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『【おくすりのじかん】 』
月乃宮 恋音jb1221


 ある日の午後。学園の外れを3人の少女が歩いていた。
 いずれも清楚な身なりをした、見目麗しい撃退士である。
 とりわけ『教授』『魔王』の異名で知られる月乃宮恋音は学園トップクラスの学生であり、その豊満なルックスも含めてよく知られている。
 その左右を歩いているのは、由利百合華と三条絵夢。
 3人は、これまでいくつもの依頼を共に成功させてきた戦友同士だ。
「ところでぇ……おふたりに聞いてほしい話が、あるのですけれどぉ……」
 ふと思いついたように恋音が言った。
 百合華と絵夢は無言で続きを促す。
「えとぉ……じつは近いうちに、学園の事務を代行する仕事を始めようと、思っているのですけれどぉ……よろしければ、一緒に働きませんかぁ……?」
「それって、学園の皆さんに殴られたりする仕事ですか?」
 絵夢が訊ねた。
「そ、そのような仕事は、普通ありませんよぉ……!?」
「残念です。そういう仕事なら喜んで引き受けるのに」
「うぅん……百合華さんは、いかがですかぁ……? 島内に事務所を構える予定なので、通学しながら働けますよぉ……?」
「あ、私は……明日羽先輩が一緒なら……」
「おぉ……では、のちほど佐渡乃先輩にご相談、ということで……」

 そんな会話をしつつ、彼女たちが向かうのは自称天才発明家・平等院の私設研究所だった。
 過去無数の発明によって何度も何度も混沌と笑いを提供してきた平等院だが、本日の発明品はいうと……
「ふぅーーーははははは! 見ろ諸君! これぞ究極の生物成長薬『OP薬ζ』! 全世界の食糧危機を救い、私が全人類の頂点に立つための最終兵器だ! はぁーーーはははは!」
 怪しげな瓶を手に、哄笑する平等院。
 言ってることが物騒だが、恋音たちには聞き慣れたセリフだ。
「おぉ……ついに完成したのですねぇ……さすがですぅ……」
 かすかに震えつつも、恋音は素直な感想を口にした。
「では早速、人体実験だ。3人とも、こいつを飲みたまえ」
「「!?!?」」
 恋音と百合華は無言で立ちすくみ、絵夢は陶然とした顔になった。
 思わず百合華と顔を見合わせ、恋音が訊ねる。
「え、えとぉ……その薬を服用すると、大変な結果を招くと思うのですけれどぉ……」
「危険を恐れていては発明などできない。それにこれは諸君らの体質を調べる目的も兼ねているのだ。特異体質が感染することに関しては個人的な興味もある。場合によってはキミの存在自体が凶悪な生物兵器に成り得るのだからな」
「な、なにか恐ろしい発言を聞いたような気が……たしかに、体質のことは気になりますけど……」
 実際問題、恋音の特異体質には不明な点が多い。ここ4〜5年ほど平等院の手を借りて調べてはいるものの、はっきりしたことはわからない状態だ。もっともアウルのメカニズム自体に謎の部分が多いため、恋音の体質を完全解明するのは不可能に近いが。
「とにかく飲んでみましょう! 私たちは実験動物なんですから!」
 妙に生き生きした表情で絵夢が言った。
「そうですねぇ……では、ご一緒に……」
 恋音が言い、3人は同時に薬を飲み干した。
 が──
「うぅん……? あまり変化がありませんねぇ……?」
 恋音が首をかしげた。
「毎回のように研究所を破壊されては困るのでな。効き目をゆるやかに改良したのだ」
 得意げに答える平等院。
「そんな! 月乃宮さんに押しつぶしてもらう計画だったのに!」
 絵夢が抗議した。
 隣では、百合華も不満げに俯いている。
 そう、周知の通り二人は極度のマゾなのだ。
「かわりに薬の効果自体は強くしてある。月乃宮君の体質なら50キロ超も夢ではない。もちろん体重ではなく胸囲の話だ」
「お、おおお……!?」
 桁外れの数字に、恋音も驚愕するばかりだ。
 そのとき。研究室のドアが開き、一人の女生徒がやってきた。
 名は佐渡乃明日羽。一見地味な外見ながら、恐ろしい実力を持つ撃退士である。
「ん? 何してるの?」
「あっ、こんにちは先輩。今日は新しい成長薬の試飲……をがはッッ!?」
 答えようとした百合華のみぞおちに、いきなり明日羽の前蹴りがブチこまれた。
 そのまま前屈みに倒れ、飲んだばかりの薬を吐き戻してしまう百合華。
「実験は中止ね? 私を巻き込まないでね?」
 言うのと同時に、明日羽の両手から鎖が飛んだ。
 2本の鎖がそれぞれ絵夢と恋音の腹部を縛り上げ、胃の中身を逆流させる。
「待て、佐渡乃君! これは大切な実験なんだ!」
 平等院が大声をあげた。
「そのたびに学園の施設を壊してたら迷惑でしょ?」
「キミはそんなまともなことを言う人間ではなかろう!」
「私は誰よりもマトモだよ?」
 にっこり微笑みながら、明日羽は恋音と絵夢を縛り上げ、百合華の背中を踏みつけていた。
 到底まともな人間がやることではないが、この程度のプレイは挨拶みたいなものである。
「それより、こっちの薬を実験するべきじゃない?」
 明日羽が制服のポケットから薬瓶を取り出した。
「それはキミが趣味で作っただけの、単なる媚薬ではないか!」
「『単なる媚薬』じゃないよ? 恋音と百合華の体質に合わせて調合したものだからね? 効果は抜群だよ?」
「ふぅ……まぁいい、わかった。あとはキミの好きにしたまえ。そちらの3人も、それを望んでいるようだ」
 あきらめたように言うと、平等院は研究室を出て行った。
 明日羽は「さて」と室内を振り返る。
 床には4人の少女が転がり、血や吐瀉物が散らばっている状態だ。
「さて……恋音は久しぶり、かな? まずは、この特製カクテルを飲んでね?」
「あ、あまり飲みたくない気がしますぅ……!」
「どうせ恋音は体質のことを調べに来たんでしょ? だったら、このカクテルで少しは良くなるよ? わざわざあなたのために作ったんだからね? ついでに百合華にもよく効くし、ね?」
 薬瓶を口元に当てて、キスするようにしながら明日羽は告げた。
 恋音と百合華は鎖で縛られたまま、立ち上がろうともしない。
 そこへ絵夢が割り込んだ。
「先輩! 私には!? 私専用の薬はないんですか!?」
「あなたのはないから、そこで指をくわえて見ててね?」
「そんな放置プレイはイヤですぅぅっ!」
 床の上をゴロゴロ転がりながら、全身で抗議する絵夢。
 だが心なしか嬉しそうなのは、彼女が真性ドMゆえである。
「じゃあ恋音、百合華、どっちが先に『実験』してもらいたい?」
 明日羽が笑顔で問いかけた。
 二人は横になったまま、「では月乃宮さんからお先に……」「いえ百合華さんのほうから……」などと譲りあうばかりだ。「じゃあ私から! 私から!」と絵夢が叫ぶ。
「……あ、そういえば……こんな状態ですけれど、佐渡乃先輩にお話があるのですよぉ……コトを始める前に、聞いてくれませんかぁ……?」
 思い出したように恋音が言った。事務所への勧誘を思い出したのである。薬で意識が飛ぶ前に聞いておかなければ、次はいつになるかわからない。
「うん、聞かないからね?」
 明日羽が薬瓶の封を切り、乱暴に恋音の口へ突っ込んだ。
「〜〜〜〜〜っっ!?」
 身動きとれず、恋音は悶絶するばかりだ。
 このようにして、本日のプレイは始まったのである。







━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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月乃宮恋音 特異体質
由利百合華 感染者  (ゲストNPC)
三条絵夢  ドM  (ゲストNPC)
佐渡乃明日羽 ドS  (ゲストNPC)
平等院   マッド発明家  (ゲストNPC)


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 こんな風になりました。発注文と少々……いやだいぶ異なる展開になってしまった気もしますが、ダメならリテイク申請してください。なお次の窓開けは未定です。

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牛男爵 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年08月07日

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