『―― 疲れたあなたにStrangeな夢を ―― 』

夢路 まよい（ka1328）

「……あれ？」
　遊び疲れて木陰で眠っていたはずなのだが、夢路まよい（ka1328）はいつの間にか誰かの屋敷の前に立っていた。
　しかも、その屋敷は奇妙としか言いようがない。
「まあ、このお屋敷……GateMan（門番）が逆立ちしてるわ」
　そう、なぜか屈強なマッチョがピチピチのスーツを着て逆立ちしているのだ。
「NameTag（名札）の代わりに、あなたがご主人様のお名前を教えてくれるのかしら？」
　まよいが問いかけるけど、門番らしきマッチョは何も答えない。
（勝手に入ってもいいってことかしら？　まぁ、止められたら入らなければいいだけよね）
　そんなことを考えながら、屋敷の中に入ろうとまよいは足を踏み出す。
　しかし、門番は止めることはもちろん、まよいに声をかけることさえせずにスルーしていた。
（……このGateMan、これで大丈夫なのかしら）
　軽く首を傾げながらも、止められなかったため、まよいは屋敷の中へと入っていく。

※※※

「やあ、いらっしゃい」
　まよいを出迎えたのは、初老の男性。恐らく屋敷の主人なのだろうが、なぜか新聞を上下さかさまに読んでいる。
「新聞、さかさまに読んでも大丈夫なの？　内容、それで分かるのかしら」
「気にしなくてもいい、逆さまにしなくても私は新聞が読めない」
「……そう。確かにそれなら新聞紙なんてどっちから読んだって構わないわね。何を書いているのか、分からないことには違いないもの」
　苦笑しながら、まよいは主人から勧められるままに椅子に腰かける。
　すると、なぜか高速回転をしながらメイドがまよいの前にデザートを持ってくる。
「……」
　当然ながら、メイドが高速回転しているため、デザートも高速回転でぐちゃぐちゃだ。
「最悪だわ、食後のDesserts（おやつ）をひっくり返されてStressed（イライラ）で、気分はすっかりお通夜だわ」
　はぁ、と大げさにため息をつきながら、まよいはジロリとメイドを見つめる。
「仕方ないわね、ここに置いてあるFruit（果物）は食べてもいいのかしら？」
　まよいが問いかけると、メイドは頷いて答える。
「それじゃ、melon（メロン）でも――……No melon（メロンもないわ）」
　果物カゴをひっくり返してみるけど、まよいが求めていたメロンはどこにもない。
「まあ、逆さに振ってみてもNo lemon（レモンもないわ）」
　なぜか、まよいが求めるものはことごとく存在しないため、苛立ちを募らせている。
「もういいわ、こうなったら私が自分でDesserts（おやつ）を作るしかないようね」
　腕まくりをしながら、まよいは主人の許可を得て、キッチンへと向かうのだけど……。

※※※

「Why（なぜ）？」
　調理器具を前に、まよいはがっくりと肩を落とす。
「Pan（お鍋）を裏返して眺めていたら、なんだかNap（居眠り）したくなっちゃった」
　そう言いながら、まよいは襲い掛かってくる睡魔にあらがうことも出来ず、そのままキッチンで居眠りをしてしまうのだった。

※※※

「……夢？」
　ぱちり、とめを覚ますと、そこは最初に居た木陰。
「……なるほどね、夢だったらあんなに私の望みが叶わないのも納得だわ」
　ため息をつきながら、まよいは空を見上げる。
（あんな夢を見たせいかしら、ちょっとだけDesserts（おやつ）が食べたくなってきたわ）
　ぐぅ、と空腹を訴えてくるお腹を軽くさすりながら、まよいは立ち上がり、大きく伸びをする。
（こんな風に居眠りをするのも悪くはないわね、おかげでちょっと楽しい夢が見られたわ）
　休息を取った後は仕事、と呟きながらまよいは歩き出す。
　仕事の前にDesserts（おやつ）を食べないと、とまよいは心の中で呟く。
（最近、私ってば疲れてるのかしら？　あんなにDesserts（おやつ）のことばかりの夢なんて見たことなかったはずなのに……夢は、自分の欲望を現すとも言うし、私の本能がDesserts（おやつ）を求めているのかもしれないわね）
　そんなことを考えながら、まよいはおやつを求めて歩くスピードを速めるのだった。

――　登場人物　――

ka1326/夢路まよい/女性/人間（リアルブルー）/12歳/魔術師（マギステル）

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こんにちは、今回もご発注頂きありがとうございます。
体調不良で遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
久しぶりに書かせて頂いたキャラクターでしたが、いかがだったでしょうか？
気に入って頂ければ幸いです。
それでは、今回も書かせて頂き、ありがとうございました。
また機会がありましたら、宜しくお願い致します。

2018/1/16

シングルノベル

水貴透子

ファナティックブラッド

2018年02月13日