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『サンタ達の仁義なき戦い 』
しろくまka1607

 12月。寒さも本格的になり、煌びやかな装飾が街を彩り、人々が何となくそわそわする季節。
 ――そう。聖輝節。
 大人も子供も楽しみにしている年1回のイベントであるが、この時期に大忙しになる人物がいる。
 そう。サンタである。
「今年も聖輝節がやって来るのであります。全世界の良い子達にプレゼントを配らななければならないのでありますが……めんどくさいであります……」
 ナッツ片手にゴロゴロしている茶色と白の毛玉。
 何を隠そう……って全然隠せてないし隠す気もないんですが……この物体こそ子供達の憧れの的であるチューダサンタだ。
 ――この妖怪食っちゃ寝をサンタに指名した辺りでもう完璧な配役ミスとしか思えないのだが、そう決まってしまっているのでもう諦めて戴きたい。
「チューダサンタさん、寝てたらダメですくま! きちんとお仕事しないとサンタ組合から叱られますくま!」
「んん? お、お前は……!」
「ふふふ……! チューダサンタさん、お久しぶりですくま!」
「……誰だったでありますか?」
 チューダサンタの一言にズッコケる白いクマ。ズッコケた拍子に首が明後日の方向を向いた気がしたが気にしてはいけない。
「忘れるなんてひどいですくま! くまはチューダサンタさんの弟子のしろくまちびサンタですくま!」
「あー! そういえばそんなのがいたような気がするであります!」
「思い出してくれて良かったですくま!」
 チューダサンタの言葉に胸を撫で下ろすしろくまちびサンタ。
 ――ちびを名乗る割に全然小さくない。むしろデカいのだが、そう決まってしまっているのでもう諦めて戴きたい。
「さあ、チューダサンタさん! くまと一緒にプレゼントを配りに行くですくま!」
「えええ。お断りするであります。面倒くさいであります。その役目はしろくまちびサンタに譲るであります」
「なん……だと……くま!? サンタの座を狙って虎視眈々と寝首をかくチャンスを伺う予定が、こうもあっさり譲られてしまうと困るですくま!!」
「よくわからないでありますが、さっさと行って(閲覧削除)とか素材とか配ってくるといいであります」
「それ世界線が違うですくま! 守ろう著作拳ーーー!!」
「へぶぅっ!!」
 ばちこーん! としろくまパンチをお見舞いされて吹っ飛ぶちびサンタ。
 ゴロゴロと転がり、黒い物体にぶつかって止まる。
「うおおお……痛いであります……!」
「……相変わらずだな、チューダサンタ」
「あ、あなたは……! 青木黒サンタさんですくま!」
 チューダサンタを見下ろす黒衣の人物に息を飲むしろくまちびサンタ。
 何で青木まで出てくるのか。解せぬ。
 シリアスな敵役だったはずの青木がそろそろイロモノ枠確定になりそうですし、何よりしろくまさんの出番が減るんでおやめ戴きたいんですが、そう決まってしまっているので(以下略)。
「チューダサンタ。そろそろ出かけるぞ。いつまでも転がっていないで準備をしろ」
「ううう……。寒いから行きたくないでありますよ……!」
 靴先でチューダサンタをつつく青木黒サンタ。
 モフッと可愛らしくしろくまちびサンタが首を傾げる。
「……そろそろ出かけるって、青木黒サンタさんもどこか行くですくま?」
「勿論、お前達に同行する」
「えっ。それは初耳ですくま! 一体何をしに行くですくま!?」
「お前達がいい子にプレゼントを届ける傍ら、俺はブラックサンタとして悪い子に仕置きをするのが仕事だ」
「お仕置きって何をするですくま?」
「悪い子には喜ばないプレゼントを渡す」
「一応プレゼントは渡すですくまね。具体的に何を渡すですくま?」
「石炭やジャガイモなど子どもが好まないものだ」
「わー。ジャガイモは一部の帝国民とジャガイモ信仰者は喜んでしまいそうな気がするですくま。それ以外には何かあるですくま?」
「とても悪い子の寝ているベッドには(閲覧削除)をぶちまける」
「うわー。とってもえげつないですくま! トラウマ必至ですくま!! それからそれから?」
「とてもとても悪い子は、サンタの袋に詰め込んで連れ去る」
「きゃーー! サンタなのに誘拐組織に早変わりですくま!!」
「このように、ブラックサンタは普通のサンタより忙しい」
「なるほどですくま! ちょっと楽しそうですk……」
 ぽろっと本音が漏れてげふんげふんと咳払いをするしろくまちびサンタ。
 まだ床に転がっているチューダサンタと、涼しい顔をしている青木黒サンタを見比べて考え込む。
「チューダサンタさん、青木黒サンタさん」
「何でありますか?」
「ん?」
「サンタとブラックサンタって、別々じゃないといけないですくまか?」
「そんなこと考えたことなかったであります」
「一応サンタの助手ということにはなっているが……明確な決まりはないな」
「ということは……つまり、サンタとブラックサンタは、1人が同時に勤めても良いということですくま?」
「プレゼントさえ配ればサンタ協会からナッツケーキが支給されるでありますよ。そのケーキがまた美味しいであります」
「ケーキはどうでもいい。しろくまちびサンタ……。貴様何を企んでいる?」
「サンタとブラックサンタを同時に勤める者……『真なるサンタ』がいてもいい、そういうことになりますくまね」
 ククク……と不敵な笑みを浮かべるしろくまちびサンタ。
 チューダサンタと青木黒サンタは飛びずさって距離を取る。
「プレゼントを配る役目は渡してもいいでありますが、ナッツケーキは渡さないでありますよ!?」
「成程。それが目的か……。いいだろう。そう簡単に俺からブラックサンタの座が奪えると思うなよ?」
「ククク……。このもふもふパワーに勝つことができますくま……? もふもふこそ正義くま! もふもふこそ我が力くま!!」
「もふもふなら負けないであります! 我輩の高級毛皮の威力を思い知るがいいであります!!」
「脂肪が大半のチューダサンタさんにもふもふを語って欲しくないですくま!」
「なぬー! 失礼ですぞ! 我輩のもふもふ成分の90%は毛皮であります!!」
「いいですくま。この機にどちらがよりもふもふか決着をつけるですくま!!」
 真なるサンタの座をかけて!! サンタファイト!! レディーーゴーーー!!!
 俺達の本当の戦いはこれからだ!
 これまでのご愛読ありがとうございました。しろくま先生の次回作にご期待ください。
「ええっ。続きがあるですくま!?」


 しろくまは、そんな自分の叫び声に驚いて目を覚ました。
 鳥の囀りは聞こえるが、夜が明けたばかりなのか部屋はまだ薄暗い。
「……何かすごく面白い夢を見たような気がするですくま」
 確かサンタになっていたような……。
 夢で張り切り過ぎたせいか、何だか疲れている気もする。
 ――今日は仕事の予定もないし、寝坊しても問題ないだろう。
 布団に潜り直すしろくま。
 ああ、二度寝は気持ちいいですくま。極楽ですくま……!
 そんなことを考える彼。
 まもなく微睡に沈んでいった。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka1607/しろくま/男/28/しろくまちびサンタ


kz0173/チューダ/男/10/チューダサンタ(NPC)
kz0166/青木 燕太郎/男/27/青木黒サンタ(NPC)

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
お世話になっております。猫又です。

しろくまサンタさんのお話、いかがでしたでしょうか。少しでもお楽しみ戴けましたら幸いです。
ほのぼのコメディというご指定でしたが、ギャグに全振りになってしまってやり過ぎたような気がしなくもないです。
好き勝手色々書いてしまいましたが、話し方、内容等気になる点がございましたらお気軽にリテイクをお申し付け下さい。

ご依頼戴きありがとうございました。
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2018年01月29日

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