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『There is always light behind the clouds.』
ガレシュテインaa4663hero001)&ベドウィルaa4592hero001

●秋暑し
「……ん」
 秋暑し、早朝の涼しさも去った朝。
 ベドウィルは照り付ける太陽の熱を感じて空を見上げた。
 眩しく光る太陽。
 ふと、耳に飛び込んで来たニュースキャスターの言葉を思い出す。
 ──今年の日本は一度も真夏日が無く、九月に入ってからようやく……。
 彼の真上で照り付ける強い日差しはまるで盛夏のそれようだ。
「そうですね」
 退屈な一日。
 朝から暇を持て余していたベドウィルはすぐに準備を整えて家を出た。
「海へ行きましょう!」
 突然現れた先輩からの急なお誘い。
 しかし、海と聞いてガレシュテインは菫色の大きな瞳を輝かせた。
 彼らは現世界にそれぞれ現れた英雄同士である。英雄は現世界に現れた際、記憶の大部分を失っているのが常ではあったが、ふたりには共通の記憶の断片があった。
 この世界に訪れる前、同じ世界でふたりは共に騎士であったのだ。
「海ですか、素敵ですね!」
「今日はガレス卿の『バイト』は休みだと聞いた気がしたのでお誘いに来たのですよ」
 にっこりと笑うベドウィル。ガレシュテインは嬉しそうに頷いた。
「はい、よろこんでお供します!」
 ガレシュテインにとって前の世界でのベドウィルは今と変わらず茶目っ気があり頼れる先輩であったと記憶している。そんな彼の言動は時に唐突なこともあったが、ガレシュテインはそれを嫌だと思うことは無かったように記憶している。現に今も彼の提案にわくわくしているのだ。そもそも性格が合うのだろう。
「いつ出発しますか?」
「思い立ったが吉日という言葉がありますね」
 そうしてふたりはその日の昼には海へ向かって出発したのだった。

 海へ向かう鈍行列車に揺られるふたり。向かい合わせのボックス席で駅前のワゴンショップで手に入れた葡萄を摘まむ。
「甘いですね!」
「旬の季節ですからね」
「そういえば、風も少し涼しくなってきましたね」
「秋ですからね。そう言えば木々の緑も落ち着いて来たような気がしますね」
 現在、九月。夏の間は連日混みあっていたであろう車両も、今は乗客はベドウィルとガレシュテインの二人だけであった。
 先程よりだいぶ弱まった秋の日差しが硝子越しに心地よく、軽い眠気すら感じた。
「美味しそうな林檎も並んでいましたね」
「帰りに買うのもいいですね」
 秋の味覚を楽しみながら──水着を抱えた二人はにこにこと楽しそうに海へと向かう。


●秋の海
 短い鈍行列車の旅を楽しみ、わくわくしながら海辺まで歩いて来たふたり。
 だが、波打ち際まで辿り着くとピタリと足を止めた。
 ──ざっざーん、ざっざーん。
 白く美しく豊かな砂浜、寄せては返す波。……そして、波の中でふよふよと群れて泳ぐ半透明の白っぽい影。
「これは……くらげ、ですね!」
 その生き物の正体に思い当ったベドウィルがぽんと手を打つ。
 よくよく見れば海のあちこちで白いふよふよが群れを成している。秋になって成体へと育ったばかりのくらげたち。柔らかで無害そうだが針や毒を持ち刺されると危険な種類も多い。
「これではさすがに、泳いだりは難しいですね」
 うーんとガレシュテインが困ったように唸る。
 砕けた波の飛沫もだいぶもう冷たい。
 ……これはどう見ても泳げない。
 くらげだらけの海で佇むふたりはようやく気付いた。
 九月が海水浴には季節外れ(シーズンオフ)であったことに。
 ……せめて彼らどちらかのライヴスリンカーが居ればもっと早くにツッコミが入り気付いただろうが、残念なことに現在この場には天然タイプしかいなかった。
 せめて水着に着替える前に気付いたのが幸いだった。
「あれはなんでしょう」
 すぐに立ち直ったベドウィルが足元の砂を指す。
「あっ」
 もこもこと動いた砂の小山から小さなカニが這い出してきた。這い出したカニはガレシュテインの靴の爪先にコツンと当たると慌てて落ちていた貝殻の下に潜り込んだ。
「カニですね」
 そっと貝殻を取り上げると、その下には小さな穴がありすでにカニの姿は消えていた。
「泳ぐだけが海ではありませんよね、ベディ卿」
 ふたたび目を輝かせたガレシュテインの言葉にベドウィルも楽しそうな表情に変わる。
「海岸には興味深いものがたくさんあります」
 さらさらとした砂浜に点々と落ちている貝殻。目を凝らせば小さな生き物たちが動き、時折、海鳥が舞い降りる。秋陽に照らされて光るのは波に磨かれて丸くなった硝子の欠片か。
 ふたりはすぐに砂浜の冒険に夢中になった。
「綺麗ですね。これをお土産にしたら喜んでくれるでしょうか」
 誓約を交わしたパートナーを思い浮かべてガレシュテインが手のひらに貝殻を乗せる。
 真珠色、艶やかなさくら色、オフホワイト、レモン色の巻貝……。
「これは兄様に。これは姉様に」
 砂を払って形の良いものを丁寧に集めるガレシュテインに倣って、いつの間にかベドウィルも砂浜に潜む宝物を集める。
「夏は終わってしまったけど、このお土産は皆も喜んでくれるでしょうか」
 ベドウィルもここには居ない皆の顔を思い浮かべて、それぞれにあったお土産選びを楽しんだ。
 時折、漂着した木の枝を軽く振り回す。潮だまりの傍らに濡らした砂を集めて城のようなものを作る。壁に飾るのは新たに拾った海の宝物、住人は指伝いに招かれた小さなカニたち。
 ふと、巻貝を耳に当てたベドウィルがしっと唇の前で指を立てる。
「聞こえましたか?」
「聞こえましたね」
 真似て、ガレシュテインが巻貝を耳に当てて目を閉じる。
 風の音と共に聞こえるのは、『海の音』。
「……そばの波の音とは違う音が聞こえますね」
 海水浴客の居なくなった浜辺はがらんとしており、ふたりは貸切の砂浜を存分に探索する。


●帰路
 子供のように海を満喫していると、いつの間にかうろこ雲いっぱいの秋空は茜色に染まっていた。
「さて、そろそろ帰りましょうか」
 ベドウィルが言うと砂まみれのガレシュテインも膨らんだ透明なビニール袋を手に立ち上がる。そこには海で集めたお土産が詰まっている。それはもちろん、ガレシュテインも一緒だ。
 お土産の袋を抱えたふたりは、記憶を頼りに暗くなり景色が変わり始めた道を手を繋いで駅へと向かう。
 しかし……。
「どうしましょう?」
 シーズンが終わり無人となった駅舎に張り出された時刻表。その最後に書かれた時間はだいぶ早いものだった。もちろん、それはとうに過ぎており、人っ子一人いない駅舎も線路も闇に沈んでしんとしている。
「これじゃあ帰れないです」
 思案するガレシュテイン。
 このままでは家で待つ皆に心配をかけてしまう。
「なに、大丈夫ですよ」
 心配そうな後輩へ頼もしくそう言うと、ベドウィルはスマートフォンを取り出した。
「──もしもし? 私だよ、悪いけれど今から迎えに来てくれないかな」
 ガレシュテインは信頼の眼差しで先輩を見つめる。
「こんな時もうろたえず颯爽と迎えの手配をしてくださるとは、さすがはベディ卿ですね!」
「少し待ちましょう」
 砂埃を払って、ベドウィルはベンチに腰掛けた。
 ……繋がった電話の向こうで相手の怒鳴り声が聞こえたような気もするが、優しい彼の事だ、きっと迎えに来てくれるだろう。
「今日も一日、とっても楽しかったです」
 同じくベンチに座ったガレシュテインが笑顔を浮かべると、ベドウィルも同じ笑顔で返す。
 ひんやりとした秋の風がベドウィルの長い髪を巻き上げた。あちこちに付いた浜辺の砂粒から海の香りがした。
「ええ、私もです。また出かけましょう」
 ──そういえば、少し、陽が落ちるのも早くなった気がします。暑いと思っても秋は確実に来ているんですね。
 秋が深まったら今度は山で紅葉を見に行くのも楽しいかもしれない。
 さっき話した林檎を探しにいくのもいいかもしれない。
 たぶん、このふたりなら何か起きても楽しく過ごせそうな気がした。

 ベンチに座ったふたりがなんとなくうとうととしかけた頃、すっかり暗くなった駅舎の外にヘッドライトの光が走った。
「さあ、帰りましょうか」
「そうですね」
 ベドウィルとガレシュテインは互いに顔を見合わせると、砂まみれのお土産たちを大事そうに抱え直した。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa4663hero001/ガレシュテイン/男性/外見年齢16才/ブレイブナイト】
【aa4592hero001/ベドウィル/男性/外見年齢24才/カオティックブレイド】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ご依頼ありがとうございました。
ガレシュテインさんとベドウィルさんの秋の海遊び、いかがでしたでしょうか。
予定外のことが起きても自分たちのペースで楽しめるところや、お土産を選ぶおふたりがとても素敵だと思いました。
こちらについて何かありましたら、OMC側を通してになりますがご連絡をよろしくお願い致します。
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2017年10月17日

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