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『 クリスマスとバースデー 』
宮ヶ匁 蛍丸aa2951)&西大寺遙華az0026)&詩乃aa2951hero001)&麻生 遊夜aa0452)&水瀬 雨月aa0801)&橘 由香里aa1855

プロローグ
 トナカイの足音が彼方より響いてきそうな、しんっと寒い冬の夜。
 一日の業務や明日の準備など終えた『黒金 蛍丸(aa2951@WTZERO)』はなんとなしにカレンダーを眺める。
 湯気を頭から上らせながらバスタオルを肩にかけると十二月にはクリスマス以外の意味もあった気がしてくる。
 そんな蛍丸の様子を眺めてピンっと来た『詩乃(aa2951hero001@WTZEROHERO)』はカレンダーのある部分に丸を書いた。
「そうなんですよ。遙華さんの誕生日です」
 その日付は彼の友人である『西大寺遙華(az0026@WTZERO)』の誕生日。
 クリスマス後。正月前という大変微妙な時期ゆえに忘れられがちだと本人も言っていた記憶と共に思い出される。
「すぐにクリスマスの準備をしましょう」
 そうスマホを取り出し誰かの番号を呼び出す蛍丸。
 幸い、遙華の親しい人物と自分の交友はかなり重なるので。来てくれそうな人は沢山頭の中に思い描けた。
「ええ、でも夜ですよ、蛍丸様」
 止める詩乃。
「ええ、でも時間もないので」
 告げると蛍丸はコール音の間に短く、詩乃に向かってこう告げた。
「少し距離を置いていた時期のお詫びもかねてゆっくり話したいと思っていましたし。あ、声掛けはしておくので細かいスケジュールは詩乃の方でお願いします」
「え! 蛍丸様! だって私あまりそのようなことしたことが無く……」
「大丈夫です、丸投げするわけではないですから」
「それより僕はこちらに専念しなければならない理由があるわけで。」
 蛍丸が考えていたのは人間関係と、その心情、影響、相互関係の話である。
 蛍丸と現在付き合っている由香里。彼女は同時に遙華とも仲がいいのだが、二人が付き合ったことで距離が微妙に開いてしまい、それを埋める意味や……他には自分一人で遙華の誕生日を祝うと角が立ちそうだ、という事。
 また、万が一の場合に備えて、他の人間も呼んでおきたいと考えたこと。
 これ以上三角関係がもつれるのは非常にまずいわけである。
 なので蛍丸は友人たちを招き、サプライズパーティーで盛り上がろうと思った次第だが。
「うう、不安です、蛍丸様」
 それが成功したかは当日のお楽しみとなりそうだ。

本編 クリスマスも、誕生日もあまり変わらない感覚

 その日、遙華の事は家でみんなであそぼうという名目で詩乃が誘った。
 詩乃から電話を受けた遙華は上ずった調子で「絶対スケジュール開けておくわ」と言っていたので、あまり友達と遊ぶ機会が無いのかもしれない。
 誕生日だと気が付いている様子はなかったため、前提条件は全て満たしたと、詩乃は蛍丸に報告する。
「来ましたよ、蛍丸様」
 詩乃がそう遙華の気配を察知して玄関まで向かうとちょうどチャイムが鳴らされた。
 あえて玄関の電気を落す。
「蛍丸、私よ。遙華よ」
 そんな声を上げる遙華に、蛍丸が「入ってきていいですよ」
 そう告げると。恐る恐る扉を開けた遙華に向けて全員でクラッカーのひもを引いた。
 ぱんっと軽快な音と共に電気が付けられ、木霊するハッピーバースデーの声。
 驚きで目を見開いた遙華の瞳にはよく知った顔がいくつも写っていた。
『麻生 遊夜(aa0452@WTZERO)』や『橘 由香里(aa1855@WTZERO)』そして『水瀬 雨月(aa0801@WTZERO)』。
「こ、これは?」
 まだ状況が理解できない遙華。その遙華へ歩み寄って雨月がその体を抱きしめた。
「今日はお祝いしようって、黒金さんに誘われたのよ」
 雨月に抱きしめられるとなんとなく大人しくなる遙華である。そのまま遙華は抵抗せずに「そうなの」とだけつぶやいた。
「遙華さんって、水瀬さんといると大人しいですよね」
 蛍丸が告げる。
「普段から大人しいじゃない、この子」
 雨月が告げると遙華は言った。
「なんとなく、落ちつくの」
 そんな遙華の手を引いて雨月はキッチンを指さした。
「改めて誕生日おめでとう、ケーキを買ってきてあるわ」
 そう雨月や他のメンバーに連れられてダイニングまで移動する遙華である。
「これで西大寺さんも一つ大人に近づいたわけだ。大人はいいぞ。自由で」
 そう笑うのは遊夜である。
「あら、遊夜が言うならきっと自由なのでしょうね。でも私は大人になってもグロリア社の業務から逃げられる気がしないわ」
「それは残念な反面、安泰というか。そう言えばエリザはどうなった?」
「その調整をしていたところで、実はハード的にはもう動いても問題ないはずなのだけど、なぜか目覚めなくて」
 そんな雑談に興じていると、詩乃が飲物を運んでくる、全員に飲物がいきわたったなら蛍丸が挨拶を……と思いきや。
「実は今日、この会のために動いてくれたのは詩乃なんですよ」
 そう蛍丸は告げると詩乃に挨拶を変わった。
「え? えっと……その」
 顔を赤らめて俯く詩乃。だがグラスは高く掲げていて、やがて決心がついたのか、短く。
「遙華さん、生まれてきてくれてありがとうございます! 乾杯!」
 そんな少し大げさなあいさつで場をまとめた。
「みんなありがとう」
 そうグラスを抱えて照れ臭そうに笑う遙華。
 そんな遙華をじっと由香里が眺めていた。
「由香里も、今日は来てくれてありがとう」
「ううん、私も祝ってあげたかったから、しばらく話せてもいなかったし」
「確かにそうね。お互いにいろいろ忙しかったし」
「なんとなく気まずかったしね……」
 そう由香里が告げると、二人は深いため息をついた。
 蛍丸はそれに苦笑いを返すことしかできない。
「まぁ、それも今は忘れましょう、せっかくの誕生日だし」
 その言葉で由香里は思い出したように手を叩く、そしてポケットからちいさな個ずつ身を取り出した。
「これは?」
「誕生日プレゼントよ、開けてみて」
 それは小さな箱で、中に納まっていたのはターコイズをあしらった普通の指輪。
「魔法はかかってないわよ」
 その言葉に遙華は笑みを浮かべた。
「ふふふ、あなたが送ってくれたというのが一番の魔法よ。だってこんなに嬉しい。あ、そうだ。ねぇ、由香里は最近どうしていたの? いろいろ聞きたいわ」
 由香里は遙華からの質問を受けると一瞬腕を組んで考え込む。
「そうね、四国の事件に出向いていたり。因縁の相手を追っていた……かしら。まどろみ……なんて愚神もいて」
 そのまどろみ、という言葉に詩乃の背が跳ねる。
「そう言えば、一度一緒だったことがあったな」
 遊夜が思い出したように告げた。
「ええ、あの悪夢の世界ね。グロリア社関連の物にはあんまり参加できてないけど。遙華はずっと会社の仕事で飛び回っていたの?」
「ええ、そうね、イベントをやるにしても人が足りなくて。てんてこ舞いよ」
「私も協力してあげられればいいのだけど。歌に関しては自身が無いから」
「そうねぇ、最近はもっぱらアイドル関係のお仕事ばかりだし、でも今度温泉旅行を計画してるから、都合がよければ参加して。全部経費で落とすから大丈夫」
 それは犯罪なのでは、そう冷や汗を流す蛍丸。
「雨月も良かったら」
「ええ、お仕事が無ければ一緒させてもらうわね」
 そう頷く雨月。
「それにしても遙華は年末年始のこの時期によく休みが取れたわね。去年と一昨年はすごく忙しそうだったじゃない?」
 そう問いかける雨月。
「そう言えば、この中では遙華さんと一番付き合いが長いのが水瀬さんですか、最初に逢った時はどんな感じだったんですか?」
 雨月は蛍丸の言葉に考え込むと、ひとつ何事かを思い出したようにつぶやく。
「泣いてたわね」
「泣いてない!」
 食い気味に叫ぶ遙華。
「自分の作戦が失敗したって泣いていて、それを慰めたのが最初の出会いね、今ではあの時の印象と違って、ちょっと大人になったと思うわ」
「私は、元から泣かないし、大人よ!」
 顔を赤らめてそっぽを向く遙華。
「へぇ、そんな出会いをしたら印象もまた違うでしょうね」
 由香里が告げる。
「印象なんて付き合ってるうちに変わるものでしょ? 由香里と、私みたいに」
 そう遙華がドリンクを飲みほして、頬の熱を冷まそうとテーブルの上のボトルに手を伸ばす。
「そう言えばこの時期が生まれだと。クリスマスやお正月が近くて誕生日が他の行事に統合されそうね。哀しい事にならない?」
 由香里がそう問いかけた。
「お察しの通りよ」
 そう遙華は苦笑いを浮かべる。
「というより、忘れ去られるのよね。私も忘れてたくらいだし」
「そんな西大寺さんに、俺からプレゼントだ」
 そう遊夜は小箱を遙華に差し出した。
「うわぁ、ありがとう!」
 遙華は喜んであける、全員の視線が注がれた、中身が気になるのだろう。
「家族会議の結果、休養と効能を鑑み『美人の湯巡り』をプレゼントする方向で決定!」
 包みを解けば木箱が収まっている、中にはカラフルな小袋と日本各地有名な温泉のもとが入っていた。
「ふふふ、お風呂の時間が長引きそうね、大切に使わせてもらうわね。ユフォアリーヤにもお礼を言いたいんだけど、今日はいないのね」
「ああ、病院にな」
「どこか悪いの?」
 不安げに遊夜の顔を覗き込む遙華。
「いや、産婦人科だ。その……。な。ほら。あれだ。子供がな」
「え、あ。その。おめでとう!」
 祝うつもりはあるのだが、思春期にはちょっと刺激的な話題らしく目を泳がせる遙華である。
「リーヤは、最初は肉にするつもりだったらしい。どっちの方が嬉しかった?」
「加工肉であれば嬉しいけど、ユフォアリーヤは狩りたてを持ってきそうだし……。うん、温泉のもとは大好きよ」
「お子さんの名前は決めてるんですか?」
 詩乃が問いかける。
「いや、まだだな……って、まだできたと決まったわけでは……」
「いろんなものが変わっていくのね。ところで遙華は、恋人はできた?」
 そう雨月渾身のキラーパスである。
 彼女の中では遊夜の話題を受けてパッと思いついたことなんだろうが。遙華からするとなぜそのような話題が飛んできたのか理解できない。
「えっと……」
 それにつられてあわて始める由香里と蛍丸。しかし思いのほか遙華自身は落ち着いてた。首を左右にひねりながらも雨月の質問に答える。
「うーん、いないわね」
「最近出会いも多いじゃない」
「私、一緒にいて落ち着けない人ってそもそも好きにならないみたい。ぐいぐい来られると、心が休まらないというか」
 そんな話をしていると遙華の顔面温度が上がっていく。
 この空気に耐えかねてか、遙華は席を立った。
「あら、遙華。どこに行くの?」
 雨月が問いかけると、遙華はそれにトイレだと答えた。
 蛍丸の自宅は初めてなので、詩乃に案内してもらいたどり着いた。
 遙華は鏡を眺めて自分の顔が赤いことを確認する。
「だめね、こういう話はなれないわ」
 過去を思い出すと何とも言えない気持ちが胸に湧きあがる。
 けれど、今それは過去のものだ。
「私は、やりたいことがあって、やらないといけないことがある」
 その気持ちは嘘ではない、本心だ。
 だが、かつての自分の感情を思い出すと埋もれてしまいそうになる。
 問題は、埋もれてしまって、人の心に引っ掛かる言葉を残してしまうこと。
 それが不和のもととはなってほしくない。
 だって、冷静な心に立ち返れば。押し寄せてくるのは無力感と。そして使命感なのだから。
 そう胸に湧いた思いを整理し直すと遙華は戸を開く。するとそこには詩乃が立っていた。
「待っててくれたの?」
 遙華が言葉をかける、すると詩乃はおもむろに口を開いた。
「遙華さんも。……ですか?」
「え? なに?」
「遙華さんも初恋でしたか?」
 そう詩乃は問いかける。それは彼の事。
「ええ、初恋だったわ。ってことは貴女も?」
 その言葉に詩乃は口をとがらせてこう告げる。
「初恋でしたが……蛍丸さま、持ち前の女心への鈍さが凶悪なガードになってて難攻不落過ぎました」
「蛍丸は人の心にスッと、入ってくるくせに、自分の心には立ち入らせないから」
「ええ、そうなんです、聞いてください、ひどいんですよ。蛍丸様」
 そう遙華は足を止めて詩乃と話した。
 彼女にとって、自分の不満を口にできる、共有できる存在は遙華しかいないのだろう。
「ふふふ、今度は個人的にその話をしましょう、誰もいないところで。そろそろ戻らないと心配して誰かが来ちゃう」
 二人は思いと時間を共有する、そう言う約束をして居間に戻る。
 すると遊夜が遙華の顔を覗き込んだ。
「どうした? 体調が悪いのか?」
 その言葉に遙華は首を振る。
「いいえ、体調が悪いわけではないわ」
「そう言えば、この前俺を愛してくれるって言ってたよな」
 そう遊夜は遙華の耳元に口を寄せた。
「俺をどんな感じに愛してくれてるかも聞いておきたい、あの時どうするつもりだったんだ?」
「ちょ、え? 飲んでるの?」
「飲んでるぜ、ジュースをな」
 そうグラスを傾けて見せる遊夜。
「あの時……いまいち記憶が不鮮明なのよね、うーん」
 そう考え込んでしまう遙華。
「今度アルスマギカにでも記憶をよみがえらせてもらうことにするわ、わかったら伝えるから」
「パソコンかなにかじゃないんだから」
 そう雨月が苦笑いを浮かべた。
 

 エピローグ
 この日。ひとしきりはしゃいだ遙華はアルコールを摂取しているわけでもないのに、いつのまにか寝息を立てていた。
 雨月は彼女をソファーに寝かせて隣で本を読んでいる。
 今日は夜も遅い、全員で止まっていくことになったのだが後片付けが誰か必要である。
 その役目は由香里と蛍丸が担っていた。
 二人並んで洗い物をしている最中。肩と肩がぶつかったことで二人は口を開き言葉を交わし始めた。
「どう? 満足した?」
「ええ。とても楽しかった」
 二人は同じタイミングで遙華の方向をうかがう。
 そんな蛍丸の背中に隠れ。水でぬれた手を布巾で服と、由香里は沸騰した夜間を手に取ってコーヒーを入れた。
 コップを二人分用意し、片方を蛍丸に手渡す。
 時間は深夜を回るころ。けれどもう少し起きているための一杯。
 それを蛍丸は受け取り、グラスを合わせると二人は今日の話を始めた。
 
   *   *

 遙華は疲れが出てしまったせいか眠り、しかし持ち前の睡眠の朝さゆえにちょっとした衝撃で目を覚ました。
 気が付けば雨月が遙華に倒れ込むようにして眠っている。
 その頭を撫でて、部屋のすみっこで丸くなっていた詩乃に目をやった。
 彼女と遙華は今日。トイレの前で内緒の話をしたのだが。
 その話の中にこんな物があった。
「以前、蛍丸様の目の前に遙華さんの幻影が現れた時。追って行ってしまったんですよ」
「その後、二人はちょっとピリピリして怖かったです」
「蛍丸様は今でも遙華さんを大切に思ってると思いますよ」
 その言葉を噛みしめて遙華はまた目を閉じた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『黒金 蛍丸(aa2951@WTZERO)』
『西大寺遙華(az0026@WTZERO)』
『詩乃(aa2951hero001@WTZEROHERO)』
『麻生 遊夜(aa0452@WTZERO)』
『水瀬 雨月(aa0801@WTZERO)』
『橘 由香里(aa1855@WTZERO)』
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海でございます。
 この度OMCご注文、そして遙華のために集まっていただいてありがとうございます。
 実は私、遙華の誕生日を忘れていてですね。きっとこのまま何もなければ遙華はすねていたことでしょう、遙華の誕生日を祝っていただける友人がこんなにたくさんいてとてもうれしいです。
 今回このような場を設けていただいた蛍丸さんの背後様には感謝を。
 いつもお気遣いいただきありがとうございます。
 これからもがんばっていきますので。遙華ともどもよろしくお願いします。
 それでは鳴海でした。ありがとうございました。

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2017年12月28日

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