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『Sweet White Xmas 』
夢洲 蜜柑aa0921)&ウェンディ・フローレンスaa4019)&ロザーリア・アレッサンドリaa4019hero001)&アウローラaa1770hero001)&オリガ・スカウロンスカヤaa4368)&スヴァンフヴィートaa4368hero001


 クリスマスまであと数日、大学は冬期休暇に入っていた。
 だが講義はなくとも、学舎にはそれなりに人がいる。
 部活やサークル活動に興じる者、講義とは関係なく自分の研究に打ち込む院生や教職員達などである。
 オリガ・スカウロンスカヤもそのひとりだ。
 今日は今年の仕事も終わりとあって、特に親しいものに声をかけ、ゆっくりお茶を楽しんでから部屋を閉めようということになった。
「ずいぶんと冷えますね。熱いお茶をもう一杯いかがです?」
 優雅な物腰で椅子から立ち上がったオリガに、スヴァンフヴィートがすっと寄り添う。
「先生はそのままで。わたくしがお持ちしますわ」
「あらそう? じゃあお願いね」
 まるで絵のような光景だ。
 大人の落ち着きをそなえたオリガのたたずまいの美しさは、男子学生達はもとより女子学生達にとっても憧れの対象である。そしてオリガの英雄として、常に傍らにあるスヴァンフヴィートは、近寄りがたい雰囲気の美貌の持ち主だ。
 ウェンディ・フローレンスはそんなふたりに――特にオリガに、憧れの眼差しを向ける。
 いつかオリガのような素敵な大人の女性になりたい。彼女の講義を受けるうちに、ウェンディの憧れは募るばかり。
 だからいつも傍にいるスヴァンフヴィートへの「憧れ」は「羨ましい」とほぼ同じだったかもしれない。

 ウェンディの物思いを、夢洲 蜜柑のささやき声が遮った。
「おねーさま、見て! 雪よ!」
 まだあどけなさの残る可愛い妹分は、ウェンディの袖をそっと引っ張って、既に暗くなった窓を指差す。
 レースのカーテンと室内の暖かさに曇る窓越しでもわかるほどに、無数の白い綿雪が踊っていたのだ。
 オリガが首を傾げて眺める。
「まあ本当。それに随分と暗くなってしまいましたね。皆さんまだ時間は大丈夫でしょうか?」
 ウェンディは蜜柑をちらりと見る。
 蜜柑はウェンディの望みをわかっている。だから、こくこくと頷いて見せた。
「おねーさまと一緒だもの、大丈夫よ」
 ウェンディは蜜柑なりの気遣いに、小さく笑いながら、柔らかな黒髪をそっと撫でた。
「先生の御迷惑でなければ、もう少し特別講義をお聴きしたいですわ」
「私はもちろん大歓迎ですよ。アウローラちゃんは退屈ではありませんか?」
 話を振られたアウローラがパッと顔を上げた。
「はい! ミカンちゃんも一緒だし、お菓子も美味しいです!」
 満面の笑みでこたえるアウローラは、実はオリガとは初対面だ。
 だが元々はドラゴンが人の姿を取った英雄である。細かいことなど気にしない性格の上に、出されるお菓子は美味しいし、お宝をいっぱい収めた宝物庫のような研究室も気に入っている。
 仲良しの蜜柑と一緒とあれば、そこでのお話がちょっと難しくても、何の問題もなかった。

 そこにスヴァンフヴィートが戻ってくる。
「先生、冷えるようでしたらカーテンを閉めましてよ」
 他の者にはともすれば高慢で高飛車な態度をとるスヴァンフヴィートだが、心酔するオリガに対しては実に甲斐甲斐しく尽くす。
「そうね。でも雪を眺めながらのお茶も素敵ですから、もう暫くそのままで」
「わかりましたわ。でもお風邪など召されませんように、お気をつけて」
 そう言ってじっと見つめる瞳、若干危ないようにすら見える心酔ぶりである。
「ありがとう、スヴァン。あなたもこちらに座ってゆっくりなさいな」
「はい、先生」
 スヴァンフヴィートは皆のカップにお茶を注ぎ、当然のようにオリガの隣に腰かけた。

 オリガがサイドテーブルに置いた本のページを繰る。
「さて、話の続きですね。このように、童話や民話には世界に似たような系統のお話があることが多いのです」
 オリガの特別講義が再開される。
「シンデレラに似た物語が10世紀ごろの日本にもあったというのは、私も初めて知ったときは驚いたものです」
「えっ日本に王子様なんているの!? ガラスのぞうり!?」
 思わず声を上げたのは蜜柑だった。ウェンディは笑いをこらえようとして肩を震わせた。
「蜜柑ちゃんの発想は、本当に素敵ですわ」
「えっ!? やだ、ごめんなさい!!」
 蜜柑は大人びた人々の中で、自分が随分と恥ずかしいことを言ったらしいと気付き、顔を真っ赤にしてうつむいた。
「いいえ、とても大事なことですわ。そういう風に『自分に分かりやすいように内容を翻案する』ことで、世界中に物語は広がって行ったのですから」
 笑顔で説明するオリガは、本当に楽しそうだった。
「実際に、シンデレラの靴は実は毛皮だったという説もあるほど、物語は変化していくのです」
 オリガがそう言うと、スヴァンフヴィートがさっと立つ。今オリガが何の本を出そうとしているのか、助手でもあるスヴァンフヴィートにはわかっているのだ。
 ジャムののった濃厚なクッキーをお茶で流し込み、アウローラがほうっと息をつく。
「毛皮かあ……でもガラスのほうがキラキラして綺麗ですよね」
 お宝大好きなドラゴンとしては、キレイで繊細なガラスの靴を絶対に推したいところだ。
「そう思う人のほうが多くて、一層広まったのかもしれませんわね」
 スヴァンフヴィートが頷いて、一冊の本をオリガに手渡す。
「ありがとう、スヴァン。そして主人公が結婚して幸せになるというラストも、とても多いパターンですね」

 そのときだった。
 ウェンディの幻想蝶が光を放ち、ひとりの女性が室内に姿を現したのだ。
「そしてそれもまたいつか、時代が変われば違う物語になっていくかもしれないね」
 悪戯っぽく笑いながらロザーリア・アレッサンドリが肩をすくめる。
「例えば、意地悪な継母や姉さん達を自力で排除するシンデレラとかね!」
「まあロザリーったら。あなたなら王子様にも勝てそうですけれど」
 ウェンディがくすくす笑う。
 本の精霊は、この場の話題に居ても立ってもいられず、普段愛する孤独を放り投げて顔を出したらしい。
 だが、それだけではなかった。
「あら? ロザリー、それは……」
 ロザーリアは胸に一冊のアルバムを抱いていた。
 真っ白い装丁に金のアラベスク文様の箔押し。綺麗だが、それほど珍しくもないアルバムだ。
 しかしこのアルバムは、不思議な力を秘めている。
「あれからずっと普通のアルバムだったんだけど。なんだかここに来たそうだったから」
 そう言ってロザーリアが表紙を開く。
 眩い光が溢れだし、部屋が真っ白に輝いた。


 アウローラが目をぱちぱちさせる。
「ここ、前にも来たことがありますよね?」
 全員が真っ白い、ふかふかの絨毯の上に座り込んでいた。
 見回せば広い部屋だ。白く高い天井からは、ガラスのシャンデリアが下がっている。
「一体何が……?」
 不安がるというよりは面白がる口調で、オリガは辺りを見渡す。
 オリガを守ろうと身構えたスヴァンフヴィートも、他の4人の様子を見て、警戒を緩める。
 ウェンディがそっと囁く。
「先生、ここはおとぎの部屋なのですわ」
 何でも知っている先生に、何かを教えることが嬉しくて。ウェンディは目を輝かせて語りかける。
「新しい物語が、ここから紡ぎ出されるかもしれませんの」

 部屋は豪華な衣裳部屋である。
 誰の、かはわからない。
 だが部屋の壁のほとんどに、ドレスがいっぱいに掛けられている。部屋の一隅にはカーテンが複雑にかけられていた。
 蜜柑はすぐに立ち上がった。
「また来られたのね!」
 ウェンディを振り返り、頬を薔薇色に染めて弾んだ声を上げた。
「おねーさま、選ぶのを手伝って!」
「ええ、喜んでお手伝いしますわ」
 ウェンディは蜜柑に手を引かれていった。
「また?」
 小首を傾げるオリガに、ロザーリアが説明する。
「うん、どういう理由かはわからないんだけど。あのアルバムが前にもこの部屋に連れてきてくれてね。ウェディングドレスがたくさんあるから、とりあえず着てみたんだよ」
「危険はありませんの?」
 やや警戒しつつ、スヴァンフヴィートが囁く。
 が、ロザーリアは自信満々で胸を張った。
「このあたしが危険を感じない本に、妙なことなんか起きないって!」
 そしてロザーリアは半ば呆れ顔のスヴァンフヴィートに、そっと耳打ちした。
「見たくないの? 大事な人のドレス姿」
 その言葉がトドメとなり、スヴァンフヴィートは警戒を解いた。


 アウローラは1枚のドレスを引き出し、満足そうに眺める。
 それは高級なガラスビーズを目いっぱいにちりばめた、豪華なウェディングドレスだった。
 それを抱えたまま、もう1枚。こちらはラインストーンが優雅な、大人びたラインのドレスである。
「キレイ……」
 ほう、と溜息をついて、アウローラはその場に座り込んだ。
 財宝の守護者たるドラゴンの頃の習性が抜けず、美しいアクセサリーやキラキラしたものが大好き。
 こうして綺麗な物に囲まれているのが、嬉しくてたまらないのだ。

「それ着ないんだったら貸してもらっていいかな?」
 ロザーリアが声をかけてきた。
 元は冒険小説の主人公の姿をとったロザーリアだが、こちらも「最後は財宝を手に入れてめでたしめでたし」であることが多いせいか、キラキラ華やかなドレスが気になるようだ。
 つまり、アウローラの居た世界線と、微妙にかぶっているのである。
「お宝……冒険者……遊ぶ……!!」
 アウローラの本能とでも呼ぶべきものが覚醒した。
「ふははー財宝が欲しくば遊んでくださーい!!」
 なお、ドラゴンにとっては遊びでも、冒険者にとっては命がけの冒険であった。
 ロザーリアも一瞬身構えたが、今のアウローラは若い女性の姿なので、じゃれついているだけだと自分に言い聞かせる。
「ちょっと、だめだってば、ドレスが破れる!! ほら、アウローラも自分の着るドレスを選ぶんだよ。これなんかどう?」
 ロザーリアが、1枚のドレスをアウローラに押し付けた。
 スカート部分はチューリップを逆さにしたような、シンプルで可愛いドレスである。
 適当に選んだにしては、元気いっぱいのアウローラに良く似合いそうだ。
 だがアウローラは眉間にしわを寄せる。
「……ミニは好きじゃないです」
 キラキラすべすべの布はいっぱいある方がいい、というわけだ。
「じゃあもう、ウェンディに選んでもらおう! ヒラヒラ綺麗なのをね!」
 ロザーリアは、華麗なドレスを大事に抱えたままのアウローラを引っ張って、パートナーのもとへと連れて行く。


 ウェンディは、蜜柑と一緒にドレスを選んでいた。
 蜜柑は大好きな『おねーさま』が付き合ってくれるので嬉しくて仕方がない。
 もちろん、自分がドレスを着ることができるのも嬉しい。
 ときどきウェンディが手ほどきしてくれるおかげで、ドレスアップのときに相応しい、派手過ぎないメイクなども多少わかるようになってきた。ドレスだって「自分が綺麗に見えるか」で選べるようになってきた。
「蜜柑ちゃんはどんなドレスを選びますの?」
「あたしは……」
 ちょっと考え込んでから、蜜柑はドレスを選び出す。
「前に、オリガお姉様が似合うって言ってくれたから」
 清楚な純白のドレス、すっきりとしたプリンセスラインに、思い切ったミニ丈のスカートには、柔らかなオーガンジーが薔薇の花弁のように幾重にも重なっている。
 大人びたウェンディに少しでも近付きたいと、背伸びをするよりも。自分に似合うものを選んで身につける、そのセンスこそがウェンディと並ぶのにふさわしいと、蜜柑にはわかってきた。
「まあ、イメージにぴったり。ええ、とっても可愛らしいですわよ」
 ウェンディが心の底から賛成してくれているのもわかって、蜜柑は満開の笑顔をみせる。
「おねーさまはどんなドレスにするの?」
「そうですわね……」
 珍しく、ウェンディのほうが少し迷ってしまう。
 きちんとした印象のプリンセスラインは愛らしさと清潔感があって、とてもいいと思う。だがレディらしい、優雅なラインのドレスにも興味があるのだ。
 手にとって眺めていると、蜜柑が少し甘えるように腕に力を入れる。
「おねーさま、あたし、おねーさまのこういうドレス姿が見てみたいな」
 蜜柑が指差すのは、大人びたマーメイドラインだった。
「あら、それなら蜜柑ちゃんおすすめのものにしてみようかしら?」
 ひそやかな会話と、さざめく笑い声。
 そんな中、ウェンディはひそかに気になるふたりを見遣る。
(先生とスヴァンちゃんはどんなドレスを着るのかしら?)


 オリガはドレスそのものよりも、この不思議な空間に興味があるようだった。
「この部屋にはどんな物語が反映されているのでしょうね」
 女の子の夢? だがここには、ウェディングドレスを着て並ぶべき「相手」が存在しないのである。
(ウェディングドレスを花嫁衣装としてではなく、美しい衣装としてのみとらえる世界? そんな物語があったかしら)
 考え込むオリガの顔を、スヴァンフヴィートが覗き込む。
「先生は、ドレスをお召しになりませんの?」
「え?」
 オリガの意識は、思考の海から引き戻された。
「ああ、そうですね。折角ですから着てみましょうか」
 暫く何枚かを手にとっては見比べるオリガ。選んだのは、シルクの光沢が美しいオフホワイトの、シンプルなドレスだった。タイトな上半身に、Aラインの広がるスカートがとても上品だ。
「こんな感じでどうかしら」
「ええ、先生には当然お似合いです。でも!」
 ずい、とスヴァンフヴィートが顔を寄せる。
「大人の女性だからこそ、甘めのデザインも素敵に着こなせると思いますわ。勿論、最後にお決めになるのは先生です。でもわたくしの提案も、一応はご覧になりません?」
 余りの真剣さに、オリガは思わす小さく笑う。
「わかりました。では私にはどんなものが似合いますか?」
 スヴァンフヴィートは大喜びで、2枚のドレスを両手に持ち、オリガに見せる。
「こちらのマーメイドラインの、青みがかったピンクなどきっとお似合いですわ! それからこちらの、レースの縁取りのついたクラシカルな物も素敵ですわよ」
「まあ。私には少し可愛過ぎませんか?」
「い・い・え!」
 結局、オリガはスヴァンフヴィートの迫力に根負けした。
 とはいえ、自分では選ばないものを「似合う」と言われて試すことは、元々冒険心も強いオリガには楽しい経験でもあった。
「ところでスヴァンはどんなものを?」
「わたくしは既に決めておりますわ」
 そこでスヴァンフヴィートは、一応オリガのお伺いを立てるべきだと考えた。
「こちらにしたいと、思っておりますわ」
「素敵ですね。スヴァンの高貴さを一層引き立ててくれますよ」
「有難うございます」
 とーぜん! と他の者には胸を張るだろう。
 だが敬愛するオリガにこう言われると、スヴァンフヴィートの心は喜びでいっぱいになるのだった。


 ドレスは鏡の前で身体に当てると、一瞬で纏うことができた。
 それぞれに髪を整え、メイクを施し、互いの姿を確認する。
「お、おかしくないでしょうか……?」
 アウローラが気恥ずかしそうに上目づかいで周囲を見る。
「わたくしのセンスはお気に召しませんでした?」
 本当はそんなことを言いたいのではないと分かっていながら、ウェンディはアウローラをからかう。
「いえ、あの、そうではなくて……! ……すごく、素敵です」
 アウローラが纏っているのは、ラインストーンのついたレースのボレロに、贅沢に布地を使ったタッキングスカートの青いドレス。髪に飾った花も、ブーケも青。瞳の色に似合って、どこか神秘的だ。
 内心でアウローラは、いつか見た妖精のようなウェンディにこそ、このドレスは似合うのではないか、と思ってしまう。
 一方で、嬉しくもあったのだ。
「ウェンディに選んでもらって正解だよね!」
 ロザーリアは自分のことのように誇らしげだ。
 自身は上半身がタイトなプリンセスラインに、広がる裾は思い切りフレアをあしらった、ゴージャスなもの。光沢のあるシャンパンゴールドは、ロザーリアを妖精国の女王のように彩る。
 スヴァンフヴィートは、ロザーリアと同じくフィットアンドフレアのドレスを選んだが、面白い程に印象が違っている。
 フレアが大胆な斜めのラインで広がっていて、クリアな白と相まってモダンでありながら格調高い。例えていうなら、現代ヨーロッパの王族の花嫁衣装か。

 だがスヴァンフヴィートが満足したのは、むしろ自分よりもオリガのドレス姿である。
「先生、やっぱりそのドレス、とても良くお似合いですわ」
 ウェンディがすぐに同意する。
「本当ですわ!」
 オリガは結局、淡く青みがかったピンク色の、マーメイドラインのドレスを纏った。髪はきちんとまとめ、肩にから袖にかけてレースが覆っているのも実に上品だ。
「カラードレスなのに、大人っぽくてとても素敵ですわ」
 ウェンディが目をキラキラさせるのを見て、スヴァンフヴィートも満足そうだ。
「ウェンディちゃんにそう言ってもらえるとちょっとは自信が持てますね。良いセンスをしているもの」
「まあ!」
 ウェンディがパッと顔を輝かせる。
 ウェンディもマーメイドラインを選んだのだが、オーソドックスなオフショルダーの上半身がタイトなイメージで、長く裾を引いた裾が、ウェンディのどこかはかなげな印象によく似合っている。
「蜜柑ちゃんも見違えましたわ。可愛いけれど、きちんと立っているから、子供っぽくならないのですね」
 オリガにそう言われて、蜜柑はますますしゃきんと背筋を伸ばす。
「ウェンディおねーさまに色々教わってるおかげなの!」
 ミニでだらしなく立っていては、確かに子供が付き添っているみたいになってしまうだろう。
 改めて、ウェンディの教えてくれることを頑張ろうと思う蜜柑だった。

 お互いのドレスを眺めていると、ロザーリアが皆を呼ぶ声が聞こえた。
「ねえ、こっち! 見て見て!!」
 部屋の外へつながる扉を見つけたのだ。
 白くて大きな扉を開くと、その先は――
「クリスマスツリーね! すごくきれい!」
 蜜柑が目を見開いてそう言った通り、美しいツリーが目を引いた。
 オーソドックスなモミの木に、赤いガラス玉と、銀のリボン。てっぺんには銀の星が輝いている。
 オリガが辺りを見回す。
「ここは一体何の部屋なのでしょう」
 不思議な空間だった。
 広い部屋の中央にはクリスマスツリーがあり、その周囲にはガラスのミニテーブル。
 部屋の壁は大きな窓で、外は暗い。重厚なカーテンは優雅に巻き上げられており、外ではしんしんと雪が降っていた。
 だが、不思議と部屋の中は寒くない。
 不意にアウローラの声が響いた。
「あれ? ここ、さっきまで何もなかったですよね?」
 皆が振り向くと、ツリーの傍のテーブルに、金色のボトルと背の高い足つきグラスが並んでいる。
「乾杯の飲み物ですわね」
「きっとそうよね、おねーさま!」
 ウェンディと蜜柑は前回のこともあり、全てをそのままに受け入れている。
 スヴァンフヴィートはその無防備さに呆れながらも、不思議なことに抵抗なくグラスを受け取ってしまった。
「きっとあれこれ考えることが、ここでは野暮なのかもしれませんね」
 スヴァンフヴィートの考えを代弁するかのように、オリガがそう言って微笑む。
 ロザーリアがグラスを掲げて、茶目っ気たっぷりに皆を見回す。
「じゃあ今回も。同じ夢を見る仲間に、乾杯」

 目覚めれば、ロザーリアの白いアルバムにはまた写真が増えているのだろう。
 誰のためでもない、自分自身のためのドレス姿。
 少し照れながら、でも誇らしげに。
 私が選んだ、そしてあなたが選んでくれたドレスは、纏った者を応援するように華やいでいる。


━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【aa0921 / 夢洲 蜜柑 / 女性 / 14歳 / 人間・回避適性】
【aa4019 / ウェンディ・フローレンス / 女性 / 20歳 / ワイルドブラッド・生命適性】
【aa4019hero001 / ロザーリア・アレッサンドリ / 女性 / 21歳 / ジャックポット】
【aa1770hero001 /  アウローラ / 女性 / 20歳 / ドレッドノート】
【aa4368 / オリガ・スカウロンスカヤ / 女性 / 32歳 / ワイルドブラッド・攻撃適性】
【aa4368hero001 / スヴァンフヴィート / 女性 / 22歳 / カオティックブレイド】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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大変長らくお待たせしました! クリスマスウェディングのお届けになります。
以前にお召しになったときから変わったこと、変わらないこと、そんなことを考えつつ。
ドレスを表現する語彙が足りなくて悩みましたが、お気に召しましたら嬉しいです。
この度のご依頼、誠に有難うございました!
イベントノベル(パーティ) -
樹シロカ クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年02月14日

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