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『久遠の時を共に 』
片薙 蓮司aa0636hero002)&ヘンリー・クラウンaa0636)&伊集院 コトノハaa0636hero001)&リリア・クラウンaa3674)&伊集院 翼aa3674hero001)&片薙 渚aa3674hero002

プロローグ
神前にて愛を誓う。信じる神などあるわけではないがそれでも誰かに愛を誓うというのはとても大切なことだと二人は感じた。
 いのり手を組みそっと引き合わせる。
 二人は寄り添いぴったりと合わさり、影が解け合う。
『片薙 蓮司(aa0636hero002@WTZEROHERO)』と『五十嵐 渚(aa3674hero002@WTZEROHERO)』は神によって清められた酒を口にして、その永遠の時を誓う。
 今日は二人の結婚式、永久に共に。なんて柄ではなく、口にすると照れ臭い二人だが。声をそろえていう事が出来るのは。
 今とても幸せだという一言。
 きっとそれは今後辛い時や耐え難い時に思いだし、頑張ろうと思える一瞬。
 それを家族とも呼べる人たちに囲まれて過ごすことができるなんて夢のようだと感じ。渚は目尻に涙を浮かべた。
 

本編 久遠の時を共に
 
 一行が会場について真っ先に発見したのは『伊集院 コトノハ(aa0636hero001@WTZEROHERO)』だった。
 コトノハは一人会場でスマートフォンを眺めながら佇んでいる、そこには中のいいメンバーでとった写真がいくつか。そこには渚や蓮司と言った今日の主役の写真も混ざっていて、コトノハは思わず笑みをこぼす。
 そんなコトノハに『ヘンリー・クラウン(aa0636@WTZERO)』は手を振って歩み寄り『リリア・クラウン(aa3674@WTZERO)』はヘンリーに寄り添って歩いている。
 肩を並べてゆったり歩いてきて歩くさまはおしどり夫婦と言った感じだが。
 その穏やかな夫婦に驚きが襲いかかる。
 彼女の様子の違いにまず、悲鳴にも似た声を上げた。
「…………そ、その髪」
 なんとコトノハは長く豊かなピンク色の髪をバッサリ切ってしまっていたのだ。
 たおやかに揺れていた長い髪は今はなく、代わりに涼しげに切りそろえられたショートカットが揺れた。
 快活な印象に変わったコトノハはその髪の端を掴んで見せると、小さく微笑んで照れ臭そうに目を細めた。
「あ、ヘンリーも正装だね。とっても似合ってるよ」
 そう告げられてヘンリーはまだ驚きが隠せない動きで、袖を引く。
 短くお礼を言うと改めてコトノハはヘンリーの全身を見渡した。
 今日のヘンリーの服装は艶のあるグレーのスーツである。
 細く筋の入ったシャツに金色のネクタイピン。ハンカチとネクタイはリリアが選んだものであることをコトノハは知っていた。
 普段の雰囲気とは違い、落ち着いていて大人な雰囲気である。
「……なにか、あったの?」
 そう、ようやく驚きが収まったリリアがコトノハに問いかけると、コトノハは明るい笑顔で笑い飛ばす。
「別に心配するようなことは何もないよ、二人の門出を祝うということで笑って祝うためにお洒落してきただけ」
 告げるとコトノハはヘンリーの背後に愛しの人を発見し大きく手を振る。
『伊集院 翼(aa3674hero001@WTZEROHERO)』が一向に合流する。
 まぁその翼もコトノハのイメチェンに驚き心配したものではあったがそれも同じようにコトノハが収めた。
「今日はいい日になりそうだな」
 そうヘンリーは空を見上げる。
 一行は穏やかな空気に包まれて、まだ冬だというのにまるで春の訪れの様な、暖かな笑顔を自然と浮かべてしまうような、そんな日だ。
 わずかな談笑、他愛のない場だったが、あの二人がいないのはいつ振りだろうか、いつの間にか六人でいることが普通になっていたため、この四人だけでいるのは逆に珍しいという思いがあった。
 その違和感を意識するとこれから起こるその出来事が嬉しいような、待ち遠しいような。そんな気持ちにさせられる。
 結婚式。それは新たなる門出。
 そこに集う二組のカップルはすでに終えている、その時の光景と重なり、様々な気持ちが湧きあがり消えていく。
 式が始まった。
 神官に導かれ場に入る渚と蓮司。
 二人は厳かで静謐な横顔をのぞかせる。
 そんな風に始まった挙式も一連の進行になぞられ進む。
 結婚とは神に生涯を共にする相手を紹介する儀式であり、それがそつなく進行すると。
 二人は遂に神へと近いをたてる時がやってきた。
 そして儀式の折。愛を誓うと盛大な拍手が沸き起こる。
 そこで一次回は終了である。会場を移動して二次会に移行する。
 四人は輪になって二人との思い出を振り返りはじめる。
 二次会もそうだが、今回は家族と呼べるような仲のいいメンバーしか誘っていない結婚式である、そう言うわけで二次会会場もそこまで広い場所ではない。 
 そんな会場では飲物と軽食が先に配られた。四人はそこで談笑を楽しむと共にお色直しをして戻ってくる渚と蓮司を待った。
 そして渚と蓮司がお色直しをして戻ってくると。
 その変化に全員が注目した。誰もが目を話せない。渚と蓮司の姿に四人は溜息をもらす。
 特に渚の美しさには感嘆の声が漏れた。白無垢を纏い、俯いた彼女の表情は見えない。
 たたずまいに普段とは違う空気を待とうが、実際本人は何も変わらず。隣に立つ蓮司に頭が想いと苦笑いを向けている。
 そんな渚への感動が収まると先ず蓮司が今日のお礼を述べた。
 部屋の端っこにマイクがあり、そのマイクに電源が入っていることを確認すると全員に向けてお礼と、二次会のラインナップを告げる。
 そして蓮司の指示で運ばれた和食を見るように言う。
 自分の料理を味わってほしいと、運ばれてきた料理の説明を始めた。
 蓮司は和食を作るのが得意だった。
 なので、和食を中心としたコースを考えてみたのだ。
 お吸い物、御造り、煮物、焼き物、揚げ物、蒸し物、酢の物。そしてご飯もののお茶漬け。
 見た目にも楽しい皿がいくつかなれべられる。皿まで気を使ってあり大満足のコースだった。
 どれも皆の味の好みが考えられていて美味しかったがどうやらデザートがないようだ。
 その話題が出た時に蓮司とヘンリーが顔を見合わせ笑みを交換する。
 皆はその素晴らしい料理を談笑の中それを平らげると、リリアが祝辞のために席を立った。
 リリアは自分の英雄である渚との出会いから語り始め。今までの依頼を振り返り、辛いこともたくさんあったと。いろんなことを語って聞かせた。
 沢山の思い出があった。それだけ沢山の時を一緒に過ごしてきたという事だろう。
 語り尽くせないほどの思い出があった。
 だがそれを永遠と話している時間はない。そこそこのところで話を切り終えるとリリアは告げた。
「結論! 二人はとてもお似合いだと思います。拍手!」
 皆が微笑んでリリアにならって手を打ち鳴らす。フラッシュが瞬いた、ヘンリーがシャッターを切っていたのである。結婚式会場の運営側にカメラの許可はとってある。
 そんな周りの空気に渚は思わず微笑んだ。
 そんなリリアに続こうとコトノハが壇上に上がると長い用紙をばらりと広げゲストスピーチを行う。
 まぁ、ゲストスピーチと言っても、言いたいことを言う。そんな感じだった。
 あまり笑わない蓮司がこんな可愛い嫁をもらうなんて信じられなかった。だとか。
 キチンと大人になってよかっただとか。
 ひどいスピーチだなと蓮司は苦笑いを浮かべるも、まだ話し足りない様子のコトノハそれを聴いた蓮司はコトノハに。
「お前に言われたくない……」
 そう突っ込んだりした。
 笑いが巻き起こる、それに対してコトノハがむくれるが翼がそれをなだめたりして、その光景を見て蓮司は、何も変わらないんだと安心した。
 結婚したことでいろんなことが変わってしまうのかと思ったが。
 大切なものは変わらないんだと安心することができた。
 次いでマイクを握ったのは翼だ。照れ臭そうにあたりを見渡した後に音量を確かめるように恐る恐る話し始める。
「…………まずは、おめでとう」
 そう翼は自分の事のように喜び、顔を赤らめて、嬉しくて仕方がないという表情で告げた。いろいろと心配していたのだろう。交際している最中も、今日にいたる道中でも、二人の事を。
「昔はいろいろとしょうもないことで喧嘩していたけど。今は友達以上の仲だと誇れる存在だ」
 視線を遠くに投げる翼、思い返せば迷惑をかけられてばかりだった。そう昔を思い出しながら翼は告げた。
「そして……渚は蓮司を大切にするべきだ」
 そう翼は渚を指さす。それに驚きの表情を見せる渚だった。あたりがざわつくが大半が面白そうな表情だけ見せて先を促す。
 曰く、もうこんなにいいお婿さんを貰う機会なんてないのだろうからと翼は告げた。その隣でコトノハは「つーちゃん、いいこというなぁ」とうんうんうなっている。
 そんな翼のスピーチが終わると突然翼はコトノハを抱き寄せた。
「私達のように末永く幸せに……」
 そう最後にのろけると、真っ赤になったコトノハと、野次を飛ばす仲間たちに笑顔を向けた。
 そして翼が席に着くとコトノハは恥ずかしさを振り払うように声を上げる。
「僕、似顔絵描くよ」
 そう余興としてコトノハが紙とペンを取り出す。愛用のペンとスケッチブックであり、抱えるほどに大きい。
 コトノハがこうして絵を描きたがるのは珍しいことではないが、この短時間でかけるのだろうか。
 そんな周囲の心配をよそに何やらペンを走らせ始めるコトノハだったが、それを翼が横から眺めている。
 寄り添う二人はとても絵になっていて、いつもそうしているようだ。渚も蓮司とそうなれればいいなと静かに思う。
 そして出来上がりゆくその一枚の絵には見知った皆が書き連ねられていた。
 それは全員が集合した一枚絵で、全員の表情が笑顔で彩られている。嬉しくて仕方ないという表情、それは今日この日に見た笑顔だ。
 それをコトノハは胸に刻むように神に書き起こすと最後に左下にペンを走らせた。
 それにサインをいれると。コトノハはそれを渚に手渡す。
 渚はそれを抱きしめると嬉しそうに蓮司へと見せた。
 二人は声をそろえてありがとうと言った。
「これもつくったの…………」
 コトノハのサプライズはまだあるらしい、鞄を引き寄せると中身を探り。取り出したのは二つの包装。
 青とピンク色の包みが印象的でリボンが可愛い。
 それを解いていいか尋ねられると。コトノハは小さく首を振った。
 渚はその包みを開くと顔をのぞかせたのは二人を模した人形。
 仲良く手を繋いで入っていてとてもかわいかった。
 それを胸に抱きしめると渚はありがとうと微笑んだ。
「俺からも贈り物がある」
 そう立ち上がったのはヘンリー。彼が手を叩くとスタッフが大きなカートを押してきた。
 スタッフ三人がかりの重たいカートで慎重に運ばれてきたそれは三段重ねの特大ウエディングケーキ。
 その表面は飴細工で飾ってあり、色とりどりの蝋燭とその炎に照らされた表面がすごくきれいだ。
 そんなケーキが登場したのは当然あれのため。
「ケーキ入刀だな」
 そうヘンリーが渚と蓮司にナイフを握らせる。
 そして部屋の電気が消えた。薄暗くなる中。ケーキにたてられた蝋燭にヘンリーンとリリアの手によって火がともされていく。
 ライトアップされるケーキはキラキラと輝き二人を祝福しているようだった。
 そしてヘンリーに手渡されたナイフを渚と蓮司は見る。
 リボンが巻いてあるナイフ、それを渚と蓮司は手を合わせて握る。
「ヘンリーの自信作だよ」
 そうリリアがフォーク片手にほくほくな笑顔でそう告げた。
「三段のケーキだけど、中のスポンジとクリームは段ごとに味を変えてて。外は全部きめ細やかな生クリームで」
 リリアが紹介するようなケーキの構造は傍からは見えなかったが理解はできる、ヘンリーからお菓子作りについて聞くことは多かったからだ。
 大量のスポンジもその段と挟むソースやクリームによって焼き方を変えてある。そんなケーキも実はまだ完成しているわけではない。
「まだ仕上げが残ってるんだよな」
 運ばれてきた鉄板とつるっとした塊。それに対して手袋をして臨むヘンリー。
 それは飴の塊と熱した鉄板だった。
 この上に飴を叩きつけるとゆっくりと形を変えながら飴を整え始める。
 熱した飴を手早くこねるヘンリー。
 飴細工は温度が命だ。冷めても熱くてもいけない。その温度を保ちながら細い雨を溶かして上から降らせ糸を作ったり、何層にも重ねてカラフルな飴を作ったり、それで人形を作ったり。
 そして放て作った飴と本物の花を束ねた、甘くて爽やかな香りがする花束を新婦へと手渡すヘンリー。
「タイトルは…………『二人の幸せを願って』」 
 そして飴で作った新郎新婦の人形をケーキの天辺に乗せると歓声が上がった。
 同時に蝋燭の火を消していくヘンリーとリリア。部屋を明るくすると、スタッフの人が皿を持ってきてくれた。
 その拍手が収まると、ヘンリーのケーキ入刀の掛け声と共に蓮司と渚はウエディングケーキにナイフを刺しいれた。
 雨の糸を切り崩すパキパキという音を聞きながらケーキを断ち切ると拍手が巻き起こる。
 あとは自分がと、ヘンリーがナイフを手に取った。
 ケーキを均等に三角形に分けていく、そのなれた手つきはさすがの職人というべきナイフ捌きで、誰しも感心してしまう。
 そして切り分けられたケーキを全員に配り終えると一斉にそれを食べ始めた。
 ケーキはとても美味しかった、特に女性に大好評で、こんなに沢山のケーキを食べられるなんて夢のようだと積極的に食べていた。
 そんなケーキも半分ほどがなくなると、蓮司が立つ。
 今までにない真面目な表情で皆に話しておきたことがあると、蓮司はマイクを握る。
「今日は最後に言っておきたいことがある……」
 そうぶっきらぼうに告げた蓮司。
 先ずは集まってくれた皆に感謝を、ありがとうと。
 そしてこれからもよろしくと。
 蓮司は蓮司でいろいろ考えたらしくそうまずは周りに自分の思っている言葉を告げると、今度は壇上に渚を招いた
 意を決したように渚は立ち上がり、そして壇上の蓮司と渚は向き直る。
 そして蓮司は内ポケットから封筒を取り出してそれを渚に手渡した。
「これからずっと一緒だ…………」
 告げると渚は目に涙をためて同じように手紙を取り出して手渡す。
 そうしているうちに会場を抑えている時間に終りが来た。
 六人は一緒にその場を後にする。
 



エピローグ

 最後に明かされなかった手紙の内容をここに記そう。
 手を繋いで自分の住まいに返る渚と蓮司。二人は各々の資質で手紙の封を切る。
 中身を見る時周りに相手がいない方がいい、お互いにそう言う考えに至ったのだ。
 二人は小さな灯りを頼りにその手紙の中味に目を通す。
 渚から蓮司に当てられていた手紙にはこう書いてあった。
 今まで共に過ごせたひびが幸福であったこと。
 自分はひねくれていて、これからも迷惑をかけるだろうこと。
 それに対する謝罪。
 そしていつもそれを受け入れてくれることに感謝しているのだという事。
 面と向かって言うのは恥ずかしいから、この手紙にしたためることにしたのだという事。
 蓮司から渚に宛てられた手紙にはこう書かれていた。
 自分を救ってくれたことに感謝を。それを忘れずにずっと生きていこうと思うという事。
 そしてこうして一緒にいてくれたことへの感謝、これからも一緒にいてくれることに対する、感謝である。
 二人は同じ思いに包まれる、死が二人を別つまで。
 永久に共にいよう。
 久遠の時を共に。たとえ途中で解れるのだとしても、魂だけは共に。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…………・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『片薙 蓮司(aa0636hero002@WTZEROHERO)』
『ヘンリー・クラウン(aa0636@WTZERO)』
『伊集院 コトノハ(aa0636hero001@WTZEROHERO)』
『リリア・クラウン(aa3674@WTZERO)』
『伊集院 翼(aa3674hero001@WTZEROHERO)』
『五十嵐 渚(aa3674hero002@WTZEROHERO)』

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 いつもお世話になっております。鳴海でございます。
 この度OMCのご注文ありがとうございました。 
 二人の新たな門出という事で、幸福感に包まれるようなノベルを意識してみましたがいかがでしょうか。
 気に入っていただけれ場幸いです。
 それでは鳴海でした。ありがとうございました。
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2018年02月27日

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