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『月がとても、綺麗ですね。 』
Arcard Flawlessaa1024)&アデノフォーラ・クレセントaa0014

 ウエディングは夢のように甘いひと時だった。『アデノフォーラ・クレセント(aa0014)』は硫黄の香り漂う温泉街、その中央の橋の上にて愛しの旦那様を待っていた。
 アデノフォーラは溜息をつく。あの時の光景を思い出すといつでも幸せな気分になれる。そっと結婚指輪に指を滑らせたアデノフォーラ。
 えへへと小さく微笑むと橋の手すりに頭を乗せてニコニコと旦那様の訪れを待った。
 そんなアデノフォーラは旦那様が来る方角を間違えたらしい。気が付けば背後に気配。ゆっくり振り返ると。そこには『Arcard Flawless(aa1024)』が立っていた。
「わ、Arcardさん」
「どうしたんだい? そんなに楽しそうな顔をして」
「あ、いえ」
 そう頬を覆うアデノフォーラ。
 別に話したっていいのだがきっとそれは長くなるので、今晩のお楽しみにしておこう。
 そう思いつつアデノフォーラがArcardに視線を向けると。
「あ、その服」
 Arcardは普段とはまた違う服装をしていた。切り込みが入り肩が露出しているデザインとパンツルック。女性的でもあり男性的でもある。かっこよさとセクシーさを両立したデザインであった。それを見事に着こなすArcardにため息が漏れる。
「ど、どうかな」
 頬をかいてそっぽを向くArcard。
「とってもカッコいいです!」
「アデノが見繕ってくれたおかげだよ」
 そうまんざらでもない笑みを浮かべてArcardは告げるとさっそくアデノフォーラの手をとった。
「さぁ、行こうか」
 こうして新婚旅行が始まることになる。
 二人はまず歓楽街を歩いた。お土産屋さんから、祭りなどでしか見かけないような出店も立っている。
 すでに時は夕暮れで、橙色の提灯がいくつも灯るのが美しかった。
 それが河の水に反射して思いのほか明るい。
 そんな幻惑的な風景を並んで歩くと、二人の手の結びつきも強くなるというものだ。
 そんな歓楽街でお土産を買ったり、射的をしたりしていると、アデノフォーラがArcardの袖を引いた。
「どうしたの?」
 少し戸惑い気味に言葉を返すArcard。そんな彼女にアデノフォーラは告げる。
「あの、屈んでください」
「なにかついてる?」
 アデノフォーラの指示に従って膝を折るArcard、そんな彼女の頭をアデノフォーラは撫でた。
 首をひねるArcard。
「いえ、なんだか可愛らしく思えて。今もほら、笑ってますよ」
 そうアデノフォーラはやんわりとした力でArcardのほっぺたを引っ張った。
 確かに二人で町を歩けば歩くほどに、Arcardの表情は明るくなったのだった。
 まるで初めての体験を繰り返す子猫のように真ん丸な瞳で周囲を見渡すArcardはとても楽しそうだった。
「けれどそれは、君を見てるからだよ?」
 同じくアデノフォーラのほっぺたを伸ばしてみるArcard。
 すると二人は吹きだしたように笑って今度は坂を上り始めた。
 宿泊先は喧騒から少し離れた山の奥にとってある。
 源泉かけ流しの家族湯があるタイプの宿だ。一応二人とも性別が女なので、一緒のお風呂には入れるのだが、それでも二人っきりがいいと言うのでここにした。
 宿につけば荷物はすでに置いてあって、ご飯が運ばれてくるまでに何をしようかという話になるのだが。
 やっぱりそこは2人そろって入浴だろう。
「どうしたの? アデノ」
 そう浴衣一式を抱えて部屋を出ようとするArcardだったが、アデノフォーラが顔を赤くして外を見あげた。
 すっかり空からは灯りが落ち月が浮かんでいる。
「いかないのかい?」
 そうArcardが甘い声で囁きながら一歩距離を近づけると。彼女が瞳を潤ませているのが見えた。
「いきます、けど少し恥ずかしくて」
 その言葉に笑みを浮かべるArcardは部屋の電気のひもを引いて、灯りを落した。
 すると部屋は一瞬で暗くなり。月明かりだけが場を満たす。
「なんでそんなに恥ずかしがってるのかな?」
「だって、私……その」
 アデノフォーラが顔をあげて、Arcardに何事かを伝えようと口を開く。けれどそれもかなわなかった、いつの間にかArcardは目と鼻の先にいて。
 その二つの瞳がアデノフォーラを映している。
 Arcardは悪戯っぽく笑った。
「もう何度もみてるじゃない」
 今までのムードもかなぐり捨てて、あっけらかんと言いはなつArcard。
 そんな彼女が意地悪で、いじらしくて。可愛くて、楽しくて。
 アデノフォーラはArcardの額を倒して転倒させ、一歩窓際へ。
 そして回転するように勢いをつけてそっぽを向くと、美しい髪がはらりと広がった。
 それは月光を受けて銀色の輝きを帯びる。
 それが。Arcardには全てを捨ててまで護りたいくらいに。
「綺麗だ……」
 綺麗にみえた。
「え?」
 言葉が聞えなかったのだろう、きょとんと振り返るアデノフォーラ。
 月を背に、Arcardを覗きこむアデノフォーラにもう一度Arcardは告げた。
「今日も月が。綺麗だ」
 三日月である彼女と、空の月をかけての一言。それが十分すぎるほどに伝わったのか。この暗がりでもわかるくらいにアデノフォーラは顔を赤くしてそして。Arcardに一歩歩みよる。
「……わ、私より……」
 言いかけた言葉『綺麗』が似合うのは姉 。そんな言葉を飲み込んで、アデノフォーラは真っ直ぐにArcardを見据えた。
 ああ、彼女の瞳にも月が写っている。
 そして狂気に染まる赤い瞳、その上にうつる月もまた美しかった。
「……ありがとうございます、Arcardさん」
 あなたが言い続けてくれる言葉なら。笑顔で受け入れられそうです、そう答えを返して、アデノフォーラは子猫のようにArcardの胸元へそっと顔をうずめた。
 温かさを求めるように頬を摺り寄せて、そんなアデノフォーラを抱きしめて。
 Arcardはまた月を見あげた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『アデノフォーラ・クレセント(aa0014)』
『Arcard Flawless(aa1024)』
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております! 鳴海でございます。
 いつもOMCご注文ありがとうございます。
 今回は、お二人の新婚旅行ということで。色気のある文章を目指してみたのですがいかがでしょうか。
 お二人の幸せを少しでも表現で北なら嬉しいです。
 ではでは夏も暑くなってきましたが、夏バテにもお気をつけて。
 鳴海でしたありがとうございました。
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2017年07月26日

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