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『幸せへの誓い 』
大門寺 杏奈aa4314)&宮津 茉理aa5020)&レミ=ウィンズaa4314hero002

 真夏の太陽が西の空へと傾き、暑さも幾分和らいだ頃、3人の少女がハピネスランドへとやって来た。
 おやつには少し遅く、夕飯には早いという時間帯のせいか受付は空いていた。そちらへと歩きながら大門寺 杏奈が尋ねる。
「茉理ちゃん、暑さは平気?」
「……暑いけど、これくらいならまだ平気」
「そっか、それなら安心だよ♪」
 宮津 茉理は額や首すじに汗を浮かべながらも、杏奈の手を放そうとはしない。
「ここに来るのも、久しぶり……かな、先輩。……今回もキャンペーン、参加する?」
 杏奈の代わりに「当然ですわ!」と答えたのはレミ=ウィンズだ。
「アンナへの愛を大々的に宣言できる機会ですもの。逃す理由はございません!」
 きらきらとエメラルドのような瞳を輝かせるレミ。その手はもちろん、杏奈のもう一方の手と繋がれている。
「ご来園ありがとうございます!」
 見覚えのある受付係が3人の様子を見て、にまりと笑みを浮かべる。
「うんうん、仲良しさんで良いっすね。つかぬことをお聞きしますが、3名様のご関係は?」
「カップルですわ!」
 堂々とした様子でレミが答える。
「かしこまりましたー。では証明をどうぞ」
「ふむ……これも良いですけれど……」
 レミは首元に光る太陽のチャームを見ながら少し考える。去年、杏奈から贈られた大切な首飾り。『愛』を証明するのにふさわしい代物だが――。
「やっぱりこれですわ♪」
 杏奈の横腕を取ったかと思うと、そのままぎゅっと抱きつく。杏奈は顔を赤くして頬を染める。見ていた茉理も呆気に取られている。
「おお〜、大胆〜! おさげのお姉さんも、負けてられないんじゃないっすかー?」
「あら、わたくしたちはライバルって訳じゃありませんのよ? 共にアンナと歩む同志、とでも言いましょうか。マツリ様もわたくしにとって大切な存在ですわ♪」
 茉理の頬が杏奈と同じくらいに赤く染まる。
「さぁさぁ、マツリ様も♪」
 茉理が杏奈の顔をちらりと伺うと、こくりと頷きを返される。茉理がおずおずと杏奈の腕に両腕を絡ませると、受付係がぱちぱちと拍手した。
「はい、合格! 今日は楽しんでってくださいねー」
 ピンクのハート柄バッチをお揃いでつけて、3人は園内へと踏み出した。



 最初に訪れたのは写真館。
「うーん……先輩の衣装、どれがいいかな……? 迷う……」
「ええ。アンナでしたら、どれを着ても似合うに決まってますものね」
 褒められるのは嬉しいことだが、やはり恥ずかしくもある。苦し紛れに目をそらした杏奈は、ふとメイド服に目を止めた。
「これ、可愛いな。二人が着てるところ、見てみたいかも……」
 聞いた瞬間、レミは何かを思いついたようだった。
「では、わたくしたちが先に着替えて参りましょう! 少々お待ちくださいませ、アンナ」
 レミは茉理の腕を引いて、風のように試着室へと消えていった。
「わたくしがアンナのメイドになれる日が来るとは……! さあさあマツリ様も、早くお着替えいたしましょう♪」
「いいけど……何か、企んでる?」
「ええ、とびっきりの計画を」
 レミは悪戯っぽく笑うと茉理に耳打ちする。茉理はぱちくちと瞬きした後、計画への参加を決めた。
「お待たせしました。お嬢様」
 カーテンが開かれる。たどたどしい口調で言ったのは茉理だ。
「お、お嬢様……!?」
「そうですわよ。今からアンナにはわたくしたちのお嬢様になって頂きますの!」
 えっへんと胸を張るレミ。かと思うと、すっと背筋を伸ばして恭しくお辞儀をする。
「……どうでしょうか、アンナお嬢様?」
 洗練された所作と落ち着いた口調。普段の天真爛漫なレミとは別人に見える。杏奈は驚きながらも、素直な感想を口にした。
「二人とも、すっごく似合ってるよ」
 レミは元の世界で王女として生を受けた。メイドの振る舞いは幼い頃から見慣れているのだろう。
「ふふ、お褒めいただき感謝いたします♪」
 レミと茉理の手によって杏奈がドレスアップされていく。茉理は最初こそぎくしゃくしていたものの、所作は優雅かつ丁寧であり、自然とお嬢様を安心させた。
「御髪が整いましたわ。カメラの前に参りましょうか、お嬢様?」
「お手を、どうぞ」
 そこだけ別世界のような雰囲気を醸し出す美少女たちに、スタッフは圧倒される。杏奈をベルベットの椅子に座らせ、そばに茉理とレミが控えるという構図で美しい写真が仕上がった。



「夜のスイーツとは珍しいですわね?」
 レストラン。夜であろうとやはりスイーツは欠かせない。かき氷やクレープ、チョコレートやフルーツのパフェ。アイスに目がない茉莉のためにアイスケーキも頼むことにした。白のクリームで表面を覆われたケーキには、赤い猫と黄色のうさぎ――公式キャラクターのハピちゃんとネスちゃんが仲良く寄り添っている。
「さて、さっそく……」
 レミはチョコパフェにパフェスプーンを突き刺す。サイコロ状にカットされたブラウニー、そしてチョコアイスと生クリームをたっぷりと掬い取って、杏奈の口へと運ぶ。
「アンナ。はい、あーん……♪」
「ん……! おいしい……!」
 まさに天使の笑顔。レミは思わず笑みをこぼす。
「うふふ……♪ マツリ様もお次どうぞ?」
 茉理はアイスケーキを乗せたスプーンを杏奈に差し出す。杏奈は無防備な様子でぱくりと食べる。表面の白はクリームチーズ、中のピンクはストロベリーのフレーバーだ。
「どう……?」
「すっごく幸せな気分になるよ♪」
「ね。これなら毎日食べられそう……!」
 そんなことを言って、茉理は最高の笑顔を見せる。
「そ、それってまさかホールを丸ごと……?」
 彼女ならやりかねない。レミと杏奈は顔を見合わせて、苦笑するのだった。
「茉理ちゃんはどれが食べたい?」
 杏奈の前には、マカロンやパンケーキなども置かれている。4人掛けのテーブルの上はスイーツで埋め尽くされている状態だ。
「はい、あーん♪」
 茉理はマンゴーとココナッツミルクのシャーベットを一口ずつもらい、すっかりご機嫌だ。
「レミには……これなんてどう?」
 杏奈が進めたのはアップルパイ。濃厚な味が紅茶によく合う一品だ。
「冷たいスイーツ中心に頼みましたけれど、こちらは熱々ですのね」
「うん♪ 冷たいスイーツも温かいスイーツも全力で楽しまないとね!」
 レミは甘えるような表情を浮かべ、上目遣いに杏奈を見る。
「ではアンナ、ふーふーしてくださいまし」
「え……! ちょっと恥ずかしいけど……」
 ちら、と茉理を見ると彼女も期待に満ちたまなざしで杏奈を見ていた。
「先輩がふーふー、してくれたら……熱いのもいける、かも……?」
「ま、茉理ちゃんまで!」
「うふふ♪ 笑顔のアンナも照れ顔のアンナも最高に可愛いですわ!」
 ケーキよりもアイスよりも甘いおやつタイムが終わる頃には、長い夏の日がとっぷりと暮れてしまっていた。



「……次、どうしよっか?」
「観覧車は? せっかく夜までいるんだし、綺麗な夜景を見ながらっていうのも面白いかも」
「名案ですわ、アンナ!」
 3人は大観覧車『フラワー』へと乗り込んだ。レミは座席に腰を下ろすと、すぐにぴたりと杏奈にくっつく。
「おいで、茉理ちゃん」
 いくら細身といっても、3人で片側の席に座ればゴンドラが傾いてしまう。小さく上がったお互いの悲鳴がなんだかおかしくて、くすくすと笑い合う。
「あ……」
 茉理がふと窓の外を見る。3名分の笑い声がすっと凪いだのは、見事な夜景に見とれたからだった。
「わあ、綺麗……!」
「……だね」
「綺麗ですわ……♪」
 寄り添い合って、ライトアップされた遊園地や街の景色を眺める。
「アンナ」
 レミが囁き声で呼ぶ。杏奈が返事をする前に、ちゅっと可愛らしい音が至近距離で鳴った。
「少しの間ですが、視線を気にせずに済みますので♪」
 もう一度、杏奈の頬にキスをするレミ。杏奈は心地よさそうに目を細めた。
「マツリ様もご一緒に……♪」
「うん……先輩、こっち向いて?」
 レミよりも少し体温の低い茉莉の唇が、一瞬だけ頬に触れ、そして離れる。
「ん……わたしからもお返し……」
 頬ずりの延長のようなキスを贈れば、茉理がくすぐったそうに笑った。
「アンナの耳、赤くて可愛いですわ」
「もう……レミにもお返しだよ」
「きゃっ♪」
「ふふ、レミの頬、温かい」
 じゃれ合っているうちに、ゴンドラは緩やかに下降を始めていた。
「楽しかったね、先輩……」
「……うん、レミも茉理ちゃんも、一緒でよかった♪」
 杏奈は頷く。
「これからも……ううん、いつまでも……」
 そう呟いて、両隣の2人を抱き寄せる。
「レミ、茉理ちゃん、大好きだよ。……わたしに幸せを分けてくれて、ありがとう」
 レミと茉理は、はっと息をのむ。そんな言葉を受け取ってしまえば、もう溢れる愛しさを止めることなどできない。ほとんど力任せに杏奈をぎゅっと抱き締め返す。
「ふふ、ちょっと苦しい」
「……先輩のせい。離して、って言われても、無理なんだから……」
 茉理が言う。杏奈は共鳴時を思わせる大人びた笑みを浮かべると、茉理の頭を撫でた。
「……いいよ。離さないで」
 雪の妖精を思わせる少女は、かつてすべてを失った。小さなきっかけで儚く溶けてしまいそうなほどに脆かった彼女は、共鳴の力を磨き上げ、白銀に輝く砦となった。
 苦い過去は消せない。けれど、杏奈は決意した。甘い幸福で過去を振り切り、新しい思い出を積み重ねていくことを。彼女たちと一緒ならばきっとできると確信していた。
「幸せ、か……それを言うなら、私だって同じ……。先輩に会えたおかげで、今の幸せがあるんだから」
「マツリ様に同意ですわ! ……でも、まだまだ足りません。アンナにはもっともっと幸せになって頂きます♪」
「ありがとう。わたしの幸せも二人に分けてあげたいな」
 杏奈はそっと囁くと、両の腕で大切な存在たちを抱き締める。いつまでもずっと一緒にいたいと強く、強く、願いながら。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【大門寺 杏奈(aa4314)/女性/17歳/防御適性】
【宮津 茉理(aa5020)/女性/17歳/防御適性】
【レミ=ウィンズ(aa4314hero002)/女性/16歳/ブレイブナイト】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております。高庭ぺん銀です。夏のおでかけストーリー、最初から最後までたっぷり糖分を詰めました。
作品内に不備などありましたらご遠慮なくリテイクをお願い致します。それではまたお会いしましょう。
イベントノベル(パーティ) -
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リンクブレイブ
2017年09月15日

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