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『“私を月へ飛ばして” 』
世良 杏奈aa3447

●四丁拳銃の使い手
 血のように紅い月の光が、ロンドンの古びた街並みに降り注ぐ。ワインレッドのライダースーツを着込んだ女――世良 杏奈(aa3447)は、モンローウォークでしゃなりしゃなりと石畳の通りを歩いていた。その腰のホルスターには拳銃が差さっている。白、黒、赤、青。四丁の銃は、杏奈のスレンダーな肢体に危険な魅力を添えていた。
[ノリノリですねぇ]
 少女の声が杏奈の脳裏に響く。うっすらと口角を持ち上げると、杏奈は腰の拳銃を指の腹でさわりと撫でる。
「当然でしょ。最高過ぎて、背筋がぞくぞくしてるわ」
[いえいえ。こういうの私大好きなんで構いませんよ]
 噴水広場の前に立ち、杏奈は空に浮かぶ紅い月を見上げた。刹那、月の形が歪み、中空に巨大な魔方陣が描かれる。
[じゃあ早速行きますよ。“フォーホースメン”、ぜひ堪能してください]
「オーケー。全力で逝かせてあげる♪」
 魔法陣が輝いた。白く輝く法衣を纏い、色とりどりの仮面をつけた鳥人達が次々に降りてくる。杏奈は赤と青の拳銃を手に取り、宙に向かって放り投げた。
 紅い仮面を被った鳥人は長柄の斧を振るい、甲高い叫び声を上げる。風を切り、杏奈へ向かって急降下してくる。杏奈は身を翻すと、軽やかな飛び蹴りで鳥人を迎え撃った。
「芸がないわね!」
 杏奈が右足を突き出した瞬間、青の拳銃がブーツの拍車のようなパーツに取り付けられる。そのまま杏奈は鳥人の鳩尾に踵を突き立てた。その衝撃が拳銃の引き金を引き、ライヴスの銃弾を無数に鳥人へ撃ち込んでいく。
 鳥人は悲鳴を上げ、彼方へ吹っ飛ぶ。入れ替わるように蒼い仮面の鳥人が剣を振り上げて襲い掛かった。宙に浮いたまま、杏奈は回し蹴りを見舞う。
「Take this!」
 踵が鳥人の首に直撃した。無数の銃声が弾け、踵の赤い拳銃が鳥人の首を無残に引き裂いていく。鳥人は仰け反り、剥き出しになった気管をぱくぱくさせながら地へと墜落する。
[どんどん行きますよ! 四丁拳銃でガンガンコンボ決めちゃってください!]
 杏奈は頷くと、両手に白黒の拳銃を取る。魔導双銃シルバーブレッド。彼女が手塩にかけて磨き上げた武器だ。銃身に軽い口付けを添えると、一気に詰め寄ってきた二体の鳥人に向かって両手の銃を突きつける。
「BAD BOYs♪」
 脳天を次々に撃ち抜いて仰け反らせる。杏奈は目の前の一体を右手の銃で殴りつけ、そのまま嵐のように魔弾を叩き込んでいく。
「グァァァ……!」
 背後から別の鳥人が襲い掛かる。前ブリッジで華麗に躱した杏奈は、そのまま左手のジャブを目の前の一体に叩き込む。ついでにハイキックも叩き込み、マグナムのような重い一発を同時に心臓へ叩き込んだ。どてっ腹に穴を開けられた鳥人は、よろめいてその場に斃れる。
「うーん、こういうの一度やってみたかったのよね!」
[油断は駄目ですよ!]
 少女が言うや否や、背後の魔法陣から飛び出した二体の鳥人が杏奈の腕を捻り上げる。
「……全く。レディの扱い方が成ってないのね?」
 杏奈はそのままの姿勢で強引に前宙返り、一本背負いの様に鳥人を地面へ叩きつけた。
「女は猫のように気まぐれで我儘。でもちゃんと大切に扱わないといけないものよ?」
 一方の顔面には黒の銃口を向け、銃弾を乱れ撃つ。もう一方の顔面にはそのほっそりした足からは想像もつかない重い踏み付けを深く深く突き立てた。鳥人の頭が柘榴の様に砕け散り、どす黒い血が深紅のライダースーツを染め上げていく。
「……ふぅ」
 天を仰ぎ、杏奈は溜め息を洩らす。サディスティックな幸福感に満たされていた。夜の光に照らされた髪はさらりと流れ、紅を引かれた唇は艶めいている。その容貌は、当に魔女と呼ぶに相応しい。
[楽しそうですねぇ。……じゃあ、最終テスト、行ってみましょうか!]
 その瞬間、巨大な杭と槌を握った魔人が飛び出してきた。魔人は天を見上げて吼え、杏奈に向かって槌を振り下ろした。噴水のオブジェが砕け散り、広場が溢れた水で満たされていく。
「いいわね、素敵よ♪」
 杏奈は口元に笑みを浮かべ、後ろ髪を掻き上げる。魔人は杭を振り上げ、杏奈に切っ先を突き立てようとした。杏奈は紙一重で魔人の股座に潜り込むと、そのままヘッドスプリングで股間を蹴り上げる。両足の銃口が光り、魔人を宙へ舞い上げる。
 地面へと倒れ込んだ魔人を尻目に、杏奈は家屋の壁を蹴って空へと跳び上がる。魔人は呻きながら起き上がるが、杏奈は黒白の銃を強く握り込み、怒涛の乱打をうなじに向かって見舞った。魔人は槌を握り込み、風を唸らせ背後を薙ぎ払った。
「見え見えよ」
 槌の柄に掴まって攻撃をやり過ごした杏奈は大車輪の要領で飛び出し、今度は飛び蹴りを驟雨の様に浴びせた。〆の一撃に踵落としを叩き込み、魔人をうつ伏せに地面へ叩きつける。念入りに杏奈は魔人を踏みつけ、ムーンサルトで魔人の真ん前に降り立つ。
「さて……フィナーレにしましょうか」
 四丁の拳銃を外して宙へ放り投げると、杏奈は懐から黒表紙の魔導書を取り出す。瘴気の様に黒く染まったライヴスが杏奈の肢体を取り巻く。
 魔人はよろよろと立ち上がると、片手を伸ばして彼女を捕まえようとする。杏奈は身を翻してその腕を弾き返すと、天に向かって左手を掲げる。月の光が眩く輝き、巨大な光球へ変わっていく。それを見た魔人は慌てて逃れようとするが、地面から湧き上がった瘴気に足を絡め取られ、為す術無くすっ転ぶ。
「さようなら☆」
 杏奈は夜空へ向けて高らかに指を鳴らす。その瞬間に深紅の光球が降り、魔人の身体を虫けらのように圧し潰し、四散させた。
 その瞬間、世界中に高らかにブザーが鳴り響く。訓練終了の合図だ。首を振って乱れた髪を整えると、杏奈は晴れやかな顔で伸びをする。
「あー……気持ちよかった♪」
[お見事ですね。それじゃあ一旦閉じるので、こっちに来てください]
「はーい。了解」
 杏奈は血みどろな広場にくるりと背を向けると、再びモンローウォークでしゃなりしゃなりとその場を後にするのだった。

●反省会
「楽しかった! ピュアプラチナの評価よ!」
「いやあ、あそこまで楽しそうに使いこなしてもらえるとは思いませんでした」
 技術者の少女と杏奈は、VBSルームそばの休憩室で談笑していた。少女が新しい武器のアイディアを求めていると聞きつけ、杏奈が早速注文しに訪れたのである。
「実戦でも使えたらいいんだけど、どう?」
「まあ、射程を極限まで落としたり、威力を実用性失くさない程度までに下げれば何とかって感じに作りましたけど……」
 わくわくした顔の杏奈に向かって、少女はちょっと気まずそうな顔をする。
「世良さん、ちょっと疲れてません?」
「そういえば……さっきから頭はくらくらしてるかも……」
 戦っている時はアドレナリンが大量に出ていて気付かなかったが、一呼吸置いてみると、だんだん頭が重たくなってきた。少女は合点の行ったような顔をする。
「やっぱり。二基分のAGWを起動させてるには違いないんで、ライヴスの消耗がどうしても激しくなっちゃうんですよね。VBSでこれだと、実戦じゃあもう、無理っす」
「なるほどね……残念」
 杏奈は小さく肩を落としたが、すぐに気を取り直して少女に手を差し伸べる。
「じゃあ、また何か思いついたら頼むわね! よろしく♪」
「ええ。ぜひ任せてくだせえ」

 世良杏奈の武器開発はつづく……?


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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世良 杏奈(aa3347)

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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影絵 企我です。この度は発注いただきありがとうございました。
これは運命ですね。丁度そのゲームやってたんです。バッドボーイ!
気に入って頂けたらば幸いです。
何か問題がありましたら、お手数おかけしますがリテイクをお願いします。
では、また御縁がありましたら……

カゲエキガ

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2018年02月26日

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