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『 過去噺とこれからのこと 』
杏子aa4344)&カナメaa4344hero002

 まさにとんぼ返りというやつである。
『杏子(4344@WTZERO)』は『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』 と出会ってすぐ。その翌日には駅にいた。また電車を乗り継ぎ、田舎町へととって返す。
 しばらく家に帰らなかったつけだろうか。それとも何かの天罰。
 杏子は後ろに飛んでいく風景を楽しそうに眺めるカナメを眺め思うことがあった。
 彼女の話は本当なのだろうか。あの夢は実際にあった光景なのだろうか。
 ご先祖様とはいったい。
 だが杏子自体、伏見の家には興味を持たず、その歴史を学ぼうとしなかったために判断材料が全くない。結局頼るしかないのだ。
 弟を。
「まぁ、貸しもあるしねぇ」
 そう告げて上がった石段の先には『伏見 菊男(NPC)』が待っていた。
 菊男はカナメを見ると一瞬目を見開いて、そして頷く、何か納得したように何度も、しかし納得しきれないと言いたげにうんうんと。
「とりあえず、あがるがいい」
 そう奥間に通される杏子とカナメ。
 そして杏子はカナメとあった全ての事を話した。
 二人の前に茶が運ばれるなり、開口一番菊男はこう告げた。
「やはりな……。この家は杏子が継ぐべきだった」
「どういうことだい」
「本当に、何も知らないのだな」
「権力だの、御家だの。嫌いなものに関してはとことん興味を持たないのが私さ。わかってるだろ?」
 頷き菊男は告げる。では初めからだなと。
 カナメは居住まい正すことなく悪戯っぽい視線を向けながら二人を交互に眺めている。
 そんな彼女を見て菊男はもう一度視線を伏せたがついに、重たい口を開いた。
「伏見家の当主は、最も力が強い者がなるという慣習がある」
「ああ」
「それは、今でいう霊力が強いもの。という事だろう。私にはほとんどその力はないので、実際捕えかねているがね」
 菊男は言葉を続ける。
 霊力の資質が一番強かったのは杏子であること。
 なので杏子達の世代では、本来ならば杏子が次の当主になるはずだったということ。
「あ〜、だからあんなにしつこく……」 
 杏子には心当たりがあった。異常なほどに自分に執着する親族たち。
 たかだかお家を継ぐだけであれば、自分よりも政治や経済に明るいものがなればいいと、ずっと謎に思っていた。
 自分を党首にするメリットを感じられなかったのだ。
 だが菊男の発言で全てが納得できた。
「なるほどね、だから私は」
 杏子は幼少期を思い出す、自分には見えない物が見えた。
 いないはずの人、いるはずのない人。死んだ人間でさえ自分に会いにくる。
 昔からそうだった。それで怖い目にも沢山あった。
 だがその力には明確に根源があったのだ。
 伏見の血。
 そしてその血は色濃く自分の娘にも受け継がれてしまっている。
 申し訳ないことをした。とは思わない。なぜなら彼女は自分よりこの力を楽しんでいるのだから。
「だったら、素直にはなしゃいいのにさ」
 杏子はあきれ果てて菊男にそう告げる。
「そうしたら聞いてくれたのか?」
 幼少期、自分が出ていくと知った時、彼は不安そうな表情を見せた。この伏見という世界にたった一人残される苦悩が、今の杏子になら少しわかる。
「バカなことを言うなって一蹴していたね」
 そうにやりと笑って告げる杏子に、菊男もいたずらっぽい笑みを返した。
「そうだろう?」
 だが、家を飛び出し音信不通なんてことにはならなかったのかもと杏子は思う。
 本当の胸の内を、いいとしだ。そろそろ分かち合うころあいだろうか。そうとも杏子は思った。
「だから、私が担ぎ出されたのだ。姉に次ぐ霊力を持つという事で私がな」
「それは苦労を掛けたね」
「いや、それでいいめも見れた。とんとんさ」
 そう、自嘲気味に菊男は笑うと突然表情を引き締めて言葉の音程を下げた。
「それでだな」
 がらりと変わった雰囲気に、杏子はこれが現党首の貫録かと居住まいを正す。
「報告が入った」
「報告? 薙刀の事だ。それとそっくりなAGWを振るう何者かがH.O.P.E.に対してケンカを売っている」
「ほう、それは豪胆だね、いったいどんな奴だい」
「そいつは……」

   *   *

 その男は尖っていた。それは外見もそうだし、性格も行動もそうだ。
 おおよそ普通と呼べるものはない。
 ただし、異常という恐怖を与えらえるほどではない。
 普通の人間が思い描く異常さ、他人とは違う形。
 それを体現しようと追い求め、たどり着いてしまった頭の痛い人。
 それが『落紙 氷柱(NPC)』の正体である。
 ワックスとスプレーで決めたまるでゲームの主人公の様な髪型。三日でローテーションのカラーコンタクトにごついピアス。
 その手の人間が好きそうな要素は集まり、なるほど、好む人間は好みそうな見た目をしている。
 そんな彼が、自分の力に気が付いたのはとある男に、夜の街でケンカを売った時だった。
 彼は地面をなめることになった。
 体が大きく、戦闘センスもあった彼は地元では負けなしの不良だったが、その初老の男は氷柱を見下ろすと。まるでゴミでも見るかのように瞳から興味を失わせ、そしてその場から立ち去ったのだ。
 彼の名前を呼び、気遣う部下たち。その『伏見さん』と奴を呼ぶ名前だけを残して。
 これでも氷柱は現代っ子だ。特定の条件を当てはめて検索するだけですぐに見つけることができた。
 伏見家。菊男。
 それを生涯のライバルと氷柱は定めた。
 それを女たちに語って聞かせた。
 そして手下連中に情報を集めさせた結果、家宝の存在が明らかになった。
 それが今彼が肩にかけている薙刀である。
「おいおい、ぜんぜん神様かんけー、ねーじゃん」
 氷柱はつまらなさそうにチンピラたちを見下ろして唾を吐いた。
 午前二時過ぎ、路地裏の一幕。
 彼は自分に力を与えたフードの人物へ視線を向けると告げる。
「あんたがくれた、英雄? も、改造してくれた薙刀も、いいもんだけどよ、もっとビームとかでねぇの? ずばって」
 告げる氷柱は戦場を後に次の獲物を探して町を練り歩く。
 尖っている自分を最高に輝かせられる場所を探していた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『杏子(4344@WTZERO)』
『カナメ(aa4344hero002@WTZEROHERO)』
『伏見 菊男(NPC)』
『落紙 氷柱(NPC)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 提出が遅くなってしまい申し訳ありません。鳴海でございます。
 今回、ヴィランのご要望があったので、チンピラ風の男を仕立ててみました。
 気に入っていただけたら幸いです。
 それでは本編でもよろしくお願いします。
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2018年01月16日

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