたくすぐったくなるような音でした」
「聞かせてやってくれないかな」
 アメノハナが咲くように。春がやって来るよ、と――ユリアンが未だ蕾をつける気配のない鉢植えに手をやる。
 その横顔はまだ寂しそうに見えた。
「あ……演奏で良いよ?」
 沈黙を歌うことへの躊躇いと勘違いしたユリアンが慌てて付け足す。
「音楽を聞かせることで成長が促進されるという話も聞いたことがあります」
 リュートを一つ、二つ弾く。雪が足の下で崩れる音を、そして雪解けの水の流れる音を心に呼び起す。
 花には栄養が必要。そして人にも――。
 ルナの指が音を弾いて広げていく。自分が感じたこの村の春を。チアクに教えて貰った祭りの曲に合わせて。

 届きますように――この音が、私の心が。

 願いを込めて弦を弾く。心を満たしますように。そして奏でる音楽が少しでも彼の傷を癒しますように。
 一音、一音に込められる祈りにも似た想い。
「いつか――」
 ルナの曲に耳を傾けるユリアンが言葉を紡ぐ。
「チアクたちが暮らす場所でも咲かせられるかな?」
 彼が未来のことを語ってくれることが嬉しかった。
「どんな色になるだろう……」
「皆で予想するのはどうでしょう? 当たった人には何かプレゼントを」
 ルナの提案にユリアンが笑みを零す。「楽しそうだ」と。
「……うん、その為にも――」
 まずは花を咲かせないと。ユリアンに頷くようルナは曲を奏でた。

 焚火の勢いは愈々強く。小さな祭りはでも賑やかに進行していく。
「ルナさん、ルナさん。ワインはいかが? とっても美味しいユリアンさんの故郷のワイン!!」
 礼儀正しい少年の砕けた陽気な口調。上気した頬は酔いの証。
「……じゃあ一口」
 逡巡ののち、手を伸ばしたルナに彼女の酒の弱さを知っているユリアンの妹が「止めてください」と慌てる。
「はい、貴方達にはこっち」
 沢城がエルフの少年とルナの二人からカップを奪うと新しいものを渡す。
「そのワインを使ったホットワイン。体温まっていいわよ。それと果物を閉じ込めたワインゼリーもあるから」
 一口飲んで息を吐く二人に「美味しいでしょ」と得意そうにウィンクを送る。
「ユーリ君も楽しンデいるかナ?」
 小隊長がユリアンの隣に並ぶ。
「勿論。村全体も賑やかになって」
 広場だけではない家や村のあちこちに飾りが靡いている。小隊長の仕業だ。
「後で片付けるのが大変だろうっテ、ルールーに怒られちゃったヨ」
「後片付けまでがお祭りだからね」
「ユーリ君まで! まァ、それを含めてお祭りハ楽しいヨネー」
「本当にいい祭りになったなぁ……」
 ユリアンは少し眩しそうにその光景を眺める。
「チョットはすっきりしたカナ?」
「……」
 落ち着いた声にユリアンは照れたように俯く。余計な手出しはしない、でも振り返れば笑っていてくれるそんな安心感がある人だった。
 こうして振り返ればそこにいてくれる人たちがいるから自分は悩み、苦しんでも此処に戻ってこれたのだろう。
「ユリアン、踊りましょう」
 差し伸べられたチアクの手を取り、焚火の前へ。
「ユリアン、何か言う事はない?」
「?」
「私を見て気付かない?」
 いつも編まれている髪はアメノハナを模したであろう造花の髪飾りで彩られ背中で揺れている。口元には淡い紅色。
 だがユリアンが気付いたのは互いの視線の高さ。
「大きくなったな……」
 しみじみとした言葉にチアクをドレスアップした沢城とユリアンの妹ががくりと項垂れる。
 だがユリアンはそんな二人の様子に気付くこともなく出会ってからの時間に思いを馳せた。
 本当に大きくなった。以前一緒に踊ったときはもっと屈まなくてはならなかったのに。
 だというのに今まで気付かなかった。自分のことで精一杯で。
「気付かなくてごめん」
「先生に女心も教わるといいと思う」
 頬がぷくっと膨れている。さらに「――も大変……」と零された溜息。
「えっと、どうしたのかな?」
「どうもしない」
 ふいっと横を向いたチアクは
「ルナも一緒に踊ろう」
 演奏をしていたルナを誘う。「いってらっしゃい」友人に背を押されたルナが加わり三人の輪ができた。

「……と言われいるけど、エア先生?」
「さっすが百戦錬磨。小さな女の子にも見抜かれちゃうのね」
 ジュードと沢城に代わる代わる謂れたエアルドフリスは「皆も一緒に踊ろーヨ! 同じ阿呆ナラ、レッツダンシンダヨー」謎の言葉を発する我らが小隊長に従うことにした。
 エアルドフリスが歌い始める。
 加わる演奏。
 騒いだり踊ったり。好き勝手に祭りを過ごす。皆笑顔でワイワイと。

 翌朝、重たい頭を目覚めさせようと外の井戸で顔を洗うユリアンの元にルナが走って来る。
「ユリアンさん、ユリアンさん……!!」
 こっち、こっちと思わぬ力で引っ張られて向かったのはアメノハナの群生地。
 見てください、とルナが指さした植木鉢。
「え……っ!」
 ユリアンは驚きで目を瞠った。村産のものだけでなくリゼリオ産にも蕾がついている。
 信じられないという面持ちでユリアンは植木鉢を覗く。
 確かに蕾がある。まだ小さく花の色もわからない。だが――……。
 風に舞う雪が輝く。
 小さな蕾の誕生を、新しい春の訪れを喜ぶようにキラキラと。
 風とともに踊り空へと還っていく。

「皆に伝えに行きましょう」
 再びルナに手を引かれて走り出す。
 駆けるユリアンの頬を叩く風。

 風よ ―― 

 ユリアンは呼びかけた。
 春の訪れを告げる風に。

 そう風は確かにユリアンの心の内を吹き抜けていったのだ。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ユリアン(ka1664)
ジュード・エアハート(ka0410)
ルナ・レンフィールド(ka1565)
エアルドフリス(ka1856)
沢城 葵(ka3114)

チアク(NPC・村の少女)

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ご依頼ありがとうございます、桐崎です。

アメノハナの開花条件見事に当てられました。
あとは何色の花が咲くか……!
……というわけで春を迎える村での数日間のお話いかがでしたでしょうか?
1と2合わせてお読みいただければ幸いです。
2つのお話の登場人物の立ち位置など矛盾点などはこう薄目で見て頂けたら何よりです。

気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
それでは失礼させて頂きます(礼)。
■WTアナザーストーリーノベル(特別編)■ -
桐崎ふみお クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2017年06月16日

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