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『我が愛しの生まれ変わり  』
杏子aa4344)&カナメaa4344hero002

 夢から覚める瞬間とはいつも名残惜しい。
 まるで暖かな母の胸から引きはがされるように胸に痛みを覚える。
 それは夢の中の自分が本当の自分だったような。今の自分が偽物で、無理やり生まれ変わらせられてしまったかのような。
 不確かで自分ではどうしようもない感覚。
 そんな感覚が『杏子(4344@WTZERO)』を襲う。
 けだるげに起こした体、重力が何倍にも感じられる。
 時刻は夜。空には月。
 空気が冷たく感じられた。疲れて寝てしまったのだが、体が痛い、寝違えてしまったのだろうか。
「歳にはかてないね」
 そんな年を全く感じさせない杏子が告げる。
 首に手を当て周囲を見渡す、すると真っ先に目に入ったのは窓辺だった。
 その月が見える大窓の淵に、一人の少女が座っていた。
 見とれてしまうほどに幻想的な少女。銀糸の髪は月の光を受けて輝き、冷たい瞳は儚げで、そんな彼女は杏子を一瞥するときょとんと首をかしげて見せた。
「あんた、夢の中の」
 そう、杏子の夢の中に出てきた空飛ぶ巫女、その姿とうり二つ。
 であれば彼女が夢の少女と同一だと思っていいだろう。
 突然の出来事に驚く杏子だが、恐る恐る何者かと尋ねるのだった。
「我はカナメ、伏見家の始祖」
 そこで杏子は思い出す、彼の言葉。山に消えた少女。
 まさか、そんなあのお話の少女が時代を超えてやってきたとでも言うのだろうか。
「カナメちゃんだね、一体どうやってここに?」
 杏子が頭に手を当てながら起き上がると『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』はそんな杏子を制して隣に座る、別途のスプリングが歪む気配を見せない。
 質量が無いのだ、であれば幽霊か、魔性の類か。
「いや、違うね、あんたは英雄だ」
 その言葉にカナメは小さく微笑んだ。
「その通り、並行世界の伏見家からやってきた」
「この世界ではないの?」
「それはいろいろな理由でありえん」
 断言するカナメ。
「まあ、我がありえんと思っているだけかもしれんが」
 並行世界のご先祖様にあった。そんな実感が杏子にあったわけではないがなんとなく気おされてしまう杏子である。
「じゃあ、あなたは神様にお嫁に行った……」
「いや、その娘じゃな」
「なぜこっちに」
「不本意じゃが」
 カナメは眉根を寄せて語りだす。
「修行のために」
「修行?」
「守る為の力を付けるのに必要だと言われ、父である白龍に言われ、送られこの地まで参った」
 あの神は白龍という名前だったのか。そう杏子は納得する。
「聞いたところ、この世界は異世界からの侵略を受けているという話。修行にはもってこいじゃろう。とな」
 はた迷惑な話だ。
 あきれ返りながら杏子は思う。これが本当にご先祖様なのだろうか。
 だが、杏子がこれから目にする真実は、この少女が先祖かどうかどころの騒ぎではない。
「あんた、それ本気で言ってるのかい?」
 杏子は半信半疑の視線を向ける。その言葉を受けてカナメは溜息をつきつつ話を再開する。
「じゃが、この世界に来て安心した。伏見の血が続いているのはいるのだから。しかしあの薙刀が盗まれたのはいただけん。あれを易々と盗まれてしまうとは何とも情けない」
「それは、まぁ確かに、そもそも盗む人がいたことに驚きなんだけどね」
 そう杏子は苦笑いを浮かべる、するとカナメが杏子の視線を追った。
「自分も取り返すのに協力したいがこのままではダメだ」
自分の手のひらをまじまじと見つめるカナメ、その掌にうっすらと杏子が透けて見える。 
 限界が近いようだ。英雄は契約者無しではこの世界に存在できない。
「誰かと契約を交わさなければならないのだろう?」
「そうだねぇ、難儀なことにね」
「実家の者とするのも考えたが、お前を見かけて確信した。お前しかいない」
 杏子は納得する、伏見の家での不思議な感覚、見られているような、自分たちではない誰かがいるような
「なぜあたしなんだい?」
 そう告げた杏子の言葉を無視して、要は小さな手を差し出した。
 自分の半分ほどしかない手。
 自分の子供の小さい頃を思い出して、杏子はその手をきゅっと握りしめた。
「契約内容はどうするんだい?」
 契約を果たすのはこれが初めてではない。第一英雄と結んだ契約、それと相反さない類似した契約である必要があるが、それはこの少女はわかっているのだろうか。
「そうだな」
 一通り悩んだ挙句カナメは頷き、杏子へと高らかに告げた。
「誓約の内容は『自分の修業に付き合う事』でどうかな」
 つまり共鳴して戦えば達成される。
「ああ、いいだろう。問題ない」
 告げると二人を光が覆ったその光は集約し、二人が繋いだ手の間に幻想蝶が生まれる。
 これで契約は完了だ。
 めでたくカナメは杏子の第二英雄となった。
「で、なんであたしを選んだんだ。薙刀を取り返すならあいつでも」
 そう自分の弟を思い出しかけたのだが。
 カナメはそれではだめだと告げる。
「理由か? それはだなぁ」
 要は不敵に笑うとカナメは告げる。
「見た瞬間に分かった。お前は私の生まれ変わりだ!」





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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『杏子(4344@WTZERO)』
『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海でございます。
 この旅はOMCご注文ありがとうございました。
 今回はやっとこさお目見えしたカナメさんという事で若干緊張しながら書きましたが、気に行っていただければ嬉しいです。
 それではまた任務でお会いしましょう。
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2017年11月06日

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