『仁義なきもふもふ 』

シルミルテ（aa0340hero001）＆セラフィナ（aa0032hero001）

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　それは、真壁家にシルミルテ(aa0340hero001)がお泊りに来た夜のことであった。

「セラフィナ〜！」
「シルミルテさ〜ん」
　漫画でよく見るふわっとしたアレを周囲にふわっと撒き散らしつつ、飛び込んできたシルミルテをセラフィナ(aa0032hero001)はふわっと受け止めた。そのまま仲良くおてて繋いでリビングへと歩いていくと、ぱっちりおめめが愛らしい白青のウサギのぬいぐるみと、どことなくおとぼけ感のある黄色いヒヨコのぬいぐるみが、まるで寄り添うように並んで来客と主を出迎えた。
「あ、ミルミルトピヨ吉ダ〜」
「二人とも仲良くしてますよ」
「まるデワタシトセラフィナみタい〜」
「ふふ、本当にそうですね」
　などと微笑ましいやり取りを随所随所に交えつつ、シルミルテとセラフィナはお泊り会を満喫した。暖かいシチューを食べたり、最新ゲームで白熱したり、漫画を読んだり、ベッドに入りながら二人で一緒におしゃべりしたり……。
「そろそろおやすみしましょうかね」
「そうダね。セラフィナ、オヤスミなさい」
「おやすみなさい、シルミルテさん」
　おしゃべりでちょっとだけ夜ふかしした後、二人はすやすやすややかに夢の中へと入っていった。窓から外を見上げれば美しい星空が広がっており、まるで他愛なくも宝石のような一日を彩っているかのよう……。
　などという情景描写は、実はこの後に起こることには一切の関係が、ない。
　そう、飼い主（？）達が寝静まった夜、むくりと起き上がったぬいぐるみ達の、果てなき、飽くなき、終わりなき、仁義なきもふもふバトルには……！

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　ミルミルはかつて、シルミルテがセラフィナのために渾身を込めて作成した手製のウサギのぬいぐるみである。なお名前はプレゼント後セラフィナによって命名された。
　両手で抱くと丁度収まる大きさに設計されており、大変手触りが良くもちもちしている。要所要所に布地と同色の糸で加護と幸運を意味する緻密な文様が刺繍され、『どうか、あの子が様々な困難を自分で乗り越えられるような幸運と加護を』、そんな願いを丹念に丹念にそれはもう丹念に込められて造られた。
　そんなミルミルにとって、セラフィナのセンター抱っこポジションは大変な栄誉であり自身の幸運でもあった。飼い主（？）の腕に抱き締められ、もちもちの触感を楽しんでもらい、ミルミルもまた飼い主（？）の腕の暖かさを心ゆくまで堪能する。その瞬間はぬいぐるみにとって筆舌に屈し難い幸せのひととき……！　「ぬいぐるみに心なんてあるのか」などと悲しいツッコミを入れてはならない。
　だが、その栄誉と幸運は、そしてセンター抱っこポジションは、彗星の如く現れた黄色いアイツに奪われた。彗星の名はピヨ吉。とぼけた顔でミルミルからセンター抱っこポジションを掻っ攫ったミルミルの宿敵である。
　ミルミルにとっては、セラフィナが幸せであることが第一である、その願いがあって自分は造られた。ならばセンター抱っこポジションは大人しく譲るべきなのかもしれない。
　でも！　どうせなら！　自分だって幸せを少しは享受したい！　造り主であるシルミルテにどこか似たような思考回路（？）で、ミルミルは今回もまたもちもちの腕で宿敵を指す。
『……！（ピヨ吉にバトルを挑むようなセリフを言っていると思って下さい）』

　一方、遺憾の意のミルミルの前に立ちはだかるピヨ吉にも、涙なしには語れない重い過去が存在する。（余談）
　ピヨ吉は元々ゲームセンターの出身だ。アクリルガラスの壁の中で、大安売りワゴンセールの賞品みたいに山と積まれ、その中から真壁家のもう一人の英雄が、「間の抜けた面構えがあの朴念仁の顔に似ている」という理由で取ってきたのだ。（どうでもいい）
　もっとも、そのおかげでセラフィナという素晴らしい飼い主（？）に巡り合えたが、所詮がゲーセンプライズ出身。セラフィナの大事な友人であるシルミルテに作られたミルミルとは月とすっぽん。オンリーワンと量産品。そのことに、「間の抜けた面構え」と称された奥底で密かな劣等感を感じてはいる。（どうでもいい）
『……！（イメージ的に腕を組み「受けて立つぜ！」的なことを言っていると思って下さい）』

　二人（？）の戦いは日常でも行われている。カバンの中に仲良く一緒に入っていると見せかけながら、ピヨ吉の頬に耳でアッパーを繰り出すミルミル。日常茶飯事。先程のリビングの件にしたって仲良くなど一切していない。寄り添っていると見せかけながら中の綿でばいんばいん。日常茶飯事。今も飼い主（？）達が寝静まったのを見計らい、まさに拳を交えようと対峙している最中だ。
　とは言え、布と縫い目が綻びるほど殴り合うということはない。するべき加減というのは熟知している。万一自身が真綿を撒き散らして床に転がろうものなら、持ち主たるセラフィナが悲しむのは必然。第三者が見たらシュールホラー。ぬいぐるみとはあくまで飼い主（？）の幸せのために存在する物体である。その分を越えてはならない。そうして暗黙の了解を交わす程度には、二人（？）は互いの実力を認め合っている……！(適当）
　先に動いたのはミルミルだった。短い足でとてとてピヨ吉に近付いた後、シルミルテこだわりのもちもちおててで、喉だか胸だか腹だかわからん中心部へとボディーブロー！　一瞬ピヨ吉の身体がぐらついたが、こんなことで倒れはしない。すかさずミルミルに狙いを定め、何処にあるんだかわからない足で地を蹴り渾身の頭突きアタック！
　静かな戦いだった。というか両方ぬいぐるみなので殴り合って（？）もまったく音がしなかった。マイクを限界まで近付けても「もふん」「ぽすん」ぐらいの音しか聞こえなかったことだろう。
　二人（？）はただ言葉もなく拳（？）で語り合っていた。そう、二人に言葉はいらない。というかぬいぐるみなので喋れない。そんなことを言ったらどうやって動いているのか凄まじく謎なのだが、そこは愛と不思議とド根性ということにしようそうしよう。
『……！（「うおおおおお」みたいなことを言っていると思って下さい）』
『……！（「おりゃあああ」みたいなことを言っていると思って下さい）』
　もふり、ぽすり、と応酬が続く。傍から見たらなんともシュールな光景だが、本人達……いや本ぬい達はいたって真面目だ。たぶん。この戦いに勝ったとしても、センター抱っこポジションに選ばれる訳ではないと思うが、そこの所は突っ込まない方がいいのだろう。たぶん。
　部屋のベッドではセラフィナが安らかな微笑みを浮かべており、その隣ではシルミルテが何故か口をもぐもぐさせる。そのすぐ近くの床で殴り合うぬいぐるみ。そんなぬいぐるみどもの闘争を、どこぞの朴念仁が見かけたとか見かけてないとか……。

　飽くなきぬいぐるみバトルはそれなりに明るくなるまで続く。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【シルミルテ(aa0340hero001)／外見性別：？／外見年齢：９／ミルミルの造り主】
【セラフィナ(aa0032hero001)／外見性別：？／外見年齢：１４／ミルミルとピヨ吉の飼い主（？）】
【ミルミル／ウサギのぬいぐるみ】
【ピヨ吉／ヒヨコのぬいぐるみ】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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　こんにちは、雪虫です。この度はご指名下さり誠にありがとうございます。
　雪虫的に頑張ってコミカルほのぼのにしてみたのですが……いかがでしたでしょうか。イメージなど違うようでしたら、お手数ですがリテイクお願い致します。
　それではまたの機会がありましたら、どうぞよろしくお願いします。

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雪虫

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2018年02月20日