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『『理想の休日』 』
アレスディア・ヴォルフリート8879

「紅葉狩りに行こう、アレス」
「もみじ……狩りか」
「いや、ハンティングじゃないぞ? 弓矢とか武器とか持って来んなよ!?」
 真剣に言うディラ・ビラジスに、アレスディア・ヴォルフリートは笑みを向けた。
「解っている。紅葉を観にいくのだろう? だが、山に行くのなら武具は必要だ」
「はいはい、山じゃなくてもだろ」
「いかなる時でも、護れるようにな」
 そんなアレスディアの言葉に、ディラは苦笑しながら頷く。
 ともあれ、紅葉シーズン真っ只中の休日に、ディラは鮮やかに染まる山へとアレスディアを連れ出すことに成功した。

 バスに乗り、美しく染まった山を堪能しながら2人は温泉宿についた。
「この宿の露天風呂から見える景色が絶景だそうで。ここの郷土料理も絶品だそうだ。たまにはこういった場で、心と体を休めねーとな」
 そんな彼の言葉に、アレスディアは素直にうなずいた。
 肩を並べて宿に入り、名簿に名前を記していると……。
「キャンセルが出まして、家族風呂が空いていますが、如何ですか?」
 従業員がそう声をかけてきた。
「どうする、一緒に入るか?」
「ばっ、馬鹿を言うな」
 ディラがからかい口調で言うと、アレスディアは頬を赤く染めた。
「部屋にもお風呂ありますから、よろしければご利用ください」
 従業員がくすりと笑みを浮かべながらそう言い、頭を下げた。
 2人はそれぞれ浴衣を借りて、露天風呂に入って景色を楽しみ、そして……。

「ほんと、美味しそうだな」
 湯があり、浴衣姿の艶やかな彼女が、食事が用意された個室に入ってくる。
「女湯の方はどうだった? 男湯の方は凄かったぞ。色鮮やかに染まった山に、圧倒された」
「女湯の方も凄かったぞ。庭園の木々が美しく染まっていた。塀が邪魔をして遠くの景色はあまり見れなかったがな」
「そうかー。それじゃあとで、混浴入ろうぜ。湯着の貸し出しもあるそうだし」
「んー……そうだな」
 湯上りでほんのり赤く染まっていた彼女の頬が更に赤くなり、ディラは胸を高鳴らせる。
 彼女がご飯をよそってくれて、2人は一緒に食事を楽しんでいく。
 料理はアレスディアの口にあったようで、彼女の顔が幸せそうに緩んでいた。
 そんな彼女の姿を見るディラの心の中にも、喜びの感情が広がっていく。
「なあ……今晩、泊っていかないか?」
 食後に軽く酒を飲んだ後、ディラは彼女に寄り添いそう尋ねた。
「明日は仕事だぞ」
「朝一で帰れば、間に合うさ。時には体を休ませることも大切だろ? 朝までここで、2人で……のんびり過ごそう」
 切なげに甘く、ディラはアレスディアに囁きかけた。
「のんびり、か……それでいいのか?」
「ん?」
「私は……」
 アレスディアは恥ずかしげに眼を泳がせている。
「激しい方が、好きなんだが」
「……!?」
「こんな風に……!」
 アレスディアがディラに抱き着いてきた。
 そして、強く激しく――首を絞める。
「うぐぐぐぐっ」
 決して逃れることが出来ない、見事な三角絞めだった!

「ディラ殿、大丈夫か!?」
 体を揺すられて、ディラは目を開いた。
「あれ? 温泉……」
「温泉? 相当疲れているようだな。今日はもう帰って休め」
 心配そうに自分を覗き込むアレスディアの姿がそこにあった。
 その向こうには空が見える。
「あ、ああそうか」
 仕事の昼休憩に、公園のベンチで弁当を食べていたのだが。
 太陽に光がとても暖かく気持ちが良くて、そのまま眠ってしまって転がり落ちたらしい。
(そうだよなー。アレスはあんな反応しねーよなー。『混浴か? ならば安心して入れば良い。私はここで護ろう』みたいな反応だよなー)
 ため息をつき、苦笑しながらディラは体を起こす。
「単なる転寝だ。べつに疲れてはいない」
「それならよかった。だが、無理はするなよ」
「アレスの方こそな。……というかさ、今度温泉にでも行かないか?」
「なるほど、温泉地の警備か。ちょうど今頃は、観光客で賑わっているだろうからな」
 当然の反応に、ディラは苦笑しながらも納得する。それでこそ、アレスディアだと。
「む、汚れているぞ」
 服についた土を、アレスディアが払いのけてくれた。
「やはり、少し疲れてるんじゃないか? 温泉地での仕事の後、温泉に入ってくるくらいの時間はとれるだろう」
 そして、彼女はディラに優しい微笑みを向ける……。
「……ああ」
 まぶしそうに彼女を見詰めて、ディラは頷いた。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/外見年齢/職業】
【8879/アレスディア・ヴォルフリート/女/21/フリーランサー】

NPC
【5500/ディラ・ビラジス/男/21/剣士】


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの川岸です。
構想を練っていて思ったのですが、彼は現実のアレスディアさんを想っているので、理想もそこまで大きくは違わない気がします。
今回は、こんな反応にぐっとくるという、ディラの妄想の物語となりましたが、大丈夫でしたでしょうか。
あ、最後の寝技は勿論理想ではないです(笑)。
ご依頼ありがとうございました!
WTアナザーストーリーノベル(特別編) -
川岸満里亜 クリエイターズルームへ
東京怪談
2017年12月15日

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