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『どこかのくにのぷりゅねる×6 』
春都jb2291)&数多 広星jb2054)&斉凛ja6571


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 むかし むかし
 とある物語の 魔法の国に
 とても 美しいお姫さまがいました





 国を治めるお姫さまは 広星姫(jb2054)といいました

 地位ある“マジックプリンセス”は 魔法をちょちょいのちょいと操ります

 指先をくるくるりと回せば 寝惚け眼の歯磨きもお茶の子さいさい 歯ブラシが自ら動きます
 手のひらをふいっと動かせば 緩やかな風が着替えを手伝ってくれます
 そのまま髪を梳き 夜の闇を染めたような髪を結い上げれば 無精と読んで素敵なレディの出来上がりです

 食堂では 広星姫が一人 焼き立てのクロワッサンとプレーンオムレツ アッサムのミルクティーで朝食を摂っていました

 御付きには 楚々と佇むメイドが一人 食堂の隅に控えているだけです

 温んだ吐息を零した広星姫が 空になったお気に入りのティーカップをソーサーに置いた時 お城の窓から一瞬 白い光が煌めくと 遅れて パンパン! と弾く音が聞こえました

 城下町で お祭りが開催された音です

「――さてと。お城での日々も退屈していたところだし、この日の為に色々と算段をつけていたからね。俺と一緒にいたかったらちゃんとついてきなよ」

 広星姫の言葉に応えたのは 一人のメイドと

 ぼわわん

 一つのティーカップでした

 突如 ティーカップがミルキーオレンジ色の煙で包まれます
 その中から現れたのは 一人の少女でした

「もっちろん! 大好きなコウ姫の為なら200度の温度にも耐えられ――……る、努力はするようんするするきっとする」

 彼女の名は 春都(jb2291)
 代々 お城で大切に扱われていた ティーカップの付喪神です

 光沢のある黒髪
 瞳には 微笑みに似た 柔らかい琥珀色が浮かんでいました

「あ、大丈夫かな。私、ちゃんと人間に化けられてる?」

 春都は小首を 自分の身形へ きょろきょろり
 ふわふわで華やかな小花のワンピースが サンフラワーに揺れます

「とても上手に変身できているわよ。可愛いわ、春ちゃん」

 陶器の人形のように目鼻立ちの整ったメイドが 親しみの情を浮かべて 春都に歩み寄りました

 星の砂のようにさらさらと波打つ 白銀の長い髪
 熟した柘榴が 麗しい瞳に色づいています
 皺一つ シミ一つない真白のメイド服を装う女性の名は 凛(ja6571)

 広星姫専属のシェフ 兼 ティーカップ春都の手入れを担当しているようです
 その為 時間を共有することの多い春都と凛は 仲良しさん

 加えて

「ねえ、春ちゃん。今日のコウ姫は一段と可愛いわよね。そう思わない?」
「はい! 一段と言わず五段くらい可愛いです!」

 広星姫のことが大好きなのです

 朝も昼も夜も 暇さえあれば 我らが愛しのお姫さま
 きゃっきゃうふふ と 二羽の囀りが響きます

「まあ、いつも通り勝手にやってていいけど。はぐれても俺は責任とらないからね。じゃあ、行くよ」

 算段=抜け出し

 三人は どろん お城からこっそりと姿を消したのでした




 調和のとれた虹色
 軽やかに跳ねる音楽
 深く豊かな香り

 城下町は 賑やかな色彩と 音と 香気で 溢れていました



 三人の吐息は 歓びの先へ
 三人の目線は 惹かれる先へ
 三人の足先は――

「――あら? コウ姫? ……春ちゃん?」

 浮かれる先へ





 人通りの多い路を選んだのは わざと
 人混みに流されたのは 言い訳

「まあ、あの二人ならそれぞれ楽しくやるだろうし。暫くは一人でのんびりさせてもらうよ」

 ほくそ笑んだ広星姫が 細い中指で眼鏡のブリッジを上げました

「あ、葡萄飴」

 広星姫は 大好物の甘味を小脇に抱え 屋台の通りをぶらぶらり
 最初 屋台ごと購入しようとしたのは 箱入り姫のお約束

 時に冷やかし 時に目移り 時に買い 甘いお菓子をむっしゃむしゃ

「そろそろ喉が渇いたな」

 親指についたクリームをぺろりと舐めながら 広星姫は視線を泳がせました
 黒珊瑚の双眸が留まった先には ジュースの屋台
 そして 屋台の前には――

「ん? あれって……」

 顔見知りの男性が のほほんと 桜のジュースを飲んでいたのです

「ルカ王子だよね? こんな所でなにしてんの?」

 広星姫は自ずと その男性に声をかけていました
 抑揚のない広星姫の声音に 男性は一瞬 ばつの悪そうな顔をすると

「人違いだよ」

 くるり 広星姫に背中を向けて 黙々ごくごく 再びジュースを飲み始めました
 広星姫はというと 相手の反応などお構いなしに 男性の肩を指先で つんつん

「ここの通りを少し戻ると、桜餅の屋台があるよ」

 ぴくぅっ!!

 男性の両肩が上下に弾みました
 首が此方へ振り返―― と 思いきや ほんの心持ちです

「おかしいな。絶対にルカ王子だと思ったのに」
「……」
「もしかして、記憶喪失とか? あ、こういう時はハンマーを頭に叩き込めばいいんだっけ。お城の本で読んだような」
「Σ!?」
「よし、やってみよう。あのさ、ちょっと動かないでいてもらえる? 打ち所とか確かめるから――」
「…………やあ、広星姫。奇遇だね」

 観念したような表情と 予期せぬ疲労に沈んだ翡翠の瞳が 広星姫を正面に見据えました

 魔法の国の隣には 主に武具で栄えている国があり その 剣の国を治めているのが この ルカ王子(jz0111)なのです

「隣国の王子が護衛もつけないでどうしたの」
「それ、君もだろう」
「俺はほら、事なかれ主義だから。元々そんなに問題も起こさない方だし。万が一なにかあっても、一人の方がいざという時に気配消してすぐに逃げられるし、正直、身軽で楽なんだよね」
「……城から抜け出した上に、人の頭にハンマー叩き込もうとしていた人間の言う台詞じゃないよね、それ」
「まあ、いいじゃん。細かいことは。で? 一人なの?」
「二十分前には妹とサンドバッグも一緒にいたが……」
「どうせ撒いたんでしょ。妹の面倒見るのが大変とか、護衛の相手するのが面倒とか、そんなとこ?」
「……五月蠅いよ、姫」

 国を治める者同士の付き合いだからでしょうか
 こんな時のルカ王子の思考を 広星姫はお見通しのようです

「違和感がないよう、服装もこの国に合わせたつもりだったんだけどな……。祭りを見物しに来ただけだから、君に会う予定もなかったし」
「あ、そうなんだ。俺は会えてよかったけどね」

 ルカ王子が不審の眉を寄せました
 どうやらルカ王子も 広星姫の思惑は見抜いているようです

「まあ、とりあえず――」

 広星姫の眼鏡の奥が きらり トランプマークのダイヤのように光りました





「この屋台のジュース、全種類買ってくれる?」





 同じ 蒼穹の下
 広星姫達とは真逆の位置に 春都はいました

 なんと 行きずりの男性と “ラムレーズン見つけ隊” という へんちくりんな隊を結成しているではありませんか

「いやー、すまねぇわね。お前さんのポップコーン摘まみ食いして逃げてったんだろ?」
「はい。あ、いえ、ポップコーンのことは別にいいんです。頬袋に詰めてる姿、一生懸命ですごく可愛かったし……」
「あら、そう言ってくれんのね。あんがとさん」
「いえ」
「あの野郎、オレの胸ポケットで昼寝してたはずだったんだが……何時の間にかこっそり脱走してやがっててよ。この人混みだろ? ちょい、オレの連れとも合流しねぇと探しきれねぇからな」
「ええ。私もはぐれてしまった人達がいるので、ハムスターのラム君を探しつつ、お互いのお供――じゃなくて……えっと、お友達と合流しましょうか。先ずは広場に向かいましょう、道案内しますね」
「おう、助かるぜ。よろしくな」

 付喪神の春都 そして サンドバッグ 兼 護衛のダイナマ(jz0126)
 お互いの立場は知らずとも 探らずとも 類は友を呼ぶのでしょうか

 偶然は必然
 二人の足は 並んで広場へ――

「あ、オレンジピール!」
「おっ、美味そうだな。食うか?」
「はい! ダイナマさんも食べたいものがあったら言って下さいね」
「あいよ。そういやさっき、ワインの店があったよな。更にチーズとかあったらめちゃ最高なんすけど」
「あ、チーズスナックの屋台なら見かけましたよ。確か……」

 ゆっくり ゆっくり 向かいます





 さて こちらはというと
 女の子達の 女の子達による 女の子達のための 友情が芽生えていました

「りつ、わたくしのアイスも食べてみる? チーズケーキの味なの。滑らかな口当たりでとても美味しいわよ。はい、あーん」
「あむっ。……ん。うむ、品のいい味ね。じゃあ、私のも。はい、凛」
「あら、ありがとう。はむっ。……ん、アップルタルト味ね。シナモンとキャラメルの風味がわたくし好みだわ。美味しいわね」

 遊び慣れていない街
 瞳に映り 移る 豊かな刺激

 凛は 浮き立つ心を抑えながら 広星姫と春都を探していました

 ふと 凛が とある路地へ視線を向けた時 一人の女性が蹲っているのを見つけました

 黒い長髪は 漆のような艶
 気品のある 桃染の明眸

 どこぞの姫君―― という雰囲気は どうやら隠せないようです

 凛は 同じく連れと離ればなれになってしまった 凛月(jz0373)と一緒に行動していました

「あっ、凛。私あれ欲しい。ほら、真っ白な兎のぬいぐるみ」
「任せて。わたくし、射撃は得意なのよ。……あら、射的っていうのね?」

 しかし 甘いものに夢中になったり 可愛いものに目が奪われたり
 年相応の女の子達は 当初の目的も忘れて お祭りをたっぷりと満喫していたのでした





 ――その時です

 ドオオオォォンッッッ!!!

 広場の方から 喧噪が鳴り響いてきました
 流れてくる人の波
 紙の破けるような悲鳴

 そして

『だーーーーーぞよーーーーー』

 奇怪な――



 ……鳴き声?




 春都とダイナマ 凛と凛月は 人の黒雲を掻き分け 広場へとやってきました

 4人は既に 駆けつける前から“それ”を目で見て まさか と 思っていましたが 間近に仰いだ“それ”は 紛うことなき――





 巨大化した“ハムスター”でした

「……ラ、ラムくん?」

 春都は 狐につままれたような顔で呟きます
 そのラムくんとは ダイナマと一緒に探していた ちっちゃくてかわい―― かった 僅か7センチ程の ハムスターだったのですから

 それが今 10メートルはあるでしょうか

「――!? コウ姫! 危ないですわ!」
「あっ……! ル、ルカ様もいる……!」

 凛と凛月の そして 春都とダイナマの探し人は ラムくんを眺めながら呆然としていました

「一体なにがあったんですか?」

 駆け寄った春都の問いに 二人は

「「なにも」」

 同じ表情で 只 一言

 二人は 正しく 明らかで 絶対的に不審でしたが 今は皆で力を合わせ この状況を抑えることが第一なようです

「さあ、皆さん――」

 広星姫とルカ王子 ダイナマは身を構え メイドは友の盾となります



「レッツラ・魔物(仮)退治です!」



 春都は 元気なかけ声と共に 神通力で生成したティースプーンとフォークを 広星姫とルカ王子に向かって投げました

「武器として使って下さい!」

 ルカ王子は短く礼を告げると 噴水で水浴びをしているラムくん目掛けて走っていきました
 ダイナマに武器を渡さなかったのは ――いえ 渡せなかったのは 彼が既に 自らのペットへ果敢に挑んでいたからです

「この馬鹿野郎ッ!! 水に濡れたら体温調節が出来なくなるってあれほど言っただろうがッ!!」

 ダイナマの主旨は少々ズレているようですが 本気は充分です
 ハムスターとして必要性があるかどうかわからない尻尾にしがみつき 必死に訴えています
 本気は充分です(二度目)

 その時 空高く跳躍したルカ王子が ティースプーンでラムくんの頬袋をスマッシュ

『ぞよっ!?』

 叫び声と共に ラムくんの口から何かが飛び出てきました
 前歯―― かと 思いきや 頬袋に詰めていたポップコーンのようです

「きゃっ、こっちに来るわ!」

 凛月が悲鳴を上げました
 いくらポップコーンといえど ラムくんの頬袋の中で巨大化したのです
 当たれば無傷では済みません

「安心なさい、りつ」

 凛は 風に戯れる髪を優雅な仕草で耳に掻き上げると スカートを翻しメイドマジック
 華麗に揺れる真白の裾から手にしたのは 天使の翼に薔薇が彩る盾―― In Elysion

「勝利への道を切り開くこの盾で、りつのことはわたくしが護りますわ」

 高まれ 漲れ 紅茶パワー

「逝ってらっしゃいませ」

 ――行きました ポップコーン

 凛は バッターの如く カキーーーン
 盾で弾き飛ばした白い塊は 弧を描いて空へ 空へ 空へ ――そして

『ぞよーっ!?』

 ラムくんの顔面にストライク

「コウ姫、今だよ!」

 春都の合図に 広星姫は短く顎を引き 手にしているフォークへ魔力を込めました

「だいぶ痺れるかもだけど……まあ、落ちるには丁度いいんじゃない?」

 眼鏡の奥の双眸は 相も変わらず冷静で 沈着です

 広星姫は 雷光を纏わせたフォークを勢いよく放ちました
 フォークの尖端が空気を裂き 雷光が威嚇をするかのように白い火花を散らします
 それが 一直線 ラムくんの寸胴な脇腹へ向かって――



 ぶすっっっ!!



 と 同時に 放電

『だだだだぞぞぞよーーーーーっっっ!!!!!』

 水濡れで効果覿面 ……むごい

 しかし ご安心下さい

 ばたんきゅー と 大の字に倒れたラムくんでしたが 突如 しゅるるるる…… なんと 元の7センチに戻っていたのです
 半開きの口からは何かの種の芳ばしい香りが漂い さらさらの毛は真っ黒焦げに逆立ち ちっちゃい手足はぴくぴくと痙攣していましたが 大丈夫 生きています

「ラ、ラムくん……なんて姿に……」

 大丈夫 生きています(二度目)

「皆様、お怪我はありませんか? しかし、一体何があったのかしら。ハムスターがいきなり巨大化なんて……まるでお伽噺のようですわね」
「そうだね。まあ、それも夢があっていいんじゃない?」
「あら、コウ姫はロマンチストですのね」
「別にそういうわけじゃないけど」

 ――そう

 事の発端は 魔法で鈴カステラを大きくしようとした広星姫が はしたないからやめなさいとルカ王子に腕を掴まれ 魔法の軌道が狂い 偶然そこを通りかかったラムくんに命中してしまった という―― これまたなんともいえないお話

「ダ、ダイナマさん、ラムくん大丈夫なんでしょうか……何か、頬袋の中で向日葵の種が加熱調理されちゃってる感じがするんですけど……」
「でーじょうぶでーじょうぶ。次回にはぴんぴんしとる」
「何のお話ですか!?」
「まあ、取り敢えず色々と気にすんな。そういや、一仕事(?)終えたら喉が渇いたわね」
「――あら、でしたら、わたくしが腕をふるってお菓子と紅茶のご用意を致しますわ」
「わっ、凛さんの淹れる紅茶と手作りのお菓子は絶品なんですよ! ダイナマさんと、勿論、その“ご友人”の方々も是非!」

 春都が にこり ルカ王子達に微笑み そして――

「ダイナマさん。“魔法の国ではない”お話、たくさん聞かせて下さいね」

 ダイナマを仰ぎ 白い歯を零したのでした





 それは むかし むかし
 とある物語の 魔法の国のお話でした

 出会った縁は 微笑みを抱き
 明日へ

 繋いだ縁に めでたし めでたし

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━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【jb2291 / 春都 / 女 / 18 / amber teacup】
【ja6571 / 斉凛 / 女 / 15 / garnet maid】
【jb2054 / 数多 広星 / 男 / 21 / obsidian princess】
【jz0111 / 御子神 流架 / 男 / 26 / jade prince】
【jz0126 / ダイナマ 伊藤 / 男 / 30 / amethyst bodyguard】
【jz0373 / 御子神 凛月 / 女 / 19 / rose quartz princess】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております、愁水です。
とある魔法の国でのお話、お届け致します。

ストーリー上、一部変更&アレンジさせて頂いた部分もありましたが、如何でしたでしょうか。
少しでも楽しんで頂ける物語となっていましたら幸いです。

素敵なご依頼とご縁、誠にありがとうございました!
イベントノベル(パーティ) -
愁水 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年08月02日

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