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『種子島カマキリ伝説 〜新章、プロジェクトK〜』
香奈沢 風禰jb2286


「種子島よ、カマふぃは帰って来たなの!」

 思い返せば苦節何年だったか、過ぎたことはもう忘れたなの!
 カマキリは後ろを振り向かないなの!

 そんなこんなで、カマふぃこと香奈沢 風禰(jb2286)は、この度めでたく種子島宇宙センターの職員として新たなスタートを切ったなの! わーーー!(どんどんぱふぱふ

 カマふぃの制服は就職祝いに貰った新型のカマ着ぐるみなの!
 家族や友達がお金を出し合って作ってくれた、JAXAカラーの青色が爽やかな特注品なの!

 そして記念すべき初仕事はもちろん、センターのロビーど真ん中にカマキリグッズコーナーを作ることなの!

 え、だめなの?
 どっちも?


「カマふぃの宇宙カマキリ生活は初日にして早くも暗礁に乗り上げてしまったなの」
 しょぼーーーん。
「今やカマふぃはただのフィーなの」
 センターの偉そうなおじさんに怒られたフィーは、食堂で傷付いた心を癒してたなの。
 今のフィーには安納芋パフェのトロける甘さだけが心の拠り所なの。
 と思ったら、懐かしい声がしたなの。
「新人くん、初日から派手に飛ばしてるね……ここ、いいかな?」
「爽さんなの! お久しぶりなの! どうぞなの!」
 コーヒーを片手に正面に座ったのは、宇宙センターの先輩職員、涼風爽さんなの。
 名前の通りに爽やかなお兄さんなの。
 フィーは歓喜のダンスで歓迎しようと思ったけど、あれはカマふぃ状態でしか表現できない繊細な芸術なの。
 仕方ないから普通に手を振ったなの。
「さっそく所長に大目玉食らったんだって?」
 爽さんは席に座るなり、そう言って思い出し笑いみたいにニヤニヤしたの。
 人づてに聞いたみたいな言い方してるけど、本当は近くで見てたに違いないなの。
 でも、あのおじさんが所長さんだったなんて知らなかったなの。
 そういえば、どこかで見たことある気がするなーって思ってたなの。
「所長のおじさん、ひどいなの。青カマの着ぐるみも、カマキリグッズコーナーもだめって怖い顔して怒るなの」
 ついでに言うと、新作のカマぽすもだめって言われたなの。
 理不尽なの、納得いかないなの、だってフィーが昔お願いしたカマぽすは今でもセンターの玄関に貼ってあるなの。
「あのポスターは、ほら、お客様のご要望だからね」
「今のフィーはお客様じゃないから、カマぽすもグッズも着ぐるみもだめなの?」
「そういうことだね。ここは宇宙センターだし……正直、カマキリとは何の関係もないからね」
「所長おじさんもそう言ってたなの。カマキリは宇宙と関係ないだろうって、関係ないものは持ち込み禁止だって……学校の先生みたいなの」
 カマキリも宇宙の一部なの、全ての命は宇宙と繋がってるなのって力説しても、聞いてくれなかったなの。
 このままじゃ、あいでんててーの危機なの。
「こんなことなら、お客様のままでいたほうが良かったなの」
「あれ、ずいぶん諦めが早いんだね」
「だって八方塞がりなの、四面楚歌なの、前門のカマ後門の大アゴなの!」
「そうでもないと思うけどな」
 爽さんは暫く考えて、悪戯っ子みたいに笑ったなの。
「関係ないなら、関係あるものにしちゃえば良いんじゃない? フィーちゃんがカマキリ型の宇宙服で月に行く、とか」

 カマキリ、月に立つ。
 おぉ、なんか字面を見ただけでインパクトがすごいなの!

「話題性は充分だし、関連グッズを作れば飛ぶように売れるんじゃないかな」
 つまり、堂々と宇宙センターの公式グッズとしてカマキリ推しが出来るってことなの!
「そのアイデア貰ったなの! フィー、宇宙カマキリになるなの! 今すぐ宇宙に飛び立つなの!」
「うーん、今すぐってわけにはいかないなぁ」
 爽さんは困ったように笑いながら遠くを見たの。
「実は俺も順番待ちなんだ」
「爽さんも宇宙行くなの!?」
「うん、でもね……」
 天魔との戦いが終わって平和になった今では、宇宙センターの活動も殆ど元通りになってるなの。
 でも爽さんによれば、復興とか交流とかが優先されて、宇宙開発にはあんまりお金が回ってこないそうなの。
「ロケットなんて飛ばしてナンボみたいなものだから、本当はすぐにでも打ち上げを再開したいし、有人宇宙飛行だって予算さえあれば出来る状態なんだけどね」
「ふむふむ、まずは資金集めが大事なの! そういうことなら任せてほしいなの!」
 フィー、いいこと思い付いたなの!
「プロジェクトKは今から第二段階に入るなの!」
 KはもちろんカマキリのKなの!


 能あるカマキリはカマを隠すなの。
 その日から、フィーは真の姿を封印して真面目にコツコツ働き続けたなの。
 努力とアピールの甲斐あって、宇宙センターの見学案内の時だけはカマふぃになっても良いって許可もらったなの!
 フィーがあんまりうるさいから所長おじさんが根負けして自棄になっただけだなんて、そんな噂はただの噂なの!
 次の目標は、このままなし崩し的にいつでもカマふぃを認めてもらうことなの!
 見学に来たお客さんの評判も良いし、きっとその日は近いなの!


 そんなある日のことだったなの。

「やふー! カマふぃひっさしぶりー☆」
 リコさんが種子島に遊びに来たなの!
 お出迎えの時は非番だったから、もちろんフィーはカマふぃだったなの!
「はいこれ、お土産と約束のブツだよっ!」
「ありがとなの! 助かったなの!」
 お土産は久遠ヶ原名物の闇鍋セット、約束のブツっていうのは幼稚園の子供達に作ってもらったカマキリグッズなの!
 リコさんは今、幼稚園の先生してるなの!
「でも、ほんとにこれで良かったの? お父さんやお母さん達にも協力してもらえば、もっとちゃんと売れそうなもの作れるよ?」
「ううん、これが良いなの!」
 リコさんの言う通り、カマふぃのカマ目で見てもグッズはあんまり売れそうもないと思ったの。
 お絵かきの時間に描いたカマキリの絵を使った缶バッジとか、フェルトのマスコットとか指人形とか、折り紙とか、どれもみんな前衛芸術みたいなの。
 解釈が難解すぎて普通の人には理解してもらえないかもなの。
 でも、カマキリスキーにはきっとわかるなの、カマふぃにも伝わったなの!
 それにこの芸術を理解出来ない人にも訴えるモノがあるなの。
 大人は子供達が頑張る姿に弱いものなの。子供達が一生懸命作ったって聞けば、財布の紐なんかユルユルなの!
 ついでに所長おじさんの石頭もトロットロなの!
「そっか、じゃあこれで計画はバッチリだね!」
「バッチリなの!」
 グッズは他にも、爽さんに頼んで近所の孤児院「ひまわり園」の子供達にも作ってもらってるなの。
 ひまわり園には大きい子もいるから、グッズもクオリティ高いなの。
「リコさん、このまま所長おじさんのところにお願いしに行くなの! 女の子ふたりなら、きっとメロメロなの!」
 ひとりはカマキリだけど、所長おじさんもそろそろカマ女子の魅力に気付いてると思うなの!


「香奈沢、何度言えばわかるんだ。カマキリは宇宙にも宇宙センターにも――」
「関係あるなの!」
 耳タコのお説教に、カマふぃは決然たる態度で言い返したなの。
「これは宇宙センターを応援する子供達が作ってくれたなの! みんなの想いが込められたものなの! その想いの結晶が、たまたまカマキリだっただけなの!」
「いや、しかし」
「もっと本質を見るなの! でっかい宇宙を目指す人が、そんなちっさい心でどうするなの!」
「前例が」
「宇宙開発は常に前人未踏の領域への挑戦なの! フロンティアスピリットなの!」
 それに子供達の応援は未来に繋がる大事な財産なの。
「これを作ってくれた子供達が大きくなって宇宙キライになったら、宇宙センターに未来はないなの!」


 こうして、宇宙センターのロビーの隅っこに晴れてカマキリグッズコーナーが設置されたなの。
 カマぽすも新しくなったし、カマふぃもいつもカマふぃでいられるようになったなの。

 グッズコーナーで資金を集めて、次の目標は月旅行なの!

 そんなこんなで、カマふぃは今日も元気なの!!
 カマふぃの今後の活躍に乞うご期待なの!!


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【jb2286/香奈沢 風禰/女性/外見年齢それなり歳/目指せ宇宙カマキリ】
【jz0318/リコ・ロゼ/女性/外見年齢20歳/リコせんせい】
【NPC/涼風 爽/男性/外見年齢30歳/宇宙センターの先輩】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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いつもお世話になっております、STANZAです。
この度はご依頼ありがとうございました。

未来のお話ということで成長具合が不明だったため、データの年齢設定は「それなり」ということにさせていただきました(

「カマふぃの活躍はオマケに続くなの!」

口調や設定等、齟齬がありましたらご遠慮なくリテイクをお申し付けください。
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エリュシオン
2017年11月27日

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