ハロウィン 夏イベント「朱夏の奏」 ザッシィピックアップ

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『スイーツデートと秘密の森 』
大門寺 杏奈aa4314)&宮津 茉理aa5020


●本日デート日和
 雪の妖精と氷の妖精が舞い降りたのは、シャンゴリラ。庶民が集う理想郷だ。手を繋ぎ、冷蔵庫のような店内を滑るように進んでいく。
「茉理ちゃん♪ 今回も楽しもうね」
「ずっと、楽しみにしてたんだから、当然……♪」
 日差しがじりじり照り付ける今日は絶好のデート日和。涼しい店内でスイーツを食べ歩くのだ。大門寺 杏奈(aa4314)は宮津 茉理(aa5020)の手を引き、あてもなくレストラン街の散策を始める。スイーツを何より愛する杏奈だが、今日は狩人という気分ではない。茉理となら、冷気漂う楽園で迷子になることすらきっと楽しいはずだ。
「あ……ここはどう?」
 茉理が目を止めたのは、ショーウィンドウ内に凛々しく立つ背の高いパフェ。高身長の訳は、縦に長いグラスとてっぺんに載ったソフトクリームだ。
「わ……♪」
 茉理の目が宝石のようにきらきら輝く。その表情が可愛らしくて杏奈は彼女の頭を撫でた。茉理は子供みたいな反応をしてしまったかと顔を赤くした。
「最初のお店はここに決定だね」
「いい、の……?」
「うん、わたしも気になるし。……それにね」
 杏奈は茉理の耳元に顔を寄せる。
「茉理ちゃんが笑顔だと、わたしも嬉しいんだから♪」
「もう……先輩ってずるい」
 拗ねたように呟く茉理に微笑みを返し、杏奈は彼女の手を引く。茉理は天使の微笑みに絆されて、結局笑みを浮かべてしまうのだった。
「お待たせいたしました!」
 杏奈の目の前に置かれたのは、チョコレートパフェだ。チョコ味のソフトクリームはビターとミルクのマーブル。トッピングはハート形のホワイト&ミルクチョコと爽やかな酸味のラズベリー。チョコレートソースがたっぷりとかけられた、チョコ尽くしの一品だ。
「先輩のも美味しそうだね。味はどう?」
「チョコの味が濃くて美味しいな♪ ソフトクリームも最高……!」
 ご機嫌な杏奈は茉理にも一口すすめる。
「ん、ありがと」
 こだわりのチョコアイスを頂いて、茉理も至福の表情を浮かべた。
「私のも、食べる?」
「勿論いただきます♪」
 茉理が選んだのは、キャラメルパフェ。香ばしいローストアーモンドに絶妙な甘さのキャラメルソースをかけたパフェだ。食べ進めれば、ソフトクリームの下にキャラメルプリンとカラメルソースが待っている。サクサクのコーンフレークも忘れてはいけない。
「このソース、バニラソフトと相性ぴったり……♪ 先輩、プリンと一緒にどうぞ?」
「ありがとう。さすが茉理ちゃん♪」
「先輩のこと……スイーツに関しては、お見通しかも?」
 華やかな笑い声がふたりの間で踊る。パフェへの惜しみない称賛と、心を許した相手とのおしゃべり。かけがえのない時間にふたりは感謝していた。



「とても美味しかったです。また来ますね」
「ありがとうございます! 当店のパフェはどれもおすすめですよ!」
 杏奈の賛辞を受け取り、店員の少女も最高の笑顔を返してくれた。杏奈は少しだけ声をひそめて、店員に聞いてみた。
「ふたりでスイーツ巡りをしてるんです。店員さんのオススメのお店ってありますか?」
 店員はくすりと笑い、店の場所を教えてくれた。
「『ragazza bianca(レガッザ ビアンカ)』」
 茉理がメモを読み上げる。日本語にすると『白いお嬢さん』といったところか。それが次の目的地の名前らしい。レストラン街からは外れた位置にあるという。
「ゼリーを使ったケーキが新発売なんだって」
「それは楽しみ、だね」
「喫茶もあるけど、テイクアウトもできるみたい。お店が混んでたらフードコートで食べるのもいいかもね」
「帰りは……お土産、買って帰る?」
「ナイスアイディアだよ、茉理ちゃん……!」
 杏奈が無邪気に笑う。
「先輩、もうスイーツを食べてるみたいな笑顔。……可愛い」
 誰にも聞こえないかと思われた声を、杏奈の耳だけは拾っていた。
「……茉理ちゃんたら……耳熱いよ」
「だって本当のことだから。……さっきの、店の前でのお返し」
「あれは、茉理ちゃんの反応が可愛かったから……。あ」
 赤面しながらくすくすと笑い合う少女たちに、道行く者たちが見惚れていた。

●秘密の逢瀬
「ここを真っ直ぐ行って……あれ、ここは……?」
 急に立ち止まった杏奈。茉理は顔を覗き込む。
「ん、どうしたの……?」
 杏奈が指差したのは、狭い休憩スペース。建物の外れにあるため、人通りはほとんどない。『ragazza bianca』ができる前は賑わっていたのかもしれない。
「こんなところあったんだ。外からは何も見えないみたいだし……ここなら、大丈夫だね」
「だ、大丈夫って…もしかしたら、誰か、来るかも……」
「駄目、かな?」
 杏奈は上目遣いで尋ねる。
「……いいけど」
 豊かに葉を茂らせた観葉植物と、木製のついたて。少女たちは小さな人工の森で、ひそかな逢瀬を楽しむことにした。喫茶スペースはまたの機会にして、テイクアウトをお願いする。
「うん、涼しげで良い感じ……」
 杏奈の心を惹きつけたのはたっぷりの桃をドーム状のゼリーで閉じ込めたタルト。
「こっちも……すごく綺麗」
 茉理が選んだのは、一番人気だというレアチーズケーキ。紫色が美しいブルーベリーゼリーの層が上に重ねられ、ちょこんと生クリームが絞られている。
「はい、あーん」
 茉理がフォークを差し出すと、杏奈は嬉しそうに一口たべる。
(あ……)
 口にケーキを運んであげたはずが、少し狙いが外れてしまった。クリームを口の端に着けたまま、頭の上に「?」を浮かべる杏奈。彼女の鼻腔を甘い香りがくすぐる。
(これはケーキ?)
 ――違う、茉理のシャンプーの香りだ。
「ん……」
 ひんやりとした感触に目を見開く杏奈。頬がみるみるうちに桜色に染まった。
「口の横に……クリーム、つけちゃって……」
 茉理も杏奈の反応に気づき、慌てて謝る。
「あ、ごめん……」
「違う……!」
 杏奈は自分のケーキをテーブルに置くと、ふわりと茉理を抱きしめた。
「ケーキ、落としちゃう……!」
「ふふ、落とさないようにね。わたしはしばらく茉理ちゃんへの『お返し』を続けるから」
 杏奈はいたずらっぽい口調で、先ほどの茉理のセリフを繰り返す。真似された気恥ずかしさ、杏奈からの突然のハグ、それから、自分がしたキス未満の行為。茉理の頭をかつてないほど様々な感情が埋め尽くす。
「そんな困った顔しないで。……わたし、嬉しかったんだよ」
 杏奈はゆるい抱擁を解くと、茉理の目を見つめる。
「本当?」
「本当」
 その言葉がゆっくりと茉理の中へ染み渡る。
「……大好きだよ、茉理ちゃん」
「ん、私も。……私も……大好き」
 どちらからともなく、こつんと額を合わせる。ささやき合うような笑い声が漏れ、やがてふと止まって、甘い甘い沈黙が落ちた。
 誰も知らない、幸せを分け合うためのキス。だってここはふたりだけの秘密の場所。



「ん、こんな時間。そろそろ行こうか」
「わ……もう時間、なんだ……」
 向かい合わせに繋いでいた手をほどき、横並びになって指を絡め合う。
「今日も楽しかったよ♪ これからも美味しいスイーツをいっぱい食べようね」
「もちろん……♪ その時には、またここに、来たいな……」
 冷たい空気をまとって自動ドアを抜ける。空の色はラズベリーソースとブルーベリーソースのマーブル模様。大好きで、幸せで。でも、だからこそいくら触れても足りない。きゅんと胸が締め付けられて、驚くくらい切ない。甘酸っぱい果実のような気持ちを共有しながら、ふたりはゆっくりと歩いていった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【大門寺 杏奈(aa4314)/女性/16歳/分かち合う幸せ】
【宮津 茉理(aa5020)/女性/17歳/分かち合う幸せ】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております。高庭ぺん銀です。
スイーツデート第二弾ということで、関係が変化したおふたりを書かせて頂きました。茉理さんのお家で同居を始められたとのことで、おめでとうございます。新生活が楽しいものとなるよう願っています!
作品内に不備などありましたらご遠慮なくリテイクをお願い致します。それではまたお会いしましょう。
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2017年07月10日

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