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『過去から今へ 』
杏子aa4344

 『伏見 菊男(NPC)』が昔話を終えると、『杏子(aa4344)』は問いかける。
 それは長いようで短い昔話、それこそこの国で八百万の神が崇められていた時代。
 杏子からすればそれは単なるおとぎ話。だから結局菊男が何を話したいのかさっぱり分からなかった。
「それで、その話と今回の件、何の関係があるんだい?」 
 菊男はその問いかけに答えるために、さらに言葉を重ねる。
「まぁ、そうせかすな、先を急ぎたがるのはお前の悪い癖だぞ」
 すると菊男は居住まいを正して、再び口を開く。

 神は、その白い髪の少女をたいそう気に入り、村に娘を要求することはなくなった。
 その結果平穏な日々が続き、同時に村も加速度的に栄えていくことになる。やがて村の人間達も神の暴虐を忘れていき、ただただ敬う心だけが残った。
 そんな時である。
 村でたびたび髪の白い少女が見受けられるようになったのである。
 その少女はまるで幽霊のように、いたと思ったらいない。いないと思ったらいる。
 そんな具合にあちらこちらに姿を現した。
 それがいわゆる、神と少女の間になされた子だった。
 その子は明らかに人とはちがう力を持っていたという。それが何か、具体的なことは記されていないが。
 その瞳を見た者はそこに、人とは思えない力強さを感じたそうだ。
「それが、うちのご先祖様ってわけかい?」
 杏子が問いかけると菊男は首を縦に振った。
「ご先祖様は神の娘であると同時に、その神によって土地の護りを任された守護神」
 その結果、神の権化とも言える薙刀を授けられ、この地に降り立ったという。
「その話信じてるのかい?」
 杏子が半笑いでそう問いかけると、菊男も同じく笑みを浮かべていった。
「この時代にそんな昔話信じてはいないただすべてが嘘でもないとは思っている。だがこれが本当であれば我々は神の血を引いていることになるが。そうであればもっとはっきりとした力を授かりたかったものだな」
「ああ、まったくだね、こちとら普通の人間だ……で、もしや、盗まれたのが……」
「そう、その時神から授けられたという薙刀だ。あれは家宝、他人の手にあること自体が許されない、早急に取り戻したいところだが」
「手がかりはないわけだね」
 二人はテーブルを挟んで、うーんと首をひねる始末。
 盗まれたそれがどれだけ重要かは理解したのだが、いかんせん犯人を追うには情報が不足していた。
 その時である。
 杏子の携帯電話が震えた。ディスプレイを見てみるとそこには『西大寺 遙華(az0026)』の文字。
「おや、どうしたんだい?」
 そう電話に出ながら杏子は立ち上がり、菊男を一瞥すると廊下に出た。
「あ、杏子。実はね、その薙刀の窃盗犯見つかったみたいよ」
「本当かい? 意外とあっさりしたもんだったね」
「ただ、そう状況も簡単ではないの、悪いんだけど今からH.O.P.E.に来られるかしら」
「ああ、わかったよ。少し時間はかかると思うが、すぐに向かおう」
 そう告げると杏子は電話を切り、再び部屋に戻った、菊男は話が聞えていたのだろう、身を乗り出して問いかけた。
「見つかったのか?」
「ああ、ただ、厄介事は続くみたいだね。ちょっとH.O.P.E.まで出向いてくるよ、詳しいことが分かり次第連絡する」
 そうそそくさと荷物をまとめて退出する杏子。 
 その後ろ姿を見送って菊男は深くため息をついた。
 足音が遠ざかっていく、それと代わりに小さな足音がトントントンと廊下を走って行った。
 何事かと思い姿勢を正すと、菊男の孫だった。
「おお、どうした」
 そう部屋に迎え入れようとする菊男。しかしその孫はあわてた表情で菊男に告げるのだった。
 髪の白い、小さな女の子それが家の外へ行くのを見たと。
「見間違いではないか?」
 そう孫に告げつつも菊男はその考えを振り払うことができない。
「昔話の……いや、まさかな」 
 菊男はそうつぶやき瞳を閉じる。
 
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『杏子(aa4344)』
『伏見 菊男(NPC)』
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海でございます。
 この熱い夏いかがお過ごしでしょうか。
 そんな夏にこの神様話はぴったりだなぁと思いながら書かせていただいたのですが、気に行っていただけたら幸いです。
 また今後の展開も気になるところです。
 第二英雄さんがどんな形で関わってくるのかも。
 それではまたお会いしましょう、鳴海でした。ありがとうございました。
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2017年07月18日

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