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『富貴花が咲く日に 』
龍崎・カズマka0178

●宿にて
「うん。いいね、カズマ君。そうそう、もう少し強く、して♪」
 ワザとらしく色っぽい声を発する鳴月 牡丹(kz0180)の背中を、俺――龍崎・カズマ(ka0178)――は、熱いタオルで拭く。
 女性らしい柔らかい肌の感触が指先から伝わってくる。時折、戦での傷跡に引っかかるが。
 どうしてこうなったのかと言うと、先の依頼で重傷となった牡丹のお見舞いに来たのが始まりだった。
「今日はノゾミ君が出掛ける予定だったから、助かったよ」
「押し付けられた感じだったが……」
 普段の世話はノゾミという少女が行っていたが、所用があったらしい。
 そこへ現れたのが俺だった。少女はこれ幸いとばかりに看病を押し付け、含みのある笑みで「帰りは遅くなります」と告げて居なくなった。
 そんな訳で、俺は、掃除洗濯は当然の事、療養食も作り、そして、今は牡丹の身体を拭いているのだ。
 入浴する事が難しい場合、熱いタオルで体を拭いて清潔を保つのだ。覚醒者が如何に人間離れした力を持っていたとしても、こうなれば、一般人と変わらない。
「カズマ君はさ、何でも出来るよね」
 そう言いながら、牡丹がポフっと躰をベットの上に伏せる。
 背中の次は腰やそこから下を拭けという事なのだろうか。というか、尻まで拭けという事か?
「まぁ、牡丹よりかは、な……」
 俺は思わず苦笑を浮かべた。
 牡丹は洗濯以外、碌な事にならない。物凄く危険で、とんでもないものを食べさせられたのは、昨年の夏頃の話だっただろうか。
 食事を作れば意味不明のナニが出来上がるし、片付けをすれば、逆に散らかっていく。おまけに教えたとしても、ちゃんと身につかないだけではなく、本人はこれで完璧と思ってしまうという、手に負えない状態になるのだ。
「羨ましいな……ボクは戦う事しかできない」
「良いんじゃないか。それが、牡丹なんだろう」
 正直言うと、牡丹の強さは覚醒者として相当なものだし、それに、出来ない事があるのも、また可愛らしい一面でもある……なにより、そうとしか慰めの言葉が思いつかない。まさか、二度と家事をやるなとは言えんだろうし。
 お湯に浸かしたタオルを再び絞り、俺は牡丹の細い腰から下を丁寧に拭く。
 というか、本当にここまで拭いていいのか……お尻柔らかいし、弾力あるし。
「カズマ君……あ……そこ、腿の付け根、気持ちいい」
「腿とか脹脛のマッサージは良いらしいな」
「うん。凄く良いよ……んぅ……もっと、やって……」
 だから、妙に色っぽい声を出すなと俺は心の中で叫ぶ。
 大体、俺は身体を拭いているだけで、マッサージ屋ではない。
「いつも依頼では、慌ただしいから、こうやって、ゆっくりできるのいいよね」
 牡丹がそんな事を言う。
 ゆっくりゆったりだが、男には、とんだ拷問だ。
 俺は最大級の拷問に耐えながらも、なんとか足先まで拭き終わった。
「よし、残りは前だけだな」
 そう言いながら、再びタオルを湯を付ける。
 背後で牡丹が動く気配がした。
「それじゃ、前もよろしくね」
「え?」
 我ながら思わず間抜けな言葉が出たと思う。
 振り返ると、薄掛けが申し訳なさげに掛かっている程度で、牡丹が仰向けになっていた。
 そそり立つ巨大な双山が目に飛び込んでくる。
「『え?』じゃないよ、カズマ君。前も拭いてよ」
「前ぐらいは自分で拭けるだろう」
「あー。いたたたたー。うでがー。いたいー。からだがー。うごかないー」
 どうしても、俺に拭かせる気だ、この女。
 大体、腕も躰も動かない状態でどうやって寝返りしたというのだ。
「俺は遠慮してだな……」
「唇を奪った癖に、今更ー」
 流石にそれを言われると俺は言葉が出てこない。
 だが、あれは緊急事態だった。目の前には歪虚だって居た訳だし。
「あの時は、冷や汗をかいた。まさか、女将軍が血だらけだと思いもしなかったからな」
 領主の館に踏み込んだ俺は、歪虚によって倒された牡丹を見つけた。
 応急手当だけでは効果が薄いと判断して、ヒーリングポーションを口移しで飲ませたのだ。緊急事態であって、他意は無かった……多分。
「あれは、油断したねー」
「笑いごとじゃないだろう」
「でも……カズマ君、本当にありがとう」
 恥ずかしいのか顔を窓へと向ける牡丹は言葉を続ける。
 窓から見える外の風景には富貴花が沢山、咲いていた。
「……強ければそれだけで良いと思ってた……。でも、違うんだって、カズマ君やハンターの皆と、あの街での出来事で解った。人は、皆で強くならないといけないって」
「そうだな……」
 それは大変な事だろう。だから、俺は肯定も否定もしなかった。
 ただ、牡丹がそれを目指すというのなら、俺がやる事は決まっている。
「で、ボクはいつまでこの姿勢のまま、待っていればいいの?」
 視線を俺へと戻して牡丹は挑発するように言った。
 これは、やらなければならないだろう。まぁ、役得といえばそれまでだが。
「しょうがないな」
「ノゾミ君には黙っておくよ」
 偉そうな牡丹の台詞を俺は聞き流した。
 きっと、人の反応を見て楽しんでいるに違いない。
 首元へとタオルを当てた時だった。俺の脇を、牡丹が唐突に引っ張って抱き寄せた。
 俺は前に体重を掛けていたのもあり、成すすべもなく、牡丹に覆いかぶさる。
 とても……顔が近いです、牡丹さん。
「ふふふ。油断したね、カズマ君。一つの部屋に若い男女が二人っきりなんだから」
「……その台詞を言うのは、普通、逆じゃないか」
 俺は思わず、生唾を飲み込んだ。
 牡丹の赤い瞳が妖しく見える。吸い込まれそうな深い赤色に。
「ねぇ、もう一度、してくれない。ボク……よく、覚えていないんだ」
「これじゃ、看病にならないな」
 ここまで拷問に耐えてきた訳だし、俺は覚悟を決めて唇を牡丹に重ねた。
 そして、薄掛けの中へと俺は入ると、牡丹の耳元で囁く。
「また、後で清拭だぞ、牡丹」
「分かってるって。それにカズマ君も次は一緒でしょ」
 どうも主導権が奪われている気がした俺は、主導権を取り返す為に、唐突に唇を合わせたのだった。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka0178/龍崎・カズマ/男性/20/疾影士】
【kz0180/鳴月 牡丹/女性/24/格闘士】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっています。赤山です。
『【魔装】富貴花が咲く頃に』の後日談のつもりで書かせて貰いました。
最初は、超シリアスな展開を考えていたのですが、書いている途中から、方向性が段々と違う方向へ進み、まぁ、カズマ君&牡丹だし、しょうがないよね! って、なり、このような形で落ち着きました。
二人らしさが出ていると私自身は思っています。とても、楽しく書かせて頂きました。
というか、カズマ君とその場所、交代してほs(略

この度は、ご依頼の程、ありがとうございました。
お気になる点があれば、お気軽にリテイクをお申し付けください。
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ファナティックブラッド
2017年11月13日

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